あらすじ
14歳のミアは、図書館でカネコフミコの自伝と出合う。ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられる一方、学校では自分の重い現実を誰にも話せなかった。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、ミアは少しずつ変わり始める――。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が放つ、心揺さぶる物語。西加奈子氏、ヨシタケシンスケ氏、推薦!
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Posted by ブクログ
主人公ミアの現実世界の話とそのミアが読んでいる本に書かれてる話の行ったり来たりだったけど個人的にはどっちにも入り込めた。
こういう世界で生きている子供たちがいるということを知るだけでも意味があると思う。自分に何が出来るというわけではなくとも読んでよかったと思える。
「私は私だ。私の価値を決めるのは私。」
Posted by ブクログ
読み終わった後にも余韻が残る。
ふと背表紙のあらすじを読んで、
あ、そうか。
自伝、ってことは、終わらなかったんだ。
変えられるんだ、と思った。
さらに参考文献を見て、
なんだ、めっちゃ変わってる、と思った。
Posted by ブクログ
帯にあったよう、ブレイディさんにしか書けない、と思いました。移民や貧困、ネグレクトやヤングケアラーなど様々なテーマが軽すぎず重すぎず描かれていて、遠い日本の時代も違うカネコフミコとのオーバーラップ( overlap)と音楽のラップ(rap)を軸にティーンエイジャーの弱さ、強さ、青春が輝いて切ない中にも希望がある小説でした。
Posted by ブクログ
ブレイディみかこ、らしく英国の貧困に焦点を当てた小説。
貧困家庭の少女が、金子文子という実在した日本人女性の自伝に書かれている少女と、自分を照らし合わせながら日々を懸命に生きていく話。
主人公の少女がクールで非常にカッコ良い。
本作はフィクションだが、主人公の少女を取り巻く環境はおそらく事実に基づいていることが多いと思われる。
ブレイディさんの貧困をテーマにした本はいつも非常に解像度が高い。
中流階級で生きる人からの、善意や褒める言葉が結果的に貧困階級の人を傷つけてしまうといったような、生きる階級が違うことによる隔たりが巧みに描かれている。
とても面白い小説でお勧め。個人的には黄白青より面白い
Posted by ブクログ
一気に読んでしまった。
日本でも今では「ヤングケアラー」と言う言葉がよく聞かれるようになってきた。
自身がまだ子供であるミアが、弟を食べさせるために自分が食べるのを我慢したり、世話をしたり。
でも、チャーリーがいたからこそ、死んではいけない生きなければ、と思ったり。
すごく苦しかった。
ゾーイやレイチェルなど、信じていい頼っていい大人が近くにいるということ、まだミアの世界は変わっていけること、私も信じたい。
Posted by ブクログ
一気読みしてしまった。
これでもかとキツくなる状況に胸が苦しくなる。
福祉と大人と繋がれる機会があっても、福祉や大人に裏切られる傷つけられてきた過去がそれを選ぶことを出来なくさせる。
大人として、エンパシーをもってこの小説を受け取りたい。
そして今同じように苦しんでいる子どもにとって、この小説は救いになるかもしれない。ミアにとってのフミコのように。
Posted by ブクログ
弟を守るために、心を病んだ母親から、そして貧困から逃げずに頑張る中学生ミア。今日の食事にも困る中でも、弟のために頑張る姿が健気ですが傷ましい。
そして青い表紙の本のフミコの自伝とミアの日常が重ねられながら進んでいく物語がハラハラしっぱなしでした。でもいつの場面でも心折れることなく弟のためにまっすぐに全力に頑張るミアは、痛々しくも応援せずにはいられません。何より自分で考え、自分をしっかり持っているミアが羨ましい。
