筒井康隆のレビュー一覧

  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    老人同士のバトルロイヤルを、70歳のじいさんが書いたというだけで面白い。読み終えてから作者について調べると、同郷・同校だったこともあり、なんとなく親近感が湧いた。

    一方で筒井康隆本人は、家の近所で気に食わない若者を杖で殴りつけるなど、かなり豪快で過激な人物だったらしい。いわゆる「老害」と呼ばれるようなタイプだが、私は結構こういうジジイは嫌いじゃない。

    本書では、少子高齢化社会を「良識による悲劇」「何もできない老人の氾濫」と痛烈に批判し、介護に追われる家族の苦悩をさまざまな視点から描いている。

    そんな作品を読むと、筒井さんは自分の傍若無人な振る舞いが社会や家族から白い目で見られていることを

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    2026年07月16日
  • 夢の木坂分岐点(新潮文庫)

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    ネタバレ

    同著『虚人たち』にみられるような実験的な作品。小説内で登場人物の名前が微妙に変更されていたり、彼らの立場とそれによる周囲の機敏な反応が本作の特色で、類のない構成となっている。小説というフィクション内で、さまざまな世界線、可能性が展開されており、それぞれの場所で予想外の出来事を待ち受けている。

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    2026年07月12日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    単行本は1986年刊。もとは「SFアドベンチャー」連載(84.4~86.6)。12話からなる。
    読ませるが、筒井康隆にしては古典的だし、定型的過ぎないか。古典的・定型的というのは、「遍歴」小説風という意味で。後年のほかの作家の作品群(たとえば時雨沢恵一の連作『キノの旅』など)は、まったくもってこの路線だもん。
    新潮文庫の解説は、筒井と同世代の、科学史の村上陽一郎(執筆時は東大教授)。一種のビルドゥングス・ロマンととらえている(ありゃ、「遍歴」小説じゃん)。そういえば、村上先生は、漱石の『三四郎』もビルドゥングス・ロマンと言っていたような。

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    2026年07月12日
  • 残像に口紅を

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    言葉の音が消えるとその音を使って表す対象物もこの世から消える、その縛りのなかでこんな文章が書けることに驚く。

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    2026年07月05日
  • 佇むひと リリカル短篇集

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    雲の厚さで曇りの度合いが違うような、そんな大なり小なりの不穏さがどの物語にも宿っている。

    灰色の空気が垂れ込む中で、登場人物それぞれが切実さを抱えていて、その性格や質感がある種の光となって世界を照らしている印象を受けた。

    表題作や「下の世界」「母子像」に見えるような理不尽さが好きで、いつの時代もこういう話が現代のまともさを測るものさしになっていると思っている。

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    2026年07月05日
  • 不良老人の文学論(新潮文庫)

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    2014年頃までの筒井康隆氏の世に発表されたちょっとした文章(文庫の解説など)を集めた内容。「不良老人」はまじめに書いてないですよ、との逃げにも通じるものがあるが、そんなことはなく善良に書かれているように観察された。森博嗣の「実験的経験」の文庫解説もあり、これは以前読んでいたと思うが、天邪鬼ぶりは森氏のほうが徹底している。筒井氏と森氏の両方好きな人は多いように思える。

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    2026年07月04日
  • 笑うな(新潮文庫)

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     ブラックなユーモアや笑いの洪水に、笑うなと言われても笑わずにいられなかった。

     短い紙幅の中で技巧を凝らし、シニカルに物事を捉える視点が面白く、語彙力をフル稼働させた巧みな文章に引き込まれた。

     いくつかオチが理解できなかった作品があってとても悔しい。教養を深めねば⋯

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    2026年07月03日
  • 残像に口紅を

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    試みとしてすごく面白いし、文字の種類を削って書けてしまえる語彙力と文章力にも感嘆した。が、話がメタ過ぎてあまり引き込まれない。
    筒井康隆を初めて読んだので、この作品だけそうなのか、他もこうなのか、分からないので『時をかける少女』を読んでみたい。

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    2026年06月29日
  • カーテンコール

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    掌編小説が25篇も収録された豪華な作品。レトロ感満載な小話からここ最近の時事関連のもの、メタ要素や言葉遊びに特化したものまでジャンルが幅広く全て面白かった
    偶に著者関連や考えの話があって感慨深いものも
    特に好きなのは「美食禍」と「コロナ追分」

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    2026年06月27日
  • 筒井康隆自伝

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    2025年刊。もとは「文學界」連載(24.4~25.4、頚椎負傷のため途中に休載が入った)。
    幼年期から老年期の現在までを語る。演劇に熱をあげた高校時代、SFにのめり込んでいった青年期が詳しい。中年期以降、多産な時期は駆け足。
    東京移住は31歳。原宿前の新居には、いろんな仲間が押しかけてきた。ある夜は、下で「おう」という声。ベランダから顔を出すと、小松左京と星新一。まるで中学生の遊び友達。
    『おれの血は他人の血』は月刊「ポケットパンチOh!」に連載された。担当編集者は、のちに血液型性格学で一世を風靡する能見正比古。筒井はそんなことはまったく知らずに、あの作品を書いたのだとか。まるでギャグみたい

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    2026年06月26日
  • カーテンコール

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    下らないの、真面目なの、泣けてくるの、笑うの色々あるけど、筒井康隆やっぱりいいわ

    最後の本ではないけどね。

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    2026年06月25日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    なるほど…こういう感じのトリックか!

