筒井康隆のレビュー一覧
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ネタバレ丸く輪になって異動する転移、人や動物の心と繋がる同化、念じて空中を飛ぶ力などSFらしい発想も効果的で単純な物語の中にある夢や希望が、窮屈な人生の中で見る、小さな夢の物語になっていた。
ラゴスは北に向かって旅に出る。その途中の出来事や目的地についてからの生活などがやはり愉快な筒井SFだった。
彼の旅の目的は、北の大陸に先人たちが残した文化が、膨大な書物になって盆地の建物に眠っているということを学校で習い、それを読むことが目的だった。
今ある転移、同化、予知などの能力は先人が滅びた後に獲得した人々の智恵だった、そうした力を使いながら北の大陸に向かう。途中に出会う壁抜け男や、似顔絵書き、時には盗 -
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ネタバレ好きなひとがこの本はファンタジーだと言って貸してくれた。
夢のようなメルヘンで楽しい世界を想像して開いてみたけど、人間の嫌な部分だったり現実味のある家族の軋轢だったりが淡々と書かれていて、これはファンタジーなのかと同じところを何度も読み返したりする。
そういえば転移したり、馬が空を飛んだり、ものすごくファンタジー。ものすごくファンタジーなのに、それを超えるくらいの現実があった。
[王国への道]は知識欲が刺激されて自然と読むスピードが上がる。学ぶことは楽しいことだともっと早くに気づいていればな、と今になって思ったりする。
ラゴスが得た知識を明確に良い方向にしか使わないのが良かったし、ニキタとカ -
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4年越しに再読。
年始に映画のリマスター版がたまたまやっていて、そういえば原作はどうだったかなと思った時、不思議なくらい覚えていなかった。夢みたいに。
物語の序盤では、能勢や粉川らの治療のために夢の中の世界でパプリカが縦横無尽に動き回っている感じが印象的だった。一方で小山内と乾が暴走を始め、夢と現実が入り混じるようになってくると能勢や粉川、さらにはラジオ・クラブの玖珂と陣内でさえも夢と現実を行き来して彼らと戦う。夢と現実の混交が始まった直後は各々が今目の前の世界が夢か現実かを区別することに躍起になっていたが、徐々にその境目を探すことはなくなり、さらには夢と現実の行き来に対しての抵抗というか、躊 -
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筒井康隆といえば…であがる作品って
どれなんだろう。
わたしは、
・時をかける少女
・パプリカ
・家族八景
・残像に口紅を
くらいしか読んだことなかったから
筒井康隆には そういうイメージがあった。
現代文とは少し離れていて 一見すると読み難さみたいな雰囲気があるのに 気付いたら夢中で読まされていて、
夢で見るような抽象的な思想や思考を文体化、
半ばから後半にかけて熱量をしっかりあげてくるのに 決して大多数が望むだろうと思われる終わり方はしてくれない…。
そういうイメージ。
本書も例にもれず ぐんぐん読まされて
久々に 小説・文学を読んでる! と思わされた。
けれど筒井康隆の作品だから
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何度か読んでいる。
最近夢日記をつけてみたけど3日でやめた。夢って囚われてそのことに昼間の起きてる間にも心がそちらを向いてしまって、あの夢の細部を知りたいってなって惹かれる時間が増えて。
このお話しみたいに、夢と現実の境がなくなったり、他人の夢が流れ込んだりしたらおかしくなってしまうのでは?みたいな。脳のチリチリした感じを味わえてくせになってしまう。
パプリカは男性はみんな好きになっちゃう魅力的な女の子が出てきたり後半ぐわあーんった意味がわからなくなっていったりするこの構成自体が夢みたいで、夢って都合よくてでも都合よくならなくてわけわかんなくて突然終わったりするよねみたいな温度感自体が通じちゃ -
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1つの別世界を立ち上げる程の壮大なSFでありながらも、その現実との距離感が絶妙で、ラゴスの世界に集中できた。
特にその地で得たかけがえのないもの、それを大切にしたいという気持ちは偽りなくあるが、旅を続けるしかない。そこに人生の意味を見出だすラゴスの姿勢には一歩退いて読むことができないほど惹き付けられた。
人の世界には、社会がある。社会には人間関係があって、そこには責任があって、皆日々その中で悩みながら生きている……そういった場所から1度ゼロになって飛び出してみる。そうして見えた世界をこの物語は見せてくれた。
日々の生活に風穴をあけるような、そんな痛快な旅の楽しさが良く感じられる読書の時間だった -
Posted by ブクログ
筒井康隆は日本SF第一世代メンバーである。2013年に同じ豊田有恒が亡くなった後、最後の日本SF第一世代として孤軍奮闘、現在もなお執筆活動を続けている。昨年、自宅で転倒して頸椎を痛めて以来、不自由な生活を続けている。現在、リハビリ設備に入っているものの、毎月どこかしかの月刊文芸誌で作品が掲載され、本の表紙で筒井康隆の名前を見ない日は無い。流石に2~5ページの短い文章となっているが、この文学に対する執念は目を見張るものがある。この本以降、来たるべき日までの作品が今後必ず出版されると思うが、たぶん泣きながら読むことになるだろう。
自伝と言うだけあっていろいろな出来事が驚くほど詳細に記述されている