舞台がイギリスとはいえ、これは日本でも現在進行形だと思う。声を上げられない子供たちは今もどこかで闘ってる。
「見ないふりをせずに、言い訳をせずに、何かをしなくてはいけないのは大人たちのほうだから」大人としては心に刺さりました。
Posted by ブクログ
ぬるま湯的な生活にいて気楽に手に取って読むと、横っ面を殴られるような衝撃を受ける本。
裕福な人もミドルクラスも、男性だって、理不尽に耐えたり悩み苦しんだり、それぞれの立場で精一杯生きているのだろうとは思う。けれど、女性、それよりも子供が弱い立場にいること、自助の手段も力も持ちにくいことを改めて思い知る。
諦めてしまうことと、別の世界に一歩踏み出せるきっかけを掴むことは本当に紙一重。格差や貧困の問題が取り沙汰される昨今、単なる同情や見て見ぬ振りや気まぐれな慈善行為では解決できないことをどうするのか。なかなかにヘヴィーな内容で読んでいて辛くなるようなところもあるが、多くの人にぜひ読んでほしい一冊。
Posted by ブクログ
限られた狭い世界で、必死にその日その日を生きている子供たちが確実にこの世界にはいるんだ。
助けを求める術、学ぶことで今いる世界から飛び出せることを知ることも出来ない、そんなのって悲しい。
フミコとミアの異なる時代、異なる国での出来事がリンクし会ったこともないフミコに引き込まれていくミア。
ミアのリリックが彼女の羽になり羽ばたけますように。
Posted by ブクログ
ヨシタケシンスケさんの推薦帯で即購入。
全世界の子どもに、子どもだった大人たちに、理不尽で受け入れ難い現実というスクリーンにむかって両手でトカレフを撃つ勇気を与えてくれる一冊だった。
ミアのリリックを昇華させてくれるのがイーヴィでもレイラでもなく、ウィルなのが好きだったので、巻末対談で触れられてて嬉しかった。
Posted by ブクログ
子どもが自分で決めることの大切さ、大人が責任をもって決める(守る)べきことが描かれている。全て大人が決める(強制する)べきではないが、子ども任せにせず、大人が決め切らないといけないことが世の中にはある。子どもの未来を思い責任を持って決め切る人こそが大人と呼ばれるのかもしれない。
ソーシャルワーカーが登場する小説は日本ではそう多くない。責任をとることが難しい大人になりかわりサポートする役割をもつこの仕事をもっといろんな人が知ってくれたら嬉しく思う。
日本では社会福祉士が主にソーシャルワーカーの責務を負う。
Posted by ブクログ
読むのが辛い…でもミアがこれからどうなるのか知りたいから読み進める。
ミアがカネコフミコの自伝を早く読みたいと思うのと同じく、カネコフミコとミアのことが知りたくて最後まで読んだ。自分の周りにはミアのような環境にいる子は(たぶん)いないけど、こういう世界もあるんだということは忘れずにいたい。読んで良かった。
Posted by ブクログ
少女に突きつけられた重く厳しい環境は読んでいて胸が苦しくなった。何度も足掻き苦しみ前進したらまた足元を崩される感覚。とてもこの年齢の子供が背負っていいものではないと2人の少女を通して辛い現実を見せられた。単なるシスターフッド的な展開にならず性別や階級などの属性をこえた連帯、繋がりに一筋の希望が見えてとても良い作品でした。
Posted by ブクログ
一気に読んだ。
ミアの話は、内面×外的環境どっちも変わらないと、その人に良い変化は訪れないよなと思った。
カネコフミコの話は、内面の変化にフォーカスされていたから、
カネコフミコがミアの内面に変化をもたらし、
レイチェルやゾーイ、ウィルが外的環境に影響をもたらしたということなのかな、と思った。
ここで終わっちゃうんだ感があった。でもそのお陰で、何回も話を振り返って考える機会をもらった。
Posted by ブクログ
金子文子という女性の存在を、この本を読んで初めて知った。また、「ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー」よりもさらに踏み込んだ形で、イギリスの貧困家庭の子どもの姿が描かれており、その境遇や思いに触れることができた。フミコやミアが十分な養育を受けられない、あるいは信頼できるはずの大人から大切なものを奪われる場面は読んでいて本当に辛かった。
