感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2024年03月14日
著者の卓越したというか達観したというか、その人間観が現れた描写に舌を巻いた。テレパスによっていかにまありそうな家族模様が如実に表現されていて、とても面白かった。
Posted by ブクログ 2023年11月07日
ほぼ10年ぶり三読目。気づけば10年に1回読んでいる。今さら言うまでもないことだけど、文章がうますぎる。変化をもたせた最小限の文の連なりで、正確に内容が伝わるように書かれている。{}を使った、同時複数の感情表現方法は、50年後の現在も見かけないような斬新な表現。内容的には、ヒヤヒヤはするものの、いず...続きを読むれの家庭も七瀬の力の範囲に収まっているので、一安心。
Posted by ブクログ 2023年07月28日
筒井康隆の作品はナンセンス加減で割と個人的な評価が分かれてしまう。
本作はとても面白い。
今でこそテレパシーモノに新鮮みはないが、作者のブラックなアイデアと表題通りの面白い構造でページが進んだ。
テレパシーを持つ人間から浮き彫りにされる人間の汚さ、誇張こそあれ真実味のある内容だった。
Posted by ブクログ 2023年06月26日
テレパスを持つ少女がお手伝いとして、8つの家族を渡り歩く話。
人間の生々しい感情、肉欲、恨み、嫉妬を主人公を通してべったりと張り付くような感情を体験できる良本。
主人公も決して善人ではなく、主人公の行動によって次々と家族は崩壊していくが、悪人にも見えない不思議。
Posted by ブクログ 2023年06月24日
表と裏の顔を他人に見透かされてたとしたら。
ぞっとするシチュレーションである。
登場する家族はそれぞれ問題を抱えているが、倫理に反すると建前では言ってしまえるが、ある程度想像に難くない範囲にあるとも言える。
それぞれ個人的な秘密をして抱えるべきものが七瀬の視点によって白日のもとに晒されているだけで...続きを読む、また七瀬の介入によって紛糾に陥るだけでこんな家族は身近な存在ではないだろうか。
テーマは現代に通ずるところが多分にある。仕事人間の定年、妄想嫉妬狂いの妻、完全を装う家族等々。人間の業がつぶさに描かれていて、著者の力量と他作品との振り幅に脱帽。
Posted by ブクログ 2022年11月27日
読心術、という本当にあるかどうかわからないものが世の中には存在しているが、それが本当にできるのが、この物語の主人公である、七瀬である。
「掛け金」という彼女独特の捉え方で、自分に流れてくる相手の感情をコントロールして、なるべく影響されないようにしながら生きてはいるが、そうはいってもどうしても影響さ...続きを読むれてしまう。人の心が読める、とは外から見たら羨むほどの能力だが、当の本人からしたら、迷惑な部分もあるらしい。
自分の能力が他人に知られないようにするため、ひっそりと暮らし、仕事も、住み込み家政婦として過ごす日々。
まるで本当に七瀬がいるように、細やかに設定が散りばめられていて、読んでいて非常に楽しい。
タイムトラベル、だとかAIだとか、そういったものに関する想像は人それぞれ異なっているが、存在するかのように書いてある作品は、思わずうっとりとしてしまう。
読書というものは、文字の情報から可能な限り想像力を膨らませることができるので、映画のように、イメージが固定されにくい(それはそれで楽しいのだけれども)。だから、特にSFだとかは、没入感が、作品によっては映画より勝ることも。
先日の「パプリカ」以降、すっかり筒井(さん)ワールドに迷い込んだ私は、迷わず七瀬三部作の予約をしました笑
Posted by ブクログ 2022年10月23日
生まれながら、人の心を読むことができてしまう七瀬さん、その能力をひた隠しながら、家政婦として働いている。雇われた家庭の悲喜交々を受け取ることになる。心が健全な家庭には雇われることはあまりない。人間の、できれば人に知られたくない心の動きが七瀬を通して詳らかになる。
続編もあるようだ。是非読んでみたい。
Posted by ブクログ 2022年06月10日
40年以上前に書かれたとは思えないほどの斬新さ。関係性の中に現れる人の心の歪さ、醜悪さ、そしてそれ故の動物的な美しさは、今の時代も差程変わっていないように思う。
普遍的であるが故の真新しさをここに見た。面白い。
Posted by ブクログ 2024年02月08日
