【感想・ネタバレ】日本以外全部沈没 パニック短篇集のレビュー

あらすじ

地球の大変動で日本列島を除くすべての陸地が水没! 日本に殺到した世界の政治家、ハリウッドスターなどが日本人に媚びて生き残ろうとするが。時代を超越した筒井康隆の「危険」が我々を襲う。

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シュールな世界とあっさりとした幕切れが特徴の短編集。地殻変動で住める場所が日本しか無くなった世界で、世界各国の首脳や有名人達が1つのバーで会話を繰り広げる『日本以外全部沈没』や、大阪の居酒屋にやってきた宇宙人と、テレビのドッキリ企画と勘違いする客達が作り出す狂気を描いた『ヒノマル酒場』など、それぞれの独特な世界が楽しめる1冊なのでおすすめ。

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2021年09月03日

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著者大暴れ(紙)の作品。
うっかり油断したら本の中から
作品の人物が逃走してきそうな気がして
ちょっと怖いような気がします。
(現実にそういうことはありえませんが)

表題作は本編の後がお楽しみです。
何かは読んでからのお楽しみ。

面白かったのは大暴れ大暴走の
「ヒノマル酒場」と「農協月へ行く」の2つ。
特に前者はギャグまっしぐらな作品だけれども
実はよく読んでいくとメディア批判なのです。
そういう意味で読んでいくと結構深いものです。

ただし、少し構成に難があるので
読むときには注意。

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2012年11月14日

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筒井先生のノリノリ時代の作品を集めた一冊。「パニック短編集」というより、「スラップスティック短編集」?
「アフリカの爆弾」を半世紀ぶりに読みました。いわゆる「差別用語」も頻出なので、今とのなっては新作として発表できないかもしれません。面倒なところもある世の中となりました。
「ヒノマル酒場」を筆頭に、「新宿祭」「農協月へ行く」あたりが好み。

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2024年08月06日

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「筒井康隆」のパニック短篇集『日本以外全部沈没』を読みました。

1960年代から1970年代にかけて発表された作品の中からパニックモノの短篇やショートショート作品を再録した作品なので、むかーし、読んだことのある作品も含まれていましたが、ほとんど内容は忘れてしまっているので、新たな作品として楽しめました。

-----story-------------
地球規模の地殻変動で、日本を除くほとんどの陸地が海没してしまった。
各国の大物政治家はあの手この手で領土をねだり、邦画出演を狙うハリウッドスターは必死で日本語を学ぶ。
生き残りをかけた世界のセレブに媚びを売られ、すっかり舞い上がってしまった日本と日本人だが…。
痛烈なアイロニーが我々の国家観を吹き飛ばす笑撃の表題作(登場人物解説付)ほか、新発掘短篇「黄金の家」も収録。
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先日、「河崎実」監督が映像化した映画『日本以外全部沈没』を観ましたが、その原作も含め以下の十一篇が収録されています。

■日本以外全部沈没
■あるいは酒でいっぱいの海
■ヒノマル酒場
■パチンコ必勝原理
■日本列島七曲り
■新宿祭
■農協月へ行く
■人類の大不調和
■アフリカの爆弾
■黄金の家
■ワイド仇討

パニックモノが集められていることもあり、なんじゃこりゃ!と思うような理解不能な作品も含まれていましたが、、、
「日本以外全部沈没」、「ヒノマル酒場」、「農協月へ行く」、「人類の大不調和」、「アフリカの爆弾」、「ワイド仇討」は面白かったですね。

ユーモア(相当黒いですけど… )な文章の中に、社会風刺やナショナリズムへの批判精神がこめられていて、面白いけど考えさせられる… って感じでしょうか。

発表された当時の社会情勢や世相を肌で感じていれば、もっと愉しく読めるのかもしれませんね。

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2022年04月04日

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日本沈没を真正面からパロディーにしてあり、とてもユーモラス。もっと内容を深く掘り下げてあるのかと思ったけど、短編という事であっさり終わり、続きは各自の妄想で、というところですかね。

