筒井康隆のレビュー一覧

  • 聖痕

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    ネタバレ

    聞き慣れない難読な単語が多く、注釈でそれぞれの意味が記されているがそれでは足りない程難しく書かれている。一つ一つ意味を確かめながら読む時もあれば、なんだかスルスルとその漢字が持つ空気感だけで意味を感じ取り読み進める時もあった。ラストに印象的に示されたスケープゴートがこの作品の主題であって、それを表す事に、ここまで詳細に1人の人生、貴夫の人生を書き連ねて行く事を果たして筒井さんの他誰ができるのでしょうか。性の根源を切り取られた男性、貴夫がどのような生涯を送るのか、読者として簡単に想像を細かに組み立てられる人は殆ど居ないと思います。ああ、そりゃこうなるよね、当たり前だよね、と読み進められるはずはな

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    2022年12月02日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    七瀬さんに幸せになってもらおうと、作者である筒井さんは、本書に登場する「意志」の如く振る舞ったのだと感じました。
    人間の心理描写に秀でた作品とのコメントがあったのがきっかけで『家族八景』を読み始めた物語でした。七瀬さんの話は、いつもまでも続いてほしいという思いもありますが、ここで終了のようです。まだ続きも描けそうですが、筒井さんはどうお考えなのでしょう?
    しばらく、筒井康隆さん作品を読み漁るというマイブームは続きそうです。

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    2022年11月09日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    人の心を読むことができる七瀬さんを主人公にした小説。『家族八景』に続く二作目にあたる。前作では孤独な超能力者だった七瀬さんは、同じような能力を持った人たちに出会う。
    仲間はできたが、敵がいることもわかる。超能力者の根絶を目指す組織があるようだ。仲間との安住の地は、戦場へと変わっていく。
    ひやぁー こんな終わり方をしてしまうのか。
    さっそく、三作目である『エディプスの恋人』を読み始めることとする。

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    2022年11月07日
  • 富豪刑事

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    アニメの富豪刑事が3周してしまうほどとても面白く、原作も気になったので購入。

    アニメと原作では神戸大助自身、登場人物、設定など全く違ったので最初は戸惑ってしまい、少し読んだだけで放置しちゃったけど、改めてちゃんと読んだら「なんでこの面白さに気づけないまま読むのを諦めてしまったのだろう?」と思うほど楽しく読めた作品。

    78年に発行されたものだからかなり前の作品だけど若者の私でもするすると読めた。あっという間に読み終わっちゃったから寂しい気持ちになったけど、またクスッと笑いたい時に読もうと思う。

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    2022年11月09日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    『文学部唯野教授』という小説で、小説に登場する唯野教授が授業をする場面が、都度都度登場し、ハイデガーの『存在と時間』についても第5講解釈学の授業で触れている。
    この授業の補講が本書になるのかな?ハイデガーの哲学を、それはそれはとてもわかりやすく教えてくださっている。『存在と時間』を読む機会がある人は、本書及び『文学部唯野教授』の授業を受けてから取り掛かるのが良いかと思われる。全体像をなんとなく把握することが、短時間でできてしまうことがすごい。

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    2022年08月18日
  • わたしのグランパ

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    「わたしのグランパ」筒井康隆。1999年初出。文春文庫。

    薄い文庫本で、文字が大きくて読みやすい。素晴らしい。なんにつけ文庫本はかくあるべしという文字の大きさです。

    筒井康隆さんは1934年生まれ。個人的にも30年以上読んでいる、好きな小説家さん。
    この2~3年小説書いておられるのかはちょっと分かりませんが。
    筒井さんの65歳くらいのときの小説が「わたしのグランパ」。

    東京の中流?サラリーマン家庭の中学生・珠子の家に、長く「旅行(刑務所)」に行っていた祖父が帰って来る、という話。

    一件疫病神に見える祖父だが、(実際にかなりアウトローな人なんだけれども)人としてマットウで、珠子のいじめを

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    2022年08月05日
  • 世界はゴ冗談(新潮文庫)

