筒井康隆のレビュー一覧

  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    旅人ラゴスの一生を描いたSF作品。

    SFなのに妙に現実世界に寄せて描かれており、世界には色々な環境があり、考え方があることを考えさせられる。

    終始一貫してラゴスの旅には目的と呼べるものがなく、旅に対しての結論も出ないまま終わるため、小説にエンタメ性を求めている層には刺さらないと思うが、

    人生というのは答えのない旅で、自分がどうありたいかを常に模索しつつ、その過程をどう楽しむのが大事ということを学べる作品だった。

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    2025年12月21日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    テレパス七瀬2作目。前回とガラリと変わり、ミステリーな感じ。超能力者数人と巡り合い、心の交流ができる人も。しかし、超能力者を抹殺しようとする組織が現れ死闘する。最後どうなったの?

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    2025年12月17日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    テレパスの能力を持つ、火田七瀬シリーズの最初の作品。お手伝いとして各家庭を転々としながら暮らしている。
    七瀬以外の登場人物はたいてい醜い欲や感情に塗れていて、悲劇的な結末を迎える人も少なくない。
    いろんな家庭の人物の考えが覗けているようで楽しく読めたが、七瀬の苦しみを見て、テレパス的な能力があったら生きづらいだろうなというなんとなくの想像がより強固になった。

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    2025年12月17日
  • 残像に口紅を

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    字が一字ずつ減っていくなかで、いかに表現できるか試した実験的な作品。「あ」がなければ、「あなた」がなくなり、「ありがとう」がないので、感謝するという言い回しになる。さらにどんどん字がなくなるなかで、情事の様を描写してみたり、講演してみたり、作者はかなり楽しんでいそう。どんどん字が消えていくわりに、そんなに違和感がないところがすごい。ただしわりと内容はない。仕方ない。

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    2025年12月15日
  • 筒井康隆自伝

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    比較的淡々と事実を連ねているようでもあるが、やっぱり面白い。単純な出来事も、往年の若い頃の筒井康隆氏がいかにも書きそうな内容・文体で書いてこられると、やはりそう来たかとそれだけでファンは大喜びしてしまう。
    どちらかといえば、幼少年期〜青年前期ころまでがあまり発表されていない内容なので、興味の対象が大変興味深い。さらに、そういう若い時期を経ているからこそ、あの作品群が生まれてきたのだとも納得させられるものがあった。
    しかし、御大のことだから、自伝に書くことと決して書かないことは、ちゃんと計算し尽くしているのだろう。
    おっさんには幾重にも楽しめる本なのは間違いない。

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    2025年12月06日
  • 残像に口紅を

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    手元に五十音表を書き、それを少しずつ黒塗りしていく読書は結構楽しかった。自分の世界だと何が消えるかなぁと考えるのも楽しみだった。勝夫の最初の家族が消えた時、かすかに残る記憶をたどっていくところが切ない。瑠璃子が出てきたあたりからは、ちょっとな〜。

    先日小川洋子さんの「密やかな結晶」を読み、世界から少しずつものが消えていく話を読んだところだったが、この小説は似た設定でありながら、全く、本当に全く違う話だった

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    2025年11月23日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    筒井康隆作品が好きで手に取った。
    なかなか難しい。
    セリフの半分も理解できていないけれど、筒井さんらしいラストで好きだ。
    物語を陰から眺めていたはずなのにある瞬間突然主人公と目があってどきりとする感じ。
    これがあるから次も手に取るんですよね

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    2025年11月17日
  • 残像に口紅を

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    『怖いのは音が消える世界ではなく、作者の突出した語彙力なのではないか』

    本作は五十音の“音”が消えていく世界を、あくまで実験的に描いた作品。
    音が消えていくのだから、その世界において使われる言葉も段々と限られてくる。
    例えば、“あ”という音が消えれば、『愛している』や『明日』と言った言葉は失われる。

    だが、突然消える音に苦しみながらも、なんとか類似する言葉で物語を進められているのを見て、驚愕してしまった。

    もちろん音が失われていくのだから、使用される言葉が難解になり続け、『あの言葉の代用か!』と考える時間が増える為、サクサクと読み進めることは難しくなる。
    そして、それは非常に重い愛のメッ