子どもが子どものままに生きられる社会をつくることが、私たち大人の責務だと強く感じた。
Posted by ブクログ
薬物依存の母親のもとで8歳の弟を守りながら生きる14歳のミアが、ラップのリリックを通じて別の世界を作り出し始めるまでを描いた作品。
本来守られる存在である子供が、安全の確保や空腹をしのぐ方法すら自分で考えなくてはいけない。
そんな状況に、強い憤りを感じる。
この作品は、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」でエッセイとして書けなかった存在を小説で書いたと何かで読んだ。
ミアのような環境にいる子供がリアルにいることにやるせなさを感じるが、日本でもたくさんいるのだろうと思う。
自分で環境を選べない子供にとって、生まれ育つ環境の違いは、そのまま生きる世界の違いになり、当然見える世界も違う。
日本でもそんな世界の分断が一層進んでいると感じた。
Posted by ブクログ
ふたつの物語が同時並行で進んでいくがわかりやすかったし、メインのミアの心にフミコが深く響いていることがとても強く感じられた。
ただ読んでいる最中は引き込まれる分、登場人物たちの深刻な状況に胸が張り裂けそうになり、なんとも言えないやるせない気持ちになったので余裕がある時に読むことをおすすめする。
自分がどれだけ恵まれているかを再認識するとともに、嫌なことがあってもどうにかできるなんとかなると思える勇気をもらえた。
(個人的に弟がいることがミアと共通点だったため、自分が同じ状況でもチャーリーを守らなきゃと必死になるなと感情移入してしまった)
Posted by ブクログ
イギリス・ブライトンの地でイギリスの格差社会を日々綴っているブレイディみかこさんの書く小説
団地暮しで薬物依存の母と弟暮らすミアがふとある時に金子文子の自伝と出会い過去と現在から何かを感じ取る描写やクラスメイトのウィルとラップの曲を制作するという描写で何かを表現して心を形取る事でほんの少しだけでも何かが変わって欲しい気がした。
昔は良かった?現在も変わらない部分がある。そんな気持ちに自分もなっていたので読んでよかった。また関係ないけど、ブライトンで三笘薫がヒーローのようにあの土地のサッカークラブの顔になっている事が個人的には嬉しい。
そしてあれだけ聞いたRadiohead
ミアに届くことはないだろう。
個人的には西洋文学に位置付けたいと思った。
Posted by ブクログ
ブレイディみかこさんのいつもの文章と比べるとティーン向け。舞台はイギリスだけど日本でもこういう子がすでにたくさんいるのかな。貧困の問題はまさに今の問題なのかも。今すぐになにができるというわけではないが、まずはこういう状況の人たちがいるということを知っておく必要はあると思う。読めてよかった。
Posted by ブクログ
母はアル中のシングルマザー、8歳の弟・チャーリーを抱えて生きるヤングケアラーの14歳のミア。
カネコフミコの自伝を偶然借りたミア。
自分と同じように、恵まれない幼少期を過ごしたカネコフミコ。
フミコに共感すりミア。
ミアの苦境は続く…
ミアの一番の恐れは、母が育児をできないと判断され、ミアとチャーリーがバラバラになること…
イギリスの貧困層のリアル。
胸が痛い…
ソーシャルワーカーの介入は本当に良いのか…と考えさせられてしまう…
最後には希望が見えたが…
ミアとチャーリーのようにゾーイたちのようにいい大人に出会うケースは少ないだろう…
それを思うと胸が痛い…
Posted by ブクログ
心が弱くて育児放棄する親、心に傷を負っている幼い弟、友だちや親切な人たちの温もり、ボランティアを装って子どもを狙う大人、行政の限界といった、子どもを取り巻く社会問題をギュッと凝縮している。
