【感想・ネタバレ】残像に口紅をのレビュー

あらすじ

「あ」が消えると、「愛」も「あなた」もなくなった。ひとつ、またひとつと言葉が失われてゆく世界で、執筆し、飲食し、交情する小説家。筒井康隆、究極の実験的長篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

世界から1文字ずつ音が消えていく

あまりにもインパクトのある謳い文句の小説があると教えてもらってすぐに買った本。音が消えていってしまうから仕方がないのだけれど、とにかく出てくる言葉が難しい。まじで難しい。わからない言葉が多すぎて、ずっと読書のお供はグーグルレンズだった。(グーグルレンズがある便利な時代に生まれられた幸福を再認識した。感謝。)読み進めるのに頭も時間も使うから、まったくさくさく読めず、読む事自体疲れるのがわかっているからたまにしか読まずで、何年もかけて読む羽目になった。(勿論良い意味で)

ストーリーは正直突飛に感じてしまう部分もあったけれど、1989年に発売しているらしいので、時代とか文学の流れみたいなものが違うのかなあと思いつつ。音が失われていくにつれて世界も登場人物もどんどん崩壊していく感じがなんとも。

なにより驚いたのは執筆をワープロでしてたってこと。考えてみればそりゃそうなるのかって気もするけど、今のパソコンでワードなんかで話を書くのとはわけが違うはず。赤い並々線が引かれる添削機能なんてのもないだろうし。そんな中こんな実験的小説にチャレンジして、消した音は出てこないように調整しながらストーリーを成り立たせてって…凄いなあと、最後の解説を読んで改めて感じた。(小説の最後にある「解説」、だから好き)

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何十年ぶりかで筒井康隆の本を手に取った。
本の帯に「TikTokで話題!」などと書いてあり、そう言えば読んだことなかったな。と思って読んでみた。

世界からどんどん文字が消えていき、その文字で表されていたものは表現できなくなり、表現できなくなると消滅する。
例えば、「ぱ」という字が消えると、「パン」の存在が消えるので、こうなる。

「おれたちは中年だからね。起きてすぐのお茶漬ってのはうまいものさ。でも若いひとなどは違うだろうね。柔らかく、口と胃に軽い、すばらしい食べものを食べるだろう。君も好きで、よく食べていた筈じゃないか。でもその食べものは、この物語からはもう失われたんだ。君は二度と、今君がぼんやり意識しているその香ばしい、ふんわりした食べものを食べることはないだろう。」(26ページ)

「パン」の2文字を書けないために、こんな素敵な描写が生まれるとは。書くことを禁じられたために、対象物の魅力が際立っているようにも見える。
そしてこんなふうに、消えてしまったものを遠回しに残った字で表している場面に出会うと、「これはなんのことを言っているのか?」と正解を探したくなる。
例えば、フランス文学全集の中の、「脂肪の塊」「女の一生」を書いた自然主義の大家の巻とは。
例えば「いつも好んで買っていたウイスキイの、消えた母音の長音を必要とするその種類の、消えた半濁音を必要とするその銘柄の瓶」とは。
折しも、読書仲間が同じ時期に同じ本を読んでいたため、答え合わせに盛り上がった。

だんだん使える字が減って行き、最後の章は、残された数少ない文字を駆使して主人公が自分の身の上に起こっていることを描写するのだが、何を言っているのか支離滅裂で、ほぼダジャレのような言葉の羅列ばかりになり、おかしかった。

しかしとにかく、読みにくい!
読み終わって、ようやく苦行から解放された気分。
そして本の帯にあった「究極の実験小説」には同意したけど、
「最高に切ない恋愛小説」?? 恋愛?どこが??
売らんかなのこのキャッチコピーは、ダメでしょう。

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

音が次第に消えていく中で、ここまで読める文章を作れるのはすごいなぁと思った。

導入ですでに「あ」が消えているという魅せ方には感動した。うわっほんとやってなった。
娘が消えるシーンの口紅を残すというフレーズおしゃれすぎる。

難解な物語だった。いろんな本を読んで再読したい本。

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2025年11月02日

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