人の心理状態を細部まで描写していて面白かった。芝生は緑が一番好き。滑稽だけど、なんだかんだ愛がある感じが◎。無風地帯のオチも好き。人の行動原理や精神分析について興味があったけど、知りすぎた結果あれこれ当てはめて考えるのってしんどそうと七瀬を見ていて感じた。頭の片隅に知識として置いといて、あくまで自分...続きを読むが受けた印象で相手を判断して、人として見ることに注力した方が良さそう。時には深入りせず表面だけの印象に留めたりとか。なんて事を考えるくらいには、テレパスにまつわる暗めな話が多かった。あと、会話って大事だなと思った。普通の人はまずテレパスなんか使えないから、話し合わないと他者との溝は埋まらないという、反面教師的な学びも得ることができた。
Posted by ブクログ 2023年12月07日
女中として働く10代の若者七瀬は、人の心を読むテレパス。彼女が渡り歩いた8つの家族の風景は、彼女にどう映るのか。
誰も相手の気持ちを完全に理解することはできないし、自分自身にだってそうだ。一軒には、あまりにも多くの抑圧された感情が渦巻いている。そこに、七瀬という異物が混入することで、家族の関係がゆっ...続きを読むくりと歪んでいく。
若くて経験のない七瀬がテレパスという能力に苦悩し、混乱してしまうが、それを活用して家族を変えていく過程(意識的にも、物理的にも)はなんとも爽快なものだ。それが悲劇になったとしても。
面白かったかな、ドロドロとしてけして読後感がよいとはいえないけれど。
クセになるといえばクセになるようなそんな本です。
人間心理の醜さがこれでもかと押し寄せてくるので
読むのに少々心の耐力が必要だけど。
そして我が身を省みれば、人間なんてそんなものかもしれないとも思う。
Posted by ブクログ 2023年11月12日
「七瀬シリーズ」の第1弾。
18歳の火田七瀬は、生まれたときから他人の心のなかを読みとることのできるテレパスの少女です。彼女が、さまざまな家でお手伝いの仕事をすることになり、一見したところごくふつうの家庭生活を送っているような人びとのかくされた心理が彼女の能力によって読者の前にさらされていきます。...続きを読む
SF的な設定を駆使して、人間心理の奥底にひそむどす黒い感情をあらわにしている作品で、著者らしいブラック・ユーモアが効いています。同シリーズ第2弾の『七瀬ふたたび』(新潮文庫)の「解説」を執筆している平岡正明は、本作を「逆ホーム・ドラマ」と呼んでいるように、昭和時代のホームドラマの裏面をえがいた作品となっています。
ホームドラマが昭和という時代状況から離れて鑑賞することがむずかしいのに対して、「逆ホームドラマ」である本作にえがかれている人間心理は、むしろ通時代的な普遍性をもっているように感じられることが、一番の皮肉であるようにも思います。
Posted by ブクログ 2023年04月13日
人の心を読める能力の本ってのは結構ありそうだけど、生々しさがあって面白かった。
ただ毎回毎回セックスセックスで、リアリティを強調し過ぎというか、、、
美人で若い女の子が自分のお手伝いさんに来たらそうなるのは必然なんだろうけど、もうちょい何かやりよう無いのかなあと思った
紅蓮菩薩の回で、七瀬のファ...続きを読むイルカードがちぎれてるのに怪しまないのは不自然な気がした。
Posted by ブクログ 2022年12月13日
テレパスのお手伝いさんとは何と恐ろしい設定でしょう。紹介される家々へと渡り歩いて家庭の事情を知るくらいなら普通のお手伝いさんにも出来るけれど、主人公の七瀬はその一歩先、心まで読み取ってしまうのだから何もかも筒抜けだ。
ある程度人間は「目は口ほどに物を言う」けれど、ここまでダイレクトに思考が読み取れて...続きを読むしまうとメリットよりもデメリットが上回る。能力を隠しているのは正解だと思う。絶対に問題が起きるし、働ける場所がなくなるだろうし、常に身の危険に晒される。
表面上は良い夫婦良い家族でも、心の中ではバカにしていたり呪詛を振り撒いていたりする。それが全て頭の中になだれ込んできたら正気じゃいられないかもしれないな。
「紅蓮菩薩」この話は燃えたぎる人の心が目に見えるようで、読み応えがあったけれど気の毒だった。一方で七瀬の父にも読み取る能力があったと分かり、七瀬の家族に興味が湧いた。他人の家庭はどんどん暴いていくけれど、七瀬本人や家族のことはまだ不明な点が多い。
Posted by ブクログ 2022年06月02日
