ブレイディみかこのレビュー一覧

  • その世とこの世

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    ネタバレ

    韻文と散文、年齢も性別も違う、生きてる場所も大きく違う二人の手紙のやり取り。言葉のキャッチボールが気持ちよくされているというよりは、何事も否定しない大きな他者に対して独り言を投げかけているような、そんな感じ。とくにみかこさんは、人生の大先輩を前に持論を語り、深めていったようだ。
     「その世」あの世でもこの世でもない不思議なところ。あの世のこともこの世のことも考えたくないときにさまよいたくなる場所。肉体を失った未来の人間トランスヒューマン、ヒトラーの生まれた時代と場所、・・・・いろいろなことを考えさせられた。

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    2024年05月26日
  • 私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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    私の大好きなブレイディみかこさんの短編集。ブレイディみかこさんが描く日本の貧しい人々、イギリスの労働者階級の人々の描き方はリアルで尊厳がこもっているといつも感じる。無意識に差別することなく、それでいて逆差別的に「貧しい人は頑張っていて、偉い人」という描き方もせず、ただただ人として描く描き方が本作にも出ていた。特に「パンとケアと薔薇」の話が印象に残った。この話の舞台はイギリスだが、日本のエッセンシャルワーカーや教育系の職とも通ずる話だと思う。

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    2024年05月25日
  • 何とかならない時代の幸福論

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    ⭐️4.5
    ブレイディみかこさんと鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)さんも、正義!という感じのお方で素敵でした。

    世間と社会についての考えや、シチズンシップや政治的な考えを持つことを子どもたちに促していくことの重要性などは、私の考えと合致していてとても共感できた。
    この本のなかで「世間」は批判的にみられているし、多様性を認めあい、寛容な社会になっていくためにも今後は「社会」にシフトしていくことはもはやマストとも言える。

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    2024年05月18日
  • 私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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    どういった経緯でこの本をリクエストしたのか記憶がないが、面白かった。
    英国は階級社会だという事がよく分かる。
    貴族とレイバーは明確に線引きされ、差別が横行している。差別が残っている限り、英国の未来は明るくないと思う。
    企業の弁護士は、企業の役に立つけど、人の役に立つとは限らない。
    書類やコンピューターや電話を相手にして仕事をしていると、人間を相手にした仕事がしたくなるんだよね。人間の仕事というか、人間にしかできない仕事がね。

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    2024年05月05日
  • ブロークン・ブリテンに聞け 社会・政治時評クロニクル2018-2023

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    ネタバレ

    単行本の出版が2020年。3年分のエッセイが追加された文庫本。パンデミックはしばし継続し、脱却した。ロシアがウクライナに侵攻、エリザベス女王が逝去された。ボリスジョンソンは退任し、短命のトラスを経由し、スナクが政権を握る。財政再建の表明で支持を失う保守党。政権交代で積極財政転換を期待したいが、労働党も緊縮に傾いている。日常生活を麻痺しかねないキーワーカーのストライキが支持されるほど、壊れてしまっている英国。それでも、GDPはプラス成長。我が国を振り返ると…。ブロークンできる方がまだましなのかもしれない。

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    2024年04月29日
  • ブロークン・ブリテンに聞け 社会・政治時評クロニクル2018-2023

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    ネタバレ

    2019年~からのエッセイ等をまとめた一冊。
    英国国内の経済や政治などに関する内容が多かった。
    自分の知識不足で、ちょっとわからない部分もあったんだけど、興味深かった。
    最近、イギリス好きなので、特に面白く感じた。
    イギリスではなく「英国」と訳せ。というのは知らなかった!面白い。
    ストが多発してるのか。
    ちょこちょこ日本の状況と似通っている部分もあるのなぁ。

    BBCの話題もチラホラ出てたので、ジャニーズ系の事も出てくるかと思ってたら、ちょこっとだけ触れらていた。

    同じような内容のエッセイもあって(媒体違いで内容が重複している)そこは、ちともったいなかった。

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    2024年04月18日
  • リスペクト ――R・E・S・P・E・C・T

