筒井康隆のレビュー一覧

  • にぎやかな未来

    購入済み

    SF短編を基調とした何でも短編

    筒井康隆は初めてだったが、短編集ということもあって、彼独特の世界観を存分に楽しめた。主人公がおかしいかと思えば実はおかしいのは世界だったり、おかしな世界観でありながら実はただの現実だったり、冗談かと思えば本気だったり。冒頭からの怒涛の掌返しに、思わず舌を巻いた。秀逸なSFの世界観にはため息をもらし、ちょっとした皮肉や子供らしい可愛らしさもには頬を緩め、淡白な狂気に触れるとページを繰る手が止まる。それでいて、どの物語もオチは一貫してキレイ。十人十色の筒井康隆アンソロジーだった。

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    2019年12月16日
  • 愛のひだりがわ(新潮文庫)

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    ◯児童書としても進められる内容。構成としてはかなり王道のストーリー。
    ◯文章表現は一時代前のように感じるが、情景がスッと頭に描ける平易さや、一人称の語りによる演出とはいえ巧み。
    ◯しかし何故だろう、歳をとったせいか、こういった本で涙腺を刺激されるようになった。

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    2019年12月03日
  • 文学部唯野教授

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    何度読んでも蜂巣川教授のくだりで大笑いしてしまう。滑稽でみっともなくて大真面目にどうしようもない人間たちが右往左往している、問答無用で面白い話。また、章末の講義や会話中の知的な言葉遊びが愉快。

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    2019年09月14日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    短編集。
    一番初めに収録されていたのが、表題の「笑うな」。これを読んだだけでこの本を書いた人間が天才なのだと分かるはずだ。誠実に今の時代にSFを書くとこうなる、というのを教えてもらった気分。

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    2019年05月24日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    同じような各編様々な趣向凝らした短編集として
    先に読んだ『冷蔵庫より愛をこめて』と比較してしまうと
    どちらが優れているか明確
    小説の評価軸というものを感じてしまう
    比べてはいけないかどうかはもどかしい

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    2018年10月26日
  • 文学部唯野教授

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    学会学閥を題材にしたコメディと
    文学評論史に対する演説が噛み合わさった著者ならではの作品
    文学部に限らず文系学問に縁がないが
    いずれにせよ学問じたいが大変なものだとはたからみて思う
    そうでないものが大変でないということではないのだろうけれども

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    2018年10月20日
  • 文学部唯野教授

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    やはり筒井康隆は天才だなと思う。ややっこしい批評理論とその背景にある哲学を小説仕立てで騒乱の中でさらりと総覧させてくれる。もちろんこれは筒井康隆の読みであり理解であるにしても批評理論というものをよく描けているような気がする。読んで感じた一定の印象は今後、いい意味で役に立つと思う。

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    2017年12月18日
  • アホの壁(新潮新書)

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    ネタバレ

    アホの冒頭から読みだすと頭に全く入ってこないことも
    後半から読みだすと頭に入って来るのかもしれませんよ。

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    2017年11月12日
  • 馬の首風雲録

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    10代の頃、一度読んだが、当時は面白いとは思わなかった。しかし再読は一気読み。
    おそらく戦争というものへの知識というか、イメージというか何かが不足していて、この本を消化できなかったものと思われる。
    馬頭星雲系に属する、顔が犬に似た人間の世界は、より文明が進んだ地球人類が関与した事も一因となり、全面戦争状態となる。
    戦争に入用となる物資を軍人に売る商売をしている、「戦争ばあさん」とその4人の息子。
    しかしその戦争が、長男・次男・三男を次々とばあさんから引き離していく。
    長男は戦争で富豪となり、次男は反政府の農民軍を率いるリーダーとなり、ばあさんの元に残ったのは、馬鹿で喋る事の出来ない、末っ子のみ

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    2017年11月27日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    再読。
    しかも、以前持っていて売られてしまい、探していたら古本屋で見つけた。
    やっぱり、表題作は何度読んでも笑える。
    小1の娘に読んであげたら、笑っていた。
    こういう本はすごい。

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    2018年03月20日
  • 聖痕

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    筒井氏の作品はできる限り読むようにしているが、近年の作品でも好きなのが本書。

    主人公はじめ家族に起こった出来事や、その当時実際に起こった出来事を述べる部分が多く、個別の場面の描写が密にされることはあまりない。
    筒井氏は、「省略」や「時間経過」についての技法にかねてから取り組んでいたが、本書はその一つの到達点ではないか。

    くどくどと心理描写を重ねるのとは正反対の文体だが、読んでいてわずか数語の文字列に心を揺さぶられるところがあった。
    これは表面的に真似をしようとしてもできない、巨匠の名人芸である。
    ただただ、感服。

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    2016年08月13日
  • 大いなる助走

    全てにおいて強烈!

