ブレイディみかこのレビュー一覧
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これまで触れる機会のなかったブレイディさんの家族との日常や感情に触れられて嬉しい。
「ぼくはイエローで~」シリーズでは息子さんとのことを綴られていましたが、こちらでは英国と日本の家族や著者自身のことについても知ることができました。
英国のお国事情が見えてくるのも興味深い。
ちょいちょい登場する息子くん、大きくなっただろうなぁ。
コロナ禍のロックダウンの日々は、日本にはない過酷さ。ましてやご家族の重い病気も重なって相当にお辛かっただろうなと思います。
著者の意外な一面にも触れられていたエッセイでした。
『いくつになっても、どんな状況になっても、遅すぎることはない。人を生かすのはたぶんその -
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当時は私も、深い見識もなく「英国がEU離脱!?本気なの!?」など驚いていましたが、英国の「地べたから」のリポーターであるブレイディみかこ氏の地域付き合いの範囲のインタビューを読むと、現政権に反旗を翻してEU離脱に票を投じたくなる気持ちもわかってしまった。この手の話はやっぱり、異国の人間が頭ごなしにまとめにかかる本より、実際にその地で暮らす人間の言葉を収録してくれる本の方がよく響く。
タイ人の女性と結婚生活をしている男性が、EUという線引きはおかしいと指摘するのはごもっともな気がする。
この本に出てくる人たちは、みな毎日まっとうに働いてそれに見合った報酬がほしいと望む誇り高い精神の持ち主だ。
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ネタバレ他者の靴を履くこと=「エンパシー」
エンパシーという言葉の意味をよく知らずに読みましたが、「きっとどの人にとっても何かしら思い当たる節があるだろう」というような事例が取り上げられていて、腑に落ちるものが多かったです。攻撃的な上司、政府のあり方、行き過ぎた自己責任論、差別・・・日々の生活で感じるモヤモヤの正体が少し明らかになったように思います。
同時に、今までエンパシー搾取によって自己を喪失してしまっていたことが何度あっただろうかと振り返らずにはいられませんでした。
↓ゾッとした文章の引用です。
『エンパシーを搾取されきった状態になると、人は政権に従順になり、その決定に抗う人々が他者への思い -
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イギリスも大変。人、国は変われど人間の思いと行動は変わらない。権力者は権力者、アナーキストはアナーキストの振る舞い。浩宮さん、英国到着というニュース。しばらくは毎日、英国ニュース溢れるだろうけど、史奈子さんも新聞社やめてしまったし、こういうニュースは流れてこないだろうなぁ。「明日終わるかもしれないという切実な危機感があれば、とりあえず人間は何でもやって生き残ろうと足掻くものじゃないか。転覆しそうな船に乗っているのに誰も方向転換しないのは漠然と『このままでも、実は結構大丈夫』と考えているからで、お花畑っていうのは本当はそっちのことじゃないか」「私たちは自分を生きるために抵抗していかないといけない
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Posted by ブクログ
前半はイギリスの普通の労働者階級のおっさんたちの日常を親しみやすく面白い文章で紹介している。
労働者階級という言葉はよく聞くけど具体的にどんな人たちでどんな生活をしていてどんな価値観を持っているのかは全く知らない状態だったからイギリスの普通の市民の文化を知ることができて面白い。
一言で労働者階級といっても当たり前だけど色々な人がいるので、この本で取り上げられてる人たちもそれぞれ考え方やそれまでの人生は異なるけど共通して言えるのが、どこか情けない部分があってそれが愛おしいということ。
後半はイギリスの現状についての説明。EU離脱についてや白人の労働者階級の現状、世代間の隔たりなどニュースで知っ -
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ネタバレ「他者の靴を履く」能力、エンパシーというものがどのような場面でどう発揮されてきたか(例えばコロナ禍や災害時の自助活動atイギリス)、またどういう場面に有効に働くだろうか、ということを一冊かけて説明してくれる本。伊藤野枝や金子文子などの名も見られる。個人的には、『顔の見える相手の靴は履きやすいのではないか?』『ネイティブ・アメリカンの民主主義を例に引きつつ、「世界中を飛び回る人間」のほうにエンパシーを強めに置くのはどうしてか?』という疑問が読中あった。後者は「エンパシーを闇堕ちさせないために」で解決されたが(ネイティブ・アメリカンの社会を(断片ながら)想像するに、かれらはだれもの顔が「見えている