あらすじ
絶版だった名著に、新たな書き下ろし、未収録原稿を約200頁も加えた最強版! 移民、パンク、LGBT、貧困層……地べたからの視点から“壊れた英国”をスカッとした笑いと、抑えがたい抒情ともに描く。「花の命は……苦しきことのみ」の言葉とともに渡った英国ブライトンで、アイリッシュの連合いと過ごす、酒とパンクロックの日々。
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みかこさん
ブレイディみかこさんの本は何冊か読んでいますが、この本は面白いです。早くページをめくりたくなりました。読んでるとき元気になります。お母さんになる前もパワフルですね。
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ブルーカラーの底辺層の目線から見せるクソみたいな生活を最高に彩るパンクのエッセイ集
作者のパンク趣味とめんたいビートが文体からも生き生きとしていてその筋の愛好家なら好感を抱くに違いない
またこのエッセイに登場する人物はほとんどが最底辺で無様ではあるがどんな最低な環境下かつ状況でもしぶとくサバイバルしているので、我々日本という国(我が国もだんだん英国に近い貧富の差が開いてるが)に生きている庶民にも妙な感動と共感を覚え明日に向かって生きていく希望を見出せるのである
ただし挫折経験なく悠々自適にエリート街道を歩んだ人間には全く勧められない一作でもある
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英国の病院が無料の制度のせいでずっと電話しても予約ができず病気がどんどん悪化していく話とか、家庭崩壊するとあっさり離婚してしまうのが当たり前だったりとか、すごく考えさせられる。それにしても、「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき。」って林フミ子の言葉を手渡されて旅立つって、なんという親心だろう。にわかには信じがたい話が沢山転がっていて、夢中になって読んでしまった。文庫化する前、この本を出版した出版社は潰れてしまった、ということも触れられていて、ゾワゾワする面白さ。ジョンライドンに憧れながらも、怒りもこもったパンクな一冊。
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6-7ページでひとまとまりになっているので、読みやすいエッセイ。ディープなイギリスの生活が垣間みえて面白い。ぶった斬る感じの言い回しも含めてダメな自分と向き合った諦観があり、落ち込むこともなく開き直ってるのがいいんだなと思う。僕はイエローで、、から読み始めましたが、すっかりファンです。
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2021/03/20
イギリスのブライトンという街で暮らすブレイディみかこさんの視点から見たイギリス人の日常を描写したエッセイ集みたいな感じ。
前にもこの人の本を読んだことがあるのですが、学校で習うイギリスだけじゃない、さらに奥深いイギリスの人々の様子がよく分かる内容です。
一個一個のエッセイを集めた感じになっていて、それぞれの話にはイギリスで暮らす日本人から見たイギリスの人の人間味あふれる描写がありありと伝わってきます。
日本人とイギリスの人々を比較して、もちろん違うところも多々あるけど、結局同じ人間なんだなーだと思うこともあれば、やっぱり外国人は考え方のスケールが全然違う…と思わされるような内容もたくさんあって、面白いし、ディープなイギリスについて知ることが出来るんじゃないかと思います。
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世代も違うし育った環境も住んでる場所も違うけどシンパシーしか感じない。若い時にパンクにやられたという経験は、それだけで人格アンド思想形成の土台になるんやな。
全ての、元パンクス、必読。
〜ジャージはジャージじゃ。あほんだら。
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自身でも書かれている通り、攻撃的~。
相変わらず痛快だ。ブラジル人美女の友達が面白い。
酒強い、ってどのくらい飲むのかな…ドキドキ。
ブライトン、行ってみたい……かな?!
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この人の本はおもしろい。以前途中まで読んでいて再開した。イギリスに縁ができ、何冊か読んでいるが、ざっくばらんで思いのままに書いているところが、とても好きだ。本人曰くイギリスの底辺生活者のようだが、だからこそイギリスの本当の生活実態がわかりおもしろいしとても参考になる。この本は処女作ということで15年ほど前の作品のようだ。単なる生活を書いているだけでなく、そこにイギリスの政治や経済を絡めているところが画期的なのではないどろうか。私もこんな文章を書いてみたい。どんどん読んでいきたいと思う。
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この著者の本は三冊目だが、相変わらず軽快に毒を吐いて面白い!
嘘だろっていう内容ばかりだが、ブライトンの実情を知っていれば、より楽しめるのだろう!
