筒井康隆のレビュー一覧

  • 愛のひだりがわ(新潮文庫)

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    犬に噛まれて左腕が不自由になった少女、愛が父親を探して犬を連れて旅をする物語。ジュブナイルらしい平易かつ一昔前の教科書のような読みやすい文体でありながら、暴力が支配する近未来の日本の治安は非常に悪く、そんな世界を旅するいたいけな少女というコントラストが非常に良かった。まるでその道中はさながらRPGのように仲間との出会いと別れが描かれていて、誰かがいなくなれば誰かが助けてくれる風になるあたり、人との絆や「縁」というものを感じてしまう。子供でいる間は魔法に近い奇跡があったりするのだが、そうした時期を過ぎれば魔法はただの現実となり、主人公の世の中への解像度が上がる従ってその風景もより現実的に変わって

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    2025年06月03日
  • わたしのグランパ

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    作中に存在する人間同士のまっとうな倫理規範のようなものは、現在では失われてしまっているので、いまはなかなかこう簡単に片付くことはないんだろうな…と思いつつも、それが存在した時代の話として非常に懐かしく読んだ。面白かった。簡単に片づけてくれるおじいちゃんの格好良さと、格好良いだけではない部分どちらもよかった。

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    2025年05月28日
  • カーテンコール

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    広範な知識とあらゆる分野の蘊蓄が迸り出てくる短編が25本.素晴らしいと感じた.どれもさらりと読めるが、ニヤリとさせる部分も多く、それぞれの内容を長年の経験と散策で掴み取ってきた過程が楽しめた.「コロナ追分」の小唄のようなリズムで次々にフレーズが出てくる創作力は文章作成力というより、閃き力の賜物だと感じた.面白かった.

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    2025年05月26日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「ロートレック荘」という避暑地の別荘を舞台に若者たちが巻き起こす恋の駆け引きと、その結果としての悲劇を描く。ただの殺人事件ではない、ハンディキャップを背負った青年の屈折した想いに焦点を当てた青春ミステリ。
    時に「アンフェアだ」とも批判される叙述トリックの金字塔だが、伏線が実はたくさん張ってあってフェアネスに配慮されていたと思う。トリックもさることながら、若者特有の不安定で荒々しい情動を切り出した青春小説として読むべき作品と感じた。

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    2025年05月24日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    七瀬三部作を読み切った。
    1作目はおどろおどろしく、2作目はエンタメ小説、3作目の本作は作者が自分自身のために書いたような難解な小説だった。
    難解ではあるけれど、考察がとてと面白い。
    まだ読み終わった直後であり、自分の考察がまとまっていないので、ゆっくりまとめていこう。
    七瀬三部作は父のおすすめで読んだので、父と意見交換をすることが楽しみ。
    七瀬三部作、特にエディプスの恋人は同じ小説を読んだもの同士で意見交換するまでが楽しみ方のセットと感じた。
    週末、父の意見交換をすることが本当に楽しみだ。

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    2025年05月14日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    SF短編集にハマって、この筒井康隆氏の短編集をも手に取って読んでみた。

    まず物騒なタイトル、中身もまあ物騒(社会通念的に?)だった。

    これが50年前くらいに書かれていたのかと思うとかなりの慧眼、未来視でもしたのかと思うほどだった。解説にもあるように、人間の本質が変わらないということだろう。

    気に入ったのは「いじめないで」「一万二千粒の錠剤」の二つ。
    「うるさがた」「懲戒の部屋」などは読んでて没入し、かなりイラついた(これはかなりいい意味で)。

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    2025年05月14日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    途中の読みにくいと感じていた部分も全て伏線。
    充実した内容。
    身体障害者についての文章について、作家がテーマの自主規制をしていることに対するアンチテーゼとして書いたのかもしれない。面白い。

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    2025年05月13日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    すごい!前作とは違う大迫力の展開
    七瀬のテレパスに加えて
    透視、予知、念動力、タイムトラベラー
    次々と出てくるは出てくるは‥
    もうやりたい放題といった感じ
    頼むからもうやめて〜
    何度も叫びたくなった
    これでまだ続きがあるなんて‥

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    2025年05月12日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    「七瀬ふたたび」という題名だけは
    どこかしらで聞いていたから
    知っているつもりになっていた
    七瀬はシリーズものだと知って
    初めて読んでみた

    読み始めはなんでもないまるで
    「家政婦は見た」みたいな
    家政婦が心を読めたなら‥
    みたいな感覚で読んでいたが、
    じわじわと七瀬の可愛らしさと怖さと
    なんとも言えない感じが
    やめられなくなった
    最後の「亡母渇仰」で
    そうきたかあーとなって
    もう止まらない状態になった
    すぐに次読みますとも

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    2025年05月11日
  • カーテンコール

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    カーテンコールという本のタイトル通り、
    筒井康隆劇場の幕引きのような意味合いなのでしょうか
    息子さんとの夢での邂逅を書いた川のほとりや
    小さい頃の乳母との思い出を書いたお咲の人生、
    人魚と鮑の恋がかわいい横恋慕など掌篇小説25篇
    それぞれ趣が異なった小説でとても楽しめました
    昔の筒井さんのご本も読んでみよう

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    2025年04月29日
  • 時をかける少女 (角川つばさ文庫)