    是非々々一回は読むべき本、しかし、二回読む本ではありません。
    人間の汚さが、あまりにも“露骨に”書かれ過ぎてます。
    まるで、目の前に「膓」をぶちまけられた感覚…。
    私の読書歴の中でも読後の不快感は断トツのトップ…。
    でもあえて、その「不快感」を感じる価値がある本です。

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    2016年05月12日
  • 巨船ベラス・レトラス

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     文壇をテーマにした小説らしいということで読み出したがすでにそうしたものには『大いなる助走』がある。うろ覚えで恐縮だが新進作家が文壇の俗物どもにいいようにされて最後にぶち切れて文壇皆殺しをはじめるといった話でなかったか。筒井康隆ともあろう者が同じようなものを書くとも思えぬ。と読み出してみると似たエピソードが導入となっている。つまり私小説を書いている同人誌作家が文壇の前衛作家を狙って爆弾事件を起こすというのが冒頭。しかし本書のテーマは「文壇」ではなく「文学」なのだ。
     そこで書評の導入もこんな風に路線変更。

     私は週に1回だが、少々遠方に仕事に行っている。これまで自家用車で行っていたが、諸般の

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    2016年02月15日
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)

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     本作は文学的実験である。しかし同時に娯楽小説でもある。実験の主たる手法は反復。
     「おれ」は美術評論家で、母親と妻、幼い娘、出戻りの妹とその娘と先祖代々の家に住んでいる。ストーリーは「おれ」の本が売れたり家を建てたり画家と付き合ったりという美術評論家の日常であるが……
     「ねえ。誰かが家の前で喧嘩してるよ」と妹が言いにくる。とばっちりを受けたら大変と家族を奥の部屋に避難させ、「おれ」は二階の窓から様子をうかがう。すると家の前ではやくざと大学生が喧嘩している。喧嘩がエスカレートして死人が出たところで、再び「ねえ。誰かが家の前で喧嘩してるよ」。とばっちりを受けたら大変と家族を奥の部屋に避難させ、

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    2016年02月15日
  • 文学部唯野教授

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    学問小説、と言う一風変わった形式。毎章後半に唯野教授の講義が行われ、その内容が非常に興味深い。文芸批評に強い関心があるため非常に楽しむことが出来、ナラトロジーや記号論など、力を入れて勉強をしている範囲については特に楽しめた。大学の講義を受けているような感覚だった。唯野のスタンスは、文芸と学問とのバランスについて、自分と完全に反転した形だなと思った。それらを両輪とした相互フィードバックを志向する点は共通だが、比重が逆だ。メタフィクションとしても面白かった。

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    2015年08月08日
  • 緑魔の町

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    ネタバレ

    筒井康隆の中で一番好き。SFジュブナイルのほうの文庫は表紙が気持ち悪いけど挿絵はとても良い。挿絵の人が表紙も描けばよかったのに。
    町の人に追いかけられているときの白川青年の「ぼくはきみが倒れたら捨てて逃げるぞ!」という台詞の必死さが面白い。笑った。
    主人公の武夫はさんざんな目に遭うけどきちんと助かるのでそこも良い。

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    2015年07月21日
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)

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    冒頭から初期の短篇 「しゃっくり」 を思わせる時間の反復で始まり、 おい、 これいつまで続くんだよと、 半ば呆れながら読み進めていくと、 いきなりの鮮やかな場面転換が。時間と空間、 過去と現在を自在に行き来し、まるで夢を見ているときのような、 あの脈絡は無いのに妙に生々しい感覚を味わわせてくれる作品。筒井ヴァージンは手を出さないほうが良いかもしれぬ。

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    2015年04月06日
  • 文学部唯野教授

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    大学教授陣の内情を滑稽な姿でもって明かしながら、主人公・唯野教授の批評文学論の講義が一章ごとに進む。
    批評文学論、中でも構造主義の物語学に興味がわいた。文学論の本も読んでみようか? 唯野教授ほどわかりやすくはないかなぁ?

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    2014年12月01日
  • 愛のひだりがわ(新潮文庫)

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    ジュブナイルとされているが、大人が読んでも十分面白い。
    タイトルで勘違いされそうだが、甘酸っぱい恋愛ものではなく、片腕が不自由な少女が父親を探す近未来日本を舞台にした冒険活劇だ。徐々に大人びていく愛の成長には少し寂しさが漂う。

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    2014年04月14日
  • 巨船ベラス・レトラス

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    ネタバレ

    久しぶりの筒井康隆。「大いなる助走」の系譜にある文壇モノ(もちろん、メタフィクション満載)。
    「巨船」が本格的に動きはじめる中盤からは、めちゃめちゃ面白くなる。筒井好きな人は必読。

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    2014年01月14日