【感想・ネタバレ】労働者階級の反乱~地べたから見た英国EU離脱~のレビュー

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Posted by ブクログ

白人労働者階級の日常生活を描いた「ぼくはホワイトでイエローでちょっとブルー」が読みやすいのに奥が深い傑作だったので同じ著者の新書を読んでみました。
周りの白人労働者階級の人々を温かい目で見守りながら彼らがBrexitに賛成票を投じた理由に迫ります。
政治史のまとめを読んでようやく流れが理解出来ました。最高です!

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2023年05月18日

Posted by ブクログ

「ぼくはイエローで・・・」の著者の他の作品を読む。
イギリスの労働者階級については「差別はないが区別はある」と大昔に語られ、ブレグジットを賛成し、移民排斥の急先鋒であり、フーリーガンでイングランドが勝つとイングランド旗(ユニオンジャックじゃない)を振り回して街中で大騒ぎする(実際に目撃した)という「ステレオタイプ」の知識しかない。

本書を読んでの驚きは
・21世紀の英国には階級が厳然としてあり、階級闘争があるとは・・
・「ゆりかごから墓場まで」の本家が社会保障切り捨てを労働党まで推進しているとは・・
・政府がやたら緊縮・財政均衡に腐心している(日本の財務省と全く同じスタンス)こと、たとえ社会が分断しても。

第3部の労働史100年は、一気に読ませる。戦後英国史を労働者の切り口で読んだのは初めて。
この本では深く触れていない英国の経済・財政の側面からの100年史を別の書籍で探して、認識を深めたい。

この作品はわたしの欠落している認識の穴埋めをしてくれた。
いい著作でした。

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2022年10月05日

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ブレグジットについて、様々な報道がなされていた。離脱派は外部から見ると排外主義のように報道されていたが、本当にそうなのか。英國労働者階級が離脱票を投じた理由を、そこで生活している著者が歴史的、政治的そして経験的に考察している。

ブレグジットの背景に英国の緊縮財政政策を挙げ、ジャスティン・ゲストの著書を参照し、白人労働者階級の疎外感を考察している。

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2022年06月26日

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第三部「英国労働者階級の100年-歴史の中に現在が見える-」は、この100年間で英国労働者階級がどんな風に扱われてきてその結果今どうなのかという視点で書かれていて圧巻です。いつもの著者の時事エッセイ調よりもちょっとお堅いですが、これはすごい仕事だなー!思いました。日本の100年も著者のような肌感覚で文章力のある方に振り返ってもらいたいと思いました。

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2021年04月04日

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英国に住む英国人と結婚した著者から見たブレグジットの背景を記した一冊。著者の夫も含め、身近な英国人の友人たちなどは労働者階級に属しており、ほとんどはEU離脱に投票したとのこと。

中でも良かったのは中盤にある6人ほどの友人たちへのインタビュー記録。どのような人たちがどのような思いを持って離脱に投票したのかが分かる。労働者階級にまつわる100年の歴史も簡単にまとめられていて勉強になった。

本にも書かれているように日本からニュースを見ていた時には排外主義的な思想が背景にあるのかと思っていた。そういう面もないわけではないとは思うが、これまで蔑ろにされてきた(特に白人の)労働者階級が起こした反乱だと捉えると何が起きていたのかがよく理解できた。

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2020年08月02日

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社会で起こっていることを、できる限り適切に理解することの重要性。
イギリスの誇り高き労働者階級について。

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2020年04月03日

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1970年ごろの状態は今の日本とよく似ている。労働者が立ち上がった1920年の段階にまだ、日本はなってない。その英国でもまだ、左派は勝てない。働かない人には冷たい社会。働かないと、働けないの差は大きいのに、右派はそこをいつも一緒にして、働けない人をスケープゴートにする。

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2019年12月21日

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ネタバレ

英国在住、”労働者”階級の夫を持つ著者による書。誇りある英国の”労働者”に対する愛情を感じさせる。研究者による分析を紹介する箇所も、カルチャーの視点を織り交ぜながら描写し生き生きとしたものに感じさせる好著。

