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混迷する欧州の政治状況をYahoo!ニュースで伝えているブレイディみかこの日本取材記。
各氏絶賛!!
上野千鶴子氏(社会学者)――「日本人著者がイギリス労働者階級のめがねをかけて見た、日本の貧困、格差、子育て。たんなる比較文化論にとどまらない日英への愛憎アンビヴァレンスが読ませる。保守革命に先んじた英国での、ネオリベ対抗運動が参考になるかも。」
柏木ハルコ氏(漫画家)――「バケツの底が抜け、もうどこが「地べた」かよくわからないこの社会で、私たちがこの場所を少しでも生きやすくするために必要なものは何か――――労働、経済、保育、貧困、人権、ブレイディみかこさんの視点は日本の様々な現場を見つめ、草の根から社会を変えるために必要なものを模索していく。〔…〕もちろん簡単に結論が出るわけではない。しかし、そのためのヒントが随所に垣間見える。長い道のりだが、一緒に少しづつ歩いて行こうという、みかこさんの力強い意志が感じられた。」
栗原康氏(政治学者)――「ショッピングできなきゃ、ひとじゃない。カネがなければ、借りてでも買え。はたらけ、はたらけ、カネ返せ。貧乏人はひとでなし。それしか言わない日本社会。終わっている。本書で、ブレイディさんはすべての貧しい人たちに、とてもやさしくこう呼びかけている。てめえら、意地をみせろ。日本死ね。いい本だ!!」
二木信氏(音楽ライター)――「ブレイディさんは、間違いなく信頼できる“筋の通ったレフトの書き手”だ。彼女の活躍に、世の中捨てたもんじゃないと感じているのは僕だけじゃないでしょう」
松尾匡氏(経済学者)――「〔…〕本書からは、コービン=サンダース現象につながる素地が日本にも満ちていると感じる。「中道」に手を広げれば支持が広がるのか。著者は、経済を軽視する日本の左派の傾向を批判し、欧州の左翼は「政府は人民のために金を使え。メシ食わせろ」という庶民の叫びを政治に反映させようとすると強調する。参院選、東京都知事選と連敗した今こそ、本書に学ぶことは多いだろう。」
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Posted by ブクログ
最高に面白い社会ルポ。キャバクラ労働争議、ドヤ街、保育園の実態、貧困層…日本にすんでいると、まあそんなもんだと直視せずに終わらせている問題ばかりなのだが、海外からの視点で切り込むと、「この状況はおかしいよ」ということが噴出してくる。
何冊かみかこさんの本を読んでいたので期待を裏切らない内容だったが、もし他書を知らなければ、一時帰国で訪れただけで日本の貧困をどこまで突き詰められるのだろうと不信感を抱いてしまったかもしれない。でも、そこにはブリクジット前夜の英国の労働者階級にどっぷり浸かった筆者ならではの、英国(と欧州)の動きとの対比があり、そのことが余計に日本の事態の深刻さを浮き彫りにしてくれる。
例えば日本の一億総中流の意識について。英国のミドルクラスと比べてあまりに底辺の低い日本の「中流」は、もはや「一億総中流主義」でしかなく、実は貧困層と紙一重だったり既に貧困レベルにあるとの指摘。結婚して家族を持つことが普通=中流だった時代は終わって、余裕のある人の営みであると考える若者層がいるのだが、彼らはギリギリ仕事があって日々生活できていれば困窮しているとは思っていない。体を壊したり働けなくなったりした時に初めて貧困に陥っていることに気づくのだが、もうすでに心は折れてしまっている…
その根底にある意識の違いとして、日本では人権意識が根付いていないと指摘する。義務を履行してこそ権利を主張できるとの、権利と義務を抱き合わせた思考は確かに日本では根強い。先日も生活保護受給者に対する差別発言が炎上していたが、そこにはやはりみかこさんの指摘するとおり、義務を履行していない人たちには人権を主張する権利がないかのような冷淡な姿勢が透けて見えている。そして何より深刻なのは、「日本ではアフォードできない人々には尊厳はない。なによりも禍々しいのは、周囲の人々ではなく、「払えない」本人が誰より強くそう思っていること」だと指摘する。「人権というのは…全ての力を失ってしまったときにそこにあって私たちを丸ごと受け止めてくれるもの」すなわち、穴の空いた制度というバケツの、底で受け止めている蓋なのだ。日本人はもっと楽になったほうがいいという言葉がずしりと響いた。
その他、印象に残ったのは、日本ではソーシャルワークがあまり政治に結びついていないという部分。すなわちミクロがマクロに結びついていないと。なるほど貧困にしろ何にしろ、こういう制度がありますよという対処療法に終始してしまい、ではどこを変革すべきかという議論(政治)と分断されている。欧州での極右極左の台頭は、その市民レベルの怒り(ミクロ)が政治(マクロ)に吸収されたからであり、スペイン15M運動で広場で各テーマごとにどう政策を行えばいいかという議論から生まれたポデモスは、そのミクロをマクロに持ち込んだ典型だという。わかるようでわからなかった欧州政治が、日本という鏡で一度跳ね返ってきたみかこさんの視線を通して、よくわかった気がする。
