ブレイディみかこのレビュー一覧
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1に続いてやっぱり面白いねえ。1の時はそもそも小説だと思って読み始めたから衝撃がすごかったんだけど、2も読みやすくて面白い。難しい、いろいろ考えちゃうようなトピックが盛りだくさんなのにブレイディさんの文章とユーモア、息子さんとちょくちょく出てくる旦那さんのおかげでスッと入ってくる。
P35「誰かのことをよく考えるっていうのは、その人をリスペクトしてるってことだもんね」→宗教とかフェミニズムとかそういうのだけじゃなくて全ての人間関係においてこれが言えると思う。相手へのリスペクトとは何か。よく考えること。エンパシー。1から続いて軸となってるテーマの一つだと思う。
P171『スクール総選挙』→日 -
Posted by ブクログ
母はアル中のシングルマザー、8歳の弟・チャーリーを抱えて生きるヤングケアラーの14歳のミア。
カネコフミコの自伝を偶然借りたミア。
自分と同じように、恵まれない幼少期を過ごしたカネコフミコ。
フミコに共感すりミア。
ミアの苦境は続く…
ミアの一番の恐れは、母が育児をできないと判断され、ミアとチャーリーがバラバラになること…
イギリスの貧困層のリアル。
胸が痛い…
ソーシャルワーカーの介入は本当に良いのか…と考えさせられてしまう…
最後には希望が見えたが…
ミアとチャーリーのようにゾーイたちのようにいい大人に出会うケースは少ないだろう…
それを思うと胸が痛い…
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Posted by ブクログ
ネタバレ本にも書かれていたけど、「あの英国がどうしてこんなことになっているのか…」とわたしも思うので、ブレイディみかこさんの本はリアルな英国が描かれているのが好きです。
アメリカで起こることは何年後かに日本も起こる…と言われているようですが、英国→日本もあるのでは?と思います。
社会学や政治学、経済学の専門家の分析は堅苦しくてつかれるなぁと思うときにも読める時評。時代の記録というスタンスで読んだら丁度いいのかなと思いました。
ブレイディさんの視線と精神性が、地べたやアナキーからブレないところも良いです。わたしは年収ワープア層なので、この本を読んで「日本はどうかな…」がやりやすい。
もう日本もブロークン -
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時間、空間を超えてさまざまな現場を自由に飛び回る、おしゃべりで“しなやかな黒猫”のようなブレイディさん。それを温かな眼差しで「言葉にしか現場のないわたしは劣等感を抱いてる」と子どものような素直さで机上で紡いだ詩で応える好々爺、谷川さん。本質に迫るアプローチもアウトプットも異なるけど、表現の奥にある魂は一緒で、その“あわい”の世に引き込まれそうになるのをもんど君の挿絵が“この世」に引き戻してくれる。「うりゃ〜なんとかなる」が個人的な座標としては好きかな…。先日、再放送で観たETV特集「ぼくは死んだ」も感動したが、谷川さんのリクエストに応えたもんど君、大変だったろうなあ。
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ブレイディみかこ節が炸裂した、一番最近のエッセイ集。コロナ禍での生活が主だったので、いつも以上に雲がかかった物語に仕上がっている印象。彼女の物語に晴れ渡る日はくるのかな…
p.36 これからは、みんな自分が本当に好きな場所に住むようになるんだ。というか、自分が本
当に好きな人がいる場所」
いきなり照れた顔になって彼は鏡の中で微笑した。彼は、ポルトガル人の同性パートナーとの結婚式がコロナで2回も延期になっている。
「Zoomでウエディングだってできるじゃん」
意地悪く言ってやったら、速攻で彼は言った。
「それはダメだよ」
そのきっぱりした声の調子に笑いながら、初夏の真っ青な空にピンクや白の風 -
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先月逝去された谷川俊太郎さんと、個人的に大ファンなブレイディみかこさんの往復書簡。
ジャンルは異なれど物書きとして一流であるお二人、ただの読書好きである私との次元の違いを思い知らされました。
谷川さんはご自身で散文が苦手と仰っており、なるほどブレイディさんへのお返事もかみあっているのかいないのか凡人には判断が難しい部分もありますが、添えてある詩は当然ながら素晴らしいものでした。
タイトルにある「その世」とは谷川さんの詩によると
「この世とあの世のあわいに」あり
「騒々しいこの世と違ってその世は静かだが あの世の沈黙に与していない」そうです。
「その世のつかの間に人はこの世を忘れ 知らないあ -
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ブレイディみかこさんが「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー」(ノンフィクション)では描けなかった、親に恵まれず貧困に苦しむ少年少女の世界をリアルに描いたフィクション。
ブレイディみかこさんのすぐ側で実際に起きている出来事であり、彼女自身の人生とも重なる部分も多分あり、本当に彼女にしか描けない世界観だと思った。
似たような境遇を持ち、子どもという牢獄に閉じ込められている少年少女とその周りの人々への、強烈なメッセージを含んでいる。
自分とは違う世界で、「リアル」を生きている他者のことなんて最初から分かるはずがない。だけど、分からない言葉の意味を、少しでも分かるために努力したい。自分が分か