ブレイディみかこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イギリス社会の格差。幼少期から格差意識が植え付けられている。イギリスの学校カースト的な雰囲気がひしひしと伝わってくるエッセイ。
全然本書の内容知らないで、目についたから(有名な本だったし)読んだのだが、こういう系だったとは。今から考えればタイトルで内容の予想は着くはずなのだが、全くタイトルを気にしてなかった。内容知っていたら、自分の嗜好的に絶対読まなかったと思うけど、偶然に読めて良かった。今まで触れてこなかった分野の知らないことを「知らなかったなぁ」といいながら、ふむふむと読むのが案外楽しい。
というか著者の息子は賢すぎるのでは。感じていることの言語化が的確。それに追付いして発せられる息子の意見にもイチイチ頷いてしまう次第。どうしたらこんな賢い子が育つのかというのが1番の感想。本書の内容からとは全然関係ないのだが。
エンパシーとシンパシーの違い。オックスフォード英和辞典によると、シンパシーは、①誰かを可哀想だと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと。②理念、組織などへの指示や同意を示す行為。③同じような意見や関心を持っている人々の間の友情や理解。つまり「理解」。
一歩、エンパシーは、①他人の感情や経験などを理解する能力。すなわち「能力」だ。
シンパシーはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人に対して「自然」に抱く感情であり、努力が伴うものではない。だけど、エンパシーは自分と違う理念や信念を持つ人や特段可哀想と思えない人々が何を考えているのだろうと能動的に想像する能力である。
これまで、ハーフの人の帰属意識の問題はピンとこないことが多かった。帰属を伴うアイデンティティ問題を取り扱う本にたくさん出会ったけど、なんとなく消化不良な感じがしてたが、本書の聡明な息子(日本人とアイルランド人の両親)の一言でクリアになったかも。「僕は日本人でないでしょ」「日本に行けばガイジンって言われて、イギリスではチンクって言われる。どこかに所属している気持ちが持てない。」
人として生きていくのに当然の欲求が満たされていないってことだ。この聡明な息子に本当に多くのことを教わった。
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Posted by ブクログ
イギリス在住の著者が、今ヨーロッパで起こっている社会や政治の動きについて、言葉をもとに考えていく本。
最初の「自己責任」についての話が面白かった。
大きな権力が持つべき責任を、個人に押し付けるために「自己責任」という言葉が使われているという、そんな感じの主張。
例として載っていた、ボランティアの自己責任という話がびっくり。
ボランティアには自己責任で来てほしいと行政が呼びかける。
寝る場所も食べるものなども全て自己完結できるようにと、個人のレスポンシビリティ(責任)を強調。
その裏には、行政が対応できないという、行政のアカウンタビリティ(責任)逃れが隠されている。
その結果、ボランティア自粛が起こる
迷惑ボランティアというパワーワード
以下メモ
・極中(エクストリームセンター)
右派でも左派でもない
上記のような、イデオロギーをともにする集団ではなく、権力奪取そのものが目的
イメージ重視、見た目、演技性
現実主義で政治資本を重視する彼らは、道徳の空白を生み出す
・能力主義の時代?
