筒井康隆のレビュー一覧
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購入済み
SF短編を基調とした何でも短編
筒井康隆は初めてだったが、短編集ということもあって、彼独特の世界観を存分に楽しめた。主人公がおかしいかと思えば実はおかしいのは世界だったり、おかしな世界観でありながら実はただの現実だったり、冗談かと思えば本気だったり。冒頭からの怒涛の掌返しに、思わず舌を巻いた。秀逸なSFの世界観にはため息をもらし、ちょっとした皮肉や子供らしい可愛らしさもには頬を緩め、淡白な狂気に触れるとページを繰る手が止まる。それでいて、どの物語もオチは一貫してキレイ。十人十色の筒井康隆アンソロジーだった。
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Posted by ブクログ
10代の頃、一度読んだが、当時は面白いとは思わなかった。しかし再読は一気読み。
おそらく戦争というものへの知識というか、イメージというか何かが不足していて、この本を消化できなかったものと思われる。
馬頭星雲系に属する、顔が犬に似た人間の世界は、より文明が進んだ地球人類が関与した事も一因となり、全面戦争状態となる。
戦争に入用となる物資を軍人に売る商売をしている、「戦争ばあさん」とその4人の息子。
しかしその戦争が、長男・次男・三男を次々とばあさんから引き離していく。
長男は戦争で富豪となり、次男は反政府の農民軍を率いるリーダーとなり、ばあさんの元に残ったのは、馬鹿で喋る事の出来ない、末っ子のみ -
全てにおいて強烈!
是非々々一回は読むべき本、しかし、二回読む本ではありません。
人間の汚さが、あまりにも“露骨に”書かれ過ぎてます。
まるで、目の前に「膓」をぶちまけられた感覚…。
私の読書歴の中でも読後の不快感は断トツのトップ…。
でもあえて、その「不快感」を感じる価値がある本です。
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Posted by ブクログ
文壇をテーマにした小説らしいということで読み出したがすでにそうしたものには『大いなる助走』がある。うろ覚えで恐縮だが新進作家が文壇の俗物どもにいいようにされて最後にぶち切れて文壇皆殺しをはじめるといった話でなかったか。筒井康隆ともあろう者が同じようなものを書くとも思えぬ。と読み出してみると似たエピソードが導入となっている。つまり私小説を書いている同人誌作家が文壇の前衛作家を狙って爆弾事件を起こすというのが冒頭。しかし本書のテーマは「文壇」ではなく「文学」なのだ。
そこで書評の導入もこんな風に路線変更。
私は週に1回だが、少々遠方に仕事に行っている。これまで自家用車で行っていたが、諸般の -
Posted by ブクログ
本作は文学的実験である。しかし同時に娯楽小説でもある。実験の主たる手法は反復。
「おれ」は美術評論家で、母親と妻、幼い娘、出戻りの妹とその娘と先祖代々の家に住んでいる。ストーリーは「おれ」の本が売れたり家を建てたり画家と付き合ったりという美術評論家の日常であるが……
「ねえ。誰かが家の前で喧嘩してるよ」と妹が言いにくる。とばっちりを受けたら大変と家族を奥の部屋に避難させ、「おれ」は二階の窓から様子をうかがう。すると家の前ではやくざと大学生が喧嘩している。喧嘩がエスカレートして死人が出たところで、再び「ねえ。誰かが家の前で喧嘩してるよ」。とばっちりを受けたら大変と家族を奥の部屋に避難させ、