Posted by ブクログ
貧困に対する向き合い方は人それぞれ様々だが、それに巻き込まれている人も、積極的に関わっている人も、あるいは傍観している人も、何らかの既成のものの見方にとらわれがちである。本書を読んで、自分もまた、しっかり既成のものの見方に囚われていると実感させられた。それだけ著者のものの見方は、巷に喧伝されるものにも、熱心に社会運動に取り組んでいる人々に共有されているものにもとらわれないもので、なおかつ、確かにそうだなと納得させられるものである。「一億総中流という岩盤のイズム」「ミクロをマクロに持ち込め」「クラウドとグラスルーツの概念」「もっと楽になるための人権」等々、日本社会を分析するための道具をいっぱい提供してくれている。特に日本と英国における「人権」概念の違いについての指摘は重要だと思う。
Posted by ブクログ
イギリスで保育士をしている日本人女性が見た日本。日英の育児比較的な軽いタッチの本かと思いきや、なかなかディープな本だった。ただ、ヨーロッパに住んでいないと、書いてあることに実感がわかないかも知れない。
イギリスと日本の貧困層の違いがとても興味深かった。著者本人曰く、学問が無いそうだが、観察したものや経験からの洞察は鋭い。特になるほどと思ったのは、若者と政治。若年層は選挙に行かないので政治に最も見放されていると著者は考える。また、日本では権利と義務がセットになっていて、義務を果たさないものに権利は無い。英国では権利は国民のもの、義務は国家のもの。日本ではその両方を持つのは国民で、国家と国民の役割分担がなされていない。
貧困層の幼児教育へのイギリスの取り組みに感心した。
いい本だった。現代社会の仕組みがよくわかる。ヨーロッパに住む日本人にお勧めしたい。
Posted by ブクログ
イギリス在住の保育士でライターの「フレディみかこ」氏が、2015年・日本滞在時の取材をもとに書いた最新著。友だちに教えてもらって読みました。
的確な日本の現状に対する分析、これからの日本を考える上でもとても示唆的な内容をもった本だと思います。
特に印象に残ったのは、「ミクロ(地べた)」を「マクロ(政治)」に持ち込むという視点。当事者の実態(誰かがきちんと代弁すること含めて)があり、具体的に改善するための政策(政治)が大事であることを改めて考えました。どう伝えられるか、その観点を大事にしたいと思いました。
保育に対するイギリスと日本考え方の違いなどもよくわかりました。一億総中流に関する分析なども大いに納得です。エピローグのカトウさんの話もよかったです。
みなさんにお勧めします。
目次…
まえがき
1、列島の労働者たちよ、目覚めよ
キャバクラとネオリベ、そしてソウギ
何があっても、どんな目にあわされても「働け! 」
労働する者のプライド
フェミニズムと労働]
今とは違う道はある
2、経済にデモクラシーを
経済はダサくて汚いのか
貧乏人に守りたい平和なんてない
一億総中流という岩盤のイズム
草の根のアクティヴィストが育たない国
ミクロ(地べた)をマクロ(政治)に持ち込め
反緊縮派とはいったい何なのか
いま世界でもっともデモクラシーが必要なのは
3、保育園から反緊縮運動をはじめよう
保育士配置基準がヤバすぎる衝撃
紛れもない緊縮の光景
日本のアナキーは保育園に
ブレアの幼児教育改革は経済政策だった
保育園と労働運動は手に手を取って進む
ネオリベ保育とソーシャル保育
待機児童問題はたぶん英国でも始まる
4、大空に浮かぶクラウド、地にしなるグラスルーツ
日本のデモを見に行く
交差点に降り立った伊藤野枝
でも・デモ・DEMO
クラウドとグラスルーツの概念
あうんストリートと山谷のカストロ
反貧困ネットワークへのくすぶり
新たなジェネレーションと国際連帯
5、貧困の時代とバケツの蓋
川崎の午後の風景
鵺の鳴く夜のアウトリーチ
人権はもっと野太い
あまりにも力なく折れていく
どん底の手前の人々
もっと楽になるための人権
エピローグ カトウさんの話
Posted by ブクログ
「2016年2月の東京を記録する」ために本書は書かれた。
自分のことを「地べたの保育士」で「無学な人間」とおっしゃる、在英のブレイディみかこさん。もとより何らかの「日本の問題点」を探り出し突破口を見つけるなんて、大それたことは想定していない、と。
けれど、この本にはその「大それたこと」に関するヒントがたくさん詰まっている気がしてならない。自分の身の回りのこと、ミクロ(地べた)とマクロ(政治)は直結している。繋がり、声をあげよう。動こう。「実際に自分の目で見たものだけを信用する」ジャック・ロンドンを紹介し、自分もそうありたいとの著者の決意を尊敬し、共感する。今の日本(と世界)を理解するための必読の書。
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