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Posted by ブクログ
小松左京の『日本沈没』をひっくり返し、日本だけが残って世界中の陸地が沈むという、とんでもない発想。その結果、日本人が世界一偉くなり、外国人が三等市民扱いされる世界が描かれるのだけれど、とにかく不謹慎。びっくりするほど不謹慎。でも、その不謹慎さの奥にあるのは、人間の差別意識や排他性への痛烈な皮肉。
それにしても、世界の著名人たちの扱いが容赦ない。筒井康隆さん、本当に遠慮という言葉を知らない。今の時代にこの内容を新作として発表したら、たぶんSNSが大変なことになりそう。
こんなのあり?とツッコミながらページをめくり、気づけば最後まで読まされている。やっぱり筒井康隆は恐ろしい。笑わせながら、しっかり毒を飲ませてくる。読後に妙な後味が残る一冊。
Posted by ブクログ
「筒井康隆」のパニック短篇集『日本以外全部沈没』を読みました。
1960年代から1970年代にかけて発表された作品の中からパニックモノの短篇やショートショート作品を再録した作品なので、むかーし、読んだことのある作品も含まれていましたが、ほとんど内容は忘れてしまっているので、新たな作品として楽しめました。
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地球規模の地殻変動で、日本を除くほとんどの陸地が海没してしまった。
各国の大物政治家はあの手この手で領土をねだり、邦画出演を狙うハリウッドスターは必死で日本語を学ぶ。
生き残りをかけた世界のセレブに媚びを売られ、すっかり舞い上がってしまった日本と日本人だが…。
痛烈なアイロニーが我々の国家観を吹き飛ばす笑撃の表題作(登場人物解説付)ほか、新発掘短篇「黄金の家」も収録。
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先日、「河崎実」監督が映像化した映画『日本以外全部沈没』を観ましたが、その原作も含め以下の十一篇が収録されています。
■日本以外全部沈没
■あるいは酒でいっぱいの海
■ヒノマル酒場
■パチンコ必勝原理
■日本列島七曲り
■新宿祭
■農協月へ行く
■人類の大不調和
■アフリカの爆弾
■黄金の家
■ワイド仇討
パニックモノが集められていることもあり、なんじゃこりゃ!と思うような理解不能な作品も含まれていましたが、、、
「日本以外全部沈没」、「ヒノマル酒場」、「農協月へ行く」、「人類の大不調和」、「アフリカの爆弾」、「ワイド仇討」は面白かったですね。
ユーモア(相当黒いですけど… )な文章の中に、社会風刺やナショナリズムへの批判精神がこめられていて、面白いけど考えさせられる… って感じでしょうか。
発表された当時の社会情勢や世相を肌で感じていれば、もっと愉しく読めるのかもしれませんね。
Posted by ブクログ
「残像に口紅を」で筒井先生熱が呼び戻されたのだけど、一気に読んでしまってすぐに冷めてしまうのももったいないので、ちょっと時間をあけてこの本を本棚から引っ張り出してきた。
どの小説もアイロニカルで痛快。1960~70年代の日本をシニカルにとらえているのだけど、当時から50年以上経ってもその皮肉が色褪せてないのがすごい。50年経った今なら、当時をふり返ってシニカルに書くことはたやすいだろうけど、筒井先生は当時同時進行でそれをやってのけてるのがすごい。
そして、50年経った今の日本に対しても、これらの小説にこめられた皮肉がそのまま適用できてしまうかもと感じられ、とっても反省させられたりもした。
Posted by ブクログ
スラップスティックな11の短篇を収録。ドタバタながらも風刺の効いた作品ばかりで、クスッと、ときにワハハと笑いながら読み進めることができましたが、特に以下の作品がおもしろかったです。
・ヒノマル酒場:マスコミを信用しない酔客たち。マスコミ不信はそんな昔からあったとは。カオスな展開がとっても好き。
・農協月へ行く:「農協ツアー」なるものを初めて知りました。成金たちが騒ぎ立てる姿はヒノマル酒場と同様、カオスです。
・人類の大不調和:大阪万博(1970年)に突如出現する殺戮されるベトナム人や飢餓のアフリカ人たち。世界中の負の側面に翻弄される展開に、万博に対する皮肉を感じざるを得ません。
読み終えて改めて感じる著者のセンス。引き続き筒井作品を読んでみようと思わせる作品でした。
Posted by ブクログ
筒井康隆お得意のスラップスティックなSF短篇集。「ヒノマル酒場」は土方のおっさんたちの下品さや関西系のマスコミに対する不信感などがとてもリアルで、そんな人間たちと異星人のファーストコンタクトという題材が非常に面白い。まさに狂騒的でこのドタバタ加減はこの作家にしか出せない味だろう。店じまいで話まで強引に畳んでしまうのも良い。個人的なお気に入りは「あるいは酒でいっぱいの海」で、海が酒になるという荒唐無稽なネタをストレートに描く度胸もさることながら、最後は酒そのものになってしまうという星新一のショートショートのような奇妙なオチも素晴らしい。あと「パチンコ必勝原理」のくだらなさも大好き。傑作は「農協月へ行く」だろう。まず農協団体の田舎丸出しの方言が鼻につくほどリアルで、描写がとにかくいやらしい。下衆い人間たちに接するサービス業の苦労や苛立ちもヒシヒシと伝わってくる。宇宙人とのファーストコンタクトをするのが田舎者というネタは面白いが、それ以上にそのネタを成立させるための細部へのこだわりが凄まじい一本である。核武装する未開の土人を描いた「アフリカの爆弾」も、白人を金づるにするため、あえて文明を隠して土人らしく振る舞うという強かさが描かれており、どの短篇もネタ周りの舞台設定に凝っている。筒井康隆らしい短篇集だといえよう。個人的にはファンタジーよりパニック・SF要素の強いこの短篇集のほうが好みである。
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