筒井康隆のレビュー一覧

  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    映像が浮かんでくるようなSF小説。
    前半は様々な超能力者との出会い、後半からハラハラの怒涛の展開で目が離せなくなります。
    別れが切ない。

    0
    2022年05月01日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    七瀬三部作の最終章。
    前作では、超能力者の仲間たちが抹殺され、七瀬自身もかなり危険な状況で終わってしまった。
    この本では、七瀬はある名門高校の教務課職員として働いており、前作からどのように生き延びたのか、暗躍する組織もまったく触れずに物語は進んでいくので、七瀬が主人公であるものの、スピンオフ的な作品なのかと思いながら読んでいきました。
    (最後の方でその謎は解かれるのですが)

    不思議な力で護られている高校生の香川智広。そして七瀬は自分の意思か何かの意思の力で智広と相思相愛の恋愛に堕ちていきます。(今まで男性を避けてきた七瀬がそうなることに少し嫉妬した)

    さてさて、内容は詳しく書けないのと自分

    0
    2022年04月25日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「旅することが人生に与えられた役目」
    現代文明滅後、人類は古い時代に逆戻りした不便さを超能力でカバー。小説は遊牧民の生活と集団転移から始まる。「王国への道」ラゴスは廃宇宙船の本を収めたポロ盆地で本を読破。故郷に帰り叡智を人々に授けた後も旅は続く。愛蔵書。

    0
    2025年11月29日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ここまで平易にハイデガーの『存在と時間』を読み解くことができるのかという驚きの一冊。現存在が気遣いの存在であり空文を駆使して生きているが、そこから本来の生に戻してくれるのは死への不安である。一方で、死を絶対化していいのかという否定神学批判が展開されるのが、その後のポストモダンの思想であるというのが私なりの理解。
    解説は大澤真幸によるキリストの二重性(生きて死んだ神)に着目したもの。頽落したキリストの弟子たちの話を書くことで『存在と時間』に話を合わせつつ、死への恐怖から神に祈りながらも結局殺されるキリストを描く。復活しては元の頽落に戻ってしまうので、あくまでも死ぬときの重要性を強調する。しかし復

    0
    2022年04月01日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ある日、少年の頭上でボールが割れた。音もなく、粉ごなになってーそれが異常のはじまりだった。強い”意志”の力に守られた少年の周囲に次つぎと不思議が起こる。その謎を解明しようとした美しきテレパス七瀬は、いつしか少年と愛しあっていた。初めての恋に我を忘れた七瀬は、やがて自分も、あの”意志”の力に導かれていることに気づく。全宇宙を支配する母なる”意志”とは何か?
    ー文庫うらすじより


    もの凄い本を読んだのかもしれないと思いました。
    『七瀬三部作』第三作。
    私と同じ昔の田舎の高校生だった親友のAちゃんが「読書は苦手だけど七瀬のシリーズだけは好きなの」と言っていた七瀬三部作。
    前にも書きましたが、こんな

    0
    2022年03月13日
  • パプリカ

    Posted by ブクログ

    まず最初に映画を観ることをおすすめしたい。
    厚い本であると同時に専門的なことが詳細に描かれているので、映像でイメージできないとギブアップしそう。

    映画が好きで原作も読んでみたが、世界観重視の映画ではわからなかった細かい設定や経緯もよくわかってすごくよかった。
    夢と現実が混濁した世界を文字だけでこうも表現できるのは、流石文学界の巨匠といわれるだけあるなと感服する。
    専門用語も多く、読み返すと理解が深まったり新しい発見が出来そう。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢と

    0
    2025年04月14日
  • 短篇小説講義  増補版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     昭和を代表する小説家筒井康隆の短編小説論。きらめく宝石のように、小説についての名言がならぶ。ほぼ引用で要約するしかない。(下記は増補版ではなく初版の感想)

    ・「小説というものはいうまでもなく、何を、どのように書いてもいい自由な文学形式なのだ。意外に思われる読者もおられようが、実は小説というのは最も新しい文芸ジャンルなのである。小説以前から存在した詩や戯曲などの形式による拘束、・・・、そうした形式上の束縛を嫌い、より自由に書こうとして生まれた文学形式ことが小説だった筈なのである。」
    ・しかし、特に短編小説の傑作は、生まれにくくなっている。第一に、芸道化(お稽古ごと化)している。第二に、韻律の

    0
    2022年01月04日
  • 幻想の未来

    Posted by ブクログ

    手持ちの筒井康隆短編で一番好きかも。
    暗く苦しいような重めの表現と、アホらしくて笑えるような軽めの表現のバランスが良かった。
    登場する生き物の醜さが愛おしかった。

    0
    2021年12月31日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    七瀬3部作。
    高校生の時に読んで、忘れられない作品。
    大人になって読んでもやっぱり面白かった。
    こういうのは本当にすごい。

