【感想・ネタバレ】残像に口紅をのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月03日

1、2文字づつ使える文字数が減っていく言葉遊び的な要素の強い小説。
使えなくなった文字を含む単語が存在しなくなるため、主人公が娘の名前、妻の名前と忘れていき、段々と孤独になっていく心情変化が良かった。
1章の範囲では言葉遣いに違和感がほとんどなく、どのように文を構成しているのかが興味深かった。
終盤...続きを読むの使える文字数が10文字程度の辺りからのスピード感が好き。

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Posted by ブクログ 2023年11月26日

筒井康隆さんにだから出来た小説だと思う。
設定が入り込みやすくてページをめくる手が止まらなかった。
英語ではできない作品だと思う。
日本語の多様さが顕著に現れている作品。

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Posted by ブクログ 2023年11月06日

こんなに音が失われているのに、第三部に入るまではしっかりと物語が綴られていて驚いた。正直正しい音で読めていたかわからない。わからない言葉も沢山あった。しかしこんなにも言葉の言い換え、代用は可能なのか。
音が消えると思い出も消える。こんなに悲しく気高い実験だったとは。

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Posted by ブクログ 2023年11月02日

『物語を超越した最早研究の一種のよう』

まさに上記の通り
読み進めるにつれその思いが強まる
感嘆というかなんというか、圧巻

また本の内容と題名がマッチしすぎている

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Posted by ブクログ 2023年10月15日

日本語の素晴らしさを改めて感じることができる小説。
少しずつ日本語の音が消えてく物語を描いているが、英語等の他の言語ではあり得ない、日本語ならではの表現。翻訳すら不可能。日本人にしか読むことのできない本。
別に話の内容が面白いわけではないが、素晴らしいので是非一読して欲しい。

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Posted by ブクログ 2024年02月28日

難しい内容だった。
第二部までは、本当に言葉が失われているのか疑うほど、自然な文章だと感じた。言葉が失われていく中で、登場人物たちの言葉が荒々しくなっていく過程が面白い。第三部からは音が失われているのを実感出来た。また、メタ的発言をしている場面があり、面白かった。

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

壮大な言語実験。

音がひとつずつ消えていく...。
「あ」が無くなれば「愛」も「あなた」もなくなる。
そんな世界での物語。

官能と自伝のシーンは、
言葉遊びの達人ならではの文章でした。

佐治勝男、
言うまでもなく筒井康隆の「ことば力」に脱帽です。

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Posted by ブクログ 2024年02月02日

究極の実験的長篇小説、まさにこの小説のジャンル分けをすれば「実験的小説」に行き着く。虚構と現実をテーマとし、作者と主人公と登場人物と読者の境界線をあやふやにに進めるストーリーが秀逸であった。文字が消えていくことによる喪失感と残像の温かさを味わえる。次はどの文字が消えるのかと考えること、逆に読み返して...続きを読むこの言葉が使えなくなっていると気づくこと、何を表現しようとしているのかと感じること、様々な想像が膨らむ新感覚の小説であった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月23日

世界から言葉が消えてゆく

文字の音(おん)が徐々に消えてゆく小説
それに伴い物質も失われていく世界

そのルールを登場人物が把握しているメタ要素が面白い

天才の発想

読み始めて2度ほど声を出して笑った
これは満点評価だなと思っていたが読者サービスのつもりなのか、エロシーンのあたりから雲行きが怪...続きを読むしくなった

読み終わってみれば、やはりその直前までがピークだったかなと

その後に面白いのは飲食店での描写だけ
注文に苦労した挙句に額面の消えた白い紙幣で支払う様は容易に想像できて笑えた

あとは講演会の様子やラストシーンまで、テンションは下降する一方
文字制限があるから仕方がないしそれを楽しむべきなのだが、それにしても残った音で成り立つ単語の列挙を読むのは厳しい


巻末には、この小説を卒論にした方の音分布データ

すでに消した音が使われている違反箇所が挙げられていた。作品の評価に関わる重大事項だと思うのだが教えなかった?直さなかった?