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久々にエッセイで笑ってしまった。
歯に衣着せぬ文体でパンクに批判しているが、人間味に溢れておりなんだか温かい気持ちになってしまった。LGBTQや人種問題の書きぶりなど、今の時代だと問題になってしまうのかなぁ。こういうのが本当ぽくていいのになぁ。
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「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者ブレイディみかこさんのエッセイ集。
良い意味でかなり弾けまくっている。
一つ一つが6〜7ページで完結しており読み易い。
ケンジントン辺りの、所謂表向きのロンドンしか知らなかったけれど、もっともっとディープな、リアルなロンドンの生活実態が露呈していた。
ブレイディみかこさんの15年以上前のブログなどを寄せ集めたエッセイなので、文体もくだけていたり、会話口調のような面もちらほらあり、著者の人物像がはっきり分かる。とても面白い人だという印象。
小さな衝撃を得るストーリーもあるが、どんな輝かしく見える国も実際こんなもんなんだろうなぁと読み耽る。
ワーキングクラス・キッズ
アイリッシュ・ブラッド
精神高揚剤としてのミュージック
オーヴァー・ザ・レインボウ
LOVEとFANCYのあいだ
限りなくどどめ色に近いグレー
上昇しない螺旋階段の怪
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「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー」の著者のずいぶん前のエッセイ集。
「僕は…」よりもう少し過激で、「イギリスってそんな国なの?」って驚きです。
ここから、どうして子を持つことになったのか、興味が湧きました。
世界にはそこに住んでみないと分からないことが溢れています。
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『ブレイディみかこ幻のデビュー作』と文庫版の帯に書かれている。
たしかにオリジナル版が出た後、版元が倒産したというところを踏まえると幻なのではあるが、文庫版、相当おもしろい。「ぼくはイエローで…」からすっかりはまってしまったわけで、いろいろ読み続けているのだが原点に回帰できてよかったという印象、なるほど十数年前だからこそ、なのか、パンクな口調がキレキレで、文庫版まえがき、にもあるが「若書き」という表現で荒々しくて生々しくて、おもしろい。
このあたりの考え方・感じ方があって、後々、親となったり保育士となったり、緊縮財政への提言があったりしていくんだな、と。 まぁ、飲んだくれとしては、飲んだくれている内容での書きっぷりにおもわず笑ってしまっているのもある。 幻のデビュー作という考え方を踏まえながら「後日談」として文庫版で追加された解説なども面白い。 ブレイディみかこ節のベースとなる部分を抑えるとともに、文庫版特有の面白さもあるエッセー集。
今回は、解説から抜粋
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P303
もともと本書は、2005年に碧天舎から出版されたもので、ブレイディさんにとっては初の単行本になる。エッセイ集だ。今回のは、それに未収録エッセイとかかきおろし原稿をくわえて文庫化したものだ。しかし、ちょっとまえの文章というのはいいもんで、ほんとうに三十代のころの荒々しい、そして繊細なブレイディさんの心がむきだしのまんまあらわれている。じゃあ、その心はというと一目瞭然である。パンクだ、セックス・ピストルズだ、ノーフューチャーだ。
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著者の名前を知ったのは、「子どもたちの階級闘争」を目にしたときだった。本書はデビュー作とのことであるが、一読の印象は、「ハマータウンの野郎ども」の世界を、ごく近いところにいる人間が、その肌感覚で書いたというものであった。イギリスの労働者階級の暮らしぶり、医療制度の問題その他政治、経済、社会状況が、そのブロークンな筆致で生き生きと活写されている。
文庫版は何編かの増補が加えられているが、前に出てきた登場人物のその後に、思わずホロリとさせられる。
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在英の女性コラムニストによるブライトンでの生活を書いたエッセイなんてのと全然違う。
貧民街での暮らし、イギリスの病院保険制度、持たざる者のノーフューチャーな生き方等々。
貧民暮らしを開き直って酒飲んでガハハと生きながら考察して本にまとめるなんて、しかも結構読ませる。才能あるんだな。
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英国在住のコラムニストによる1990年代の英国での生活を記したエッセイ集の文庫版。
オリジナルを出版した時の会社は潰れたとのこと。
文庫版はオリジナルエッセイの後日譚が追加されていたり、未発表原稿や書下ろしも載っているので読み応えあり。
著者は飲んだくれでセックスピストルズが大好き、ということからもわかるように、豪快な語り口調が魅力。
ただ、単に豪快なだけでなく、酔っぱらいながらも自己の生活や周りの人の生きざまに対する観察眼と考察は鋭く、硬軟取り混ぜた内容をサラッとかけるのがこの人の強みだと感じた。
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読売書評を見て購入。ちょっとだけ読んでみているところだけど、なんて小気味のよい文章!
視点が違うと見えてくるものが違う。こんなイギリスの姿初めて知る驚き。
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著者がブログ上で2004年から2005年に掲載したエッセイに、その後にやはりブログ上に掲載した2006年までのエッセイと、書下ろし原稿を加えた「デラックスエディション」。現在著者は英国在住の保育士という立場をベースに広くサブカルチャーから政治経済まで語ってくれているが、この本に収録された頃、彼女はまだ保育士でもなく、子どももおらず、職業として評論家のようなこともしていない。それでも彼女が友人や知り合いを見る眼差しから、英国社会が浮かび上がってくる。英国というのは階級社会というから政治的な社会なのが、外国人が見ることで政治性が明らかになるのだろうか。
とはいえ、本書のエッセイの中身は、現在の活動内容よりはずいぶん私的で、社会とのつながりは希薄なようにも思える。その分、酔ってセックス・ピストルズを聞いたりといった著者のパーソナリティーが色濃く感じられるともいえる。そして、どうしようもない、地べたの人々、街への愛情も、やはり色濃く感じられる。
Posted by ブクログ
若くて荒削り,ちょい,暴走(笑)
でも,やっぱりそこは「ダイヤの原石」で,パンクでアナーキーで,あったかい視線で,ブライトンの人々を立体的に描いたデビュー作.