印象に残ったのは、”白人”労働者階級の出現は、歴代政権が階級の問題を人種の問題にすり替えた結果発生した、とする点(263ページ以下)。元々移民に接していた労働者階級は移民との共存に慣れていたが、キャメロン政権の国民投票実施決定がパンドラの箱を明けてしまった。入国在留管理庁の設立等、外国人労働者増を目指す日本の将来を考えるにあたっても読んでおくべき。

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2018年09月08日

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イギリスのワーキングクラスの人がどんな人たちなのか何となくわかった気がする。
言いたいときは言うし、やりたい時は本気でやる。
EU離脱の国民投票がとんでもないパンドラの箱が空いてしまって今後どうなるんでしょうかね?

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2018年06月01日

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良書。「はじめに」に書かれている一文にまずハートを射抜かれた。
「そんなわけで、よく理解できない事柄に出会ったときに人類がせねばならないことを、いまこそわたしもしなければならない、と思った。勉強である。」(p.7)
それまで移民を積極的とまでは言えなくても、近隣住人として受け入れていた(ように見える)労働者階級がなぜブレグジットに賛成票を投じたのか。自分の夫も含めて。そんな著者の切実な問いと答えが本書。

知的にスリリングな謎解きだし、イギリスとアメリカの違いも「欧米」と安易に一括りにするのは控えようとおもうくらいに明確だし、知らなかったイギリスの社会と文化を鮮やかに紹介してくれているし、ネオリベ的なブレア政権の「ニュー・レイバー」についてすごく立体的な描写をしている(=逆回転というのかぐるっと一周回ってというのか、「自由自発」や「労働者のスキルやる気」の問題ではなかった)。これはショックだった。私自身、今の日本の政策が目指すべき政策と考えていたことのほとんどがこのニューレイバーだったから。
もの足りなかったのは、この部分。ニューレイバー政策が良くなかったのはわかったけど、それはなぜか。イギリスはそうだったとして、アメリカや日本も同じ路線を目指したと思うのだけどそっちの評価は。もちろん、それは著者がこの本を書いた狙いからは外れるのであとは自分で調べることにする。いい刺激をありがとうございます。

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2018年05月01日

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EU離脱を、選んだ人たちはどんな人たちだったのか。怠け者でモラルがない、というステレオタイプには当てはまらない人間らしい人間だった。
権利とは勝ち取らなくてはならないものだが、それは他人と協力することで成し遂げられて来たという、イギリスの歴史も面白い。
ただし、ヒルビリーエレジーでは、ホワイトトラッシュは、リアルにモラルの崩壊した低レベルな側面があると描かれていた。
国は違えど、何が違うのか。ヒルビリーエレジーを読み返したくなる。

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2018年03月19日

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少し前の話だけれど、何故イギリスがEU離脱を選んだのか、というのを、生のイギリスの声を通して書かれていて分かりやすかった。
単なる“右傾化”ではない、と。

イギリスにおける現在の「白人労働者階級」状況。その労働者階級のおおよそ100年の歴史(大まかなイギリスの政策を通じて)。

これを読んでいて感じたのは、アメリカの大統領選挙のことと、日本で起こりつつある、あるいは目に見えない(見えにくくなっている)状況に通じるものがある、と。

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2018年03月15日

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今年読んだ本で一番良かった。英国に住んでいる日本人には是非読んでいただきたい。
英国南部の公営住宅に住む保育士が書いた本。彼女の夫は労働者階級出身であり、夫婦で野党の労働党を支持している。著者は労働者階級の多くの人が国民投票でEU離脱を選んだことに驚き、その理由を探る。
著者の別の本にもあったが、日本の被支援者などは目立たないようにひっそりと暮らすが、英国の労働者は、不満な現状に黙っておらず、政治に訴えて社会を変えようとする。
英国外に住んでいる人には体感しづらいだろうが、英国はいまだに階級社会が根強く残り、ミドルクラス(日本人のイメージする中堅家庭よりもずっと裕福)と労働者階級は、趣味も学校もライフスタイルが全く違い、交友関係も当然普通は交わらない。本書にもあるように、階級間の異動は不可能ではないものの容易ではない。労働党のブレア元首相などは、生まれながらに決まってしまう階級を取り払おうと努力してきた。
本書を読むと、長年のミドルクラスと労働者階級の間の深い溝の構造と歴史的背景がよくわかる。自分自身は移民というまた違う立場であるが、底辺と見なされがちな人たちのしたたかさを心強く感じる。本書はまた、現在の政治の力関係を知るのにも有益な本である。著者は労働党支持なので、労働党寄りに書かれてはいるが。
文章も構成も素晴らしい。ワーキングクラスの人たちが考えていることが少し理解できた気がする。

