【感想・ネタバレ】保育園を呼ぶ声が聞こえるのレビュー

あらすじ

「子どもには適切な保育を受ける権利がある」
子どもの視点から保育問題をとらえかえし、根本的な処方箋を提案する。当事者だけでなく、これから子どもをもちたいひとも知っておくべき保育の前提がここに。
日本の「保育」において重要な課題として考えたかったのは、「子どもの権利」である。日本では「子どもの権利」が守られていない。「子どもの権利」という観点から保育を見れば、日本の保育がまだまだ不十分であり、どこをどのように直せばいいのかがおのずと見えてくるはずだ。読んだひとにきちんと考えてもらえるように、ただの簡単なハウツーものにはなっていない。まだ知らない「保育」の世界に思いをめぐらせ、考え、どのような保育なら子どもが幸せになれるのか、一緒に考えてほしいと思う。
猪熊弘子「まえがき」より

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Posted by ブクログ

現状の保育園事情からも日本は世界の先進国より随分遅れているし、保育園のみならず、幼児教育のこと、子供の権利のことを真剣に考えられていなかったことにただただ驚く。保育園にただ子供を預けられればいいという話ではない。 実際に自分がいくつも保活で保育園を見学して、狭い、汚い、交通量が多い立地など、小さい子供を預けるのに躊躇する保育園がいくつかあったことを思い出す。しかしどこにも受からなければ、その躊躇したところにも預けざる負えなかったかもしれない。実際にそういうことも起きているのが日本の現状でもある。
本当におかしい。子供は未来なのに。
子供の権利、保育士という命を預かる専門職の待遇改善など早急に対策をと願うばかり。イギリスはじめ欧米では子供の権利の視点が必ず考慮されているのは本当に羨ましい。 対談形式で読みやすく、日本の保育園事情を知るという意味でも行政関係者はじめ、直接保育園とは縁のない人達にも広く読んでもらいたい一冊。

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2017年11月11日

Posted by ブクログ

昨年は「保育園落ちた‥」のブログや、新規保育園の計画中止のニュースで「待機児童問題」という言葉を何度も聞いた。
だけど「待機児童」の何が問題なのか?本当には分かっていなかった‥問題は、保育そのもの。安心して「保育」を受けられなければ、親は働くことができない。もちろんそれは二人であろうがシングルだろうが、すべての「親」のこと‥。どんな職場であれ必ず「親」がいる。考えてみれば保育の問題は、働く人=この国に暮らすすべての人にとっての問題なのだ。いやいや‥日本、大丈夫だろうか?
この本はこどもが身近にいる、いないに関わらず、行政や政治家には課題図書にしてもらいたいし、なるべく多くの人(特に若者)が読んで考えてもらいたい。イギリスとの比較、対談形式なのも読みやすくてとても良かった。

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2017年09月26日

Posted by ブクログ

 前期高齢者の男性が読んで、何だか暗澹としてくる現場の報告です。

 自分の子供たちのことをきちんと考えなかったし、ましてや保育園とかについて実質的行動を何もしなかった「子育て」だったことに対して、まず振り返らないと、というのが一つ。

 今、目の前の、お孫さんたちや、その母親、父親の置かれている社会的現実に対してというのが二つ目。

 話し合っていらっしゃる、三人の、なんというか、態度に好感を持ちました。国分さんの本はファンですが、残りの二人の本を読むことから、はじめようか、そんな感じです。

 自分の中で何かが始まるといいなと思っています。

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2019年03月09日

Posted by ブクログ

日本の保育園とイギリスの保育園を比較しながら、日本の保育の問題を対談形式で掘り下げていく本。

保育園の理念とニーズがずれてしまっているという点について警笛を鳴らしている。

子供の人格が形成される大切な時期に、いかに生活環境を整えて接するかが重要であるが、待機児童問題の対策として、基準の緩和、子供一人当たりの面積の縮小、保育士の見る児童の数の増加が解消策になってしまっている。

政治家たちがきちんと保育の理念と現実を理解できていない。イギリスには国で統一された保育へのチェック制度があるが、日本はそれぞれの基準で運営できてしまう。という問題点を明確に指摘する。

自分の体験からも、保育園と一言にいっても、色々な保育園があり、保育士たちが疲れ切ってギスギスしている保育園もあり、ビジネスとして考え割り切っている保育園には非常に危機感を覚えたことがあるので、この本に書かれていることは実感として得られるところがある。
ただ、一方で、なんとか保育園に預けて仕事を継続することを重視する自分もいて、良い保育園に当たったからよかったものの、芯の部分では、保育とは育児とは何が大切なのかということをしっかり考えて対応しなければいけないのだなと感じた。

イギリスの理念は良いと思うが、階級社会の中で富裕層がより良い保育園を選べるという現状があり、色々な総が一つの保育園に通っている日本の状況も悪くはないのではないかと感じた。
本にも書いてあったが単純に日本とイギリスを比較できないので、社会背景も含めて良いところを取り入れるべきだと感じた。

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2018年02月27日

Posted by ブクログ

保育園が教育産業であることを英国の保育事業にも詳しい方を招いての座談会。改めて保育園が重要な役割を担っており、それがここ10数年の趨勢であることを痛感する。日本では単なる就労支援の手段!と考えていることにその遅れの原因があるように思われる。したがってこの問題を考えるとき、預ける母親の視点に立った検討が多いが、子どもの立場、視点を考えるという観点が抜けているとの指摘は全く同感。幼児であっても一人の人格として尊敬するという姿勢が大切である。小規模保育所(市町村認可)が2015年からスタートしたことも知らなかった。日本はあらゆることがギリギリで進められ、保育の世界も例外でないことが、ブレイディ氏の言葉から痛感する。戦後まもなくできた基準が今でも残っていることに、日本のこの分野での遅れ、理解のなさによるものであると良く分かった。ブレイディ氏は「自分の考えを伝えることができる」教育プログラムの必要性を主張しており、また引用しているノルウェー幼稚園法の文言は教えられるところが大きい。「子どもは、彼ら自身の権利において主体的国民あるいは代理人とみなされ、表現方法はさまざまであっても、尊敬されるべき存在である。」「大人は、子どもたちが幼稚園での研究に完全に参加できるように、また、民主的社会における活動に参加できるような子どもを育てることができるようにしていかなければならない。」

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2017年10月04日

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