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バージョンアップせよ、これが左派の最新型だ!
日本のリベラル・左派の躓きの石は、「経済」という下部構造の忘却にあった!
アイデンティティ政治を超えて、「経済にデモクラシーを」求めよう。
左派の最優先課題は「経済」である。
「誰もがきちんと経済について語ることができるようにするということは、善き社会の必須条件であり、真のデモクラシーの前提条件だ」
欧州の左派がいまこの前提条件を確立するために動いているのは、経世済民という政治のベーシックに戻り、豊かだったはずの時代の分け前に預かれなかった人々と共に立つことが、トランプや極右政党台頭の時代に対する左派からのたった一つの有効なアンサーであると確信するからだ。
ならば経済のデモクラシー度が欧州国と比べても非常に低い日本には、こうした左派の「気づき」がより切実に必要なはずだ。(ブレイディみかこ/本書より)
【目次】
第1章:下部構造を忘れた左翼
第2章:「古くて新しい」お金と階級の話
補論1:来るべきレフト3.0に向けて
第3章:左と右からの反緊縮の波
第4章:万国のプロレタリアートは団結せよ!
補論2:新自由主義からケインズ、そしてマルクスへ
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Posted by ブクログ
(2018/7/11)
ブレイディみかこ
松尾匡
北田暁大
左派による反緊縮政策を!がテーマの本。
保守、リベラル、右派、左派という言葉の定義が、
今の政治家の振る舞いの中で意味不明になりつつある。
保守本流を名乗る安倍政権の金融緩和政策が実はリベラル的だったりしているのがその証左。
と言って安倍さんにリベラルな気持ちなど全くなく、
ただ、国民受けする政策をして支持率を上げて、悲願の憲法改正がしたいだけ。
自民党のその他の有力者は皆財政均衡、消費税増税派。
田中角栄時代の自民党はもうないのだ。
だからこそこの本は問う。
今こそ左派は反緊縮政策を掲げ、現政権を倒せと。
政治は経済だ。
私は、今は諸悪の根源のように語られることの多いミルトン・フリードマンの理論の信仰者。
彼の理論を「新自由主義」とすることには違和感はある。
大きな政府、国民から税金を集め恣意的に使う、というやり方に反対、
というのは正論だと思う。今でも思う。
そんな大金の投資先を、正しい判断が出来る人なんていないだろうと。
その点、消費税増税はある意味大きな政府につながるわけで、
フリードマンがたたかれるのもそういうことか?
ベーシックインカムはありだと思う。
よくよく考えれば、民主党の子供手当は、ある意味子供へのベーシックインカムだったのではないか。
これを国民全員に広げる。
財源は?
日銀が刷る。
それで行けるのではないか。
ハイパーインフレが怖い?
貯金している人が怖いだけ。持たない人は怖くない。
そもそも今の財政不均衡とやらも、実は不均衡ではないのだ。
金持ちの貯金が銀行を経由して国債となって日銀に買われているのだから。
貯金という生きていないお金が借金の形を取って生きるのだ。
そもそも経済でこれが正しい、なんてことはない。
昔は金本位制が正だった。今誰もそんなこと言わない。
今や国の保証さえいらない、という仮想通貨が出回っている。
要はものが、役務が動けばいいのだ。
老人が老後の心配にとっておいている金を市場にださせればいい、と「心理経済学」で
大前研一氏が言っていたが、まさにそうだ。
お金、なんてなんでもないのだ。
皆が人の役に立てば、世の中は回る。
そういう世の中を作らなきゃ。
老人が自分の財産にしがみついて若者を犠牲にする社会に未来はない。
老後の備えの財産が1800兆?国民一人当たり1500万?
信じられん。
第1章:下部構造を忘れた左翼
第2章:「古くて新しい」お金と階級の話
補論1:来るべきレフト3.0に向けて
第3章:左と右からの反緊縮の波
第4章:万国のプロレタリアートは団結せよ!
