筒井康隆のレビュー一覧

  • 時をかける少女

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    テレポ、タイムリープ系物語か。
    この手の、2周目の人生とかデジャヴ系の設定は、よくある手法として珍しくもなく色々と見かけるけど、1967年の新作としては斬新なSFだったことでしょう。
    しかもこの、時をかける少女は、メインではなく短編集の中の1作品なのに(知らんかった!)、漫画化され映像化され、
    カタチを変えながらリバイバルされて、いまなお舞台とかで上演されてるのってすごい。
    もはや時かけ過ぎ!
    初めて映画化されたのは自分が生まれた年のこと。
    もはや古典!
    主題歌も、ええなぁ耳に残る普遍的なメロディで、さっすがユーミン。
    もはやクラシック!

    ケン・ソゴルが「原則として過去の時代の人に未来のこと

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    2023年12月31日
  • 時をかける少女 (角川つばさ文庫)

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    ネタバレ

    言わずと知れたSFの名作。挿絵の和子の制服はセーラー服ではなく、ブレザーとリボンだが、まるで違和感がない。一夫の説明も今の時代でも納得いくものだし、これが昭和に書かれたものだとは信じられない。「時の女神」もタイムトラベルもので、時間移動を繰り返す一人の娘。謎も残しつつ、余韻が味わえる。「姉弟」と「きつね」は、少々切なさがある。

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    2023年12月30日
  • 短篇小説講義  増補版

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    かなり前に書かれた筒井さんのこの小説執筆論が、令和の時代に小説家になろうとする人間に、とても参考になる。

    昨今、小説投稿サイトの増加などに伴い、小説を書く人は激増している。新人向けの小説コンテストも多く、規模の大小を問わなければ、投稿できるコンテストは毎月十件くらいあるのではないか、と思う。

    そのような環境の中で、短編小説のあり方はまさに多様化していて、筒井さんが言う「小説は自由だ」との主張は説得力を増している。

    この本で紹介されている事例は海外作家のものが多いがゆえに、短編小説における様々な試行錯誤の事例が、テーマ選定、文章の構造の斬新さ、という視点に偏っていることは否めない。

    令和

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    2023年12月28日
  • 文学部唯野教授

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    筒井康隆のブラックユーモア小説。架空の大学「早治大学」文学部英米文学科の唯野教授を中心とする露悪的な大学組織のドタバタ劇と、唯野教授による文学理論の講義が交互に進んでいく。

    文学理論目当てで手に取ったが、筒井康隆のナンセンスで下品なユーモアが面白くかなり自分好みの内容だった。

    文学理論の方は、印象批評、新批評、ロシア・フォルマリズムまでは簡単だし、いかにも文学理論らしくて面白いのだが、第4講からはまるきり現代思想の話に。門外漢ゆえ分からないが文学理論ってこんなに思想にベッタリなんだろうか。ちなみに現代思想の解説としては、他の新書や一般書と比べてもかなり分かりやすいと思う。

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    2023年12月20日
  • パプリカ

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    Wikiによれば、筒井康隆は1965年に関西から東京に転居し、そこから本格的に作家活動を展開したらしい。第一短編集「東海道戦争」は1965年の発行ということなので、かれこれ60年近く前のことだ。最新の短編集「カーテンコール」は、2023年11月の発行、60年近くを経て、なお現役の作家であるという怪物のような人だ。ちなみに、1934年9月生まれなので、現在89歳。
    私自身は、筒井康隆の作品は中学生から高校生の頃によく読んでいた記憶がある。それ以来、遠ざかったいたので、50年近くぶりに筒井康隆の本を読んだことになる。

