あらすじ
タイム・マシンを発明して、直前に起った出来事を眺めるというユニークな発想の『笑うな』。夫の目前で妻を強姦する制服警官のニューロイックな心理『傷ついたのは誰の心』。空飛ぶ円盤と遭遇したSF作家の狼狽ぶりをシニカルに捉えた『ベムたちの消えた夜』。ほかに『赤いライオン』『猫と真珠湾』『血みどろウサギ』など、スラップスティックでブラックな味のショート・ショート34編。
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ癖のある短編集(はちゃめちゃSFってジャンルらしい)。
表題作の「笑うな」は、読んで爆笑した。本を読んでここまで笑い転げたことはないくらい笑った。
他の作品も、面白かったり面白くなかったり、色々。ちゃんと面白くない作品もあるから、この作品は面白いのかどうか分からないギャンブル性みたいなのも楽しかった。
個人的には、「傷つけたのは誰の心」、「ある罪悪感」、「赤いライオン」、「駝鳥」、「トーチカ」あたりが面白かった。「産気」は、最後の方まで面白かったのに、オチが本当に残念。
本全体で見たら、色んな感情になれて面白かったから星5。
そういえば、世にも奇妙な物語っていう番組に世界観が似ているな。
Posted by ブクログ
筒井康隆のショートショート、大好きだ!
ところどころで滑ってるものもあるけれど、そんなんはどんな芸人でも一緒だでね。
なんていうかもう、「会いたい」では、胃の奥がぐるぐるするほど泣いた。すてきなことに定評のある筒井康隆の短編の中でも、ド級にすてき。この一編のためだけにもう一冊この文庫を買おうか迷ってしまうよ。
しかし!人におすすめしても100%大絶賛が返ってくるとは限らないのが筒井康隆あるある……。なので、このたまらなくすてきなショートショートが心にびんびんくる人に、もっともっとこれからも届いていくといいな。いいな!
Posted by ブクログ
短編集。
一番初めに収録されていたのが、表題の「笑うな」。これを読んだだけでこの本を書いた人間が天才なのだと分かるはずだ。誠実に今の時代にSFを書くとこうなる、というのを教えてもらった気分。
Posted by ブクログ
同じような各編様々な趣向凝らした短編集として
先に読んだ『冷蔵庫より愛をこめて』と比較してしまうと
どちらが優れているか明確
小説の評価軸というものを感じてしまう
比べてはいけないかどうかはもどかしい
Posted by ブクログ
再読。
しかも、以前持っていて売られてしまい、探していたら古本屋で見つけた。
やっぱり、表題作は何度読んでも笑える。
小1の娘に読んであげたら、笑っていた。
こういう本はすごい。
Posted by ブクログ
「百年の孤独」の解説が筒井氏で、久しぶりにあの文体に接して、やはり久しぶりに再読した次第です。
高校時代、相当沼にハマり、新潮文庫を買い漁り読み漁り…その中でも大好きだった「男たちのかいた絵」「俗物図鑑」七瀬シリーズ…そしてこの、「笑うな」。
やっぱり好きですね。
このショートショート集の中でも好きなのが、表題作の「笑うな」、「トーチカ」「産気」「流行」。「傷ついたのは誰の心」は、あらためて読むと筒井版「藪の中」ですね。
何でしょう、この独特のユーモア。やっぱり好きだなあ。
この本、一生手放せません。
Posted by ブクログ
笑うな、というキャッチーな題名に惹かれて手に取った作品。
笑うななんて言われましてもひとつひとつがコントの台本かと見間違うほど面白い、滑稽で惨めに見えるキャラクターが沢山出てくるものばかりで思わず笑ってしまいそうになる話ばかりだった。
けれど少し冷静になってみると、その滑稽で惨めなキャラクター達は自分と重なる部分が多いと気づいた。
