筒井康隆のレビュー一覧

  • 筒井康隆自伝

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    どこかで評判を聞いていたことを思い出し読んでみた。
    幼少期の記憶が鮮明であることに驚かされる80年以上前のことを、家の配置やら人の名前などよく覚えているもんである。また、学生時代は可愛い女の子がいたとか、誰と仲が良かったとか誰とは仲が悪かったとか、覚えているエピソードなど単なる起こった出来事の羅列なのでそれほど面白くはなかった。ところが中学に入ってから映画やら演劇やら熱を上げるものが出てきて俄然面白くなって来る。教師も相性の良い人と悪い人がいた様でその中間というのは印象が残らないのだろう。
     さらに本を書き出してからは、勢いが止まらない。SFの黎明期が関西の書き手によって担われていたこともわかる。また、採算度外視で自費出版するくだりなどは感心した。その後も回顧のスピードは止まらない。何をどこに書いた。賞をもらった。酷評された、仲良くなった、出演したなどのエピソードが雪崩の様に紹介される。出てくる名士は福田恒存、井上ひさし、丸谷才一、蓮實重彦、山下洋輔、桂米朝など多士済々である。またご自身も映画に舞台にと出演しており、こんなに精力的に活動していたのかと驚かせられた。
    しかし2023年に倒れ、以後車椅子生活となる。あれだけたくさんの本を読んで、博覧強記なのに服用指示に従わなかったというのは何やらあざなえる縄の如しである。
     その後の動静は後の著作で読めるので楽しみにしている。

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    2026年05月13日
  • 筒井康隆、九十歳のあとさき―老耄美食日記―

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    ■はじめに
    近ごろ、雑誌特集や新書で「日記」をテーマにしたものをよく見かける。何が火付け役なのか調べてみるも、これだ!という決定打は見当たらず、最近静かなブームとなっているZINE文化の影響説まで飛び出す始末。ともあれ、“日記界隈”がにわかに騒がしい。

    そんな中、本書の著者 筒井康隆は1975年から「公開日記」を続けている大ベテラン。年季の入り方が違う。しかも連載開始時、〈おれの公開日記では、他に類例のない料理の値段を書くこととする〉と高らかに宣言。

    以降2024年3月、神戸の自宅で転倒する前日まで、その日記は続く。はたして齢九十を超えた大作家は、いかなる晩餐を重ね、どんな日々を送っていたのか―

    ■内容
    本書は『波』2023年2月号掲載の「老耄美食日記」を軸に構成されている。ただし単なる日記では終わらない。

    『百年の孤独』の文庫版解説、盟友 大江健三郎追想、老境に差しかかった心情を綴る小説風随筆まで併録。読者サービス精神旺盛な、いかにも筒井康隆らしいお得な一冊となっている。

    さて、この日記を読む上で押さえておきたいのは、筒井夫妻は東京と神戸の二拠点生活を送っていること。

    神戸・垂水では比較的庶民的な店に通う一方、東京へ移ると様相は一変する。帝国ホテル「北京」「ラ ブラスリー」、ニューオータニ「久兵衛」「にいづ」、ザ・キャピトルホテル東急「オリガミ」…。

    夫婦ふたりで5万、6万円超えは当たり前。でも驚くべきは金額より、その健啖ぶりである。筒井康隆92歳、光子夫人84歳。肉も魚もカルトからコース料理とペロリと平らげ、高級スーパー「KINOKUNIYA」で大量購入した食材も数日で食べ尽くす。

    さらには夕方4時になるとアルコールを欲し始めるという…まさに鯨飲馬食。

    しかも料理描写が実に執拗。値段、量、味、接客、酒―そのすべてを細大漏らさず記録していく様は、もはやグルメ日記というより「胃袋と老境の戦闘記録」のようで、そこにユーモアと毒気が混じる。

    食べることへの執念と、衰えていく身体。そのアンバランスさが、筒井康隆という作家の晩年を、妙に人間臭く浮かび上がらせる。

    そんな絢爛たる食生活にも、加齢は静かに影を落とし始める。身体の不調、減っていく酒量。そして2024年3月24日、神戸の自宅で転倒。以後、車椅子生活となり、夫妻で超高級老人ホームへ入居するも食欲は衰えない。入居者との外食ツアー、豪華ケータリング、編集者との会食―。身体は不自由になっても、“食べること”への執念は衰え知らず。