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2021年01月31日

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「残像に口紅を」で筒井先生熱が呼び戻されたのだけど、一気に読んでしまってすぐに冷めてしまうのももったいないので、ちょっと時間をあけてこの本を本棚から引っ張り出してきた。
どの小説もアイロニカルで痛快。1960~70年代の日本をシニカルにとらえているのだけど、当時から50年以上経ってもその皮肉が色褪せてないのがすごい。50年経った今なら、当時をふり返ってシニカルに書くことはたやすいだろうけど、筒井先生は当時同時進行でそれをやってのけてるのがすごい。
そして、50年経った今の日本に対しても、これらの小説にこめられた皮肉がそのまま適用できてしまうかもと感じられ、とっても反省させられたりもした。

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2020年09月18日

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スラップスティックな11の短篇を収録。ドタバタながらも風刺の効いた作品ばかりで、クスッと、ときにワハハと笑いながら読み進めることができましたが、特に以下の作品がおもしろかったです。

・ヒノマル酒場:マスコミを信用しない酔客たち。マスコミ不信はそんな昔からあったとは。カオスな展開がとっても好き。
農協月へ行く:「農協ツアー」なるものを初めて知りました。成金たちが騒ぎ立てる姿はヒノマル酒場と同様、カオスです。
・人類の大不調和:大阪万博(1970年)に突如出現する殺戮されるベトナム人や飢餓のアフリカ人たち。世界中の負の側面に翻弄される展開に、万博に対する皮肉を感じざるを得ません。

読み終えて改めて感じる著者のセンス。引き続き筒井作品を読んでみようと思わせる作品でした。

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2020年01月06日

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筒井康隆の作品は、鹿爪らしく批評したりランク付けしたりするにはそぐわないでしょう。その視点、着想、想像力、エグさを堪能すればOK。

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2019年07月27日

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筒井康隆お得意のスラップスティックなSF短篇集。「ヒノマル酒場」は土方のおっさんたちの下品さや関西系のマスコミに対する不信感などがとてもリアルで、そんな人間たちと異星人のファーストコンタクトという題材が非常に面白い。まさに狂騒的でこのドタバタ加減はこの作家にしか出せない味だろう。店じまいで話まで強引に畳んでしまうのも良い。個人的なお気に入りは「あるいは酒でいっぱいの海」で、海が酒になるという荒唐無稽なネタをストレートに描く度胸もさることながら、最後は酒そのものになってしまうという星新一のショートショートのような奇妙なオチも素晴らしい。あと「パチンコ必勝原理」のくだらなさも大好き。傑作は「農協月へ行く」だろう。まず農協団体の田舎丸出しの方言が鼻につくほどリアルで、描写がとにかくいやらしい。下衆い人間たちに接するサービス業の苦労や苛立ちもヒシヒシと伝わってくる。宇宙人とのファーストコンタクトをするのが田舎者というネタは面白いが、それ以上にそのネタを成立させるための細部へのこだわりが凄まじい一本である。核武装する未開の土人を描いた「アフリカの爆弾」も、白人を金づるにするため、あえて文明を隠して土人らしく振る舞うという強かさが描かれており、どの短篇もネタ周りの舞台設定に凝っている。筒井康隆らしい短篇集だといえよう。個人的にはファンタジーよりパニック・SF要素の強いこの短篇集のほうが好みである。

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2019年05月28日

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"小松左京さんとも仲がよかったのでしょう。そうでないと、こんな小説書けません。
「パチンコ必勝法」も楽しい一遍。楽しめる作品でした。"

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2018年10月28日

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「日本沈没」を読む以上これも読まねばなるまい、という妙な理由で読んだ。「以外沈没」などいくつかの短編は再読だと思うが…なにせ15年くらい前の記憶なのではっきりしない(^^;)
作られた当時の社会背景を反映してる作品も多いのですが…それを含めて興味深い。ヒノマル酒場のひねくれているものの痛烈なマスコミ批判は今の時代にも通じる。
社会問題を扱っているように見える作品でも、結局は「社会を回している人」に注目して問題をえぐり出す。SFと一緒くたにしてしまいがちですが、ほんと幅のあるジャンルなんだな~、と改めて実感させられた一冊でした。

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2013年07月04日

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誇張表現あり、どたばたあり、超展開ありな短編集。
表題以外も面白い作品がそろっていて、読んでて飽きない。農協がものすごく悪者扱いされているところに時代を感じます。マスコミの表現も、昔からあんな感じなんですね。
「あるいは酒でいっぱいの海」はタイトルから4ページで終わる構成までが美しくて好き。

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2013年03月24日

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短編集ってあんまり好きじゃなくて、手にとっても最初の数話で飽きてしまうことが多々あるのですが、これは不思議と苦もなく読めました。
電車の中で読むのにちょうどいい軽さとでも言いましょうか。
シニカルな笑いのセンスが個人的にツボでした。

『あるいは酒でいっぱいの海』『ヒノマル酒場』『パチンコ必勝原理』『日本列島七曲り』『アフリカの爆弾』あたりが好きです。
とくに『あるいは〜』は4ページしか無いのに最高です!!