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    2025年11月15日
  • 筒井康隆自伝

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    作品紹介・あらすじ

    91歳、最後の文豪の途方もない人生

    「この自伝は極力、自分が見聞きし体験したことに限っている。」

    生まれて最初の記憶、初恋、戦時中に過ごした幼年期、映画とジャズ漬けになった少年期、演劇に夢中になった青年期、同人雑誌から作家デビューし時代の寵児となり、断筆宣言を経て現在の活躍まで。最後の文豪、“笑犬楼”こと筒井氏が驚異の記憶力でつづる、濃密なるライフヒストリー!

    *****

    一時期、星新一氏のショート・ショートと筒井康隆氏の作品を交互に読むのが習慣になっていた。どちらの作品も大好きで、今でもたまに読み返すことがある。残念ながら星氏はすでに故人となってしまったが、筒井

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    2025年11月14日
  • 残像に口紅を

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    「もしひとつの言葉が消滅した時、惜しまれるのは言語かイメージか」

    題名だけ知ってるいわずとしれた名作を読んでみよう第2弾!
    まさに実験小説…!
    いわゆるメタ的小説なんだけど、これが1995年に記されているのがすごい。

    小説を読み慣れていないとめちゃくちゃ時間かかるし、消えていった言葉を模索しながら読んでたらとてもじゃないけど途中で投げ出してしまう、と思ってエンタメ小説として読み終えました。
    老後に時間かけてつぶさに読みたい気もするけど、(余程の物好き、文学オタクでない限りは)そこまで検証して読むものでもないようにも思う。
    解説では、小説内の五十音の定義・消失の流れについて細かに分析されてる

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    2025年11月13日
  • 残像に口紅を

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    ネタバレ

    世界から1文字ずつ音が消えていく

    あまりにもインパクトのある謳い文句の小説があると教えてもらってすぐに買った本。音が消えていってしまうから仕方がないのだけれど、とにかく出てくる言葉が難しい。まじで難しい。わからない言葉が多すぎて、ずっと読書のお供はグーグルレンズだった。(グーグルレンズがある便利な時代に生まれられた幸福を再認識した。感謝。)読み進めるのに頭も時間も使うから、まったくさくさく読めず、読む事自体疲れるのがわかっているからたまにしか読まずで、何年もかけて読む羽目になった。(勿論良い意味で)

    ストーリーは正直突飛に感じてしまう部分もあったけれど、1989年に発売しているらしいので、

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    2025年11月12日
  • 残像に口紅を

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    残像に口紅を
    2025.11.10

    何気なく使っている日本語を再認識するきっかけとなるような本。初めは言葉が減っていっても、言い換えることが簡単にできるから違和感はなかった。徐々に減っていって、後半になっても文章としてしっかりできているので作者の努力に拍手させていただきたい。

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    2025年11月10日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    ネタバレ

     なんで裏表紙にメタ・ミステリーって書くんだよー。最後のちょっと感傷的な終わり方にもはまったから、何も知らずに読んでたら文句なしに★5つついたのにー。メタだってわかってたせいで、途中で”おれたち”って表現の不自然さに気がついたもんな。そのせいで最後の衝撃は絶対にちょっと薄れちゃってるって。とか言いながら、俺もここに書いちゃってるけど。とにかくミステリーに関しては、あとがきもオビの解説もない方がいいっていうのは、ある意味真実かもしれない。
     基本的に、俺って密室トリックみたいな正統派のものより、叙述トリックみたいなメタな方が好きみたいだな。「十角館の殺人」に対する評価があれほど高いのも、生まれて

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    2025年11月06日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    『家族八景』で描かれた、家族の裏の顔を覗き、時に干渉してしまう物語とは大きく趣を異にし、本作では超能力者同士のバトルや組織から命を狙われる展開が描かれ、冒険的かつハードボイルドな作品となっている。七瀬もまた、かわいらしいお手伝いさんから、美しく聡明なお姉さんへと成長していた。