数値化されて見えるのは、能力ではなく「実績」
能力が正しく反映されていない実績主義のせいで、自分の能力が公平に評価されている気もしないし、自分の才能をのばす機会をもらえないから不幸名のではないか。
メリトクラシーベースの社会は、要するに昔ながらの階級社会そのもの。
・テクノ封建制
人間の体験よりも、媒介物を通して情報に本物を感じる。
媒介された経験が増えることで、日常の経験への不信感も生まれている。
1つの状況に対して理解の乖離した人たちが存在するようになった(Qアノんのような)
個人的に使えるテクノロジーにより、「個別化されたリアリティー」を作りながら、その中で生きることが可能となった。
・待つことはキリスト教においては「祈る」ことだった
しかし現代は、「待つ」ことを解決すべき課題として捉えている
・テクノロジーが客観的に私たち一人一人を知るようになる
自分がどう感じているのか教えてくれる
感情的な脱スキル化
感情はデータになり、経験もデータとなる
・多様性のある社会のほうが分断は生まれやすいと思われがちだが、本当に分断が激化するのは均一社会の方だ。
均一性から零れ落ちてしまう少数の人々は、それ以外の人々にとって、「怖いもの」になりやすく、あいつらがいるから社会がうまくいかないというナラティブを刷り込まれると敵対意識が生まれやすい。
・ナニ―ステイト(子守国家)
政府が、国民の健康や安全のために「これはダメ、あれもダメ」と細かく口出しする状態を、皮肉って呼ぶ言葉
例)イギリスでは、たばこのパッケージに大きな警告写真を義務付けたり、砂糖入り飲料に税金をかけたり(砂糖税)している
・反偽善
最近の政治家は偽善すら行わない
悪いことをしても、してないように見せかけるよりかは、丸出しに悪いことをする方が良い、正直はいいこと、という考え方
基準や規範を気にする演技すらしなくていいと思っていることへの怖さを感じる -
Posted by ブクログ
ぼくはホワイトでイエローでちょっとブルー のおっさん版だ、とあったけど、くたびれ感がありつつも確かに同じ空気が漂ってる。大人になったって、迷うし間違うし悩みながら暮らしてる。おんなじだなあと思うところも、お国柄ってあるんだなあというところも、いろいろあって面白かった。
医療へのアクセスの差異、何が正解ってものでもないけど、日本式に慣れていると、イギリスで病気になると大変そうだな…と思ってしまった。
あと、ビールからスパークリングワインへ嗜好が変化してるっていう話に驚き。そもそもノンアルコール派が増えているっていうのは、全世界的なものなのか?喫煙と同様、酒飲みも肩身の狭くなる時代が来るのかな…。そうならないためにも、酒飲みのみなさん、節度ある、美しい飲酒を! -
Posted by ブクログ
みかこさんの今作、あともう少しで読み終わるけど、感想を書く。KADOKAWAだったので買うのに躊躇した、個人的にKADOKAWAと幻冬舎の取締役の言動に賛同出来なくてずっと不買してる。
だけど読みたくて購入。『こどもたちの階級闘争』を読んだ時の様な衝撃はなかったけど、読みました。多分最後まで読むでしょう。いま、英国の日本人向けのスーパーのまかないの仕事でいじめやハラスメントを受けて犬のシットを踏んだ話を読み終わった。
シット・ジョブ、低賃金なだけじゃない。わたし自身は『清掃のパート』しかまともに出来ないし、働けない。なにかのスキルもない。清掃の仕事もシット・ジョブ。低賃金。賃金も上げてほしい、けど、お金と同士に欲しいのは『リスペクト』。普段、清掃の生業をしてても、リスペクト、なんか、ない。キレイで『当たり前』、汚ければクレーム。『ありがとう』も滅多に言われない、シット・ジョブ。
ならもう少し、賃金を上げてほしい。現在2026年5月の時点で英国の最低賃金はいくらなんだろう?
でも、日本の東京の最低賃金よりはきっとマシなはず。
毎年、最低賃金が数十円上がったくらいで、物価高や増税には追いついてない。だのに、日本の多くの同じ立場の人達は怒らない。
ホント、クソだと思う。僕らはもっと怒っていい。声を上げていい。語り合っていい、のに…。
戦争と差別と格差と排除のこのシットな世界、シットな我が日本、シットな仕事でやっていく。他に方法はないのかな…。
そして現在、メインの清掃のパートを辞めてしまい、求職中。働いてたメインの清掃のパートは、条件変わらず、4月から仕事量を増やす、と言う。抵抗して条件を改善してほしい、とひとりで訴えたが、会社、上司にしたら、『アタマ数さえそろってれば』わたし自身の存在はどうでもいいらしい。わたしが普段どれだけ、他の人間より、より働いてようが、質、より数、という事らしい。
わたし自身の思考にも『優生思想』が含まれてるだろう。生産性も含まれてるだろう。
だけど、この書籍の最初の方に出てきた、『わたしがわたしでいるために』、わたしはメインの仕事、清掃のパートを辞めた。だからいまほとんど失業中。
家族も居るから働かなければならない。お金も欲しい。お金も、最低賃金も上がってほしい、けど、もう一つ周りからほしいのは、『リスペクト』。