筒井康隆のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
とにかくすべてに必然性があって、一切の無駄がない。あるいはすべての要素が、まったく無駄に浪費されているように見える。それが筒井康隆の小説であり、エンターテインメントと純文学の融合ということである。特にこの作品は、その次元が高い。
すべてに意識的であるということは、なんて精度と密度が高く、息苦しいものかと思う。個人的には何につけ精度と密度を偏愛しているが、さすがにここまでのレベルとなると、そこにはある種の抵抗感も伴う。物事に対し意識的であるということはつまり、極度に技巧的であるということでもある。その技巧とはもちろん、「良い曲を上手く演奏する」というような生半可なレベルではなくて、「最高の曲を -
購入済み
読了
「家族八景」が面白かったので続編を読んでみました。
テーマが全く違ってて、前作とは違う楽しみ方ができました。
「 エディプスの恋人」も読みたいのですが、入荷(?)の予定はないのでしょうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ本屋でタイトルを見た時に、「バカの壁」のパクリ本かなと思った。しかし、パクリ本ではなかった。著者は何故人間はアホな行為をするのかを鋭く分析している。
私も本書の例に出てくるようなアホな行為をする。会話の途中に、会話の内容と関係の無い不必要な知識を披露したりする。これはタダのアホだ。
しかし、何故そのような行為をしてしまうか。著者によると、このような行為は脳による潜在的バイアスによるとのこと。以前の良かった記憶は、現在その記憶を良いと思っていると過ぎない。だから、良いと思っている感覚のままアホなことを喋ってしまうという。
私は、たまに友人に本で読んだ知識や、ネットで得た情報を分析した結果を -
Posted by ブクログ
二番煎じを公言するユーモアと、
それに反する意外にも真面目な内容がいい加減(ダブルミーニング)。
コミュニケーションの壁について書かれた
「バカの壁」に対し、
本書は良識とアホの壁について書かれている。
第二章にある
「アホな怪我は焦点的自殺」という項を読んで、
自分が小さい頃、二度交通事故にあったことを思い出した。
そうして、
あれは実は、
忙しくて構ってくれなかった親に対する、
無意識の復讐だったのではないかという気がした。
怪我をすることで、
親に罪悪感を植え付けて、
自分を構わなかったことを悔みやがれ、
みたいな、歪んだ主張があったのかな、と。
実際、
交通事故に遭う直前は、 -
Posted by ブクログ
表題作の『時をかける少女』の完成度はすごく高いと思っています。これが、60年代の作品なんかだとは思えない。まだまだ色あせない佳作です。
映画化やテレビドラマ化されてる有名な作品ですね。
原田知世さんが主演した映画は子どもの頃によくわからずテレビでみたと
思いますが、内容はよく覚えていない。主題歌は食玩のCDついてるやつで
当たったのを持ってる。
覚えてるのは、内田有紀さんが主演したドラマと、
こないだテレビで放送された、アニメ映画版のです。
アニメ版のはかなり現代風、かつ内容にも広がりを持ったふうにアレンジされていて
面白かった。
そう、それをみてこの小説を読もうと思ったんですよ。
で、驚い -
-
Posted by ブクログ
≪内容≫
時代の叡智、筒井康隆による痛快な社会時評。
断筆宣言に至るまでの10年間の真摯な闘いの記録。
≪感想≫
初めて読んだ筒井康隆のエッセイ。今から10数年前のものだが、本書の中で度々取り上げられているマスコミへの痛烈な糾弾は今でも十分に通用するし、喫煙者を取り巻く環境などについては、まさに描かれている通りの未来が訪れている。特に断筆までの経緯や表現規制についての彼の姿勢には、なんというか、とにかくシビレる。処々のユーモアは少しも色褪せず、今日の問題においても十分に通用する意見ばかりで、稀代のSF作家としての彼の知性と先見性はさすがだと感じると共に、今更だけども、断筆を解いてくれて本当に -
Posted by ブクログ
実は、筒井康隆さんの本はこれまで読んだことがなくて、これが初めてだった。
はじめ読み始めて、
なんだこれは?
って?マークばっかり浮かんでたけど、
特に素晴らしい物語があるわけでもないのに、
繰り返しのリズムの中で少しずつ変化していく話がその先どんな風に進むのかが気になってしまって、夢中で読んだ。
突き刺さるような言葉とか、いろいろな人間模様とか、深い感情の洞察とか、
そういうのがあるわけでもないのに、リズム感が楽しい。
こんな小説もあるんだなと感心する。
ただ、同じような作品は二番煎じ的な感じになってしまって、書けないのかなとも思う。
解説に、同じような繰り返しに見えて、少しずつ変化 -
Posted by ブクログ
「日本以外全部沈没」筒井康隆
”パニック短編集”。特になし。
表題作は小松左京の「日本沈没」への公認パロディ。
筒井さんの皮肉と騒乱に満ちた短編集が11編収録されています。
昭和四十年代前後の香りに満ちた痛快な作品ばかり。高度成長期日本の明暗を垣間見ることができると思います。
個人的に印象に残った作品は「ヒノマル酒場」「農協月へ行く」かな。
どちらも異星人とのバカバカしいファースト・コンタクトの話です。ドタバタなコントという感じ。
もちろんこの本を購入するきっかけになった、表題作も必見です。
例によって自分の中では「ニッポン~昭和の名作集~」の一冊でした。(4)