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    こちらもリスペクトされたいものだなど思うことは色々ありますが、他者へのリスペクトを忘れずに生きていこうと思います。

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    2024年04月08日
  • 私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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    ・生臭い、リアルな既視感のある「労働」の「小説」。
    ・読んでスカッとする類の物とは正極な小説。
    ・同じ怒りや諦めや醜さ…も自分の中で再確認した。必要な小説。
    ・自意識に(余り)結びつけず、「労働」そのものに眼差す、という小説は結構貴重なのでは。

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    2024年04月01日
  • その世とこの世

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    ネタバレ

    ところどころに刺さる言葉が。そしてそこはかとないユーモアが。二人のお人柄なのでしょうか。

    p93プレイデイさんの「幽霊って元気ですよね」に吹き出しました。しかしその理由(?)言われてみると確かに。
    生きてる人間は日々起きてくるアレヤコレヤに対処するだけでだんだん一杯になって行き、余程のことでなければそんなにねちねちじっとりと恨んだり妬んだりを持続できなくなってくるように思います。特に年取ってきたら(笑)
    何事にも体力がいるというのは本当に実感しかない今日この頃で。それどころじゃない、からそんなことどうでもいいになってくるというか。
    p132谷川さん「生きる上で意味のない笑いがもしかすると訳あ

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    2024年03月31日
  • リスペクト ――R・E・S・P・E・C・T

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    ネタバレ

    ジェイドが父親を思い返すところを読んで、生活保護で生活していることを恥だと自分も周りも思ってしまうおそろしさ、悲しさを感じた。日本にも当てはまると思った。必要な人に必要なものを分けあえる世界になってほしい。
    リスペクトのないところに尊厳はなく、尊厳のないところで、人は生きられないというところに、強く共感した。

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    2024年03月30日
  • ブロークン・ブリテンに聞け 社会・政治時評クロニクル2018-2023

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    2018年から2023年にかけての時事エッセイ集。2020年に出版された本が文庫本化されたときに2023年までのエッセイが追加されてます。日本にいると報道から入ってくるイギリス情報は王室の話題やブレグジット関連が多く、「そうはいっても新自由主義の勝ち組」のイメージがありますが、著者の「下から」のスタンスは一貫してますね。というか、イギリスは階級社会と言われていますが労働者階級のしたたかさ、が伝わってきます。株価が上がる一方で実質賃金が下がり続けている日本の未来を考える上でも参考になりました。

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    2024年03月26日
  • 私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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    この著者の本は2回挫折してるけど、これは読める!
    若い人が外国で働くことは、円安もあって増えているようだが、イギリスではまだこういう階級社会の空気が残っているのかなぁ。まぁ日本でも外国人実習制度で、歪みが露呈して問題になってるから、同じようなことがあるってことか…
    外国で生きていくのは、たいへん。国内でもたいへんなんやけど。

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    2024年03月23日
  • 私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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    小説だけど「私」が入っているし、中洲のガールズパブや、ナニーとして働いたイギリス上流家庭、クリーニング工場、保育園などで起こったことはどれも本当に近いのではないかと思う。
    ケン・ローチの「この自由な世界で」では、イギリスの労働者階級が東欧や中東の不法移民を働かせて儲けていたけど、見た目はほとんど違わない東欧の人ですらあの扱いだもの、差別意識のある中産階級以上の人のアジア人労働者の扱いは、そうなんだろうなと悲しく怒りつつも納得した。息をするように自然に差別しているのだ。子どもでさえ。
    だから『日の名残り』や『黒後家蜘蛛の会』なんかは強烈な皮肉なのだ。
    モンティパイソンや「ジーヴス」なんかでもさん

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    2024年03月17日
  • 何とかならない時代の幸福論

