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Posted by ブクログ
高校生の時に読んで以来の再読。当時は筒井康隆についてあまり知らない状態で読んだから、単なる哲学的なSFとして読んでしまっていたけれど、彼の他の作品をいくつか読んでから改めて触れると、壮大な実験小説なのだということがわかった。解説で池澤夏樹が書いているが、物語で神様を出すというのは、展開がなんでもありになってしまうから御法度なのだが、筒井康隆はこれをうまい具合に処理していて、破綻もなく(展開の後半でわかることだが、むしろ破綻を前提にして)小説を書いているようだった。同じく池澤は、このGOD以上の存在として、作者である筒井康隆を挙げていたが、結局GODはこの話が小説だということも知っていたわけで、完全に筒井康隆が優位というわけではなさそうに思える。だから個人的に、フィクションの枠を超えて、本当に神様を降ろしてしまったのではないかと思ってしまった。
確かに、こんな壮大なメタ/パラフィクションをやってしまったら、もう長編を書く気はないだろうし、書くこともできないだろうと思う。なんなら、過去の筒井康隆作品で扱われてきた不条理な世界観は、もしかするとこのGODが黒幕なのではないかと思ったり。
とにかく久々に読めて、とても良い読書体験となれた。
お達者で何よりです
45年程前からの愛読者としては「昔の先生ならもっと短くまとめてた、もっと多次元の世界をSF的に描いてた」のではないかと想像してしまいますが、今回は先生の今が感じられて
、これも善きかなと思いました。「時をかける少女」は永遠に不滅です。
Posted by ブクログ
帯には「わが最高傑作」とあり、昨年(2024年)、テレビで見た「筒井康隆の世界 ~文学界の巨人 90歳のメッセージ~」でも(一番良い作品は何かと訊かれた)筒井康隆本人が「モナドの領域だろう」と言っていたと記憶している。が、私は、この序盤をさほど面白いと思わず、栞を挟んだまま本棚に置き去りにしていたのだった。
が、公園、法廷、テレビショーとGODの劇場舞台が変わっていくにつれて、だんだんと面白くなってきた(私はその展開に「文学部唯野教授」を思い出していた)。最終盤、GODが去った世界の描写では、序盤のつまらない各シーンの人物たちをきっちりと拾い集めて物語を閉じる。GODを小説の作者「筒井康隆」と対応させて読むと、「伏線回収」といっては陳腐だけれど、感動ポイントになる。
Posted by ブクログ
バラバラ殺人事件をきっかけにして、美大教授の肉体を借りた神様に近い存在、自称 GOD が現れる(大文字3字だが、ジー・オー・ディーでなく、ゴッドと読んでいいのか不明)。
GOD は、未来に関することを除き、人々のあらゆる質問に答えを与える。
これによって GOD はあらゆる物事を時間を超えて理解し人智を超越した存在、創造主であることが明るみになってゆき、人々は GOD が神に近い存在、創造主であることを信じざるを得なくなる。
こうして、ごく一般の人々に加え、警察、弁護士、裁判官、マスコミをどんどん巻き込んでゆく。
GOD は人間の生み出した「哲学」を媒介とすることで、人々の質問に答え、また自分の存在について語る。
ここでは哲学用語が恐ろしいくらいに頻出する。
専門用語は親切にも、ほぼ逐一、誰の打ち立てた論理なのかを明示し、また短い日本語に置き換えて説明しくれてはいるのだが、論理としても理解が難しく、(凡人には)読み進むにはかなり時間がかかる。
おそらく論理は正しいのだが、誤解している可能性もあり、あるいは、GOD の能弁に煙に巻かれた気分になった、とも言える。
著者の博学にひれ伏すしかない。
最終部分では、GOD の出現の壮大な理由が明らかになっていくが、ここではパラレルワールド、メタフィクションといった SF 手法と論理数学の数式(どこまで本物なのか?)が取り入れられる。
ストーリー自体は実際には複雑ではなく、ミステリーと思って読むと肩透かしを食らうかもしれない。
GOD の語る宇宙を語る哲学の講義は壮大で、それが最大の魅力だと思う。
エンディングの数ページは一般人の平凡な日常風景がとても丁寧に描かれるのだが、この部分は映画のクライマックスの後のラスト部分を見ているような、情景が目に浮かぶ優れた文章だと思った。
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