筒井康隆のレビュー一覧

  • パプリカ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    夢の、支離滅裂なのになぜか自分は納得しているような不思議な感じがそのまま表現されていた。
    特に、後半は夢の中に入ったり、現実世界に戻ったり、夢が多重構造をしていたりで、ぐるぐるとスピード感を持って世界が入れ替わるのが読んでいてとても楽しかった。

    敦子が性に奔放で、イケメンと言うよりは冴えない地味な男性やおじさんに好意を抱きがちなのは違和感が少しあると思って読み進めていた。
    しかし、敦子自体が誰かの夢の登場人物であると考えると納得したし、なんならおじさんの理想のセラピストはきっと敦子みたいなキャラクターに他ないとさえ思う。

    0
    2024年11月30日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「非常におもしろかった」と言えば、その人間性を疑われ兼ねないが、非常におもしろかった。筒井康隆氏の作品はいくつか拝読したが、『シルバー世代のバトルロワイヤル』というあらすじを読んで本作『銀齢の果て』を本屋で探し続けた挙げ句、見つけることは叶わず、結局はネットで購入して読むに至った。
    本作は場面転換や日付の移り変わりがあるにもかかわらず、章で区切ったりはされておらず、そのせいで読む手を止めることができなかった。これ程、1作を早く読んだのは初めてである。

    内容は至って分かりやすい、老人の殺し合いであり、酷く趣味が悪いことであると思う。しかし、狂気じみた殺し合いだけでなく、しっかりとした設定や殺し

    0
    2024年11月17日
  • 残像に口紅を

    Posted by ブクログ

    どんどん文字が消えていく

    話が成立するのか?と思うが
    意外と途中ぐらいまでは普通に読めちゃう
    文字って面白い。

    半分くらいからは、使える文字が少なくなってきて、語彙が難しくなったり、文章がまどろっこしくなるので(そこが面白い)
    集中力のある時に読むのがベスト

    内容も面白いけど、やっぱり文章に着目して読みたい作品

    0
    2024年11月14日
  • 残像に口紅を

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    少しずつ文字を減らしていっても成り立つのか?という実験小説。
    だんだんカオスになる面白さ。
    これを成し遂げてしまう筒井康隆のすごさを感じる。
    解説によると実際にはいくつか使ってしまっていた文字もあったようだが…。
    繰り返し読みたくなるので☆5!

    0
    2024年11月07日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ノリオ、ヘンリー、ヘニーデ姫など登場人物の色が強く出ていて素敵。
    七瀬が彼らをどんどん味方につけていく展開もワクワクする!
    彼女の相手に超能力を知られてはいけないが、自分は断片的に相手の情報を読み取れる前提(ルール?)があるから、その中で道を切り開いていくのが面白い。

    0
    2024年10月24日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    凄く設定に没頭させられた。
    現実の世界がこの設定で動いてたのではないかと錯覚に陥る。
    突飛な展開がないからこそ、設定に没頭できるし楽しめる。
    SF小説にたまにあるしらける時間が一瞬もない。
    見たこともない世界なのに自分の脳みそに焼き付いている情景。
    大好きな作品。

    0
    2024年10月20日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    これまで読んできた筒井作品とは違う印象だったけど、とても面白かった。主人公の波乱に満ちた一生がさまざまな出来事とともに語られる。この厚みの本の中で味わえるとは思えないほどのスケールと話の展開だった。すべてのエピソードがテンポよく飽きさせずぐいぐい進んでいく。それも筒井康隆の文体と語り口のなせる技だと思う。

    0
    2024年10月17日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ジャンルとしてはSFファンタジー小説になるのでしょうか? 文明レベルとしては移動手段は馬や帆船、炭鉱が栄えている程度の世界。科学は発展していない代わりに瞬間移動や他人や動物の心を読めるなどの能力を有するという、ありがちな設定なのですが、今作はそこには重みを置いていません。
    どちかというと、1人の男の生き様が描かれてた作品といえます。生き様というと哲学的に思われるかもしれませんが、「こうあるべき」というような押し付けがましさは皆無です。というか主人公の心情描写が少ないです。その理由としては、男に悩みや葛藤があまりないことがあげられます。更に性格もすごい善人であるとかカリスマ性があるとか、逆に残虐

    0
    2024年10月14日
  • パプリカ

    Posted by ブクログ

    映画はまだ観ていないけれど、原作ということで読んでみた!
    普通に面白かった!でも映画の方が面白いらしいから、早く映画を観たい。
    YouTubeで見た理事長の発狂シーンや素敵な戯言がいつ出てくるのかと心待ちにしていたのに、結局最後まで出てこなかった。かなしい、、、
    キャラクターが良かった!特にパプリカと玖珂。能勢と粉川も好き。副理事長や小山田も読んでいて不快になるタイプの悪役ではなかった。

    0
    2024年10月05日
  • 残像に口紅を

    Posted by ブクログ

    メタ的視線というのを初めて知ったのが筒井康隆の本だったのですが、これはその中でも最たるものだと思いました。後半に進むにつれ、使えなくなる言葉と引き換えにますます筒井先生の文体、語彙量が冴え渡ってとても読み応えがありました。途中はそれに笑ってしまったけど、だんだんと恐怖さえも覚える文章。最高でした。当時はその意図はなかったと思いますが、アルツハイマーなどで言葉が失われていく過程もこんな感じなんだろうなと感じました。