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    イギリスと日本の空気感、暮らし、教育の違いが分かりやすく興味深かった。
    プレイディーさんの著書を読んでいたので、解像度上がった気がする。
    幸福論という点では明文化されているわけではないけれど、政府や世間の目を気にしてただ流されて生きていくことは幸福ではないと改めて感じた。
    当たり前に行われてきたことに疑問を持ち、自分なりの考えを持ち、できれば発信もしていく、そうありたいと感じた。
    結末にも記載があったけれど、コロナは大変なパンデミックであるけれど、情報に疑問を持ち自分たちで考え行動するキッカケになったのは感じる。
    劇的に良くならなくとも少しずつ社会が良くなるよう小さな一歩を踏み出していくことが

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    2024年03月06日
  • その世とこの世

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     本書は、「図書」連載「言葉のほとり」(2022年3月号~2023年8月号、岩波書店)に、奥村門土さん描きおろしの挿画を加えて書籍化した、谷川俊太郎さんとブレイディみかこさん、お二人の往復書簡を収録したものになります。

     とは書いたものの、私、ブレイディみかこさんの著書を読むのは初めてで、タイトルはよくお見かけするから知っているのですが、中々、読んでみようという気にまでならなくて、本書については、猫丸さんのおすすめがあったことと、谷川さんと往復書簡するのだから、さぞ凄い方なのだろうなと思っていたら、その通りでした(笑)。

     ということで、まずはブレイディさんについて、書いていこうと思います

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    2024年02月25日
  • その世とこの世

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    ネタバレ

    ページの余白や行間が多くとってあるため文量は少なく、かつ、非常に読みやすい日本語なので、サッと読める。

    ブレイディさんが書いた手紙を谷川さんが受け取り、谷川さんは受け取った手紙の一部からとあるテーマへと話題が広がる返信&詩を送る。
    それを受け取ってブレイディさんがまた別の話題へと展開する手紙を書く、といったやりとりで、往復書簡だけれども、明確に返事しあってないところが興味深い。
    詩というものは私にはあいまいで、メッセージを伝えたいのか、情景を描いているのか、それとも気持ちの吐露なのか、よくわからない(谷川俊太郎さんは好き。PEANUTSの翻訳が最高)。
    にも関わらず、この書籍を読んで

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    2024年02月24日
  • 私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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    自伝を含めての私小説。
    読んでいると本当にブレイディさんが経験されてきたことなんじゃないかなと思うくらい惹き込まれた。

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    2024年02月24日
  • 私労働小説 ザ・シット・ジョブ

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    自伝的要素たっぷりのフィクションだそうだ。ブレイディみかこさんがどんなふうにシットジョブで働いてきたのかがよく分かる。ライターという才能があったからこそ、そこに光をあて、こんな僕にも知ることができ、言語化された世界が見ることができた。ブレイディみかこさんはイギリスに行かなかったとしても、たぶん日本でもそんな人たちの側にたって応援する人になっていただろうと感じる。

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    2024年02月22日
  • その世とこの世

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    「静かだが、沈黙に与していない」…日々過ごしていることは命の果てに近づくことでもある。寿命が尽きたその後は、「この世」に自分はいなくなる。「あの世」に行きつくその前に、”That”でも”This”でもなく、「その世」がある。とどまることのできない、つかの間の時間。視覚も触覚も使えない。聴覚だけが働く。音楽が大気に包まれて統治している。…半世紀と少し生きてきた「散文の人」が問いかけると、一世紀近く生きてる「詩人」が詩を送る。ウィーンのヒトラーの話を持ち掛けると、「他人だらけ」と応答し、二人は書簡を終える。

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    2024年02月17日
  • 何とかならない時代の幸福論

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    NHKで放送された時も見ていたけど、こうやって本になって文章で読めるなんてたまりません。
    面白かった。こういうがっつり真面目な話を聞いたり読んだりするのが好きです。

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    2024年02月12日