筒井康隆のレビュー一覧

  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    個人的に、エディプスの恋人の登場人物のイメージ像が伊藤潤二作品の画風にぴったり合う。(七瀬→富江さん、香川智広→四つ辻の美少年)
    香川くんの名前(普通)がかけがえのないすばらしいもののように思える七瀬が普通の女の子みたいで可愛いすぎる。
    筒井康隆の意外なまで(宇宙はさほど話の舞台にならないから)真摯な宇宙への畏怖がある。
    エディプス(男の子が母親を慕い父親に反感を覚える傾向であるエディプスコンプレックスから来ている)(=智広)
    エディプスの恋人(=火田七瀬)

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    2025年01月19日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    知り合いに薦められて筒井康隆さん初読。
    全然関係ないのに、なぜか俳優の筒井道隆さんが浮かんでしまい今まで未読だったけど、かなり毒が効いていて面白かった。
    個人的には初期の乙一さんを思い出したけど、全然違うかも。
    ちなみに筒井道隆さんも好き。あすなろ。

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    2025年01月04日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    七瀬シリーズの第二弾

    前作の家政婦の視点での家族ドラマの短編集とは打って変わり今作はサスペンスタッチのエンターテイメント小説へと変化している
    作中で登場する超能力による駆け引きはジョジョ4部や岸部露伴などの異能力ものを彷彿させるが、テレパシーという意識感応能力がゆえに視覚演出としてはかなり地味ではある
    だがそれが小説という媒体だからこそ伝わるスリリングかつエキサイティングな演出に我々読者の心を魅了させる事に成功が出来てると言える
    しかもただハラハラドキドキする娯楽小説ではなく闇の組織や超能力者の苦悩や差別などを実社会の人間の暗部をオブラートに伝えているところは作者の力の入りようも凄まじく最終

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    2024年12月16日
  • パプリカ

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    ネタバレ

    夢の、支離滅裂なのになぜか自分は納得しているような不思議な感じがそのまま表現されていた。
    特に、後半は夢の中に入ったり、現実世界に戻ったり、夢が多重構造をしていたりで、ぐるぐるとスピード感を持って世界が入れ替わるのが読んでいてとても楽しかった。

    敦子が性に奔放で、イケメンと言うよりは冴えない地味な男性やおじさんに好意を抱きがちなのは違和感が少しあると思って読み進めていた。
    しかし、敦子自体が誰かの夢の登場人物であると考えると納得したし、なんならおじさんの理想のセラピストはきっと敦子みたいなキャラクターに他ないとさえ思う。

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    2024年11月30日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    「非常におもしろかった」と言えば、その人間性を疑われ兼ねないが、非常におもしろかった。筒井康隆氏の作品はいくつか拝読したが、『シルバー世代のバトルロワイヤル』というあらすじを読んで本作『銀齢の果て』を本屋で探し続けた挙げ句、見つけることは叶わず、結局はネットで購入して読むに至った。
    本作は場面転換や日付の移り変わりがあるにもかかわらず、章で区切ったりはされておらず、そのせいで読む手を止めることができなかった。これ程、1作を早く読んだのは初めてである。

    内容は至って分かりやすい、老人の殺し合いであり、酷く趣味が悪いことであると思う。しかし、狂気じみた殺し合いだけでなく、しっかりとした設定や殺し

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    2024年11月17日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    ノリオ、ヘンリー、ヘニーデ姫など登場人物の色が強く出ていて素敵。
    七瀬が彼らをどんどん味方につけていく展開もワクワクする!
    彼女の相手に超能力を知られてはいけないが、自分は断片的に相手の情報を読み取れる前提(ルール?)があるから、その中で道を切り開いていくのが面白い。

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    2024年10月24日
  • パプリカ

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    映画はまだ観ていないけれど、原作ということで読んでみた!
    普通に面白かった!でも映画の方が面白いらしいから、早く映画を観たい。
    YouTubeで見た理事長の発狂シーンや素敵な戯言がいつ出てくるのかと心待ちにしていたのに、結局最後まで出てこなかった。かなしい、、、
    キャラクターが良かった!特にパプリカと玖珂。能勢と粉川も好き。副理事長や小山田も読んでいて不快になるタイプの悪役ではなかった。

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    2024年10月05日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    めちゃくちゃ癖のある短編集(はちゃめちゃSFってジャンルらしい)。
    表題作の「笑うな」は、読んで爆笑した。本を読んでここまで笑い転げたことはないくらい笑った。
    他の作品も、面白かったり面白くなかったり、色々。ちゃんと面白くない作品もあるから、この作品は面白いのかどうか分からないギャンブル性みたいなのも楽しかった。
    個人的には、「傷つけたのは誰の心」、「ある罪悪感」、「赤いライオン」、「駝鳥」、「トーチカ」あたりが面白かった。「産気」は、最後の方まで面白かったのに、オチが本当に残念。
    本全体で見たら、色んな感情になれて面白かったから星5。
    そういえば、世にも奇妙な物語っていう番組に世界観が似てい

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    2024年08月05日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    読んでいる中で、何となく違和感がありました。しかし、この違和感は私の理解力の乏しさによるものだと思い、時間が経てば解決する気がしました。この違和感は作者の仕掛けたトリックが明かされる形で解消されました。
    非常に面白い小説でした。ロートレックと恋模様というあまり聞かない組み合わせの中で起こる事件は非常に読み応えがありました。また、200ページちょっとと言う読みやすさも込みでとてもいい小説でした。

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    2024年06月25日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    見事に騙された。「ロートレック壮」で次々と殺人が起こる、王道の展開のミステリだが、このトリックは予想できなかった。ラストのどんでん返しと、緻密に張られた伏線の回収に驚嘆。解説文も一読の価値あり。