    0
    2021年12月20日
  • 家族八景 下巻

    購入済み

    こわい、こわすぎる

    紅蓮菩薩も亡母渇仰も。母親の怖さがじわじわきて怖い。夫婦も親子も関係がなかなか断ち切れないだけにタチが悪い。マンガ化してくれて嬉しい。

    #怖い #ダーク #シュール

    0
    2021年11月19日
  • 家族八景 上巻

    購入済み

    繊細な絵と家族の内情

    きれいなタッチの絵で描かれる家政婦七瀬ちゃんが覗き見る家族の内情。心の声が聞こえると、どこも闇が深い。二番目の汚部屋の大家族は臭いまで漂ってきそうだ。

    #シュール #ダーク #深い

    0
    2021年11月19日
  • 文学部唯野教授

    Posted by ブクログ

    大学内のポストをめぐる権力争いのパロディと、文芸批評論の講義のコントラストが秀逸。
    特に、実際の講義を模した文芸批評論は、文芸批評の歴史的な流れを追いながら、具体的にどんな「批評」を展開したのかということの、たいへんわかりやすい解説になっている。
    作中、「後期の講義内容」として取り上げられる予定のコンテンツが述べられていたが、その講義はもちろん、作家としてのその後の「唯野教授」も含め、ぜひ続編を期待したい。

    0
    2021年11月11日
  • 繁栄の昭和

    Posted by ブクログ

     連作短編なのかと思えばさに非ず。しかし、冒頭の3編、表題作と「大盗庶幾」「科学探偵帆村」には相通じるレトロモダンな雰囲気がある。
     感心したのは「一族散らし語り」。過去作の「遠い座敷」「家」など、日本家屋に漂う薄気味悪さを書かせたら、他の追随を許さない。
     巻末「附・高清子とその時代」、色褪せぬ情熱に圧倒された。筒井先生、意外に愛妻家なのですね。
     冒頭、高清子が踊るという「エノケンの孫悟空」を YouTube で視聴する。画質が悪くて美貌が見て取れない。

    0
    2021年09月09日
  • 創作の極意と掟

    Posted by ブクログ

    創作に関する技法や覚え書きを書いたもの。エッセイ。
    実験作と言われる文学が読みたくなった。

    「反復」の章は自作『ダンシング・ヴァニティ』の解説。映画・演劇では当たり前の技法である反復を小説に持ち込んだ実験作ということ。その反復の種類を解説している。

    「人物」小説の人物リストを作るのは小説の楽しみ方のひとつ。500人が登場するトルストイ『戦争と平和』、リアリズム小説のゾラ『ナナ』など。

    実験小説として書いた作品。『虚人たち』は「省略」というごくごく当たり前の技法を使わず、原稿用紙1ページを1分として正確に置き換えた実験作。
    『残像に口紅を』は使用できる文字を制限する実験作。これが遊戯なのか

    0
    2021年07月30日
  • 定本 バブリング創世記

    Posted by ブクログ

    やりたい放題。
    筒井康隆さんでなければ途中で読むのをやめていたかも。
    常時、オチに期待しながら読んでいましたが、裏切られた部分も多い。

    ただ、実験的な小説は好きなので星5。

    0
    2021年05月24日
  • 虚航船団(新潮文庫)

    ネタバレ 購入済み

    不思議と引き込まれる怪作

    知人からの推薦で購読。夢中で読み進めた。

    「読めるんなら読んで見ろ」と威嚇されたような初印象。
    実際に読みづらい。しかし、引き込まれる奇妙なテンポがある。
    作者の文章力か自分が波長があったのが良かったか、両方か。
    三章は特に読みづらいながらも、視点などが切り替わる前後が支離滅裂とは思えないし、前者が大きいだろう。
    作者の自己主張も同様に直前の展開、作者の自己投影物である文房具の軌道と象徴の反芻も兼ねている。
    一方でこれは賛否両論と言われれば確かに納得である。

    一章、二章とカリカチュアに笑い、あるいはヒヤリとしていると
    三章で耳元にまで接近された作者に息を吹きかけられたよ

    #ドロドロ #切ない #ダーク

    0
    2021年05月13日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

    Posted by ブクログ

    久々の筒井康隆。50年以上前の初期短編集だけど全く古びない毒の強さは流石、公共伏魔殿なんかむしろ今こそ読まれるべき。そして人が死ぬ描写のリズミカルさは爽快的でいつも笑ってしまう。

    0
    2021年01月31日
  • 富豪刑事

    Posted by ブクログ

    ミステリーとしてではなく、エンタメ、コメディとして読む本。
    独特の言い回しが筒井康隆好きにはたまらない。

    0
    2021年01月27日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

    Posted by ブクログ

    シュールな世界とあっさりとした幕切れが特徴の短編集。地殻変動で住める場所が日本しか無くなった世界で、世界各国の首脳や有名人達が1つのバーで会話を繰り広げる『日本以外全部沈没』や、大阪の居酒屋にやってきた宇宙人と、テレビのドッキリ企画と勘違いする客達が作り出す狂気を描いた『ヒノマル酒場』など、それぞれの独特な世界が楽しめる1冊なのでおすすめ。

    0
    2021年09月03日
  • 読書の極意と掟

    Posted by ブクログ

    筒井康隆さんが、幼少期から読んできた本を年代別に紹介している。
    本書を読んで、読みたくなった本を下記に記録しておく。
    デュマ『モンテ・クリスト伯』
    ウェルズ『宇宙戦争』
    ハメット『赤い収穫』
    フィニイ『盗まれた街』
    三島由紀夫『禁色』
    シェクリイ『人間の手がまだ触れない』
    オールディス『地球の長い午後』
    フライ『批評の解剖』
    イーグルトン『文学とは何か』
    幼年期から、読書が楽しみという疎開生活に始まり、役者になるために書物を読み漁り、やがて作家になっていく。書物が人を育てていくような物語を感じる。

    0
    2020年12月23日