バラバラ殺人事件をきっかけにして、美大教授の肉体を借りた神様に近い存在、自称 GOD が現れる(大文字3字だが、ジー・オー・ディーでなく、ゴッドと読んでいいのか不明)。
GOD は、未来に関することを除き、人々のあらゆる質問に答えを与える。
これによって GOD はあらゆる物事を時間を超えて理解し人智を超越した存在、創造主であることが明るみになってゆき、人々は GOD が神に近い存在、創造主であることを信じざるを得なくなる。
こうして、ごく一般の人々に加え、警察、弁護士、裁判官、マスコミをどんどん巻き込んでゆく。
GOD は人間の生み出した「哲学」を媒介とすることで、人々の質問に答え、また自分の存在について語る。
ここでは哲学用語が恐ろしいくらいに頻出する。
専門用語は親切にも、ほぼ逐一、誰の打ち立てた論理なのかを明示し、また短い日本語に置き換えて説明しくれてはいるのだが、論理としても理解が難しく、(凡人には)読み進むにはかなり時間がかかる。
おそらく論理は正しいのだが、誤解している可能性もあり、あるいは、GOD の能弁に煙に巻かれた気分になった、とも言える。
著者の博学にひれ伏すしかない。
最終部分では、GOD の出現の壮大な理由が明らかになっていくが、ここではパラレルワールド、メタフィクションといった SF 手法と論理数学の数式(どこまで本物なのか?)が取り入れられる。
ストーリー自体は実際には複雑ではなく、ミステリーと思って読むと肩透かしを食らうかもしれない。
GOD の語る宇宙を語る哲学の講義は壮大で、それが最大の魅力だと思う。