初出は1989年
2024年でも充分に楽しめた
途中まではね

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Posted by ブクログ 2024年01月03日

読み進めるほどに、これ最後どうなるんだろうドキドキという感情が高まる、そんな小説でした。

話自体は作家先生がいろんな人といろいろするという、なんとも平凡な話なんですが、一つずつ文字が消えていくという仕掛けが面白い。
物語のその文字を使った名前の人やものは消えるのはもちろん、この小説で使われる文字も...続きを読む減っていくので、限られた文字で綴られる物語、なかなかの文章力なのではないでしょうか。

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Posted by ブクログ 2023年11月20日

少しずつ「音(おん)」が消えていく虚構(=現実)の世界。音が消えていくに従ってそれが表す存在も消えていく。作家である主人公は、限られた音でどこまで物語を綴れるのか。
正に筒井康隆ワールド。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月30日

現実は虚構であるというという理論のもと、佐治勝治と津田得治が対話する場面から小説ははじまる。
もしひとつの言語が消滅したとき、惜しまれるのは言語かイメージか。
佐治の理論においては現実がフィクションであり、小説はメタフィクションである。
私がこの小説を読んでいる間、ひとつの言語が消滅するごとに私の世...続きを読む界からもひとつずつ言語が消え落ちていく感覚を覚えた。
ただ私と彼らとの異なる点は、消えた言語やその言語が織り成すイメージを思い出すことができるか否か、ということ。
何かを失ってしまったという事実はどうしようもなく寂しい。

次々と言葉が消えていき、表現に制約がある中でここまで物語を紡ぐことが出来るということに感動。
言語の可能性を感じた。

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Posted by ブクログ 2023年08月14日

途中から言葉が難しくて読むのがキツかった。でも作家の語彙力の凄さと日本語の可能性が見れて面白かった。

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Posted by ブクログ 2024年04月10日

なかなかムズい いわゆる小説ではなかったんだね
講演会のあたり何回読んでも何一つ頭に入ってこなくて言葉って大事だなと。

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Posted by ブクログ 2024年03月20日

他には無い斬新な設定を持ったこの小説は、私にはまだ早かったと思いました。むしろ、早いとかではなく私には一生この小説の魅力を全て理解し受け止められないのではと思いました。
佐治は作家であるからこそ、次々に文字が消えていく中でも巧みに表現していますが、だんだん難解になって行くのがひとつの魅力だと思い...続きを読むます。
普段触れることの無い言葉が沢山あるからこそ、この小説を読んで感じることは他の小説では絶対に味わえないと思います。
唯一無二の傑作です。ストーリーの面白さでいうとそこまで高くないように感じるので、小説好きの方が最終的に行き着くのはこの小説な気がします。

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Posted by ブクログ 2024年03月17日

必須科目を履修したようなきもち。
第二部までは、ほとんど違和感がなく、言葉の表現の幅がすごいなぁとおもったり。

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Posted by ブクログ 2024年03月15日

ある日書店に行くと、文庫本コーナーにこの本が平積みされていた。帯には「TikTokで話題沸騰」とある。
筒井康隆の30年前の小説がなぜTikTokで話題に?
興味が湧いたがその日は購入せず、インターネットでバズった理由を調べた。
有名なTikTokerがこの本を紹介し、日本語の「音」がだんだん消えて...続きを読むいくという設定の斬新さがウケたようだった。
以下、読後の感想。
使えない音がどんどん増えていくにもかかわらず、中盤までまったく気にならず、見出しがなければどの音が消えているかもわからないほど自然だった。
使える音が残りわずかになったとき、どのように小説を終わらせるかがこの本最大の見せ場だが、これも伏線を回収した鮮やかな結末だった。(が→た→ん)
序盤で主人公の口から、「人は言葉自体に感情移入できるのか」という問題提起があった。言葉の持つ意味ではなく、言葉そのものに対してだ。
これについては、やっぱり人間はその言葉が表す対象に感情移入するのだと感じた。
「ゆ」が消えたことではなく、弓子さんが消えたことに悲しさを覚えるのだと思う。
「残像に口紅を」(なぜかいつも「口紅に残像を」と間違える。)というタイトルは、「人が愛しさを覚えるのは人である」という作者のメッセージだと解釈した。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月24日

・筒井康隆氏の本をはじめて読んだ。
・有名な作品。ひとつずつ音が消失していく世界で、どう物語を展開するか。
・途中やや展開が単一で飽きる部分もあったが、最終章の音の少なさからの怒涛の表現は、圧倒される。
・登場人物が物語を展開しながら、自分が小説の中の人間だと自覚しメタ視点で話しかけてきたり、降りた...続きを読む笑いをしたりするのが斬新であった。
・実験的な作品を数多く世に出していることもわかったので、今後別の作品も読んでみたいと思った。

