筒井康隆のレビュー一覧
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七瀬シリーズの第二弾
前作の家政婦の視点での家族ドラマの短編集とは打って変わり今作はサスペンスタッチのエンターテイメント小説へと変化している
作中で登場する超能力による駆け引きはジョジョ4部や岸部露伴などの異能力ものを彷彿させるが、テレパシーという意識感応能力がゆえに視覚演出としてはかなり地味ではある
だがそれが小説という媒体だからこそ伝わるスリリングかつエキサイティングな演出に我々読者の心を魅了させる事に成功が出来てると言える
しかもただハラハラドキドキする娯楽小説ではなく闇の組織や超能力者の苦悩や差別などを実社会の人間の暗部をオブラートに伝えているところは作者の力の入りようも凄まじく最終 -
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「非常におもしろかった」と言えば、その人間性を疑われ兼ねないが、非常におもしろかった。筒井康隆氏の作品はいくつか拝読したが、『シルバー世代のバトルロワイヤル』というあらすじを読んで本作『銀齢の果て』を本屋で探し続けた挙げ句、見つけることは叶わず、結局はネットで購入して読むに至った。
本作は場面転換や日付の移り変わりがあるにもかかわらず、章で区切ったりはされておらず、そのせいで読む手を止めることができなかった。これ程、1作を早く読んだのは初めてである。
内容は至って分かりやすい、老人の殺し合いであり、酷く趣味が悪いことであると思う。しかし、狂気じみた殺し合いだけでなく、しっかりとした設定や殺し -
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めちゃくちゃ癖のある短編集(はちゃめちゃSFってジャンルらしい)。
表題作の「笑うな」は、読んで爆笑した。本を読んでここまで笑い転げたことはないくらい笑った。
他の作品も、面白かったり面白くなかったり、色々。ちゃんと面白くない作品もあるから、この作品は面白いのかどうか分からないギャンブル性みたいなのも楽しかった。
個人的には、「傷つけたのは誰の心」、「ある罪悪感」、「赤いライオン」、「駝鳥」、「トーチカ」あたりが面白かった。「産気」は、最後の方まで面白かったのに、オチが本当に残念。
本全体で見たら、色んな感情になれて面白かったから星5。
そういえば、世にも奇妙な物語っていう番組に世界観が似てい -
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名探偵が大富豪なのである。主人公は神戸(かんべ)大助、まだ若手の、一介の刑事に過ぎないのだが、とにかく家が金持ちなのだ。時効真近の五億円強奪事件の犯人逮捕に、社長密室殺人事件のトリック解明に、五百万円の身代金のかかった誘拐事件の解決に、敵対関係にある暴力団同士の一触即発合同食事会の警備に、私財をいくら投じても良いのだ。
…という設定を生かした大助さんの人物像と捜査手腕を拝むだけでもじゅうぶん面白いのに、奥行きを感じさせるサブキャラ陣の描き方、実験性すらある思い切った省略話法、大胆にメタフィクションで遊ぶ語り口、そのどれもが効果的過ぎて、めちゃめちゃ楽しかった。
さらに、推理小説界に対して -
購入済み
こっちの表紙ものいぢさん
角川のビアンカもそうだけど、こちらの表紙もいとうのいじさん。
ヒロインはJC、のいぢさんたいへんよくわかっていらしゃる。女性ならではですね。
中味は小気味いい系の筒井品質、嫌なことの一つ二つ忘れられます。程度によりますが。
お好みで。
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購入済み
安定の筒井品質
白眉は俗物図鑑、七瀬sや旅のラゴスも割と好き
な立ち位置の自分にとっては、十分に楽しめる内容でした。
のいぢさんのイラストも素敵です。
ハルヒより質感が良い。
描き手の気合が入っているのが伝わってくる。
中味は、比べちゃ失礼ってもんです。
お好みで。 -
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ネタバレあーーーおもしろ!最高。ミステリーにコメディを捻じ込んでるのに、力技かと思いきやかなり精密。さすが筒井さん。
主人公の刑事・神戸大助はホテルオーナーの父である神戸喜久右衛門の財産を使って、難事件を解決していくという一風変わったミステリー。「富豪刑事の囮」「密室の富豪刑事」「富豪刑事のスティング」「ホテルの富豪刑事」の4本からなる。
金はめちゃくちゃ使うが業務には真面目。富豪じゃないと思い付かない解決法ばかりで笑える。
あと、時々筒井さんが読者に話しかけてくるのも掟破りで最高。このキャラクターも本当は濃密に紹介したいのだが、本筋と関係ないので割愛する、とか普通に書いてる。
2005年にドラ -
購入済み
真似できないカッコよさ
表紙の女の子がかわいくて読みたくなった。
今よく見るとグランパがその後ろにいる。
気がついてないわけではなかったろうが眼中になかった。
読後はグランパの方が心の大半を占めている。
真似できそうにないカッコ良さだ。
孫娘もなかなかしゃんとしていて、
その目を通して語られるグランパはさらに魅力的だ。
とんでもない展開とも思えなくもないが、先を読みたくさせる。
『旅のラゴス』は読んでいた。冒険ものはおもしろい。
それを日本の今ですると、ヤクザまがいになりそうだが、
グランパは普通の人がなれないくらい真っ当な人だ。 -
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ネタバレ「文学やるなら常識捨てて、世間の糾弾身に引き受けて、何でも書くのがまともな作家」(コロナ追分より)
「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」帯に大きくそのように書かれている筒井さんの作品集。1934年生まれの89歳。2020年末~23年、86歳〜89歳までの25作品が収録されている。
巨匠であり、文豪。書き上げ、出版していただけたことがファンとして嬉しい。
SF、ブラックユーモア、ドタバタ劇など、多彩な“筒井ワールド”がギュッと詰め込まれている。
「書いている最中から、『もうこれ以上ないな』と思った」
「書いたら面白そうだという着想はあるけど、書く前や書きかけて、『ああ、これ前に書い