加筆された後日談がまた,時の流れの答え合わせのようで過去の作品を『今』読む為の増補もあって読み甲斐があった.
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ブレイディみかこさんの初期(といっても40くらいだったようだが)のエッセイ集。文章に勢いがあって面白い。「屁温い」なんて言葉は初めて見た。どうでしょう、この字面の破壊力。まぁ覚えても使う機会は無さそうだけど。
イギリスに旅立つ際、空港で父親に林芙美子の「花の命は短くて」の句を送られる話しは出来過ぎだが「放浪記」を書いた林芙美子の人生は不思議とブレイディさんの生き様と重なる。どちらも放浪癖があるのだ。英語でitchy feetと言うらしい。これは使えるかも。
イギリスは階級社会だと聞く。ミュージシャンのドキュメンタリーを見ていても必ず「〇〇はマンチェスターの労働階級の出身で」とか出自が紹介される。でも実感は湧かなかった。当書はその労働者階級の内側から綴られたエッセイであり、比類なきリアリティがある。うーん、ヘビーな世界だ。
でも、このノーフューチャーな世界をしなやかに渡り歩くブレイディさんはの生き方は魅力的だ。とても真似は出来ないけどね。
Posted by ブクログ
短くて苦しきこと多い。汚くて貧しくて見苦しい。人生の儚さを憂うこともなく、目の前の苦悩と闘いながらも楽しんでいる。英国労働者階級。花が咲いてる時期もない。”今を生きる”。その天然さと懸命さに、煌めく何かが垣間見える。そんな世界にはからずも飛び込んだ著者。日常生活。身近に起きる驚きを綴ったエッセイは2004年~2005年。ブログは続いて2006年。オリジナル版の版元が倒産し復刻版の本書は書き下ろしが追加。続々と新刊が”ヒット”する”流行作家”の原点を読む。自嘲と笑いと一刺し。そのスタイルは最初から。
Posted by ブクログ
デビュー作。著者も「若書き」と言っているが、特に始めの方は勢いがある。言葉遣いは悪いけど、これはワーキングクラスの誇りを敢えてこういう表現にしたのだろう。
『僕はイエローで‥‥』の方が万人向けだが、こちらも同じ魂で書かれた本である。
著者のような生き方をする人は少ないけどいる。ああ、日本人社会では窮屈で生きられないだろうなあ、という日本人はいる。が、みんなが文才があるわけじゃない。
文才にもいろいろあるけど、この人はさっぱりとしてキリッとしてるのがいい。爽快。決して上からものを言わない。でも視野は広くて懐は深い。
『僕はイエローで‥‥』もそうだけど、多様化とか国際化とか言ってる頭の硬い役所の人なんかが読むといいと思う。
「清貧。などというのはあれは趣味だ。貧乏とは、足りないことで負けてることで醜いことだ。自分から負けることを選んでいるような趣味の問題野郎どもに、勝ちたくても負け、必死で勝とうと努力するのにやはり負け、負けたくないのに負け続けている人間の気持ちがわかるか。ちっとも負けてないやつに限って敗北の真髄なんてものを語りたがる。そんなに好きなら貴様も降りてきやがれ。」(P185)
「だが、生きる甲斐がなくても生きているからこそ、人間ってのは偉いんじゃないだろうか。最後には各人が自業自得の十字架にかかって惨死するだけの人生。それを知っていながら、そこに一日一日近付いていることを知っていながら、それでも酒を飲んだり、エルヴィスで腰を振ったりしながら生きようとするからこそ、人間の生には意味がある。」(P191)
「他人に悪態をついたり、他人のあげ足を取ったりするのは、はっきり言って、大人でも嬉し楽しいものだ。だが、大人と呼ばれる人間(歳とは関係なく)がそれをしなかったり、限界というものをわきまえていたりするのは、自分も傷ついた経験があるからだ。しかし、子供(しつこいようだが、年齢とは無関係)は、人生経験の乏しいバカ故にその楽しみや喜びをマキシマムに追求しようとする。」(P203)
「家庭とは、個人が、個人の責任でもって個人的に幸福になろうとしている人々のユニット」(P239)
「パキスタン人の美しい男性に恋をした英国人のひょろっとした青年が失恋して痛飲して道端で吐いている背中を日本の豚骨ラーメンの街から来たババアがさすってる。民際的ってのは、こういうことじゃねえのか。」(P272)