筒井康隆のレビュー一覧

  • 短篇小説講義  増補版
    本来小説は何を書いても良い最も自由な形式の文学であったが、近年(これが出版されたのは1990年)短篇小説が「お稽古事」とかし、決まりやルールを守ることが重要視されいる。では決まり事も何もなかったはずの短篇小説が生まれた当時の短編はどうやって生み出されたのか。それを探るため、岩波文庫の短編集を虚心に読...続きを読む
  • 大いなる助走
    大衆文芸の最高峰・直木賞。それを受賞できなかったのはブンガクではなくSFだったからなのか? 文壇の内部では、このように恐ろしく湿った世界なのだろうか? 地方の同人主催者・保叉(ルビなし。なんと読むのだろう?)のアドバイスを受けて書いた小説が思わぬ反響を呼ぶことになった市谷くん。直廾賞候補になり、職も...続きを読む
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集
    筒井康隆の作品は、鹿爪らしく批評したりランク付けしたりするにはそぐわないでしょう。その視点、着想、想像力、エグさを堪能すればOK。
  • にぎやかな未来
    超短編って入り込めるのかなと思ってたけど、数個読んだあたりから空気感に入っていけた。
    今まであんまり短編は読まなかったけど、いろんなアイディアを膨らませるって意味では、このタイプのものも面白いのかも、と思えた本。
  • 不良老人の文学論
    筒井康隆氏の書評のまとめ。
    文学賞の書評など、かなり辛口。
    辛口な感想を書かれた作家たちにたいしてたまに気の毒になりました。

    氏の昔観た映画や、どんなものから影響を受けてきたかの話が随所に散りばめられ筒井康隆がどのように出来上がったかの要素が少しわかりました。
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集
    筒井康隆お得意のスラップスティックなSF短篇集。「ヒノマル酒場」は土方のおっさんたちの下品さや関西系のマスコミに対する不信感などがとてもリアルで、そんな人間たちと異星人のファーストコンタクトという題材が非常に面白い。まさに狂騒的でこのドタバタ加減はこの作家にしか出せない味だろう。店じまいで話まで強引...続きを読む
  • にぎやかな未来
    筒井康隆のショート・ショート集。筒井康隆を読むならこの掌篇集から、の言葉通り非常に読みやすい。筒井康隆はアクが強いが、このショートショート集はそのアクの強さをアイディアの内に留めつつ、奇想天外なオチを置くことでよりショートしょーとらしさを際立たせている。ある種の様式美となった投げっぱなしオチも少ない...続きを読む
  • 笑うな(新潮文庫)
    出張先で買って空き時間に読んでいました。とてもちょうどよく面白かったです。
    クスッとなるのとヒエっとなるのとしんみりするのとふと考え込んでしまうのとが心地よいバランスでした。
    ショート・ショートってやっぱり好きだなぁ。
  • 佇むひと リリカル短篇集
    はじめて筒井康隆を読んだ。星新一みたいなショートショート。とくに説明のない日常風味に(当然でしょ?という雰囲気で)異世界という世界観を理解させるのがうまい。それは星新一といっしょだが、星新一は現代からみた落語的なオチがつくのに対して、筒井康隆は異世界が異世界に閉じているままおわるのが新鮮だった。

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  • 幻想の未来
    怖めの輪廻の話が来ると分かっていながらも時の女神は妙にロマンチストと詩情が感じられて好きだった。
    白き異邦人もこれからくる未来を感じるけど昭和46年に書かれたのかと思うとはっとさせられた。
  • ビアンカ・オーバースタディ
    80歳になんなんとする大御所作家が、ラノベを書くというそのことだけでも面白いが、さらにその内容も荒唐無稽で不謹慎、下品でくだらなくて、パロディやメタ的なのでたまらない。ぼくもビアンキ様に●●てもらいたい。
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集
    "小松左京さんとも仲がよかったのでしょう。そうでないと、こんな小説書けません。
    「パチンコ必勝法」も楽しい一遍。楽しめる作品でした。"
  • 男たちのかいた絵(新潮文庫)
    やの付く自由業につく登場人物たちの喜劇を描く連作
    よくよく思い返すと任侠モノ映画というのをみたことがないので
    この分野の味わいについて思い入れがないが
    示威暴力を生業とする場ならではの常識があって
    そこからのズレもまたその他一般との差異が広く楽しめるものかもしれない
  • 農協月へ行く
    筒井康隆のスラップスティックな短編を集めたアンソロジー的な一冊。収録されているのは「日本以外全部沈没」、
    「農協月へ行く」を始めとする7作品。

    悪意とアイロニーに満ちた豊穣な言葉が過剰なまでに繰り返され、さらなる過剰を期待し、過剰さのエクスタシーに導く。これは我々はどこまでも過剰さを愛し、過剰さを...続きを読む
  • エディプスの恋人(新潮文庫)
    七瀬三部作の完結編。

    それぞれ全く異なる作品であり、
    本作は、「宇宙意志」の下にある人間がテーマ。
    そして、「彼女」の下にあることを知ってしまう七瀬。

    人間は実在する存在なのか?
    この世界は実在しているのか?
    哲学的な話である。

    『マリス博士』の中にあった「人間機械論」にもどこか通じるものを感...続きを読む
  • 読書の極意と掟
    文庫化前の『漂流 本から本へ』を読んだ記憶あり、再読。
    あらためて筒井節を堪能する。
    有り余る才能があるのに、しっかし恨みの多い人だな。
    でも熱狂的なファンがいてセールスも好調ながら、権威的なところからの評価が低いからな。
    解説にもある通り日活ニューフェースに通らなくてよかった。役者になっていたら余...続きを読む
  • 創作の極意と掟
    筒井康隆さんが32種類のテーマを軸に、創作の秘密を書いた本。これを読むと、作家の人が何を考えて創作をしているのか、がわかって非常に面白いし、筒井さんの作家としての天才性が浮き彫りになって面白い。なるほど、こういう頭の構造の人が、ああいう芳醇な物語を紡ぎ出すのか、と納得しきりでした。創作を意識している...続きを読む
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)
    特異な物語展開のその自在というか奔放・・反復展開され変幻する物語世界(振幅)に惹きこまれた。正直途中退屈を感じることも多少あったけれど(失礼)。作家が誇示する小説の技量(語る力)、それは大した力業なのだがその強引さにどこまでつきあっていけるか?・・一方作家は読み手に対しそれをたくらんでいる?文学誌(...続きを読む
  • 創作の極意と掟
    小説作法書ではないと言っているが参考になる所も多い
    わざと展開を遅らせて気を持たせたりなど。
    基本的にその作品にあっていれば何でも良いというように思えた。
    実験的な小説についての解説がところどころにある。
  • 文学部唯野教授
    もうこんな大学ないと思うのだが、それでも少しあってほしいと思うし、
    こんな教授いはしないと思うのだが、それでもいてほしいと思う。
    惜しむらくは、読者には前期の聴講しか許されていないことだ。