    ■感想
    この日記の凄みは、単なる美食自慢に終わらないところにある。料理内容と金額を克明に記すだけでなく、味やサービスへの批評も歯に衣着せぬ、まさに論評。そこには、長年言葉で勝負してきた作家特有の“観察者の目”と飽食の限りを尽くしてきた“舌”が容赦なく、時に筆誅を喰らわす。

    一方で、行間から滲み出るのは、
    ①光子夫人への深い愛情
    「自分が先に逝ったら、光子は大丈夫だろうか」という不安が、ふとした一文からこぼれる。
    ②亡き息子への哀惜
    老人ホーム入居後、夢に現れる愛息についての記述は胸を打つ。

    つまり本書は、“豪奢な食日記”の体裁を取りながら、実のところは「老い」と「喪失」と「夫婦愛」をめぐる“私小説”でもあると言える。

    ■最後に
    はたして、この日記は本当に終わってしまったのだろうか。

    「車椅子文豪老いぼれ日記」―そんな得意の自嘲を込めたタイトルで、また何食わぬ顔で連載を再開してくれそうな気もする。

    身体は衰えても、頭脳はいまだ現役。できることなら、また新作短編とともに、日々の“満腹中枢との格闘”を読ませてほしい。

    読後、妙な感慨が残った。老いとは、食欲が尽きることではない。「まだ食べたい」「まだ書きたい」という欲望を、身体が追い越していくことなのかもしれない。

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    2026年05月10日
  • 不良老人の文学論(新潮文庫)

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    筒井康隆『不良老人の文学論』新潮文庫。

    91歳の筒井康隆が創作秘話、畏友交流、文学的信念などを綴るエッセイ&書評集。

    高校時代から大学時代に筒井康隆の作品を読みまくっていたが、ユーモラスでぶっ飛んだ小説とたまにシリアスなSF小説を書く変わった作家だなと思っていた。その後、何時の間にか文豪と呼ばれる偉い作家となり、文庫本の解説や様々な文学賞の選考を務めていたことには驚いた。

    筒井康隆の宗教観と『エディプスの恋人』や『モナドの領域』の創作秘話が語られる。様々な宗教から得た知識と考察から独自に宇宙論を構築していたようだ。

    筒井康隆は小松左京の知識力を畏怖し、大江健三郎や開高健を尊敬し、大江健三郎を目指していたことが明かされる。筒井康隆と同時代の作家が次々と亡くなっている。小松左京、大江健三郎、開高健、井上ひさしなど大物作家の訃報は辛い。

    筒井康隆はジャズにも造詣が深く、それは主にジャズピアニストの山下洋輔との交流によるものだ。自分も筒井康隆の影響なのか高校時代からジャズを聴くようになり、山下洋輔のコンサートやライブ・アンダー・ザ・スカイなどのイベントにも行っていた。

    本作は、追悼、書評、解説、選評、インタビューなどで殆んどを占めているが、『孫自慢』『蕎麦道場』といった筒井康隆自身の日常を綴ったエッセイも非常に良かった。

    本体価格710円
    ★★★★★

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    2026年05月05日
  • にぎやかな未来

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    ショートショートって限界があるよなとか思いながら読んでましたが、読み進めるうちにそんなことはないなと思えてくる、そんな作品でした。
    出版年はかなり昔ですが、今でも通用するようなテーマが多く、人間って今も昔も変わらないんだなと気付かされる。
    最後の解説の著者がサプライズ感あって良かった。

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    2026年05月03日
  • 筒井康隆自伝

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    筒井康隆先生による自伝。
    読んでた時に筒井康隆だから何かあるはずと深読みしすぎだけど、流石のエッセイ。
    幼少年期から中年期まで、筒井康隆先生が筒井康隆先生であるのがわかる一冊。

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    2026年04月25日
  • 笑いの力

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    シンポジウムの文字起こしなので読みやすい。
    いくつか印象的な話もあり有意義だった。
    血糖値などは興味深く、子どもの表情については二十年後の今はどうなのだろうかと思ったり。有意義な内容だった。

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    2026年04月20日
  • 筒井康隆自伝

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    兎も角もよくぞ書いてくださいました。それだけです。ファンがしみじみありがたく読む書。筒井未読者は代表作あらかた経巡った後にお越しくださいませ。

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    2026年03月15日
  • 筒井康隆自伝

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    ネタバレ

    たぶん十代の中頃に出会った『旅のラゴス』がnfmとなって読書対象ではなくなっていたが、『虚航船団』と出会って『旅のラゴス』を再読し、未熟な読み手であったことを痛感した。