    0
    2024年10月04日
  • 笑うな(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    めちゃくちゃ癖のある短編集(はちゃめちゃSFってジャンルらしい)。
    表題作の「笑うな」は、読んで爆笑した。本を読んでここまで笑い転げたことはないくらい笑った。
    他の作品も、面白かったり面白くなかったり、色々。ちゃんと面白くない作品もあるから、この作品は面白いのかどうか分からないギャンブル性みたいなのも楽しかった。
    個人的には、「傷つけたのは誰の心」、「ある罪悪感」、「赤いライオン」、「駝鳥」、「トーチカ」あたりが面白かった。「産気」は、最後の方まで面白かったのに、オチが本当に残念。
    本全体で見たら、色んな感情になれて面白かったから星5。
    そういえば、世にも奇妙な物語っていう番組に世界観が似てい

    0
    2024年08月05日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    読んでいる中で、何となく違和感がありました。しかし、この違和感は私の理解力の乏しさによるものだと思い、時間が経てば解決する気がしました。この違和感は作者の仕掛けたトリックが明かされる形で解消されました。
    非常に面白い小説でした。ロートレックと恋模様というあまり聞かない組み合わせの中で起こる事件は非常に読み応えがありました。また、200ページちょっとと言う読みやすさも込みでとてもいい小説でした。

    0
    2024年06月25日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    見事に騙された。「ロートレック壮」で次々と殺人が起こる、王道の展開のミステリだが、このトリックは予想できなかった。ラストのどんでん返しと、緻密に張られた伏線の回収に驚嘆。解説文も一読の価値あり。

    0
    2024年06月19日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    SF小説だという触れ込みで読んだ。最初はSF?と思いながら読んでいたが、読み進める内に少しずつ片鱗が見えてきた。
    ストーリーとしては一人の男の旅の話だが、別れて時間が経ってから気づく出会いの大切さが身に沁みた。

    0
    2024年06月09日
  • 残像に口紅を

    Posted by ブクログ

    世界観も設定もすっごく面白くて。
    なるほどなるほどと言いながら読み進めていったら
    最後には。。。
    よく思いつくなーすごい!

    0
    2024年06月08日
  • パプリカ

    Posted by ブクログ

    30年ぶりに読んだが面白かった。こんな前に今でも目新しく感じる精神科領域の物語を書くなんて、筒井氏は流石だと思った。
    映画も見てみたい。

    0
    2024年06月02日
  • 残像に口紅を

    Posted by ブクログ

    非常に面白かった。
    本書は日本語の音(おん)を少しずつ消していきながらもストーリーを破綻させずに書かれた小説である。例えば「あ」が消えたら、以降「あ」を含む単語は使えなくなる。

    私もブログを中心に文を書くし、日常会話でも多く言葉を発している。
    しかし客観的に自己を顧みると、割合限られた語彙しか使っていないことに気づかされる。
    本来は日本語はこれだけ多くの語彙や言い回しがあるのに、無意識に使い慣れている僅かな言葉しか使っていない。
    これはなんとも勿体なく、また文体としても彩りに欠けてつまらないものとなっているに違いない。

    本書は半ばに差し掛かった時、かなりの音が消えていてかなりの制約があるの

    1
    2024年05月28日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ぼくが最初に手にとった小説であり人生に欠かせない小説。もはや人生そのものといっても過言ではないのがこの本『旅のラゴス』


    あらすじは、空間転移という能力をもつラゴスが、とある理由からひたすらに旅を続けるというもの。


    世界観はシンプル。ただ風景描写が異様に精彩でもはや自分が旅をしているようにしか感じません。


    故に、この本は、読むものじゃなくて旅そのもの。


    空間転移の能力をみなが持っている世界なのに基本的に徒歩で旅するラゴス。いく先々で起こる事件や異文化の人々との交流に、心揺さぶられます。

    この本に出逢えたこと、読めたことがもはや幸せです。筒井さん素敵な作品、本当にありがとうござい

    0
    2024年05月25日
  • 時をかける少女

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    話題になっているのはたびたび目にしていました。
    SFものでレトロな文体です。
    時をかける少女がひとつのお話だけじゃないことを知り、びっくりしました。

    0
    2024年05月24日
  • 富豪刑事

    Posted by ブクログ

     名探偵が大富豪なのである。主人公は神戸(かんべ)大助、まだ若手の、一介の刑事に過ぎないのだが、とにかく家が金持ちなのだ。時効真近の五億円強奪事件の犯人逮捕に、社長密室殺人事件のトリック解明に、五百万円の身代金のかかった誘拐事件の解決に、敵対関係にある暴力団同士の一触即発合同食事会の警備に、私財をいくら投じても良いのだ。
     …という設定を生かした大助さんの人物像と捜査手腕を拝むだけでもじゅうぶん面白いのに、奥行きを感じさせるサブキャラ陣の描き方、実験性すらある思い切った省略話法、大胆にメタフィクションで遊ぶ語り口、そのどれもが効果的過ぎて、めちゃめちゃ楽しかった。
     さらに、推理小説界に対して

    0
    2024年05月23日