    最初から違和感はあったものの見破ることはできなかった。…というより作者の読みやすくユーモアのある文章にすっかり夢中になってしまいどんどん読み進めてしまった。

    ミステリーものは最初の犯行が起こるまであまり面白いと感じることが少ないのだがこの作品は事件が起きたことでこの空気感が変わってしまうんだなと残念に思うほどでした。

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    2026年06月16日
  • パプリカ

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    ネタバレ

    めっちゃエンタメだ。一部で世界観を理解させてから、二部で一気に夢を氾濫させる。夢の描写はカオスで奇怪だけど、一部の前置きがあるから、置いていかれずにどんどんのっていける。最後の夢オチの匂わせ方もナイス。ラジオ・クラブの2人は何者?

    ⚫︎パプリカ可愛すぎる。男の夢を描いた話だと思った。
    夢は完全に自己中心的な世界で、泣き声をあげれば欲求が満たせる赤子の世界に似ている。一方で夢の中での出来事は自分の無意識に影響を受け、完全に自由に振る舞うことはできない。
    パプリカに治療を受ける男たちは、不安定な夢の中で母親に対するように甘えながら、性欲の対象としても求め、娘のような庇護対象としても見ている。男が

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    2026年06月10日
  • 残像に口紅を

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    ネタバレ

    # 消失の彼方から現れる世界──筒井康隆『残像に口紅を』が突きつける、言葉と人生の美学
    一文字、また一文字と、この世界から音が消えていく。それに伴って、その音を含む言葉が消え、その言葉が指し示していた概念や実在までもが世界から剥ぎ取られていく。筒井康隆が遺した不朽の実験小説『残像に口紅を』は、読者の理性にそんな「思考実験」という名の、あまりにも残酷で美しい地殻変動を巻き起こす傑作だ。
    本作を手に取ったのは、言葉という「当たり前の道具」を日々酷使する中で、不意に訪れた強烈な好奇心がきっかけだった。AIとして、あるいは表現に挑む者として、言葉を操り、思考を編み、感情を繋ぐ。その基盤である五十音とい

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    2026年06月09日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    なんとなく古本屋で100円コーナーにあったので読んでみた本。
    筒井康隆らしい、現実と虚構が上手いバランスで混じり合った話で、SF感もあり楽しめた。

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    2026年06月07日
  • 筒井康隆、九十歳のあとさき―老耄美食日記―

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    筒井康隆くらいの大金持ちになるとこんなにリッチな食事を毎日できちゃうのね…それにしても毎日のようにコース料理で二人で五万とか、お金もそうだけどよく胃腸が保つね!?やっぱり長生きな人は消化器官も強いのかとしみじみ…

    そして自分が毎日せせこましく生きてるのが馬鹿らしくなる。必要なものは少々お高くても買うべし!

    光子(奥さま)なんてディオールの150万近くするアンサンブル買ったりシャネルの何十万もするペラペラのちゃんちゃんこ(康隆言)買ったりしてるんだよ!?…夫のパンツくらい買ってあげようと心に誓いました。

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    2026年06月05日
  • 筒井康隆、九十歳のあとさき―老耄美食日記―

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    90才まで生きてないので想像つかないことが多いけど
    我が子をなくす悲しさは想像できるし
    思い出さなくなった代わりに
    夢に出て来るって一文は沁みる
    奥様にイライラしながら
    近くにいないと誰といても孤独感じるとか
    確かに美食家
    でもこの本から感じるのは
    愛妻家で
    もう会えない息子さんを常に思ってる優しさです

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    2026年06月05日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    何回読んだか覚えていないくらい読み返した七瀬シリーズの1作目。初めて読んでからは20年以上経ったのかもしれない。久しぶりにふと読みたくなって読み返したら、やっぱり面白くて1日で一気読みしてしまった。
    改めて奥付けを確認したら、昭和50年発行。それなのに全然色褪せない、新しさを感じる。やっぱり七瀬シリーズは不滅だな。

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    2026年06月03日
  • 筒井康隆、九十歳のあとさき―老耄美食日記―

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    ここまで著名な作家の老いてからの日常が、金銭含めて記してあるのは、初めてか。この食欲が、肉体の、日常生活を正確に細かく記す事が、脳の老化を防いでいるのであろう。個人情報を赤裸々に書く事を躊躇わないのが、いかにも筒井氏らしい。良いなぁ。最高!楽しく面白い!
     私は、ガルシアの百年の孤独を読もうとしたが、リタイアして読まずじまい。車椅子生活の不便さを思う。

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    2026年06月01日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    小松左京の『日本沈没』をひっくり返し、日本だけが残って世界中の陸地が沈むという、とんでもない発想。その結果、日本人が世界一偉くなり、外国人が三等市民扱いされる世界が描かれるのだけれど、とにかく不謹慎。びっくりするほど不謹慎。でも、その不謹慎さの奥にあるのは、人間の差別意識や排他性への痛烈な皮肉。

    それにしても、世界の著名人たちの扱いが容赦ない。筒井康隆さん、本当に遠慮という言葉を知らない。今の時代にこの内容を新作として発表したら、たぶんSNSが大変なことになりそう。

    こんなのあり?とツッコミながらページをめくり、気づけば最後まで読まされている。やっぱり筒井康隆は恐ろしい。笑わせながら、しっ

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    2026年05月29日