    自伝というのは、小学校の頃のご近所さんを書くものだっただろうか。やけに詳しく語っているが、『虚航船団』を書いた作家だから鵜呑みにはできない。
    小学生から高校生までの一人称をおれ、大学時代をぼくとあらわす。社会人になってまたおれ。作家の自伝といえば、前半生なら大学時代がいちばん濃くなりそうなものだがあっけない。ほうぼうで語り尽くしているのだろうか。手塚治虫との遭遇やらDAICONのくだりなども、そういうこともありましたくらいなものだ。

    実を言うと、時かけすら読んでいない。もう少し読んでおきたい作家ではあるのだが、なかなかね。

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    2026年02月24日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    犯人は分かっていたのに、こんなからくりがあったなんて…!
    ・初のトリックが読者を迷宮へと誘う
    ・前人未到のメタ・ミステリー
    裏表紙のあらすじを読んで、「真相を解明してやるぞ」と心して挑んだ。
    なのに、終盤で凄く驚いたし、作者のミスリードにまんまと引っかかったのは私です。いやぁ、面白かった…!

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    2026年02月14日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    1行の衝撃!という触れ込みのミステリーは他にもあるが、その走りが本書なのか?
    独白という形でネタばらしまで丁寧にされているところが新鮮だった。

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    2026年02月01日
  • パプリカ

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    4年越しに再読。
    年始に映画のリマスター版がたまたまやっていて、そういえば原作はどうだったかなと思った時、不思議なくらい覚えていなかった。夢みたいに。
    物語の序盤では、能勢や粉川らの治療のために夢の中の世界でパプリカが縦横無尽に動き回っている感じが印象的だった。一方で小山内と乾が暴走を始め、夢と現実が入り混じるようになってくると能勢や粉川、さらにはラジオ・クラブの玖珂と陣内でさえも夢と現実を行き来して彼らと戦う。夢と現実の混交が始まった直後は各々が今目の前の世界が夢か現実かを区別することに躍起になっていたが、徐々にその境目を探すことはなくなり、さらには夢と現実の行き来に対しての抵抗というか、躊躇はほとんどなくなっていたように見えた。一読者であった私も、徐々に物語が今夢か現実かあまり気にしなくなっていたし、むしろその混ざった世界が愉快だった。最終決戦では、玖珂と陣内が大活躍だったが、彼らは何者なのか。物語の最後はラジオ・クラブでの彼らの会話で締められており、前半でパプリカと能勢、粉川との待ち合わせ場所になっていたことからも伺える通り、ラジオ・クラブが夢と現実の境目で彼らはいわば門番のような存在なのかと思ったりもした。

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    2026年01月30日
  • パプリカ

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    何度か読んでいる。
    最近夢日記をつけてみたけど3日でやめた。夢って囚われてそのことに昼間の起きてる間にも心がそちらを向いてしまって、あの夢の細部を知りたいってなって惹かれる時間が増えて。
    このお話しみたいに、夢と現実の境がなくなったり、他人の夢が流れ込んだりしたらおかしくなってしまうのでは?みたいな。脳のチリチリした感じを味わえてくせになってしまう。
    パプリカは男性はみんな好きになっちゃう魅力的な女の子が出てきたり後半ぐわあーんった意味がわからなくなっていったりするこの構成自体が夢みたいで、夢って都合よくてでも都合よくならなくてわけわかんなくて突然終わったりするよねみたいな温度感自体が通じちゃってキマる。

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    2026年01月27日
  • パプリカ

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    筒井康隆の書く、支離滅裂という筋の通ったSFドタバタ作品が好き。
    堅苦しい現実世界に非日常という衝撃を与えてくれる印象。
    精神分析の観点から夢を見てパプリカから患者に与える助言たちは、なんでもすぐに考え込んでしまう癖のある私にとって考えさせられるものが多かった。

    「不安というのは対人関係の中から生まれて、その次元の中で発展したり解消したりする」

    #2026 #2

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    2026年01月17日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    最高!
    筒井康隆は人間の内面を炙り出す『敵』が大好きで、読心術者視点の本作は初めっから中身が剥き出しなので、面白くて堪らなかった。
    よくもまあこんな愉快な家族を8つも描けたな。劣っている短編が皆無でどれも素晴らしい。
    しかも七瀬シリーズがまだ2作あると知って狂喜乱舞してる。

