筒井康隆のレビュー一覧
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主人公の小説家・佐治勝夫が「世界から文字が一つずつ消えていく」という虚構の世界に閉じ込められる物語。
文字がなくなり、言葉がなくなった虚構世界が迎える顚末とは。
世界から1つずつ文字が消えていく。どんどん消えて、周りの人も消えていく。家族が1人…また1人と消えていく。
時が過ぎて次はなんの文字が消えて、どのような言葉がなくなるのか、ページを重ねるごとにワクワクした。
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【小説紹介】
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。
世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい……。言葉が消滅するなかで、執 -
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家族八景後の七瀬シリーズ2作目。
前回の話とは違い、心の汚い人間達の話ではなく、打って変わった雰囲気。
まず夜汽車に乗っているシーンからよかった。
はじめて自分と同じ心が読める子供のノリオと、初めて自分の能力とはちがう予知能力をもった恒夫に出会う。
これから起こる大事故を予知し、この3人で汽車を降りる。これから始まる物語にドキドキした。
次に七瀬がノリオを引き取り、一緒に暮らすため平穏な生活を脅かす、また違う能力を持った強欲の西尾。西尾との心理戦はワクワクした。
続々と異能力者と出会い、ピンチを乗り越え仲間ができた七瀬。ヘニーデ姫のところは見えない敵に恐怖した。
そして待ち受けていた最後 -
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第1作ブラックホームドラマの『家族八景』、第2作ハードSFの『七瀬ふたたび』に続くシリーズ完結編。といっても昔は「七瀬シリーズ」なんて括りはしてなかったけど。テレパスの主人公というのが同一なだけで、前2作はまったく毛色の異なる作品だし、本作もまたそれらとまったく異質な作品である。SFジュブナイル小説を思わす学園ミステリーな導入から、画家とその妻の謎を冬の田舎の山村に追うミステリーへと展開し、後半は、広大な宇宙の意識の中で繰り広げられる母と子のエディプスな恋愛を通し、私という意識、私の中の無意識というものの在り様を肌で感じさせてくれる。これをとてもわかりやすくエンタメ小説として感じさせてくれると
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巨匠、筒井康隆の七瀬シリーズ。
ずっと読みたいと思っていました。
家政婦として8軒の家を転々としている彼女は、実はテレパスという心を読める能力をもっている。
本当にどうしようもない家族達で、家族を罵り合い、自分の欲求を満たすためのどす黒い感情を持つ人達の心を読み取る。
だが彼女はその家族たちで実験したり、関係を壊したり楽しんでいるところがすごく面白い!
だが時に男たちからの性的対象になり危険を伴うところや、これ程までに人間の汚らしさの表現に始終顔が引き攣りながら読書しました。
そして何話か背筋の凍るような話もあったが、最後の【亡母渇仰】は怖すぎる!!
人間の恐さを集めた本だと震えました! -
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筒井康隆版、家政婦は見た!
主人公、年若い美女の火田七瀬は超能力者。
他人の心の中を覗くことができるテレパシストだった。
その彼女が、お手伝いさんをする家での物語。
自分から嫌になってやめたり、首になったりで八件の家を彼女は巡っていく。
8つの短編からなる小説だが、この中では「澱の呪縛」は最もショッキングだった。
夫婦と子供が11人の、神波家という大家族の家政婦をすることになった七瀬。
その家に入った途端、七瀬は異様な臭気、不潔さに悩まされる。
歯ブラシの共用とか、部屋のあちこちのゴミとかカビに、この家のものは全く無頓着で、不潔の自覚がないのだ。
ところどころ身につま -
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「100分で名著」を見て、面白そうなので読んだ。
家族って、裏ではこんなに牽制し合っているんだなぁ、と空恐ろしくなった。そこまで敵意を持たなくても、と思いつつ、どこか思い当たるところがあり身につまされる。自分にテレパスがなくて良かった。
SPY×FAMILYのアーニャみたいに心が読める能力に少し羨望していたが、七瀬のように、人間に冷め、不信になり、達観してしまうのだな。と変に納得した。
七瀬は単なる観測者ではなく、時にいたずらをし、時に彼女ならではの苦悩をしながら、かえって人間味を感じさせられる。七瀬の魅力は評判どおりだった。
続編は、全く違ったテイストになるらしい。読んでみたい。 -
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昭和46年(1971年)発売の作品集。
いや〜色褪せない。
ドタバタやグロ、シュールとかが得意な筒井さんだけど、こんなめちゃくちゃリリカルで感傷的な作品も書けるの凄すぎる。
表題作『幻想の未来』はあまりにも壮大なスケールで美しい。
当時、冷戦下だったから地球の未来がわからない中で常に想像力を働かせていたんだなと想像する。
放射能と炭素熱で破壊された核戦争後の大都会。極限状況で出逢った二人は子をもうけた。
時がたち、過酷な環境に淘汰されながら、適応するために変異を続ける生命体。地球上の意思ある生命体は朽ち果て、意識の集合体だけが残る世界で生きていくことができるのか。
やがて他の惑星から -
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ネタバレすごい本を読んだ。
描写について。主人公の思考で本ができているが、私より遥かに目的論的な世界観で生きており、私とは異なる感性を持った思考体であることを意識させられる。自分がそう思っただけなのに、〇〇であることを伝えるために〇〇はある。みたいなことすぐ言う。面白い。もちろん実験的な構成とか描写が私を感動させた理由だけれど、それを私が書くほどには掴めきれておらずなんと書いたらいいのかわからないからとりあえず描写について気づいたことを書いた。
ストーリーとは関係のない描写ばかりだなとは思っていたが、文章の量と小説内の時間を比例させようとしていたのには気づかなかった。悔しい。妙に印象的な立小便の件と -
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同名小説のコミカライズ。
自身が創作の中の人物であることに気がついてしまった主人公が、文字が1つずつ消えていく世界で生きていく。
小説では書かなければそこにあろうとなかろうと気にならないけど、マンガである以上は失われたものは描くこともできないので、コミカライズする上でとても苦労したろうな……
「自分が創作の中の人物だと気付く」というメタフィクションだが、マンガであるが故にそこから一歩踏み込んで「自身が原作のあるマンガの登場人物である」ことにも気付かせるのは素晴らしい展開。その媒体でしかできないことをやるのはメディアミックスの基本にして理想系だなあと。
終盤、文字が少なくなってきてからの展開は小