面白かった。エンターテインメント作品。これはかなり個人的な見解なのだが、一編ずつのページ数が非常に丁度よかった。さて、文章。筒井氏の文章が好きだ。骨組みがしっかりとした文章構造、どこまでも客観的な文章は淡々と物語を展開していく。そして、家族八景、登場人物のモノローグはすべからく主観的なものである。し...続きを読むかし、七瀬を通すことでそれらはどこまでも客観的なものに近くなる。いやらしい登場人物の心情に近づかず、俯瞰するように物語を眺められる。凄い手法だと思った。ただ、流石に登場人物にはとことんうんざりさせられた。
Posted by ブクログ 2022年04月24日
家族八景は多分中学生のころ、夏休みの読書で何を読むか迷っているところに、友達の誰かが面白いからと勧められた記憶があります。天邪鬼な私は勧められると従わないタイプなので他の推理小説(横溝正史?)を読んだ気がする。
そんなこともあり、筒井康隆氏を嫌っていたわけでもないのに、時が経ちこの歳まで読まずに来て...続きを読むしまいました。
七瀬は住み込みのお手伝いさんとして、いろいろな家族と接することになるが、テレパス能力があり、人の内面の感情や思ってることが理解できてしまうので、あるときは自身の防衛のために役立てられるが、能力を知られると異端とみなされ危険が伴うので悟られないように気を付けて生きていかねばならない。
章が進むにつれて、七瀬の怖さが際立ってくる気がした、最後の「忘母渇仰」は怖い。「七瀬ふたたび」につながっていくのだろうか。
また、性的な表現も割と多く出てくるのが少し驚いたが、当時のウブな中学生には刺激が強く友達はこの辺りが面白いと言っていたのかもしれない。
「七瀬ふたたび」に続く。
Posted by ブクログ 2022年04月20日
19歳で住み込みのお手伝いとして
いろんな家を渡り歩く七瀬のお話
七瀬には人の心を読む能力があり
その能力を通じて家庭の裏側が描かれている
ずいぶんと前に書かれた小説なのに
現代家庭にもありそうな心理ばかり
色褪せない名作ってこういった小説だろうな
と思いながら読んだ
Posted by ブクログ 2022年03月21日
人の心理のリアルでドロドロとした表現が印象的な作品だった。
外に出す表情や雰囲気と、内に秘めた心理には乖離があって、他人には見えない事情が誰しもある。
外と内のギャップで苦しむことが、人間にはあることを学べた。
また、家族にもいろんな形があって、外からは分からないことがあるんだなと思った。
総じて...続きを読む、普段除けない人の心理や家族関係を覗くことができ、面白い作品だった。
Posted by ブクログ 2022年03月09日
筒井康隆好きの友達に「筒井作品を初めて読むなら、これがオススメ」と教えてもらって読み始めた。
超能力(テレパシー)を持った七瀬という女の子が主人公。
「人の気持ちを読み取る才能があったらいいな」とか、
超能力=すごい、とボンヤリ思った事はあるが、いやいや、そんな能力要らない!!と、考えを改めた。
だ...続きを読むって、聞きたくもない、知りたくもない事が、否応なく自分の意識に入ってきたら、シンドイし、たまらない、精神を病みそう。でも、小説の中では主人公と一緒に人の心の闇を覗いているようで、面白くもあった。
続きの「七瀬三部作」も読んでみたい。
Posted by ブクログ 2024年03月04日
人の心が読める能力を持っている人が もしかしたら私の身の回りにもいるのだろうか…、もし あの人がそうだったら…もしかするとあの人なんかはそうなのかも…など想像を膨らませながら読んだけれど、想像でなく現実だとしたら…。
無心になる術を取得しなければなぁ、とそんなところへ意識が及んだものの、ストーリー...続きを読むも十分に楽しめた。
Posted by ブクログ 2023年11月02日
『鮮やかさはほとんど皆無』
題名からしてなんとなく鮮やかそうな場面も
あるのか…?と思いきや全く反する
全体的に何だかどんよりというか洞窟の中を
ひたすらゆっくり進んでいるような感覚
決してそれが居心地が悪いという訳では無いが、
思考がポジティブになるような場面はほとんど無
人間の醜さが小気味良...続きを読むく表現されている場面が
多い印象のため、好みはあるが面白みは沢山ある
Posted by ブクログ 2023年08月25日
なかなか暗い話だなーっと思った。
わが身を守るために人の心を読める女性が、8家族の家政婦をするお話。
人のここを読めると、人が考えている悪いところ本音があばかれる。
心の内容があまりにくさっていて、自身暗鬼になる。
人ってこんなにくだらないことを考えているのだろうか。
心の中の本音は暗いことが多い...続きを読むのだろうけど、それを知ってどうするの?