補論2:新自由主義からケインズ、そしてマルクスへ
Posted by ブクログ
「左派」論者3名による経済政策論かつリベラル批判の対談書。日本のリベラル派を、経済成長政策を疎かにしてきたと批判し、文化的・制度的な面での公正性を重んじるだけでなく、「明日どうやって飯を食っていくか」に直結する経済政策もちゃんと考えろと指摘している。この本を読むことで、リベラルを自称し人権を重視し・・・と考えている人が、自分の視野の狭さに気付かされるかもしれない。僕はそうだった。
対談の著者は三名。①『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で有名なイギリス在住の文筆家、ブレイディみかこ。②マルクス経済学を専門にする立命館大学の経済学教授、松尾匡。③理論社会学でメディア史を専門にする東大大学院教授、北田暁大。戦後史、経済理論史、時事問題(ブレグジット、ギリシャ危機など)を幅広く取り上げつつ丁寧に説明しており、我々はどこからきて、今どこにいるのか、そして今後どこへゆくのかの文脈について、整理することができる。面白い。
また、この本を読んで感じたのは、経済政策を評価(立案・投票などすべて)するとき、私たちはどんな社会(国)作りがしたいのかをそもそも考える必要があるということ。
税金の使い道についても、税の累進性の政策の是非についても、結局何がしたいのかの目的に紐づけて、メリデメを評価する必要がある。
ついては、日本にそういった明確なビジョンがあるだろうかと思うと、色んな政治家がビジョンを出していることにようやく気づく。また様々な政策研究会議においてビジョンらしきものが提示されている。
「株式会社ニッポン」があるとしたら、世界市場でどんなポジションで、どういうミッション・ビジョン・バリューを持ってやっていこうとしているのか、もっと明確に理解していきたい、、、
本書が重要だと思えるのは、現実主義的な語り口だからだ。ライツ・トーク(rights talk)と呼ばれる、人権をベースとするリベラリズムの考え方(とくに、rights as a trump *人権の切り札性)の理想主義的な部分を認め、それだけで物事を判断しきれない、また政策として不十分な部分を解消するために、適切な経済成長や、適切な財政出動を推奨しているからだ。
一方で政策論はそれとして、その政策を実現するためには民意を動かしていく必要があるが、その民意が分断されている(=ソーシャルアパルトヘイトの)現状で、どう人々が交わっていくかについては、この本のスコープではカバーされていない。「リベラル」な自分が本当のところ「左派」になれないのは、この分断を作っている一員だからだと感じるが、これを乗り越えるために何ができるのか、強い課題意識を持った。
Posted by ブクログ
イギリス在住ライターのブレイディみかこ、経済学者の松尾匡、社会学者の北田暁大の3名による鼎談本。
ブレイディさんのヨーロッパ政治経済の知識と、松尾さんの経済学をベースに、北田さんが整理している感じ。「アベノミクス憎し」で経済政策が混迷している左派に警鐘を鳴らしている。
第二次安部政権のアベノミクスのうち、金融緩和はデフレ経済では当然の政策で批判されるものではないのだが、左派はアベノミクスに反対せざるを得ないので賛成できないという奇妙な立場にあった。
続けて財政出動も、脱デフレを目指す雇用創出のための妥当な政策だった。
これらは小泉政権の新自由主義ではなく、むしろ逆に左派的な経済政策なのだが、安部首相が主導しているせいで左派はなぜか逆にこれを批判する形になった。
アベノミクスで批判されるべきは財政出動が選挙前に限られていたことや、規制緩和は金融緩和・財政出動と関係がなく、場合によっては矛盾することにあり、左派は本来「もっと財政出動しろ」と言うべきだった、というのが本書の主張。
安部首相がこのように左派的な経済政策をとった裏には支持を得て改憲など「本当にやりたいこと」をやるための下地作りがあったと思われ、これは一定以上に成功したが、改憲などに移る前に、森友・加計問題や「桜を見る会」などのお友達優遇や支持率は下がり、そこに新型コロナウイルス対策も重なり体調不良により辞任し、菅政権となった。
菅政権は、安部政権以上に権力を好き放題に振るう一方、経済政策は方向性が全く見えないため、左派にとっては有利な状況と言える。
しかし本書に従えば、野党は相変わらず不祥事の追及などに終止していて、アベノミクスのような「期待を持たせる経済政策」を打ち出さない限り、積極的な支持を得ることは難しいだろう。
Posted by ブクログ
反緊縮政策の有効性や左派の思想史などについて学べる本。
・左派の立場から、勢力を盛り返すために現在の安部政権を上回る経済政策を提案しなければだめだ。そのためには、いままでのような緊縮ではなく、反緊縮政策を提案し、福祉などしかるべきところに再配分をしっかりと行うべきだ。
・WWⅡ前後の左派の歴史を整理、レフトの思想が歩んできた歴史とその総括について。労働者の味方だった左派が、下層の人々を忘れ多様性に焦点を絞るようになってしまったこと。
