筒井康隆のレビュー一覧
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筒井康隆氏が自らの読書歴を書いた本。
幼年期から作家として活躍するまでに読んだ心に残った本を、当時の生活を振り返りながら紹介している。
筒井康隆氏は、SFや純文学だけでなく、哲学や心理学、文学理論まで精通していることは、彼の作品群を一部読むだけでも分かる。
そんな筒井氏の読書体験を追体験できるように紹介されているわけだから、彼の内実が気になるなら読んで損はないだろう。
筒井康隆氏がマンのブッデンブロークを読み、その早熟の才を羨望し、「良い作家が出る条件は、良い家柄に生まれ、その家に沢山の本があり、その家が没落することだ」という文壇の定説に慰みを得たみたいな話しをしているが、私にすれば幼 -
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良い作品
「時をかける少女」や「富豪刑事」などで有名な筒井康隆が、1972年~で執筆した「七瀬ふたたび」を原作にしたマンガ作品。
作画は「マイナス」「はるか17」「シマシマ」「サイレーン」などの作者である山崎紗也夏。
2001年の作品であり、「マイナス」の連載終了後4年、「はるか17」の連載開始の2年前に描かれたものである。
絵は山崎紗也夏の真骨頂ともいうものであり、美しく近寄りがたい感じの主人公を見事に描いている。
その他の絵もキレイで、絵に関しては文句のつけようがない。
原作が書かれたのがほぼ50年前であり、超能力ブームの待っただ中。
この点が現代の感覚とはやや異なるものがあ -
Posted by ブクログ
短篇小説を書く指南書を想像していたら、そんな甘いものではない。著者の理想は「孤高に存在し、誰にも真似られることのない短篇小説。つまりその独特な形式も技法も、ただその短篇小説だけにしか通用しないという短篇小説。そのためにはその独特な形式と技法がそのテーマや内容によってしか生かされず、他のいかなるものにも応用のきかない短篇小説」。
才能ある作家でも一生に一度しか書けない、遥か高みのハードルを呆然と見上げてしまう。
テキスト短篇の中、読んでいたのは「アウル・クリーク橋の一事件」とボーナス・トラック「繁栄の昭和」のみ。
「二十六人の男と一人の少女」はメルヘンのようで興味を引かれた。「爆弾犬」は -
Posted by ブクログ
引用される『敵』『わたしのグランパ』は既読だったが、第七章で扱う『愛のひだりがわ』は未読なので、先にそちらを読む。
ビストロで若者たちから「作家ですよね」「どんな作品を」と訊ねられ「ま、『時をかける少女』とか」で、全員が「ええーっ」。『時をかける〜』が代表作になってしまったのはファンとして忸怩たるものがある。他に傑作・名作・問題作が犇めいているのに……。
「メンズ眉墨で眉を濃くしている」というのは、俳優でもある著者ならではの身だしなみ。あやかりにくい。
「長生きすれば老衰で死ぬことになり、その方が『まるで眠るように死んでいく』ことができるのだから、こんなありがたいことはない」。こちらは -
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Posted by ブクログ
ネタバレ東京パラリンピック開催期間中に読む。
テレビではダイバーシティの実現に感化されているのに、本作では簡単に解決できない超高齢者問題をバトルロワイヤルで減らすというブラックユーモアに思考を巡らすという、ある意味では『考えるきっかけ』週間であった。
高齢者が増えすぎた地区では、年寄り同士の殺し合いをするよう政府通達がでる。武器はヤクザが高価で売り、地区外への逃亡や若い身内の借り出しはNG。
「この国の優しさがこんな事態を招いた」障害者はかわいそうだからと途中で法改正。考えの甘い政府。
「アチチチ。こんなに血が熱いと思わなかった」
ありえないのに現実味を感じる。
読みおわって思ったのは「年寄