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2018年02月27日

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第Ⅰ部 地べたから見たブレグジットの「その後」
 ブレグジット決定及びその前後についての概要。ブレグジットを思い返す時に参考になるであろう、コンパクトにまとまった導入部。

第Ⅱ部 労働者階級とはどんな人たちなのか
 タイトル通り、イギリスの労働者階級についてのレポート。特に著者(元々は著者の夫)の友人達6人へのインタビューはこの本の白眉だと思う。

第Ⅲ部 英国労働者階級の100年
 オックスフォード大学の歴史学者セリーナ・トッドの著書『ザ・ピープル イギリス労働者階級の盛衰』(みすず書房)のダイジェスト版。労働者、と言うより、労働党の100年を追ったもの。分かり安くまとまっているとは思うが、1945年のピープルの革命を至上とし、労働党左派(と言う表現があるのか分からないが、日本でのかつての社会党左派の様な感じか?)に与する記載にやや偏りは感じる。

ブレイディみかこの著書を他にも読んでみたくなった。

READING STYLE あべのにて購入。

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2020年10月11日

Posted by ブクログ

勉強になった。 まさに勉強になった、という本。 現在の英国を理解するには、すごく大切な本。

「僕はイエローで…」からひかれてすっかりはまってしまったみかこさんなのですが、なるほどなるほど、パンクな生きざまと明確な主張、そして社会起業家的に社会を変えようと行動していらっしゃる方、というそんな中で、さらに勉強家?というか研究者?というか、なるほどなるほど、やはり自分の考え方のベースで共感できる点が多く大好きな著者である。

これまでの英国保育士とか、自らの労働者環境(今回は「ワイルドサイド…」で出てきたメンバーへのEU離脱投票に対するヒアリングもあった)という「地べた」の感覚から反緊縮に対する明確な主張と、それに加えて100年の労働者階級の歴史を棚下すという手法を用いて検証していく方法、本当に勉強になりました。

今回の抜粋はまえがきから。

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P5
実際、家族も、知り合いもない異国の地に一人でやってきて、仕事を見つけたり、出産したり、育児したりしながら生活していくのだから、それは困ったことや途方にくれることの連続であり、そういうときに私を助けてくれたのは、近所の人々であり、配偶者の友人たちやそのパートナーたちのサポートの輪だった。彼ら無くして現在のわたしはいないと言ってもいい。わたしが生まれ育った国の人々と比べると、なんだかんだ言っても彼らはとても寛容で、多様性慣れした国民だと切実に感じていた。
ところが、である。

(中略)

「ダーリンは離脱派」、などとふざけたことを言っている場合かどうかは別にしても、そもそもわたしの配偶者自身が離脱に入れた労働者の一人だった。これまでは「労働党支持」という点で、大まかには同じ政治的考えを持っていたわたしたち夫婦が、真逆の投票を行ったのは、EU離脱投票が初めてのことだった。

(中略)

そんなわけで、よく理解できない事柄に出会ったときに人類がせねばならないことを、いまこそわたしもしなければならない、と思った。勉強である。
英国の労働者階級はなぜEU離脱票を投じたのか、そもそも彼らはどういう人々なのか、彼らはいま本当に政治の鍵を握るクラスタになっているのか、どのような歴史を辿って現在の労働者階級が形成されているのかー。学習することはたくさんあった。この本は、その学習の記録である。

(中略)

このように、本書は、英国在住のライターが、EU離脱票で起きたことを契機として、配偶者を含めた自分を取り巻く労働者階級の人々のことを理解するために、まじめに勉強したことの覚書といえる。
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2020年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2016年6月24日、イギリスはEU離脱投票で離脱派が勝利、
先日EUからイギリスが正式に離脱(ブレグジット=
Brexit)したところで読んでみました。

