筒井康隆のレビュー一覧

  • パプリカ
    SFとドタバタが境目なく融合した傑作。あらゆる二面性が境目なく交錯する。
    夢と現実の境目がなくなる世界が舞台。ヒロインはノーベル医学生理学賞候補の大人の女性であり夢探偵少女でもある。社外的地位の威厳の裏で個人的悩みに苦しんだオジサンたちとともに、夢か現実か分からないモノと戦う。
    映画インセプションを...続きを読む
  • 富豪刑事
    おびのりさんにお薦めをお願いしてもらった筒井康隆作品です。ありがとうございます!
    紹介していただいたのはずいぶん前で、ずいぶん前に購入していたので、積読本に埋もれて探せなくて読むのが遅くなりました。最近、積読本をちょっとだけ片づけたのです。


    キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた...続きを読む
  • 脱走と追跡のサンバ
    実験的な小説であるものの、最後まで読み通せるほどのおかしさや面白さに満ち溢れていて、今でも新鮮な、読み応えのある作品だった。
    「虚人たち」は小説という形式のなかでもがく話だが、今作は世界そのものから脱出しようとするわけで、筒井康隆ならではの世界把握があまりにも独特で、かつ的確。現代社会と適応しすぎた...続きを読む
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)
    おもしろかったぁー!こういうミステリー大好物です♫作者の思う壺にまんまとはまり、「え?え!え!?」と前のページに戻って感嘆する、紙書籍ならではの読み方を味わうことができるのも楽しい。
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)
    筒井康隆の『富豪刑事』に次ぐミステリー作品である。康隆の領分ではないが、『富豪刑事』の素晴らしさは語るまでもなく、本作も期待感と共に読み始めた。

    舞台はロートレックの絵画だらけの別荘「ロートレック荘」。そこに集まった金なしの芸術家と金持ち一家、そして美女たち。芸術家が結婚相手を選ぶ中、邸内で殺人事...続きを読む
  • モナドの領域(新潮文庫)
    高校生の時に読んで以来の再読。当時は筒井康隆についてあまり知らない状態で読んだから、単なる哲学的なSFとして読んでしまっていたけれど、彼の他の作品をいくつか読んでから改めて触れると、壮大な実験小説なのだということがわかった。解説で池澤夏樹が書いているが、物語で神様を出すというのは、展開がなんでもあり...続きを読む
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)
    時々違和感を感じながら読み進めていたが、見事に引っかかかった。
    結末を知ってからもう一度読み返したくなる作品。
  • パプリカ
    アニメ映画を観たくなって、先に原作を読んでおこうと。
    文章だからこそできるストーリーなのかなというのが感想なので、どんな感じで映画になったのかな。

    和製インセプションだなと思ってたら、インセプションの方がパプリカをオマージュしてるみたい。びっくり!
  • モナドの領域(新潮文庫)

    お達者で何よりです

    45年程前からの愛読者としては「昔の先生ならもっと短くまとめてた、もっと多次元の世界をSF的に描いてた」のではないかと想像してしまいますが、今回は先生の今が感じられて
    、これも善きかなと思いました。「時をかける少女」は永遠に不滅です。
  • 笑うな(新潮文庫)
    人間観察が上手い作家さんなんだろうなぁと思った。
    風刺アニメやブラックジョークが好きな人に勧めたい。
  • エディプスの恋人(新潮文庫)
    無意識のエディプス的傾向を母親=「彼女」側からのアプローチで智広に対して実現させてるのか、結局のところその無意識は智広側から膨れ上がってきていてその結果が「彼女」をこういうかたちの存在にさせているのか、、、とかを考えたりした。
    包み込むっていう意味での母性をSFっぽく体現している感じがしておもしろか...続きを読む
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)
    テレパス七瀬シリーズ第二弾。
    超能力者は七瀬だけではなかった。短編を追うごとに次々と増えていく、超能力者たち。彼らは敵?それとも味方なのか?

    家政婦として働き、孤独な超能力者として描かれた七瀬だったが、今作ではすでに別の仕事を転々としながら、身をやつしながら生活する。相変わらず、人の心が読めてしま...続きを読む
  • 聖痕
    聞き慣れない難読な単語が多く、注釈でそれぞれの意味が記されているがそれでは足りない程難しく書かれている。一つ一つ意味を確かめながら読む時もあれば、なんだかスルスルとその漢字が持つ空気感だけで意味を感じ取り読み進める時もあった。ラストに印象的に示されたスケープゴートがこの作品の主題であって、それを表す...続きを読む
  • 家族八景(新潮文庫)
    読心術、という本当にあるかどうかわからないものが世の中には存在しているが、それが本当にできるのが、この物語の主人公である、七瀬である。

    「掛け金」という彼女独特の捉え方で、自分に流れてくる相手の感情をコントロールして、なるべく影響されないようにしながら生きてはいるが、そうはいってもどうしても影響さ...続きを読む
  • パプリカ
    映画『パプリカ』に、原作があることを本屋で知りましたが、読みたい気持ちを後回しにし続けてました。

    登場するキャラクターたちが、躍動感を持ちながら展開していく物語。その一方で、文字から映像に変えることの難しさを肌で感じます。

    夢と現実の区別がつかなくなる展開の話は、例えば『インセプション』という話...続きを読む
  • エディプスの恋人(新潮文庫)
    七瀬さんに幸せになってもらおうと、作者である筒井さんは、本書に登場する「意志」の如く振る舞ったのだと感じました。
    人間の心理描写に秀でた作品とのコメントがあったのがきっかけで『家族八景』を読み始めた物語でした。七瀬さんの話は、いつもまでも続いてほしいという思いもありますが、ここで終了のようです。まだ...続きを読む
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)
    人の心を読むことができる七瀬さんを主人公にした小説。『家族八景』に続く二作目にあたる。前作では孤独な超能力者だった七瀬さんは、同じような能力を持った人たちに出会う。
    仲間はできたが、敵がいることもわかる。超能力者の根絶を目指す組織があるようだ。仲間との安住の地は、戦場へと変わっていく。
    ひやぁー こ...続きを読む
  • 家族八景(新潮文庫)
    生まれながら、人の心を読むことができてしまう七瀬さん、その能力をひた隠しながら、家政婦として働いている。雇われた家庭の悲喜交々を受け取ることになる。心が健全な家庭には雇われることはあまりない。人間の、できれば人に知られたくない心の動きが七瀬を通して詳らかになる。
    続編もあるようだ。是非読んでみたい。
  • パプリカ
    映画を一度見て、訳が分からず途中で見るのをやめてしまったのを悔いるくらい面白かった。こういう話だったのか。
    賢く美しくチャーミング、仕事熱心で欲望に忠実な敦子が魅力的に見えて仕方がなかった。好意を持った患者にだけちょっと行き過ぎた治療を施す、そのモラルの欠如も夢の中ならではで、自宅で秘密を共有した特...続きを読む
  • 富豪刑事
    アニメの富豪刑事が3周してしまうほどとても面白く、原作も気になったので購入。

    アニメと原作では神戸大助自身、登場人物、設定など全く違ったので最初は戸惑ってしまい、少し読んだだけで放置しちゃったけど、改めてちゃんと読んだら「なんでこの面白さに気づけないまま読むのを諦めてしまったのだろう?」と思うほど...続きを読む