そして改めて読んでみると肝が冷えたというか、全く笑うことなんて出来なかった。
誰の心にもあるであろう欲目や驕りなどの要素を恐ろしいほどに面白可笑しく書かれていた。
無意識のうちに自分が沢山の偏見を抱えてがんじがらめになっていること、自分が誰かを反面教師にしようと決めた時誰かもきっと自分を反面教師にしようと決めているであろうこと、慢心が傍目に映る醜さなどに気づけた。
欲に足元を絡め取られることのないように、本質を見極めようと慎重に過ごしたいと思わせてくれた本。
会いたい、と座敷ぼっこの2つが個人的に好き。
Posted by ブクログ
小気味よくスムーズに読める。
創造性に全振りしないとこんな作品書けないです。
好みだったのは以下8つでした。
最初の混線
廃墟
赤いライオン
猫と真珠湾
ブルドッグ
トーチカ
座敷ぼっこ
産気
Posted by ブクログ
好きな話とそうでないものとそれぞれあり面白かった。表現方法も一つではなく話によって変わる時があり驚いた。
『トーチカ』が表現と皮肉が効いて面白い。
Posted by ブクログ
面白いしそんなにボリュームがあるわけでもないけど、読むのに時間がかかった。
ショートショートオンリーというよりは短編読み切りぐらいのサイズ感な話も結構あり、バリエーションも多く楽しめた。
ブラックジョークの度合いもちょうどいい。
Posted by ブクログ
筒井康隆が読みたくて著者名からなんとなく見つけた一冊。SFでショートショートなだけあって星新一と似てるなと思う作品もあったけど、こちらの方がブラックユーモアが鋭く、「傷ついたのは誰の心」「セクション」が衝撃的だった。
Posted by ブクログ
出張先で買って空き時間に読んでいました。とてもちょうどよく面白かったです。
クスッとなるのとヒエっとなるのとしんみりするのとふと考え込んでしまうのとが心地よいバランスでした。
ショート・ショートってやっぱり好きだなぁ。
Posted by ブクログ
短編34編。中には見開き2ページというすごい(?)ものもあったが、どれも面白い。落語にインスパイアされたオチに、相変わらずのドタバタナンセンスに、思わずニヤリとさせられた。解説の横田順彌は管見にして知らず。ハチャハチャSFには興味がないが、明治研究の著書は読んでみたい。
Posted by ブクログ
グロい(;゚Д゚)と思いながらも読んでしまう話もあり、惹きつけられた。
最後の一文で笑ってしまう話もあり、電車の中で読んでたら危なかったかも笑
Posted by ブクログ
ブラックユーモア主体の短編集。寓話の駝鳥、郷愁が優しい座敷ぼっこ、厨二病どっぷりのトーチカ、禁忌の末世法華経など表現に幅がありすぎるのにどれもきちんと作家らしさが立っていて素晴らしい。どの話もオチてるのかそうでないのか、という〆方が小粋ですき。
Posted by ブクログ
最近、星新一を読んだあとだと筒井康隆はやっぱり、毒あるなぁ。でも、そのサディスティックな話ほど頭に残ってしまう。
数ある短編の中から、気になったものを抜粋すると、
「傷ついたのは誰の心」
えぇ。。。駅員に暴行されまくる短編並みにエグい。
不倫されるわ。傷つけられるわ。もう、キツイ。
「悪魔を呼ぶ連中」
わかるー。何度同じことをしていたら成功しても、
失敗と思っちゃうよねー。
「最初の混線」
たまにあるタイムスリップもの?
オチがよいね!
「流行り」
やはり、藤子不二雄短編集にありそう。
普通にスルーしてたけど亭主関白の日ってなんだろう?
「廃墟」
最後に意味がわかった。
男しかいない種族の話。
知らないって辛い!
「接着剤」
万能すぎる!!
