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Posted by ブクログ
どこかで評判を聞いていたことを思い出し読んでみた。
幼少期の記憶が鮮明であることに驚かされる80年以上前のことを、家の配置やら人の名前などよく覚えているもんである。また、学生時代は可愛い女の子がいたとか、誰と仲が良かったとか誰とは仲が悪かったとか、覚えているエピソードなど単なる起こった出来事の羅列なのでそれほど面白くはなかった。ところが中学に入ってから映画やら演劇やら熱を上げるものが出てきて俄然面白くなって来る。教師も相性の良い人と悪い人がいた様でその中間というのは印象が残らないのだろう。
さらに本を書き出してからは、勢いが止まらない。SFの黎明期が関西の書き手によって担われていたこともわかる。また、採算度外視で自費出版するくだりなどは感心した。その後も回顧のスピードは止まらない。何をどこに書いた。賞をもらった。酷評された、仲良くなった、出演したなどのエピソードが雪崩の様に紹介される。出てくる名士は福田恒存、井上ひさし、丸谷才一、蓮實重彦、山下洋輔、桂米朝など多士済々である。またご自身も映画に舞台にと出演しており、こんなに精力的に活動していたのかと驚かせられた。
しかし2023年に倒れ、以後車椅子生活となる。あれだけたくさんの本を読んで、博覧強記なのに服用指示に従わなかったというのは何やらあざなえる縄の如しである。
その後の動静は後の著作で読めるので楽しみにしている。
Posted by ブクログ
筒井康隆は日本SF第一世代メンバーである。2013年に同じ豊田有恒が亡くなった後、最後の日本SF第一世代として孤軍奮闘、現在もなお執筆活動を続けている。昨年、自宅で転倒して頸椎を痛めて以来、不自由な生活を続けている。現在、リハビリ設備に入っているものの、毎月どこかしかの月刊文芸誌で作品が掲載され、本の表紙で筒井康隆の名前を見ない日は無い。流石に2~5ページの短い文章となっているが、この文学に対する執念は目を見張るものがある。この本以降、来たるべき日までの作品が今後必ず出版されると思うが、たぶん泣きながら読むことになるだろう。
自伝と言うだけあっていろいろな出来事が驚くほど詳細に記述されている。作品リストの意味合いは少なく、専ら思い出に残る作品・出来事に関わった人たちについての話が多い。一つの本を出版するにも状況に拠っては、すんなりいくものと紆余曲折を経て難産で出版されるものもある。同人雑誌「NULL」での活動以降の動きは、これまでに様々な記事で紹介されているのですんなり頭に入って行くが、それ以前のお話はあまり詳しく体系的に紹介されていない。その様な点では、幼少年期から青年前期までの内容はとても面白かった。裕福な家庭に育ち、モテていたことは知っていたが、登場する周りの人達の名前も含めて良くこれだけ正確に記憶できるものと感心した。その脅威の、いや天才的な記憶力には驚くばかりである。
本書と同時期に、早川書房から筒井康隆のエッセイ集成が日下三蔵の編集で出版されている。この本は、別の観点から筒井康隆の自伝にスポットライトを浴びせているとも言える。この様に、現在、筒井康隆の周辺がかなり動きが激しくなっている。この巨匠の背中をいつまでもいつまでも見つめていきたい。
Posted by ブクログ
2025年刊。もとは「文學界」連載(24.4~25.4、頚椎負傷のため途中に休載が入った)。
幼年期から老年期の現在までを語る。演劇に熱をあげた高校時代、SFにのめり込んでいった青年期が詳しい。中年期以降、多産な時期は駆け足。
東京移住は31歳。原宿前の新居には、いろんな仲間が押しかけてきた。ある夜は、下で「おう」という声。ベランダから顔を出すと、小松左京と星新一。まるで中学生の遊び友達。
『おれの血は他人の血』は月刊「ポケットパンチOh!」に連載された。担当編集者は、のちに血液型性格学で一世を風靡する能見正比古。筒井はそんなことはまったく知らずに、あの作品を書いたのだとか。まるでギャグみたい。(ちなみに、この作品は映画化された。主演はいまは亡きサイクリストの火野正平。)
(p.s. 筒井は2009年から10年にかけて、朝日新聞の書評欄に「漂流――本から本へ」を連載した。幼少期・少年期・青年期にどんな本を読んだか、それが作家としての自分にどう影響を与えたかを、その時のエピソードも含めて語っていた。連載は66回。メリハリのついた、よくできた自叙伝だった。別バージョンの筒井康隆自伝。)
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