子どもだからひとりで生きていけず、周囲の大人に振り回される。子どもを取り巻く環境は、現代のイギリスも大正時代の日本も変わらない。個人的には戦後の浮浪児狩りも思い出す。
ただ、ミアには才能があり、才能を認めてくれる友だちや、思春期の複雑さもありながら、支えてくれる友だちがいることが救い。
Posted by ブクログ
ブレイディみかこさんが「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー」(ノンフィクション)では描けなかった、親に恵まれず貧困に苦しむ少年少女の世界をリアルに描いたフィクション。
ブレイディみかこさんのすぐ側で実際に起きている出来事であり、彼女自身の人生とも重なる部分も多分あり、本当に彼女にしか描けない世界観だと思った。
似たような境遇を持ち、子どもという牢獄に閉じ込められている少年少女とその周りの人々への、強烈なメッセージを含んでいる。
自分とは違う世界で、「リアル」を生きている他者のことなんて最初から分かるはずがない。だけど、分からない言葉の意味を、少しでも分かるために努力したい。自分が分からない世界で生きている他者を、尊重し、リスペクトする気持ちを大事にしたい。
自分が今いる苦しい現実の世界とはかけ離れた、頭の中で空想するここではない世界とは、自分がいる世界が変わったその先に辿り着く世界なのかもしれないということ。世界は自分で変えられる可能性があることを、檻の中の少年少女たちに伝えたいのだと思った。
ブレイディみかこさんの伝えてくれるメッセージは、芯が強く、一貫している。そして私はそれに強く共感する。
Posted by ブクログ
ミアが、リリックで自分の思いを紡ぐことで、少しずつ社会を人を信用できるように、未来に期待できるようになっていくと良いなと思った。
子どもの純粋な気持ちや期待を裏切り追い詰めてしまうのはいつも大人だなと思う。この本にもどうしようもない大人たちや、大人の都合や欲望で動く人間が描かれていて反吐が出そうになる。
私は大人として、大人の都合を振りかざしていないか考え直す必要があるなと思った。
Posted by ブクログ
読み始めて10日以上掛かってしまった。
イギリスの貧困層の厳しい現実と、日本の戦前の似たような境遇の小説が並行して交互に出てくるので読みづらかった。
薬物中毒の母親と、一人では行動できない弟を抱えた少女のミア。生活保護を受け、次々と男を変えて行く母親。悲惨な少女が救われるのは、同じような境遇の日本人の小説を読むときだけ。
彼女の魂の叫びを聞いた少年が勧めるのはラップ。「両手にトカレフ」もその叫びから生まれたもの。
母親と弟を抱えたヤングケアラー。誰にも相談できずに抱え込む姿が悲惨すぎて、どんどん読む気持ちが重くなっていった。最後まで読んで、やっと陽が当たって来たというところだろうか?
Posted by ブクログ
金子文子が死の淵で世界の僥倖に気づきを得て(劣悪な環境は何一つ変わらぬまま)生きる希望を持つことと、
ミアが寒さで凍てつく道端で保護されゾーイが家族になってチャーリーと引き離されずに済んだこととでは
救われ方の種類が違うな、と思った
弟(愛すべき、無条件に自分よりも弱い存在)を守るために生きて来たミアが、
リリックを手にしてラップを作り上げる仲間を得たことは、本の中で最も幸福な出来事だったのかなと思う
ミアがミア自身を生きるパートがもう少し見たかったなと思った
Posted by ブクログ
ブレイディみかこさんの2冊目になりますが、
新年早々に気が緩んでいる時に読む本ではなかった。
終始重苦し過ぎた。
「ぼくは…、ちょっとブルー」は未読なので、ここにどんな子たちが登場していたのか知らない。
本書は小説でフィクション仕立てだが、「ぼくは…、ちょっとブルー」で書けなかった子たちを取り上げたそうだ。
身勝手な親の元に生まれて、日々の食事にも困り、貧困に喘ぎながら生きている子供が主役なので痛々しい。
多くの人が見て見ぬ振りをしているが、現実社会でもかなり近い状況があるのだと、ブレイディみかこさんが訴えかける。
ミア(のような子たち)が、自分の生きている世界を変えられることを願う…