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2012年10月23日

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「農協月へ行く」「アフリカの爆弾」「ワイド仇打ち」など、にわかを含めツツイファンなら一度は読んだことのある代表作を集めたもの。「黄金の家」というショートショートの新作一遍を含む。「ヒノマル酒場」「ソンミ村館(人類の大不調和)」は改めて傑作、というか、前衛でない方の筒井流真骨頂。割と激しいのばかりで、初心者には読み疲れるかも。

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2012年02月08日

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「日本以外全部沈没」筒井康隆
”パニック短編集”。特になし。
表題作は小松左京の「日本沈没」への公認パロディ。

筒井さんの皮肉と騒乱に満ちた短編集が11編収録されています。
昭和四十年代前後の香りに満ちた痛快な作品ばかり。高度成長期日本の明暗を垣間見ることができると思います。
個人的に印象に残った作品は「ヒノマル酒場」「農協月へ行く」かな。
どちらも異星人とのバカバカしいファースト・コンタクトの話です。ドタバタなコントという感じ。
もちろんこの本を購入するきっかけになった、表題作も必見です。
例によって自分の中では「ニッポン~昭和の名作集~」の一冊でした。(4)

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2019年01月16日

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パニック短編集とのことで^^;
筒井康隆先生のお話は、破茶滅茶でもあるのに、結構記憶に残るストーリーも多いんですよね
本作だと、「農協月に行く」とか忘れられなくなりそうで嫌だなぁ^^;
でも、嫌いじゃないんですよね(笑)

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2025年10月21日

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⚫︎あらすじ(本概要より転載)
小松左京『日本沈没』のパロディで、日本列島以外の文明を持った人類が住む陸地ほぼすべてが沈没してしまった世界を舞台に、唯一残った日本へ殺到する、世界の著名人の悲惨な境遇と世界で一番偉い人種となる日本人と三等市民である外国人の軋轢を描いた小説。第5回(1974年度)星雲賞短篇賞受賞作品(ちなみに長編賞は『日本沈没』)。
2011年、原因不明の天変地異でアメリカ大陸が1週間で海に沈む。大統領はじめ国外脱出しようとする人々で大混乱に。をの後、中国大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸が沈没。田所博士は日本列島だけが無事だった理由を解明していた。避難民で人口の増えた日本社会はどうなるのか。食料問題、移民問題、独裁者によるテロ行為……。そして田所博士は日本も沈むと予言する。作品の完成度の高さに小松左京を嫉妬させた、世界が舞台の未曽有のパニック小説。2006年、映画化。

⚫︎感想
日本沈没は重いテーマですが、こちらはとっても軽い短編です。人口密度めっちゃ高くなったり、ハリウッドスターが居酒屋にいたり、いろいろ笑えます。

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2023年11月08日

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パニック短編集。

パニック短編集と言いつつ、どれもシニカルな視点が効いており、中でもヒノマル酒場が共感出来た。

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2023年10月22日

Posted by ブクログ

ドタバタというか、狂った世界の
リズムが合わない作品(表題作も)は、
滑稽とは思えても趣味が合わない、
場合によっては嫌悪感をも感じてしまう。
その向こうに、(当時の)時代をどれだけ
見透かして茶化す、天才の視点があっても。
ちょっと、大衆に対する優越感を感じてしまうのかな。

法螺話というが、
に追いやられている人を笑いものにして
隅に追いやっている人を滑稽に描きつつ
実は両者とも笑いものにしている
高みに立った風味が漂うよう
感じているのかもしれない。