イギリスでは現在、白人労働者階級という立ち位置に
いる人々がマイノリティになっている。白人なら
人種差別もないから自力で上がれ、といわれるためである。

第1章はイギリスにおけるブレグジットについての
簡単な説明と残留派と離脱派の女性がそれぞれの家庭を
取り替えるというイギリスのテレビ番組の放送内容を
紹介している。
第2章は著者の身近な労働者階級の人々のインタビューと
ニュー・マイノリティーの説明、第3章は労働者階級の
100年の歴史が書かれている。

やはりいきなり離脱、というわけではなく積み重なった
ものがあった結果の離脱、ということで興味深く
読めました。さらにイギリス人は政治については
市井の人々でもしっかり政治について意見を持って
インタビューを受けることができるんだなと自己反省しました。

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2020年02月14日

Posted by ブクログ

BREXIT国民投票の結果が発表され。まさかの離脱決定。冒頭著者の夫が叫ぶところから始まる。しかし夫は離脱賛成に入れていたというのが面白い。激しく面白かった「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者が、英国の労働者階級が何を考えているのか、あるいはここ100年の政治を振り返り、英国社会を考察するという意外と硬い本。

なかなか面白かった。

英国のテレビ番組で、離脱派と残留派の家庭の奥さんを交換して、しばらく暮らしてもらうという企画の話が興味深かった。

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2019年10月30日

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トランプ現象とEU離脱は違うんだな。
労働者階級というもう一つのイギリスを知る。

臨場感には乏しいが、労働者階級の歴史は詳しい。

男性同性愛者と妊娠中絶の合法化(1967年)、姦通がなくとも離婚できる(1969年)のはそんなに昔の話ではない。
イギリスが財政破綻し、IMFから救済を受けていたとは

いい意味で、英国労働者階級の激しさの伴ったバランス感覚の良さを感じた。

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2019年08月29日

Posted by ブクログ

イギリス人と結婚し、イギリスに住む著者が描く、イギリスEU離脱投票の背景。

実際に離脱に投票した知人へのインタビューや、現地のテレビ番組、新聞記事、論説などが多数引用されており、臨場感のある本。

外国人を排斥して、知性の低い、エゴイスティックな過激な人たちが離脱票を入れた と外側からは解釈されがちであるが、実際にイギリス人として自国がどんどん移民を受け入れグローバル化、ボーダーレス化する中、下手すれば自分の仕事も奪われ、社会福祉も彼らに持っていかれるとなれば、誰しも寛容ではいられないだろう。

インサイダーからの実感こもったボヤキには共感も覚える。


また、歴史的な概観理解のために添えられた、労働党と労働者階級がいかに現代のイギリスの社会制度を作って来たかの簡便な通史が、秀逸である。

自分は文学作品や映画、音楽などを通じてイギリスの文化に触れてきたが、この本のイギリス労働者通史を読んでものすごくいろいろなことが分かった。

戦争、工業の発達、階級社会の崩壊、社会主義思想、男女同権、ワーキングクラスカルチャー、アングリーヤングメンやパンク、モッズ、ロックカルチャー etc.

今度は過激な男女同権活動家 サフラジェットについて知りたいなと思った。



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2019年07月31日

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ブレグジットで揺れるイギリスで、なぜ多くの労働者階級がブレグジットに賛意を表明したかという背景にあったのは、緊縮財政による経済的な問題であった。
労働者階級が歴史的に果たしてきた役割を明らかにしながら、今もある意味ではエスタブリッシュメントに搾取されつつある労働者階級の現状を、移民との関わりも視野に入れつつ考察した著作である。