って感じで人の本音はくだらないってことを教えてくれるだけで、
いい印象をもてる小説ではなかった。
Posted by ブクログ 2023年08月05日
黒い。
グロいとか暗いのではなく、黒い、という印象。
人の心は様々なジレンマによって成り立っているんだなぁ。
特に1話目の奥さんの気持ちは、まるで私の心を透かしているようでどきっとした。
深いことを考えたくないが故に、周りのことを狭い範囲でしか考えない。思考が浅い。もっと外の世界に興味をもたなければ...続きを読む。
Posted by ブクログ 2023年03月13日
煩悩というか、欲まみれの人が多すぎて、七瀬さんに同情してしまう。自分はテレパスでなくてよかったとさえ思う。取り敢えず七瀬シリーズの残り2冊も読みます。
Posted by ブクログ 2023年01月15日
今までタイミングがなく、初筒井康隆。超能力ものとは言え、バレないように家事手伝いとして暮らすため、あまり派手な描写はないのが興味深い。他人の思っていることが流れてくる描写も、はっきり文章にはならず、断片的だったり分離していたり、上手いなと思った。平凡そうに見えても裏は下衆い人も多く描かれ、改めて人を...続きを読む信じられなくなりそう。
Posted by ブクログ 2022年12月28日
心を読む能力を持った少女がお手伝いさんとして働きながら色々な家を転々とする話。
殆どの登場人物の性格が歪んでて面白い、家族は大抵憎み合ってるし、夫婦は不倫していて、出てくる男はすぐに主人公を犯す事を考える。
主人公も結構いい性格してるから話が暗くならない所がいい。
Posted by ブクログ 2022年08月10日
テレパシー能力を持ち、それをひた隠ししながら、
バレないための暮らしとして、住み込みの女中になり、
短期間で家を転々と変えていくという物語。
読み込めば面白いとは思いますが、
読み込みが足りなかったのか、淡々と進む感じが、
エンタメ小説であり、SFのはずなのに、少し評価を下げる結果になりました。
...続きを読む読み込んだり、シリーズ作品を読んでいけば、評価は変わる可能性は、
大いにあるとは思いますが、初回では星3を付けました。
ちなみに、超能力をSFとするかどうか曖昧のようですが、
超能力を科学で研究しているというのがあるし、
この物語にも出てくるので、一応SFだと思ってます。
Posted by ブクログ 2022年06月29日
18歳の火田七瀬は、テレパスと言われる目の前の人の心を読み取る超能力を持っている。彼女は、その能力を隠して、各家庭に住み込みのお手伝いさんとして、生活を始める。
当時の中流家庭八軒、八家族の、八景。
もう50年前の、SF小説。久しぶりに読んだら、記憶よりも、大人のドラマだった。NHK少年ドラマシリー...続きを読むズで扱われていた印象があったので、子供向け作品のイメージとなっていた。
七瀬を巻き込んで、怪しげな、多少猥雑な心理戦が、日々繰り広げられる。七瀬の目線での、夫婦や親子の深層心理が、面白い。そして、二十歳となり、自分の女性としての成長を自覚して、お手伝いの仕事はやめて、次作の「七瀬ふたたび」へ。
身近なSFとして、日常の中の斬新な設定でした。