    超能力者たちが互いに能力を駆使し、助け合いながらも次第に追い詰められ、敗北していく姿には切迫感があり、前作以上に七瀬を応援したくなった。アベンジャーズみたいな高揚がある。

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    2025年10月15日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    主人公は読心術の能力を持つ女の子。そう、それだけ。か弱くて心もとない。敵は強い男。でも仲間の力と知恵と勇気で乗り越える。
    能力者バトル。といえば、流行りなのだが、これを50年以上前に書いたのだからすごい発想力。

    小説ってこんなにハラハラドキドキするのか〜っと思い知らされた作品で、小説を読み続けようと思わせてくれた作品。感謝しています。

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    2025年10月04日
  • 家族場面

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    ネタバレ

    作者の破天荒かつ露悪趣味の作風が極めて目立つ作品集であった

    第1作目の『九月の渇き』は読むも不快にさせる描写が多いながらもオチがアフターコロナを彷彿させ読み応えのある作品

    『天の一角』では一転させて社会派というべき作品ではあるが、その内容はかなりブラック
    現在のネット民における死刑肯定論者に一石を投じるような作品で現在読んでも色褪せない

    後半の『妻の惑星』、『家族場面』は虚構と現実と私小説とごった混ぜにした様なカオスチックな内容となっており、そのストーリーの内容は何とも理解し難い話になっているが、その異常な内容こそが魅力となっており理解しがたいながらも読み応えのあり奇妙な読書体験ができる

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    2025年10月04日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    ネタバレ

    完全にやられた。見事なトリック。いや、トリックと言うのだろうか?ともあれ、とある事柄について完全に気付かぬまま作者に踊らされていたことに心底驚いた。お見事である。

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    2025年10月02日
  • 文学部唯野教授

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    読む前は小難しい文学のお話が最初から最後まで続くのかと思っていたが、大学教授たちのドタバタ劇場があちこちで展開されるスラップスティックな小説だった。ブラックユーモアに溢れ、象牙の塔ともいわれるアカデミズムの世界を痛烈に批判。大学教授というと自分を律して研究に打ち込むイメージが先行するけど、小説内に登場する教授たちは欲深くて嫉妬深くて非常識でドジでマヌケで愛すべきおじさんたちばかりだ。
    各章の前半部分はMrビーンが出てきそうなコメディー。後半では唯野教授による文学、哲学の授業という緩急のある構成。読み進むうちに筒井康隆の世界にどんどん引き込まれていくが、なにぶん無教養のため唯野教授の授業が難しす

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    2025年09月30日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    何という壮大なラストなんだ。
    読み終えたけど凄すぎて言葉が出ない。
    第一作『家族八景』の家政婦から始まって、
    第二作『七瀬ふたたび』で超能力での戦い、
    そして本作、全てを超えて宇宙?、神?、精神世界とスケールが大き過ぎて頭が追い付かない。
    テレパスを持った家政婦からこんなラストを誰が想像できるだろうか。

     本書を読んでいてずっと気になっていたことがある。
    まずタイトルのエディプスとは何だろう?
    そして二作目の超能力暗殺集団と、ラストで七瀬はどうなったんだ?

    エディプスとは調べればすぐ分かった。
    ギリシャ神話の『オィディープス王』の物語に因んで名付けられたようだ。(オィディープスが父を殺し実

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    2025年09月17日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    ついに、あの七瀬が帰ってきた!
    美しきテレパス火田七瀬が。
    本書ではどんな七瀬が見られるか読む前から期待で胸がいっぱいだ!

     地ひびき。震動。
     横なぐりの衝撃。
     傾く車体。悲鳴。 ガラスの割れる音。
    冒頭から何やら物騒で波乱の予感、物語は汽車のなかから出発し凄絶な旅に出る。

    今回の話は凄い展開で別の物語のようだった。
    まさかお手伝いさんの話からここまでスケールの大きい物語になるとは思いもよらなかった。
    何が凄いかというと、前回と打って変わっていろいろな超能力者が登場するところ。
    まるで映画のX-メンのよう。
    それぞれの超能力者がどんな役割りを果たすのか、敵なのか?味方なのか?。
    なんか

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    2025年09月16日