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    2025年12月30日
  • 虚航船団(新潮文庫)

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    ネタバレ

    この本が「日本三大奇書」に入らないのはおかしいと感じてしまうほど難解で不気味な物語。しかし、読んでいくにつれて世界史のパロディが現れたり、作者が物語の中に入り込んできたりとわけのわからない展開にページをめくる手が止まらなくなってしまった。

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    2025年12月30日
  • 筒井康隆自伝

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    自分の高校、大学時代には当時出ていた文庫、単行本はほぼ読んでいたと思う。中毒性のある危険なSF作家だ。短編などは繰り返し読んだので、「青年後期」の章はお馴染みの作品が多く紹介、解説されていたので懐かしく読めた。音楽もそうだが、高校生頃によく聴いた音楽はずっと記憶に残ると言われるように、筒井氏の作品は多く心に残っていた。本書の全般にわたり、筒井氏のエッセイだな、と思われる箇所も随所にあるので、ファンにとっては必読。

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    2025年12月13日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    きっと、「へぇ、ミステリーってそういう手法があるのか。じゃぁもう一捻りしたやつを書いてみせよう」って思って書いた作品なんだろう。
    筒井さんは時々こんな感じで別ジャンルに手を出すのです。

    謎解きではページ数まで明示して優しく解説してくれます。
    ここまで丁寧に謎解きをしてくれるミステリーは初めて読みました。

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    2025年11月29日
  • パプリカ

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    筒井康隆らしい作品。
    自分の短編から色々道具を持ってきて使っている。
    この本の主人公もその後『朝のガスパール』にちょっと出たりするそうだ。
    この時期はキャラクターもプロットもスターシステムを取り入れていたのだろうか。
    アニメ版も視聴したが、頑張って毒っ気を抜いていい感じに仕上げられていました。

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    2025年11月29日
  • 筒井康隆自伝

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    筒井康隆は日本SF第一世代メンバーである。2013年に同じ豊田有恒が亡くなった後、最後の日本SF第一世代として孤軍奮闘、現在もなお執筆活動を続けている。昨年、自宅で転倒して頸椎を痛めて以来、不自由な生活を続けている。現在、リハビリ設備に入っているものの、毎月どこかしかの月刊文芸誌で作品が掲載され、本の表紙で筒井康隆の名前を見ない日は無い。流石に2~5ページの短い文章となっているが、この文学に対する執念は目を見張るものがある。この本以降、来たるべき日までの作品が今後必ず出版されると思うが、たぶん泣きながら読むことになるだろう。

    自伝と言うだけあっていろいろな出来事が驚くほど詳細に記述されている。作品リストの意味合いは少なく、専ら思い出に残る作品・出来事に関わった人たちについての話が多い。一つの本を出版するにも状況に拠っては、すんなりいくものと紆余曲折を経て難産で出版されるものもある。同人雑誌「NULL」での活動以降の動きは、これまでに様々な記事で紹介されているのですんなり頭に入って行くが、それ以前のお話はあまり詳しく体系的に紹介されていない。その様な点では、幼少年期から青年前期までの内容はとても面白かった。裕福な家庭に育ち、モテていたことは知っていたが、登場する周りの人達の名前も含めて良くこれだけ正確に記憶できるものと感心した。その脅威の、いや天才的な記憶力には驚くばかりである。

    本書と同時期に、早川書房から筒井康隆のエッセイ集成が日下三蔵の編集で出版されている。この本は、別の観点から筒井康隆の自伝にスポットライトを浴びせているとも言える。この様に、現在、筒井康隆の周辺がかなり動きが激しくなっている。この巨匠の背中をいつまでもいつまでも見つめていきたい。

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    2025年11月14日
  • 時をかける少女

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    ネタバレ

    『時をかける少女』が気になって読んでみると
    まさかの筒井康隆さんの短編集!

    短編集の中の『果てしなき多元宇宙』が好みでした!
    “たったの40ページ”で、SF設定のゾッとするオチ

    面白おかしく書かれているけど、
    突然、日常から微妙にズレた世界に放り込まれるのは
    最怖すぎます、、、

    さらに元の世界に戻れるか怪しいオマケ付き!
    私じゃそんな生活は耐えらそうにないです、、

    だけどSF特有の理不尽で微妙な後味が残るオチは
    癖になります笑

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    2025年11月04日