    主人公の千葉敦子は、精神医学研究所に勤めるノーベル賞候補の研究者であり、また、

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    2023年12月18日
  • 富豪刑事

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    タイトルと”筒井康隆の推理小説”に興味を惹かれて読んでみた。富豪刑事と聞いてなんでも金で解決する成金の卑しい刑事を想像してたけれど、自分の予想を遥かに超えた大大大金持ちで拍子抜けするような展開ばかりでおもしろかった。推理小説にしては怪しい犯人は常に1人しかいないんだけど、そのトリックを解く過程が好きな人は楽しめるかもしれない。筒井康隆の文中に挟む言い訳のような吐露も個人的に新鮮で、こういう作者の正直な胸中があからさまに書かれたおかげでちょっとクスッと笑える、おおらかな推理小説に感じた。

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    2023年12月04日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

    A

    購入済み

    面白かった

    面白かった。
    前作では、人間の心理を描写するための表現上のツールとして
    テレパスが使われている印象だったが
    今作では、打って変わって、
    能力者バトルのような活劇
    超能力者の葛藤、超能力者同士の協力と対立などがあり
    とても面白かったです。

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    2023年11月30日
  • 聖痕

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    ネタバレ

    素晴らしい読書体験だった。

    幼少期に生殖機能を暴漢に奪われ、煩悩を知らずに育つ貴夫と周囲を描いた、一族の栄枯盛衰ストーリー。

    古風な語彙が非常に多く、最初は戸惑うが、段々とその文章に引き込まれてこうあるべきだと錯覚させられる。日本語の奥ゆかしさと、貴夫の聖人伝が融合して、難解だが居心地の良さを与えてくれる。

    終盤の仇敵を赦す場面などは、キリストそのものではないか。神々しい貴夫の姿が私に想起させられた。貴夫が作中で教祖と揶揄される、そして現実となるのは無理のないこと。

    貴夫一族がどのような未来を辿るのか、私の妄想は膨らむばかりである。

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    2023年11月26日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    ネタバレ

    モナドの領域同様、こっちも御書印巡りのときに買ったやつだったはず。モナドよりだいぶ昔のはずだが。
    こっちはSF短編集だった。小説の背景設定を見ると、だいぶ昔に書かれたものっぽくはあった。1964年から78年の作品。

    ・いじめないで
    出力が穴開きテープというだいぶ古いタイプの人工知能と、世界崩壊後に唯一生き残った男性がやり広げるドタバタ喜劇というか。酒をかけられたり、部品を破壊されそうになり怯える機械と、どんどん酔っ払っていく男性。そして最後には全部埋もれて終わり。登場人物が二人というミニマルな話。

    ・しゃっくり
    タイトルを見ただけでは内容が思い出せなかったが、交差点にいた主人公だけじゃなく

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    2023年11月26日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    それらしい事を言ってネタバレするのはイヤなので詳しくは書かない。
    とにかく面白かった。やはり筒井先生は最高だって事かな(笑)

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    2023年11月24日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    ネタバレ

    いつどこで買ったか全く記憶にないけど、たぶん御書印もらうときにテキトーに買った本のひとつだろうな。

    筒井康隆作品を読むのはめちゃめちゃ久しぶりなので感覚を忘れていて、最初にバラバラ死体が出てきて、パン屋で発見された部位と同じ形のバゲットが流行るという謎めいた展開になり、さあ誰が犯人なんだろう…とドキドキしながらページをめくっていたところ、パン屋の常連だった教授が突然全知全能の神に憑依されるという展開で、あっ、そういえば筒井康隆作品だったわ、と気づいたと言うか思い出したというか。

    その後はもうずっと筒井康隆感。人々がとにかくGODに翻弄され、そして全てはGODの予定、いわゆる「モナド」の通り

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    2023年11月23日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    20年以上ぶりで再読。『家族八景』とはまた違ったアクティブな作品。『家族八景』でも思ったけれど、文学的エロ表現が筒井康隆ならではという感じ。ラストは七瀬も思えば遠くまで来ちゃったなあと思ったかもしれない。このあとどう続ける?