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2019年03月14日

Posted by ブクログ

2章のインタビューだけでも本書を読む価値がある。

教養の低いと見られがちな労働者階級の人々がどれだけ確固とした自分の意見を持っていることか。

これを読んでしまうと、ハードブレギジットもやむを得ないと思えてくる。

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2019年02月05日

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英国労働者階級に身を置く著書がブリグジットの中心となった彼らの思いを掘り下げてトランプ現象と違いを語ります。「離脱派と残留派のように全く違う見解や信条を持った人の中でもオープンにそれを語り合う。「英国的」というのは、まさにそういうことだ。」との一節がとても印象的でした。
ちなみに、著者はトランプ現象を「ヒルビリー・エレジー」などで語られている貧しい労働者がトランプを支持したのではないと解説してます。
また、終章での「英国労働者階級の100年」は世界で最も早く労働者が登場した国だけあって読み応えがあります。

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2018年07月08日

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 英国の底辺、労働者階級から見たブレグジットと労働者階級の歴史について書かれている。移民問題に置き換えられているが、最近の日本で言う「子持ち様」論争のように、攻撃対象を間違えた故での分断が進んでいる印象。漠然と欧州の政治は日本よりマシと勝手に想像していたが、低層階級の人々は根深い階級意識に苦しめられてきたのか。ブレグジットについても肌感覚での実態が知れて興味深かった。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

Brexitのニュースも見なくなって久しいが、まだ古新聞とも言えないだろうと思い勉強のために読んでみた。
まず、読みやすいしわかりやすい。さすがに”地べた”から書かれてるだけあって、平易で読み下しやすい文体、説明も卑近な例えが多く交えてあったりとありがたい。

単なるポピュリズムという文脈で片付けられるような印象が強かったが、本書で見る目が変わった。
ファクトチェックの必要はあるだろうが、著者自らのインタビューで”おっさん”達に生の声を聞くと、より切迫した経済事情が見えてきたようで、なるほどと思えた。
ドキュメンタリー仕立ての番組でお母さん入れ替える番組構成、どこの国でもマスメディアの印象操作はロクなもんじゃない、と思った。
(日本とは市民の政治関心の高さが違って、こういうテーマをテレビで扱うことが普通な時点で、メディア普段から頑張ってるともいえるか)

”見捨てられたおっさん”層の困窮も社会の閉塞感も日本と通ずると思うが、EU離脱を問うような国民の意思表示の場面がないためか、そもそもの闘志・危機意識の欠乏か、我々の困窮状況がそこまで深刻になりきっていないのか、日本では一向に大きな政治のうねりに至らない。いつまでクソ自民党に好き放題させてるのか、まともな対抗馬となる野党もいないが。

本書の“おっさん達”は経済的に困窮した中で、わかりやすいマイノリティとしてのアピールもできない立場。こういう立場の人が周りにたくさんいるってこと、自分も一歩違えばおんなじ立場っていうこと、常日頃から自分ごととして考えておかないと、平気で「貧しさは自己責任」などとのたまうことができてしまう。
そういった分断の積み重ねで格差が助長されていく歴史が生々しくて、これはほんとに他山の石として変えていかないと、日本も暴動起きてからでは遅い。

単一民族国家としてあまりにも長くあり続けたこと、また地理的に移民が来ないことからか、”共通の敵”としてレイシズムに訴えるような勢力が弱いというのも、日本と英国の違いかな。

英国の政治史をもっと学びたい。入門のきっかけとしてベストでした。

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2023年09月05日

Posted by ブクログ

ブレイディみかこさんの作品が好きで何冊か読んでます。
そんなに読んでいませんが、他の作品に比べると歴史関係が多く、あまりイギリスの歴史に詳しくないと読み進めるのが難しかったです。
ただ、労働者会級の方々がなぜ離脱に投票したのか(定住する移民はいいが、出稼ぎのためにきて、低賃金で働いてある程度お金を貯めたらでていくのはどうかとか)を知ることができ、ブリジットへの理解が深まった気がします。
また、緊縮前のイギリスと現在の日本は似ているかなと思いました。日本も現在は低所得者への優遇策をしているが、今後は緊縮に進む可能性があるだろうなと思いました。政府に左右されずに自分で生きる力を身につけていきたいと思いました。

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2021年06月27日

Posted by ブクログ

著者はEU離脱をトランプ旋風や欧州ポピュリズムとは同一視せず、極右勢力とは違った構造によって起こった出来事と考察している。

ただ色々調べてみるとブレグジットと労働者階級の反乱を関連づけるには根拠が薄いとの批判もまあまああるみたい。特に投票者の属性とか。このへんは他の新書を読み比べながらファクトチェックする必要がありそう。