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Posted by ブクログ 2024年02月20日

読むのにかなり時間がかかった
もちろん相性もあると思うけど、1番はわたしの知識不足だと思う
1文字ずつ平仮名が失われていく中で、作者の筒井さんの巧みな日本語で違和感なく読み進めていける
同時に知らない言葉も多く、こんなにたくさんの表現があるのに限られた言葉で生活している自分を残念に思った

「残像に...続きを読む口紅を」本文で触れられたシーンが1番好き、言葉は伝えられときに伝えること

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月30日

文字が無くなっていく、という事実をこんなにもゆるやかに感じることが出来ると思いませんでした。1ページ目から1文字失われた状態ではじまる物語は驚くほどに違和感のないものでした。
私たちの生活は、以外にも今現在使用している言葉が少し無くなったって成り立つのだと実感したと共に、文字や言葉がより生活や芸術、...続きを読むコミュニケーションを豊かにしてくれていると思います。
先ほど違和感がないと記載しましたが、違和感があるべきはずなのに違和感がないという違和感が今じわじわと襲ってきております。

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Posted by ブクログ 2024年01月24日

世界から言葉が一音ごとに消えていく話題作。
そういう病気、そういう世界、とかではなくて、主人公≒作者がメタ的に消していく。その点と、普通にストーリーがあまり面白くなかったのが残念。誰か現代版でリメイクしてくれないかな。

言葉が消えて不自由になっていくさまと、それに対しての主人公の切り抜け方は面白い...続きを読む
あらゆる感動を「エモい」に集約してしまう勿体なさを感じる。
関係ないが、「言葉狩り」もこの作者の著書から生まれた論争らしい。

言葉が消えるとだんだん詩のようになっていく。
だけど詩は五十音が使える中で、あえてあのような表現をしている。

作中で流暢な英語を使うことはできたのだろうか。
Peopleがピーポーでもピープルでもあるのは、そもそも英語をカタカナで表記できないということなのではないか。

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Posted by ブクログ 2023年11月26日

無くなってから大切だと気づくものもあると思う。
でもそれでは遅いのだろう。

言葉だけでなく、無くなるとわかっているもの。
例えば卒業や、引退、退職、死もそうかもしれない。
未来に無くなるとわかっていることに対して、
どれだけ今に集中出来るか。

内容は最初は良かったけど段々と分かりづらくなり理解し...続きを読むにくくなってしまった。
また再チャレンジしたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年11月18日

小説(物語)というよりも言葉遊び的な側面が強いが、本書で言及されているように小説は自由なものだし、こういうのもいいのかもしれない(多分こういう反応を予想してあえて同書内で言及したものだろうが)。
ちょっとやってみたくすらある。
妻子の消失、情事、伝記はそれぞれ使える文字がどんどん減っていっているのが...続きを読む演出効果になっているし、ラスト部分の疾走感も良かった。
ただ、流石に技巧が前面に出過ぎている感は否めない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月08日

発想と実行はすごいと思う。
ただ物語として面白いかと言えば正直否である。

娘はいなくなるのに切符は言えないだけのような
設定の矛盾も気になる。
一文字でもなくなれば存在がなくなる方の設定に従えば
きがなくなった時点で切符どころか地球や空気もなくなるのでは。
主人公が小説家という設定自体は自ら実験的...続きを読む
悲痛に思いつつも淡々と事を進めていくのが面白いとは思った。

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Posted by ブクログ 2023年10月07日

作者の語彙が豊富すぎて第二部の半ばまでは、違和感を感じなかった。ただ同じ意味を表す平易な表現は消滅しているからか、難しい言葉が多く読むのに時間がかかった。第二部の終盤になるとさすがに使える文字がかなり少なくなり、佐治を含む登場人物の性格がどんどん雑になっていき、短絡的な思考であるように見えてとても面...続きを読む白かった。
第三部はもう使える文字がほぼ無い。短い文章が連なっており、その間にも文字が消滅していく。しかしだからこそ、臨場感が伝わってきた。鉄鋼のハイツに登り、上から街を眺めているときの、その一瞬一瞬の目まぐるしく移り変わる思考と、佐治の目に入る物体の数々が羅列されていて、緊張を一緒に体感できた。
そして最後はなにかが崩れる音だけになり、「ん。」と残して物語が終わる。作品を通して常に言葉を巧みに操っていた佐治が、最後は1人断崖で倒れ呻き声を上げて終わる、なんとも秀逸なラストだと思った。