鋭さに耐えられない、普通の感覚が
壁・溝を作っているのかもしれない。

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2016年01月13日

Posted by ブクログ

 筒井先生お得意のスラップスティックがたくさん詰まった短編集。「ワイド仇討」のみ既読だった。
 パニックに陥った人間たちのドタバタ劇はどこか滑稽で面白く、クスリと笑わされることしばしば。だけどどの作品の裏にも世相への皮肉や切迫感、切なさや哀しさが潜んでいるので、ただのドタバタコメディで終わっていない、むしろ怖さすらうっすら感じる上質コメディだ。
 しかしなぜ自分がクリスマスイブにこの本を選んだのかはよく分からない…(笑)

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2015年12月13日

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筒井康隆、久しぶりに読んだ。自分の言語感覚が世の中の流れを受けてずいぶんと保守化というか、スラップスティックな世界に対応するのが難しくなっていることに気づいた。もっと自由でいいはずだ。

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2015年10月09日

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なかなかなかなかでした。

パロディなんです、日本沈没の。
で、日本以外沈没したらこんな感じ?みたいなショートショートです。

ぇぇーあり得ないーぃー

って感じのショートショート続きで、宇宙人とか普通に登場しちゃうあたりがすごい大胆。

読んでて、こんなんなっちゃって!?大丈夫?オチ?って、読者が心配しそうになる一冊です。

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2015年09月25日

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1962年から76年にかけて書かれた11本の作品が収められた短編集。

解説にもありましたが、どれもかなり初期の作品なんだそうです。

筒井作品といえば、ずいぶん前にテレパスの七瀬シリーズにハマってしまったことがありましたが、今回久しぶりに読んでみて、何ていうかSFの物凄さを思い知ったという感じです

ありそうでない話どころではなく、絶対にあり得ない話。馬鹿らしいと片付けるのは簡単だけど、つい先が気になって最後まで読んでしまう。そして本を閉じる頃には爽快な読後感に包まれる。そんな魅力に溢れた作品集です。

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2015年05月24日

Posted by ブクログ

表題作は、以前読んだときと、印象が違ったな。付録の人物紹介が面白いからかな。どれも、60-70年代初出で旧いのだが、当時が見えて味わい深いな。最も、一番気に入ったのは、幕末ネタだが。

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2015年04月24日

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SF=近未来、的な妄想を吹き飛ばしてくれる作品。
強烈な風刺やブラックユーモアが散りばめられた短編集。
凡人には思いつかない描写や表現が新鮮。

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2014年08月03日

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久々の筒井康隆でした。表題作の他、「農協月に行く」も収録。スラップスティック系の短編集。話がどんどん広がっていく様は、数人の男の飲み会が奇想天外な話で盛り上がっていくようで心地よい。

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2014年06月08日

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色々なお話を集めた短篇集。
タイトルになっている、「日本以外全部沈没」は、ちょっと昔のお話ゆえ、登場人物の解説が無ければ、若い人には無理。私は、とてもおもしろかったですけどね。

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2014年05月18日

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タイトルに惹かれて。
日本沈没のパロディ作品の表題作を含む、ドタバタな短編を11編収録。
どの作品にも通じて言えるが、マスコミという存在に嫌らしさを寄せている。彼にとってはマスコミはそういうものなのだろう。
また、ドタバタを引き出すために、道化師やトリックスター的な存在の多数配置など、様々な工夫をいたるところに凝らしており、急展開や止まらないスピード感を強く感じられた。
逆に言えばトリックによる揺さぶりだけで、種がわかると何も残らない、ただ消費されるだけのものになってしまった。

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2014年03月18日

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世の中のあれやこれやを皮肉った超ナンセンス短編集。よくこんなの書いたなっていう過激な内容。人によってはかなり不快に感じるんじゃないだろうかって感じ。取り扱ってるテーマも人種差別や核問題、国家間の抗争だったりとわりとデリケートなものばかり。こんなこと書いて大丈夫なんだろうか………って感じでヒヤヒヤした。ほんとナンセンス。

中では「ヒノマル酒屋」がなかなか面白かった。

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2012年04月22日

Posted by ブクログ

表題作は既読。 どれもきっちりとしたオチのない不条理系。 「着想」は悪魔的なすごさなので、 しっかりオチをつけてくれれば最高に面白いと思うのだが。 ま、そういうことには関心ないんだろうな。

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2011年09月22日

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