・メリトクラシー(能力主義)が勃興した結果、下層の人々に対する差別が生まれたこと。「能力が無いのは自己責任」。グローバリズムについていけない人たちが新たな差別階級になった。英国ではチャブ。日本ではマイルドヤンキーやB層。また、そうした状況の中で下層の人々が社会の中で取り残されていること。
現在の世界での潮流。トランプ大統領やジェレミー・コービン氏、安部首相がなぜ支持されているのか。という説明を非常にわかりやすくしている本だと思う。「緊縮政策で国内経済がボロボロになり、上下構造や明日の飯を食えるかというのが大きな関心になっていたところに、大々的に財政出動を主張する政党や政治家が現れ支持された」という説明は非常にわかりやすいものだったし、最近見たヨーロッパ情勢の本を読んで得られた実感とも重なる。ギリシャ危機に対する、ドイツやeuの掲げる経済政策への不信とかね。
ただ、本書のコンセプト自体が左派の復権を目指したものというか。右派の否定でもある気がしたので、モヤモヤするところもあった。左派・右派という二項対立に陥ってしまっている気がする。「効果のある経済政策を行い、右派から支持層をもぎ取ろうみたいな」。
右派の極致はナチスかもしれないが、左派の極致はソ連や中国共産党やグローバリズムの中で多様性を認めることを強制される社会だと思う。良い部分と悪い部分がお互いにある。
階級による差別はいかんという意見には完全に同意するし、そこに目がいくのはやはり左派の人たちだろうなと思うからこそ。
イデオロギーは違う価値観を持つ世界みたいな。自分がそこに属していたら、その世界と相手の世界を分けてしまうみたいな。政治思想を理解するにはイデオロギーを理解しなければいけないけれど、そうなるとイデオロギーによって自分と意見の違う相手を分かつことになる。「こちら側とあっち側」が出来上がる。レッテル貼りも生まれる。それぞれのいいところを理解するための邪魔になっている気がする。
囚われてしまうと、政策は結局のところ「相手を倒す道具」になってしまう。そこを乗り越えて、みんなを幸せにするためにはどうしたらいいのかを必死に考えることが一人一人に求められていく視点だと感じた。理想論だけれども。
Posted by ブクログ
岸田内閣が発足し総選挙が行われることになった。岸田内閣に期待すること、あるいは、衆院選の論点として考えるべきこと、という内容で、日本経済新聞が朝刊に連載をしているが、今日の朝刊のテーマは「成長か分配か。まずは成長を優先すべき」という内容のものであった。
本書は、ブレイディみかこさんと、経済学者の松尾匡氏、社会学者の北田暁大氏の対談で構成されている。発行は2018年5月のことなので、今から3.5年前のことであり、岸田内閣はもとより、菅首相の前の安倍首相、経済政策で言えばアベノミックス時代の発行である。
本書の大きなテーマの一つは、書名にもなっているが、日本の左翼・左派に対して疑問を呈する、というものである。
経済だけが大事なことでないことは言うまでもなく、経済以外にも大事なことは山積していることも言うまでもない。ただ、私は、経済問題は現代の日本の大きな問題の一つだと思う。格差問題、あるいは、日本にも貧困層が生まれており、その格差や貧困は世代間で受け継がれる、要するに固定化・階級化しつつある、ということは、かなり以前から指摘されており、解決すべき政治的イッシューであるはずだ。
この問題へのアプローチには2つある。1つは経済成長が大事だとするもの。日本の1人当たりGDPはバブル崩壊以降、ほとんど増えておらず、今やそれを指標とすれば、日本は既に世界で最も豊かな国の一つとは言えなくなっている。これは事実であり、日本全体が豊かにならない限り、国民に所得として行き渡る原資はないのだから、まずは経済成長を優先させようとするアプローチ。冒頭に記した今朝の日経新聞の論調である。
もう1つのアプローチは、分配が大事だとするもの。格差があるのであれば、格差を均せば良いではないか、というアプローチである。富裕層への課税を強化したり、あるいは、大企業への課税を強化し、そこで得た原資を、例えば医療費や介護費や貧困世帯への援助に回そうとするものである。
本書でのブレイディさんをはじめとする3人の方が感じている違和感は、日本の左派が「経済」について語らないということである。日本の左派は、例えば環境問題、原発問題、等についての主張が多く、そのこと自体は何の問題もないのだけれども、日本の大きな問題の一つである「経済問題」、特に、如何に日本の経済を成長させるかについては、ほぼ語るところがない。なかんずく、不況時の重要な経済政策の一つである政府支出について、国の財政均衡(要するに国の借金は良くないことなので、単年度の国の税収と支出をバランスさせましょうという考え方。政府支出を減らすことは、GDPを減らすことに繋がる)を優先させる考えを左派がとる(民主党政権時代の「事業仕分け」は皆さん記憶に新しいと思う)のは、ほとんどあきれるという内容である。
「成長か分配か」という、ものの考え方では何も解決できない。正しくは、「成長も分配も」であると私は思うし、本書の主張も同じ。日本の左派が「分配」については語るが「成長」について語らないのは、政治家としての一種の責任放棄ではないか、と私も思う。
本書の主張に同感だ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。