ルポとしては面白い。特に離脱派へのインタビューは労働者階級の率直な心境が出ているなあと感じた。

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2021年04月30日

Posted by ブクログ

ブレクジット前後の英国事情、現代の労働者階級の分析および現代にいたるまでの100年の経緯の概観を記した本。

相当資料を読み込んだと思われる豊富な知識を前提とし、ち密ながらも簡潔な文章で、内容はやや硬めながらも英国事情をお手軽に把握できるのはさすがの文章力としか言いようがない。

特に、日本で生まれ育ってそのまま日本に住んでいる私のような人間には、ブレクジット前後の事情が庶民の目線で記されている第一部が興味深かった。

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2020年09月02日

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ブレグジットに賛成票を投じた労働者階級は、本当に排外主義的な右派なのか。労働者階級100年の歴史を振り返ると、経済的に冷遇されて来たことが原因だとわかってくる。勉強の軌跡。

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2020年02月27日

Posted by ブクログ

ブレグジットの背景を学ぶには良い本だと思います。

1.この本を一言で表すと?
・イギリスのEU離脱とその背景をリポート、分析した本。

2.よかった点を3〜5つ
・少なくとも私の知る範囲では、ブレグジットに多大な夢や希望を抱いていた人はいない。(p31)
 →トランプ現象とブレグジットの大きな違いだと思う。

・第?部 英国労働者階級の100年
 →自分の知らない歴史だったので勉強になった。

・90年代以降,歴代政権は,階級の問題を人種の問題にすり替えて,人々の目を格差の固定と拡大の問題から逸らすことに成功してきたのだ。これは経済的不平等の問題に取り組みたくない政治家たちによるシステマティックな戦略でもあった。(p263)
 →「労働者階級の反乱」というタイトルは最初意味がわからなかったが、上記の政治の欺瞞への抵抗反乱という意味だというのが理解できた。

・日本の多くの人は「欧州の危険な右傾化」と「ポピュリズムの台頭」が原因であるというところで止まってしまい、「緊縮が理由などと書くのは、右傾化した労働者階級を擁護することになり、レイシスト的だ」と苦情のメールもきた(p273)

・「他者の立場になって考えてみる、異なる意見を持つ人間に感情移入してみる」努力ができるということこそが、想像力という知性を持つ人間の特性なのだ。
 そもそも、EU離脱を招いた「政治と地べたの乖離」が、その知性の欠如に端を発していたことを思えば、わたしたちはそのことを再び思い起こす時代に来ているのだと思う。(p284)
 →今後社会の壁を乗り越えるには我々はどうしていけばいいか、この文に集約されていると思う。

2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・p25の表
→米国大統領選では中間層や富裕層のトランプ支持・クリントン支持は数が拮抗しており、一概に富裕層だからトランプ支持とは言えないのではないか?

4.全体の感想・その他
・イギリスの労働者階級の人たちがどのような考えをもってEU離脱に賛成したのかということを的確に伝えていると感じた。
・第?部のインタビューは、現場の生の声がよくわかったので面白かった。
・緊縮財政の負の面がブレグジットの背後にあることから、緊縮財政に懐疑的になった。
・離脱派の人たちは排外主義や不寛容といった単純な発想から離脱に票を入れたわけではないということが分かった。

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2018年12月30日

Posted by ブクログ

Brexit投票結果の背景について、ものすごくミクロな視点と、ものすごくマクロな視点の両面から考察していて参考になった。結局彼ら白人労働者階級の人たちが、どのような国を望んでいるのかは最後まで解らなかったが。単に既成政治に反対しているだけで、その先の理念が見えなかったのは、本当に理念がないのか著者が追いきれていないだけなのかが分からなかった。
ところで著者が暮らしているブライトンは日本で言う葉山のような街で、皇室静養地、美しいペブルビーチ、華やかなピアの記憶しかないが、ブルーカラーの人たちも住んでいる普通の地方都市なのね。

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2018年04月10日

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