ブレイディみかこのレビュー一覧
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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者のブレイディみかこさんの私小説。前著でもよくでてきた「シットジョブ」がいろいろでてくる。
ロンドンに行くための資金集めバイトから、ロンドンに来てからも移民の立場としての仕事の苦労がよくわかる。
いわゆる海外に夢を持って憧れの国へいってハッピーエンドじゃなく、リアルな体験がフィクションとして書かれている。でもそこには「私」がかなり入っていて、実体験が多いんじゃないのかと思いつつ読ませていただいた。
日本よりも露骨に上流と下流の格差が出てくるけど、見えにくいかどうかだけで日本にもある。形にしにくいものをよく表してくれているなと思う。 -
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貧困、ヤングケアラー、いじめ母親のアルコール依存、薬物依存の問題にのまれながら、必死に弟を守り自分を守り戦う少女と同じように不遇の状況で必死に戦う本の中の少女の人生を追う物語。
この話を読んで自分は何も悪くない理不尽な状況が何度も常に自分に降りかかってきたら自分はどうするだろうか。なんで自分だけなんで自分なんだ、どうせ自分はと自暴自棄に荒れるだろうなと思う。今理不尽でも何でもない、自分でコントロールできたはずの自分が招いた状況に対して我儘にそう感じているからだ。
それに比べて2人の少女はどうだろうか。しかたがないと諦めないで、別の世界はあると信じている。弟を守るために必死に自分自身を武装し -
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10代向けの本ですが、非常に興味深く読みました。
ブレイディさんのエッセイアンソロジーという形を取っているため、過去に読んだ本からの抜粋もあるものの何度読んでも心に刺さります。
ブレイディさんは本作の冒頭で読み手に問いかけます。
「あなたの足元にはどんな問いが立っている(あるいは立ってくる)?」と。
本作を読んで私の足元に立った問いは「権利と義務」でした。ちょうど選挙があったタイミングで日本の政治についていつも以上に考えていたこともあり、もう少し勉強してみないとと思わせてもらいました。
そのきっかけとなった文章を以下に抜粋。
「国民は義務を果たすことで権利を買うのであり、アフォード(税金を -
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ブレイディみかこが、ちくまQブックスに並ぶ!と、驚きました。(私の主観です。)と同時に、理想的な傾向だとも思いました。
「本なんて読んで何になるんだよ」
「こう言うジュニア向けの新書って教育的なことを書いているんでしょ」
自分が高校生であるとして言いたいサイドからすれば、自らが社会に物言いたい子供であり自我を確立していた著者がこのちくまQブックスシリーズに執筆するとは!(くどい)
中身の見出しも
「ガキどもに告ぐ。」君は「生理貧困、ミー・トゥー」と言えるか。などど、期待を裏切らない過激さ。あふれる反抗心を持つ中高生の皆さん、読んでください。感想をお聞きしたいです。 -
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著者のパンク小説。
国や社会、世間に激しく訴えかけるためか、フィクションに仕立て上げている。
どの話もラストの文章がカッコいい。
短編の主要登場人物は、みかこさん自身と、身近に存在する人をモデルにしたのだと想像した。
『一九八五年の夏、あたしたちはハタチだった』
みかこさんの実年齢、中洲のバイト体験はリアルだった。(あんみつ姫は楽しかった。私的感想)
『ぼったくりブルース』
ナニーやオーペアのバイト におけるEXPLOITINON =搾取=ぼったくり
『売って、洗って、回す』
マネキンのバイト、クリーニング工場のバイト、服のリサイクル。
『スタッフルーム』
保育園スタッフルームでの階 -
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ネタバレいわた書店さんの「一万円選書」でご選書いただいた一冊。「英国のおっさん事情」がポップに優しく哀しく…愛情たっぷりに綴られた一冊。「EU離脱」「国民保険」など(当然だが)日本と異なるお国事情に触れることができる。心に残った一節を。「あなたの世界はあなたが残してきたすべての小さなものたちにすぎない」(P218)自分は今年51歳を迎えた。日本で言うところの「第二次団塊世代」。英国では「ジェネレーションX世代」と言われるようだ。「いい時代を生きた声のデカい世代」と「覇気のないやる気のない世代」の間に存在している世代。「政情がどうであろうと時代がどう変わろうと俺たちはただ生き延びるだけ」(P308)19
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個人的には★5に近い。好みは分かれそうな本。
舞台はロンドン。宅地の価格が上がり、低所得者層には賃貸に住むこともできないような状況になっているなか、シングルマザーのジェイドたちはホームレス・シェルターを追い出されることになる。理由は土地を一括で売って富裕者層のマンションにするため。気づいたらおなかに子どもがいるような育ちで、堕ろしたくないから産んで、一人だと育児しながら働けず生活保護うけて、なのにここを追い出されたら誰一人知り合いもいないような住居費のやすい北部に行けってこと?おかしいのにおかしいって言わないからこんなことになるんじゃないの?
実際にあった事件をモデルにした小説。運動を始めたシ