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     “時かけ”は、ふつうの角川文庫版で去年読んだが、子どもが角川つばさ文庫で読んで面白かったというので、“時かけ”終盤のみ再読と、その他の収録短編「時の女神」「姉弟」「きつね」を読んだ。
     「時をかける少女」は、未来の世界の話が興味深いのと、甘ずっぱい恋の味にキュン。時にはこういうのを読みたくなる。「時の女神」ちょっと怖かったが、愛…?「姉弟」これはつばさ文庫的にOKなのね、とか思う私の読み方がよろしくないのか。「きつね」短いながら可愛い(?)会話劇。子どもは、時かけときつね(並べるといよいよそばっぽいが)が面白かったとのこと。

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    2025年04月19日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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     再読だが綺麗さっぱり記憶が消えていたので、こんな真相だったかと純粋に驚く。もっとミステリー初心者の頃に読みたかった。読みにくいと感じていたこともすべて伏線。動機もコナン君並みにぶっ飛んでるし、クローズドサークルでもなく警察が邸内を捜査している中次々と事件を起こすなどツッコミ所も多いが、それもまた本格の醍醐味。ロートレックの絵を親切にも載せてくれてはいるものの、絵にヒントが隠されている等の仕掛けはない。映像化不可能作品。

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    2025年04月06日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    七瀬3部作の最後の本

    人の心が読める力を持つ七瀬

    2作目の最後で生き果てたと思いきや、唐突に普通にある高校の事務員として働く七瀬から始まる

    何だったんだろ?と思ったけど、それにも実は理由があった

    神ともいえる意志が七瀬の人生を翻弄する
    その意志は、全能の力を自分の夫と、特に息子のために使う

    神なのに、ものすごく自分勝手で、親バカの極致ではないか

    けど、中には嫉妬して相手を貶めたり、気に入らない物を殺したりする神もいる

    それは神じゃなくて、大きな意志と呼ぶ方があってるのかもしれない

    神について少し考えた一冊だった

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    2025年03月18日
  • 残像に口紅を

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    世界は文字でできている。
    そういっても過言ではない。
    文庫も良かったが、マンガでもとても深い内容でした。

    しかし、こんなことを考えている作家さんってすごすぎる。
    しかもこの考えをストーリーにしてしまうのだから。

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    2025年03月09日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    目まぐるしい展開。前作の家族八景とは少し趣が違っていて、ハラハラしながら読んだ。
    最後、あれはどうなんだろう。
    次作のエディプスの恋人も早く読みたいと思っている。

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    2025年03月08日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    「百年の孤独」の解説が筒井氏で、久しぶりにあの文体に接して、やはり久しぶりに再読した次第です。
    高校時代、相当沼にハマり、新潮文庫を買い漁り読み漁り…その中でも大好きだった「男たちのかいた絵」「俗物図鑑」七瀬シリーズ…そしてこの、「笑うな」。
    やっぱり好きですね。
    このショートショート集の中でも好きなのが、表題作の「笑うな」、「トーチカ」「産気」「流行」。「傷ついたのは誰の心」は、あらためて読むと筒井版「藪の中」ですね。
    何でしょう、この独特のユーモア。やっぱり好きだなあ。
    この本、一生手放せません。

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    2025年02月14日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    久しぶりに壮大なSFの世界観に陶酔してしまった。筒井康隆先生はやはりSF御三家と称されるだけある。

    「彼」を包括する"意志"というものは宇宙、言ってしまえばこの世の全てとも言えるだろう。非常に不確実で抽象的な存在である。同時に「彼」という一人の人間に向けられた母性でもあるということ。この、明白なコントラストに筒井康隆の色が感じられた。

    記憶が薄れて来た頃にまた読みたい。

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    2025年02月12日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    おもろかったなぁ。まず老人相互処刑制度の略称がシルバー・バトルなの人の命が掛かってる割にコミカル過ぎるし。一面に象出てきた時は外出中やったけど面白すぎて声出た。ほかにも「なんでそうなるねん」って場面が所々あって、笑いながら楽しく読めた。語り口調はコミカルだけど、散り際は呆気なくて淡白なのが良い塩梅で好きだった。

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    2025年02月10日
  • 時をかける少女

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    先日、さてさてさん なおなおさんとタイムトラベルの話で盛り上がったことから、懐かしいこの作品を読みたくなった。

    いくつも映像化されている作品だが、私は細田守監督のアニメ映画が好き。
    この原作もうんと昔に読んだはずだが、こんなにシンプルだったんだと、少し驚いた。
    私の頭の中で勝手に上書きされていた感じかな。

    そうそう、〝ラベンダーのかおり〟に憧れを抱いたな。
    あの頃は、どんな花だろう?って思った。

    今読むとセリフの言い回し等に時代を感じ、ちょっと笑える。
    でも青春の、胸の奥がつんとする気持ちは昔も今も変わってなくて、やっぱりキュンとしちゃう。

    シンプルなストーリーだからこそ色んな作品に生

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    2025年02月01日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    老人であることは悪なのか、平等や差別とは何かを読者に考えさせる一冊。(深刻すぎない描写)
    シルバー相互処刑内容についての記載が割合多く、I度読んだので満足。
    登場人物全員よくいるじじばばなのに、全員が見事に交代交代主人公になるところが秀逸。

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    2025年01月21日