ブレイディみかこのレビュー一覧
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読み始めて10日以上掛かってしまった。
イギリスの貧困層の厳しい現実と、日本の戦前の似たような境遇の小説が並行して交互に出てくるので読みづらかった。
薬物中毒の母親と、一人では行動できない弟を抱えた少女のミア。生活保護を受け、次々と男を変えて行く母親。悲惨な少女が救われるのは、同じような境遇の日本人の小説を読むときだけ。
彼女の魂の叫びを聞いた少年が勧めるのはラップ。「両手にトカレフ」もその叫びから生まれたもの。
母親と弟を抱えたヤングケアラー。誰にも相談できずに抱え込む姿が悲惨すぎて、どんどん読む気持ちが重くなっていった。最後まで読んで、やっと陽が当たって来たというところだろうか? -
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ネタバレ足元から始めろ。
シスターフッドと言うが、それってどういうことか考えたことはあるか。エンパシーという言葉を日本に広めた(と私は思っている)著者が書く、フェミニズム。
女性が、移民が、貧しい人が、と言ってその属性を持つすべての人が同じように考えるわけではない。99%が望んでいたとして、1%の反対をなかったことにしてはいけない。誰かを排除するための闘いではない。知らないで、知ったふりで、行動するのではなく、まずは自分から、自分のリアルにつながるところから。著者の指摘はハッとさせられる。自分と同じことを言う人だけではなくて、異なる意見の人をも排除しない社会、そして運動が求められているのだ。それが -
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『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』は、英国在住の著者ブレイディみかこ氏が「エンパシー(他者の感情や経験を理解する能力)」について深く考察した書籍です。この本では、エンパシーの重要性やその限界、そして社会における役割について、多角的な視点から論じられています。
主な内容とポイント:
エンパシーとシンパシーの違い:
エンパシー:意見や背景が異なる他者の立場に立ち、その感情や経験を理解しようとする知的能力。
シンパシー:他者に対する同情や共感といった感情的な反応。
著者は、エンパシーは訓練によって身につけることができるスキルであり、シンパシーとは異なると述べています。
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民主主義の国と思われがちな英国が、とんでもない階級国家であることを日常の暮らしから抉り出すブレイディさん。コロナは「シット・ジョブ」をエッセンシャル・ワーカー」と耳触りの良い言葉に置き換えて「大事な仕事」だとしたが残念ながら一過性で終わりつつある。英国ほどではないものの日本も貧富の差は広がるばかり。日々の暮らしでは目を逸らしているけど、ブレイディさんの赤裸々な指摘にハッとさせられる。「悪い人間ほどいいことをしたがるもの」「人間をケアする仕事は人間にしかできない。…双方の人間がいてポジティブな精神的電波が生まれる。この電波こそが、人間が今日まで生き延びてきた原動力になった」「タモリ・山中伸弥の!
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Posted by ブクログ
ブレイディみかこさん、「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が読みかけのまま積読…でも、グローバルな視点満載なエッセイの様なので手に。
「地べたから考える」という表題は、彼女が幼少の頃もイギリスに住んでいる現在も下層の人間だからなのだそうで、地べたから考えたことを書き記したそうだ。
彼女は環境としては確かに地べたに暮らしていたのかもしれない。けれども地べたに住む人だからといって彼女の周りの住人のように、生きることに投げやりだったり、保護された暮らしではなく、しっかりと地に足を着けて生活されている。
そんな彼女が地べたから見た世界…
「キャピタリズムは悪い意味でのアナキズムだ」という言