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    2023年11月12日
  • 虚航船団(新潮文庫)

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    ネタバレ

    摩訶不思議。滅茶苦茶やん。
    そう思って、はじめの方は読み進めた。
    さすが奇書と言われるだけある。
    小説界のラーメン二郎と誰かが書いていたが、言い得て妙。それくらい濃厚。

    心して読んで欲しい。
    単なる読書ではなく、筒井康隆への挑戦となる。

    執筆に6年をかけたらしく、終盤では他の創作の依頼は断ったらしい。筒井康隆の集大成的作品とも言われている。

    ーーーあらすじと感想ーーー

    第一章 文房具

    宇宙船団の中のひとつに、山ほど文房具が乗っている文房具船があり、文房具たちは全員どこか狂っている。そしてP20までに大学ノートは死に、ダブルクリップが自殺する。

    は?

    自分は大事だと思うところや物語

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    2023年11月08日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    ほぼ10年ぶり三読目。気づけば10年に1回読んでいる。今さら言うまでもないことだけど、文章がうますぎる。変化をもたせた最小限の文の連なりで、正確に内容が伝わるように書かれている。{}を使った、同時複数の感情表現方法は、50年後の現在も見かけないような斬新な表現。内容的には、ヒヤヒヤはするものの、いずれの家庭も七瀬の力の範囲に収まっているので、一安心。

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    2023年11月07日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    筒井康隆のショートショート、大好きだ!

    ところどころで滑ってるものもあるけれど、そんなんはどんな芸人でも一緒だでね。
    なんていうかもう、「会いたい」では、胃の奥がぐるぐるするほど泣いた。すてきなことに定評のある筒井康隆の短編の中でも、ド級にすてき。この一編のためだけにもう一冊この文庫を買おうか迷ってしまうよ。
    しかし!人におすすめしても100%大絶賛が返ってくるとは限らないのが筒井康隆あるある……。なので、このたまらなくすてきなショートショートが心にびんびんくる人に、もっともっとこれからも届いていくといいな。いいな!

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    2023年08月28日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    筒井康隆の作品はナンセンス加減で割と個人的な評価が分かれてしまう。
    本作はとても面白い。
    今でこそテレパシーモノに新鮮みはないが、作者のブラックなアイデアと表題通りの面白い構造でページが進んだ。
    テレパシーを持つ人間から浮き彫りにされる人間の汚さ、誇張こそあれ真実味のある内容だった。

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    2023年07月28日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    筒井康隆の書くお話が好き!
    初めて彼の書く本を読んで、今ではすっかりコレクター。
    エロ、グロ、ホラー、とんちになんでもござれな一冊。

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    2023年06月28日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    テレパスを持つ少女がお手伝いとして、8つの家族を渡り歩く話。
    人間の生々しい感情、肉欲、恨み、嫉妬を主人公を通してべったりと張り付くような感情を体験できる良本。
    主人公も決して善人ではなく、主人公の行動によって次々と家族は崩壊していくが、悪人にも見えない不思議。

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    2023年06月26日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    哲学を学んでいないので、理解できない部分も多かったけど、それでも、こんな感じなのかな?と想像して読み進めるのが楽しかった。
    最初に登場する「女性の腕」について、「川端康成は好きじゃなさそうな腕、谷崎潤一郎が好きそうな腕」というくだりが妙に腑に落ちて、読む間ずっと私の頭の中に腕のイメージが存在していたけど、最後にサラッと回収されていってまたまた納得。

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    2023年03月29日
  • パプリカ

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    SFとドタバタが境目なく融合した傑作。あらゆる二面性が境目なく交錯する。
    夢と現実の境目がなくなる世界が舞台。ヒロインはノーベル医学生理学賞候補の大人の女性であり夢探偵少女でもある。社外的地位の威厳の裏で個人的悩みに苦しんだオジサンたちとともに、夢か現実か分からないモノと戦う。
    映画インセプションをみたときの感覚に近い不安と混乱と興奮とワケわからなさで物語が疾走する。
    いろんな要素たっぷりでおなかいっぱいになれる一冊でした。

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    2023年03月10日