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    面白かった。御歳でこれらを書いたのはすごい。やはり筒井氏の短編は読み進められさせるというか、アイデアに圧倒されて表現方法にも圧倒されることが多い。一番面白かったのは『ペニスに命中』、最も印象に残ったのは『メタパラの七・五人』。メタパラ、は本当に凄かったというか、突然自身の足場がなくなったような不安感とフィクションに入り込んでいく不思議さ、ワクワクさがあった。ペニスに命中は単純に面白かった。ただただ文を読んでいるだけで楽しい。飽きなかった。

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    2022年06月02日
  • 邪眼鳥

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    主体が欲望の対象とであうことがないと亡霊になるという発想が面白い。
    タイムスリップなどのスリップが、ずれること、接地点をなくすことという解釈も言いえて妙だな

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    2022年05月28日
  • 世界はゴ冗談(新潮文庫)

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    筒井は久しぶりだけど、やっぱり異常に面白い。よくわからないところも含めて面白いのはなぜなのか。どれも好きだけど、「不在」と「小説に関する夢十一夜」が好き。昔の筒井っぽい「教授の戦利品」も。最後のウクライナのエッセイでしみじみ。

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    2022年05月13日
  • 世界はゴ冗談(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「筒井調」満載の短編集。メタ・パラフィクションもあって、堪能した。

    ひとつ不思議なのが、エッセイの「ウクライナ幻想」が「付録」として掲載されていること。著者がその昔、旧ソ連を訪れたときの思い出を、イリヤ・ムロウメツの物語とともに書いている。

    ただ、その中身はと言うと、「今はただ、不幸な戦いの中にあるウクライナの首都、あの伝統の町キエフに戦禍が及ばぬことを(後略・文中ママ)」とか、「日本贔屓のお嬢さんを持つプーチンに、自国民の大多数と欧米諸国との板挟み状態に立つ苦境を乗り越えて平和への道を探ってほしい(略)」などと書かれてあってザワザワさせられ、思わず奥付を何度も確かめた(文庫発行日は令和3

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    2022年05月13日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    七瀬三部作の最終章。
    前作では、超能力者の仲間たちが抹殺され、七瀬自身もかなり危険な状況で終わってしまった。
    この本では、七瀬はある名門高校の教務課職員として働いており、前作からどのように生き延びたのか、暗躍する組織もまったく触れずに物語は進んでいくので、七瀬が主人公であるものの、スピンオフ的な作品なのかと思いながら読んでいきました。
    (最後の方でその謎は解かれるのですが)

    不思議な力で護られている高校生の香川智広。そして七瀬は自分の意思か何かの意思の力で智広と相思相愛の恋愛に堕ちていきます。(今まで男性を避けてきた七瀬がそうなることに少し嫉妬した)

    さてさて、内容は詳しく書けないのと自分

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    2022年04月25日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    「旅することが人生に与えられた役目」遊牧民生活と集団転移から始まる。現代文明滅後、人類は古い時代に逆戻り,不便さを超能力でカバー。「王国への道」ラゴスは廃宇宙船の本を収めたポロ盆地で本を読破。故郷で叡智を人々に授けた後も旅は続く。愛蔵書。

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    2026年05月29日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    ネタバレ

    ここまで平易にハイデガーの『存在と時間』を読み解くことができるのかという驚きの一冊。現存在が気遣いの存在であり空文を駆使して生きているが、そこから本来の生に戻してくれるのは死への不安である。一方で、死を絶対化していいのかという否定神学批判が展開されるのが、その後のポストモダンの思想であるというのが私なりの理解。
    解説は大澤真幸によるキリストの二重性(生きて死んだ神)に着目したもの。頽落したキリストの弟子たちの話を書くことで『存在と時間』に話を合わせつつ、死への恐怖から神に祈りながらも結局殺されるキリストを描く。復活しては元の頽落に戻ってしまうので、あくまでも死ぬときの重要性を強調する。しかし復