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Posted by ブクログ 2023年08月22日

実験的小説とはよく言ったもので、よくこんな条件で書き上げたものだと思う。
作家さんってやはり言葉のプロなのだなぁ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月11日

実験小説なのだ。そういう認識で読まなくてはいけない。純粋にストーリーのおもしろさを期待する人には向かない。あと、子供にも(中盤に濃厚なエロスがある)。

どんなことができるかを作者が模索し、楽しんでいるから、
『日常の場面でことばとそのことばを使う物事が消えていく困惑と不便』のストーリーだけではなく...続きを読む
『文字不足縛りで情事を書くならどう表現するか』
『さらに言葉を絞った上で短編小説への私観を述べるならどう言葉を使うか』
『自伝を書くなら〜』
とさまざまな試みのために場面が度々飛んでしまう。
内容も、とっ散らかったり、気分が良くない機能不全家族の過去だったりとそんなにはおもしろくないし、爽快感もない。
これは、文字がなくなっていく中で、「残された文字でこの物事をこんな言い回しにするとは…」とか「本当は何を表現したかったんだ?」と、ひとつひとつを楽しむものなのだと感じた。

50音表を用意して、文字が消えるたびに消していくと楽しめると思う。
そうでないと、作者の語彙力が素晴らしすぎて、わりと終盤まで不足なく(何がなくなったかをあまり意識することなく)読めてしまうので、ことさらに内容がつまらなく思えてしまう。

それにしても、最終盤の最後はさすがの回収ぶりで、少ない文字数で無理やり気味にでも話を進め、見事に畳んだ感動がある。最後、2文字や3文字になったらどうするんだろうという不安を、見事に収めて見せてくれる。
さすがだった。

あと、文字がなくなるごとに、その文字を使う動物の絵が切り取られていくのだけれど、切り取られた身体の部分がいちいちその文字のカタカナの形になっている遊び心が気が利いていた。

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Posted by ブクログ 2023年06月27日

実験小説。

世界から、文字が、言葉が消えていく。
そんな設定に魅せられてこの本を手に取って呼んでみた。
確かに最初は面白い。あとは言葉がなくなってもここまで描けるのがすごいと感服。

だけど、後半くらいからこれはちょっと無理があるんじゃないかな?と思う内容に。
正直読んでてて飽きてしまったかな。

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Posted by ブクログ 2023年06月18日

前半は面白かった。あれがなくなったんだな。これがなくなったんだな。と考えながら読めた。後半は自分の語彙力が足りないためか面白くなかった。本文中の店員さんみたいな感じで読んでいた。

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Posted by ブクログ 2023年09月22日

遡ること約8年、中学校時代に聡明な友人から勧められた一冊だが、悲しいかな私はそれ程優秀な脳みそを持ち合わせていない。題名を覚えられず、手をつけずに来て21歳になろうとしていた。
先日、長野県松本市に進学した、中学時代とは別のこれまた思慮深く知見の広い友人を訪ねた際、共に本屋に立ち寄ってようやくページ...続きを読むを手繰り始めた次第。筒井康隆の書く文章は別にそれ程難しくない。難しくないのは確かなのだけれど、内容がどうも複雑な気がするので、悪くなった果物みたいに内側が黒くぐじゅぐじゅになってしまった頭では完全に理解できていないのです。
けれども、失われていく語彙のなかで違和感なく言葉を綴っていくその熟練した技術は、私にもわかる。さすが作家さんは凄いわといった感じ。超虚構という前提も秀逸でした。小説を成り立たせるキー。
さて、私は筒井氏に倣い、1つの平仮名を使わず文章を書こうと試みた。空から落ちて植物の渇きを癒し、何物にも平等に降り注ぎ、全てをぐしょぐしょに濡らしてしまう。その言葉の最初の文字。やってみたは良いけどかなり神経を使う。筒井康隆って化け物じみた文才を持ってるのね。真似できないよ。

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