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    2024年06月19日
  • パプリカ

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    30年ぶりに読んだが面白かった。こんな前に今でも目新しく感じる精神科領域の物語を書くなんて、筒井氏は流石だと思った。
    映画も見てみたい。

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    2024年06月02日
  • 時をかける少女

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    ネタバレ

    話題になっているのはたびたび目にしていました。
    SFものでレトロな文体です。
    時をかける少女がひとつのお話だけじゃないことを知り、びっくりしました。

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    2024年05月24日
  • 富豪刑事

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     名探偵が大富豪なのである。主人公は神戸(かんべ)大助、まだ若手の、一介の刑事に過ぎないのだが、とにかく家が金持ちなのだ。時効真近の五億円強奪事件の犯人逮捕に、社長密室殺人事件のトリック解明に、五百万円の身代金のかかった誘拐事件の解決に、敵対関係にある暴力団同士の一触即発合同食事会の警備に、私財をいくら投じても良いのだ。
     …という設定を生かした大助さんの人物像と捜査手腕を拝むだけでもじゅうぶん面白いのに、奥行きを感じさせるサブキャラ陣の描き方、実験性すらある思い切った省略話法、大胆にメタフィクションで遊ぶ語り口、そのどれもが効果的過ぎて、めちゃめちゃ楽しかった。
     さらに、推理小説界に対して

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    2024年05月23日
  • わたしのグランパ

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    こっちの表紙ものいぢさん

    角川のビアンカもそうだけど、こちらの表紙もいとうのいじさん。
    ヒロインはJC、のいぢさんたいへんよくわかっていらしゃる。女性ならではですね。
    中味は小気味いい系の筒井品質、嫌なことの一つ二つ忘れられます。程度によりますが。
    お好みで。

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    2024年05月12日
  • ビアンカ・オーバースタディ

    000

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    安定の筒井品質

    白眉は俗物図鑑、七瀬sや旅のラゴスも割と好き
    な立ち位置の自分にとっては、十分に楽しめる内容でした。
    のいぢさんのイラストも素敵です。
    ハルヒより質感が良い。
    描き手の気合が入っているのが伝わってくる。
    中味は、比べちゃ失礼ってもんです。
    お好みで。

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    2024年04月16日
  • 聖痕

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    筒井康隆さんの作品は短編集しか読んだことがなく、初めて長編作品を読みました。
    ページにびっしりと書き込まれた難解な日本語たち。でも読んでいて全く苦ではない。(注釈の量すごいのにね)
    京極夏彦作品で何度も挫折している私でも、最後まで夢中で読み切りました。
    2月に村山由佳の二人キリを読んで、3月にこの本を読んで…意図したつもりはなかったけど、今年はチン切りに縁があるのかな?
    チン切りからはじまる物語とチン切りに終わる物語、どちらも人の性欲を描いた作品だけど、見方が全然違ってとてもおもしろかった。

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    2024年03月24日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    著者の卓越したというか達観したというか、その人間観が現れた描写に舌を巻いた。テレパスによっていかにまありそうな家族模様が如実に表現されていて、とても面白かった。

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    2024年03月14日
  • 富豪刑事

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    ネタバレ

    あーーーおもしろ!最高。ミステリーにコメディを捻じ込んでるのに、力技かと思いきやかなり精密。さすが筒井さん。

    主人公の刑事・神戸大助はホテルオーナーの父である神戸喜久右衛門の財産を使って、難事件を解決していくという一風変わったミステリー。「富豪刑事の囮」「密室の富豪刑事」「富豪刑事のスティング」「ホテルの富豪刑事」の4本からなる。
    金はめちゃくちゃ使うが業務には真面目。富豪じゃないと思い付かない解決法ばかりで笑える。

    あと、時々筒井さんが読者に話しかけてくるのも掟破りで最高。このキャラクターも本当は濃密に紹介したいのだが、本筋と関係ないので割愛する、とか普通に書いてる。

    2005年にドラ

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    2024年03月13日
  • わたしのグランパ

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    真似できないカッコよさ

    表紙の女の子がかわいくて読みたくなった。
    今よく見るとグランパがその後ろにいる。
    気がついてないわけではなかったろうが眼中になかった。
    読後はグランパの方が心の大半を占めている。
    真似できそうにないカッコ良さだ。
    孫娘もなかなかしゃんとしていて、
    その目を通して語られるグランパはさらに魅力的だ。
    とんでもない展開とも思えなくもないが、先を読みたくさせる。
    『旅のラゴス』は読んでいた。冒険ものはおもしろい。
    それを日本の今ですると、ヤクザまがいになりそうだが、
    グランパは普通の人がなれないくらい真っ当な人だ。

    #アツい #共感する #カッコいい

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    2024年03月12日
  • カーテンコール

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    ネタバレ

    「文学やるなら常識捨てて、世間の糾弾身に引き受けて、何でも書くのがまともな作家」(コロナ追分より)

    「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」帯に大きくそのように書かれている筒井さんの作品集。1934年生まれの89歳。2020年末~23年、86歳〜89歳までの25作品が収録されている。
    巨匠であり、文豪。書き上げ、出版していただけたことがファンとして嬉しい。
    SF、ブラックユーモア、ドタバタ劇など、多彩な“筒井ワールド”がギュッと詰め込まれている。

    「書いている最中から、『もうこれ以上ないな』と思った」
    「書いたら面白そうだという着想はあるけど、書く前や書きかけて、『ああ、これ前に書い

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    2024年03月01日