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    2022年04月01日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    ある日、少年の頭上でボールが割れた。音もなく、粉ごなになってーそれが異常のはじまりだった。強い”意志”の力に守られた少年の周囲に次つぎと不思議が起こる。その謎を解明しようとした美しきテレパス七瀬は、いつしか少年と愛しあっていた。初めての恋に我を忘れた七瀬は、やがて自分も、あの”意志”の力に導かれていることに気づく。全宇宙を支配する母なる”意志”とは何か?
    ー文庫うらすじより


    もの凄い本を読んだのかもしれないと思いました。
    『七瀬三部作』第三作。
    私と同じ昔の田舎の高校生だった親友のAちゃんが「読書は苦手だけど七瀬のシリーズだけは好きなの」と言っていた七瀬三部作。
    前にも書きましたが、こんな

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    2022年03月13日
  • パプリカ

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    まず最初に映画を観ることをおすすめしたい。
    厚い本であると同時に専門的なことが詳細に描かれているので、映像でイメージできないとギブアップしそう。

    映画が好きで原作も読んでみたが、世界観重視の映画ではわからなかった細かい設定や経緯もよくわかってすごくよかった。
    夢と現実が混濁した世界を文字だけでこうも表現できるのは、流石文学界の巨匠といわれるだけあるなと感服する。
    専門用語も多く、読み返すと理解が深まったり新しい発見が出来そう。
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    精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢と

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    2025年04月14日
  • 短篇小説講義  増補版

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    ネタバレ

     昭和を代表する小説家筒井康隆の短編小説論。きらめく宝石のように、小説についての名言がならぶ。ほぼ引用で要約するしかない。(下記は増補版ではなく初版の感想)

    ・「小説というものはいうまでもなく、何を、どのように書いてもいい自由な文学形式なのだ。意外に思われる読者もおられようが、実は小説というのは最も新しい文芸ジャンルなのである。小説以前から存在した詩や戯曲などの形式による拘束、・・・、そうした形式上の束縛を嫌い、より自由に書こうとして生まれた文学形式ことが小説だった筈なのである。」
    ・しかし、特に短編小説の傑作は、生まれにくくなっている。第一に、芸道化(お稽古ごと化)している。第二に、韻律の

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    2022年01月04日
  • 幻想の未来

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    手持ちの筒井康隆短編で一番好きかも。
    暗く苦しいような重めの表現と、アホらしくて笑えるような軽めの表現のバランスが良かった。
    登場する生き物の醜さが愛おしかった。

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    2021年12月31日
  • 家族八景 下巻

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    こわい、こわすぎる

    紅蓮菩薩も亡母渇仰も。母親の怖さがじわじわきて怖い。夫婦も親子も関係がなかなか断ち切れないだけにタチが悪い。マンガ化してくれて嬉しい。

    #シュール #ダーク #怖い

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    2021年11月19日
  • 家族八景 上巻

    購入済み

    繊細な絵と家族の内情

    きれいなタッチの絵で描かれる家政婦七瀬ちゃんが覗き見る家族の内情。心の声が聞こえると、どこも闇が深い。二番目の汚部屋の大家族は臭いまで漂ってきそうだ。

    #深い #シュール #ダーク

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    2021年11月19日
  • 文学部唯野教授

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    大学内のポストをめぐる権力争いのパロディと、文芸批評論の講義のコントラストが秀逸。
    特に、実際の講義を模した文芸批評論は、文芸批評の歴史的な流れを追いながら、具体的にどんな「批評」を展開したのかということの、たいへんわかりやすい解説になっている。
    作中、「後期の講義内容」として取り上げられる予定のコンテンツが述べられていたが、その講義はもちろん、作家としてのその後の「唯野教授」も含め、ぜひ続編を期待したい。

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    2021年11月11日