「チョウ」
スケールがデケェ!!オチがちょっとよくわからなかった。
「産気」
お後がよろしい様で。
珍しく、オチがわからないのが多かった。
うーむ。
Posted by ブクログ
ユーモラスなもの、ブラックなもの、ロマンチックなものまで多種多様なショートショート34編が詰め込まれている。
多様であるがゆえに、普通にショートショートらしい意外な結末を楽しめるものもあれば、眉をひそめるようなもの、何を書いてあるのか理解できないものもある。50年も前の本なので、当時としては実験的だったり過激だったりするのかもしれないな、と思うこともあったが、実際のところはよくわからない。
要するにレビューに困る。
万人にお薦めというわけにはいかないかもしれないが、とりあえず筒井康隆という作家の攻撃範囲の広さを感じるにはよい本だろう。
Posted by ブクログ
表題作「笑うな」を筆頭に、ブラックコメディや不条理、ドタバタなどユーモア色強めの短編集。
「廃墟」と「会いたい」が非常によかった。「廃墟」は筒井らしい不謹慎な笑いで爆笑。「会いたい」はポエミーで幻想的、あまりにも美しい。
もっとも、残念ながらそのほかの作品は特に刺さらず。シュールすぎて何が面白いのか分かんないのとかも結構あった。
Posted by ブクログ
仏人の友人が修論で『ベムたちの消えた夜』を翻訳すると聞き読んだ。
ショートショートだからサクサク読み進められるしどれも面白いけど、ミソジニーキツめの表現も多くてあーねとなる。
Posted by ブクログ
知性と悪ふざけが共存する作品で、今読むと女性蔑視と捉えかねない話もある一方で「妊娠はどの仕事より尊い」という発言もあり、その振り幅の広さに驚かされます
どんなに悪ふざけがあっても次のお話へと読み進められるのは、著者の視点が多様だからでしょうか
Posted by ブクログ
かなりクセのあるショートショート集。
頭の中が「???」となったり「過激では…」と心配になるような作品が多数。
理解しがたいのに、なんか読み続けてしまう。
もはや面白いとか面白くないとかは関係なくて、筒井ワールドを楽しむための本だと思う。
普通の物語に飽きたらまた読みたくなりそう。
Posted by ブクログ
良くも悪くもくだらない。
“アニマ”について妙に詳しくなった。
当時の感性じゃないと笑えないものも多い中、『マイ・ホーム』なんかはFIREの苦しみを描いてたりして、今に通ずるものがあったりもする。『産気』も今のジェンダー論争に刺さるものがあって感心してたらオチがアホすぎて呆れてしまった。
とにかくキレキレだったのは末世法華経。こんなにファニーでシニカルな創価学会批判を見たことない。
Posted by ブクログ
ほぼ50年前のショート・ショートは、今読むとどうなのか? といろいろ想像しながら手にしました。筒井康隆さんの作品は、初期作を何冊か大昔に読んだ記憶だけで、パロディやドタバタ喜劇、SFを得意としているイメージです。エンタメや純文学作品も手がけ、大分幅広い作風なのかな?
ブラック、ホラー、シュール、エロ、グロ、寓話、風刺‥、何でもありのイメージの34篇。いろんな芸人さんが次々登場し、漫才を披露しているような感覚でした。内容によって、或いは作品全体として好みが分かれるのではないでしょうか。
ただ、PCもケータイもない時代、漫才ブームも到来する以前に、よくもまぁこんなぶっ飛んだ話が書けたなと感心します。当時としては、過激な部類に属する作品群だったのではと推察します。刺激の強い星新一さん?といった感じでしょうか‥。
今は、様々なことに配慮を求められる時代なので、不適切扱いされる表現もあるやに感じました。筒井康隆さんは、時代を先取りしていたのかもしれません。人間観察力、洞察力に優れていなければ決して描けない世界が広がっている気がしました。
筒井康隆さんがこの後、谷崎潤一郎賞、川端康成賞、菊池寛賞、読売文学賞、毎日芸術賞などなど、多くの名作を発表した事実が信じられないのですが、機会を見つけ手にしてみましょうか‥。
Posted by ブクログ
著者のショート・ショートや短編小説など、34編を収録している本です。
巻頭に置かれている「笑うな」は、タイム・マシンを発明したという男の物語です。ナンセンス小説なのですが、このアイディアで一編の短編小説を生み出してしまうのは、容易なことではないとうならされました。
「ベムたちの消えた夜」は、火星の探査によって生物が存在しないことが明らかになり、日常から離脱するような想像力の生きる余地がなくなっていく世界に諦観をおぼえつつあるSF作家のある日の出来事をえがいた作品です。著者のアイロニーの感覚がよく発揮されているのですが、それとともに澄み切った気分がもたらされるような、不思議な読後感が印象にのこっています。
わたくし自身にとって、著者の作品で好きなものとそうでないものがはっきりと分かれることを再確認することになりました。文明批評的なアイロニーが効きすぎている作品があまり好きでないことはうすうす気づいていたのですが、なかには例外もあることがわかったのは、個人的には大きな発見だったように感じています。
Posted by ブクログ
学生時代に読んだ本を、この度再読しました。
ショートショートと言えば、同じくSF御三家と言われる星新一さんのイメージが強いのですが、筒井康隆さんのショートショートはブラックな作風のものが多く、それがまた面白い!
学生時代はこの面白さが分からなかったように思います。再読してよかった!