筒井康隆のレビュー一覧

  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    少しだけ現実世界と違う世界、各地を旅する主人公は各地で色々な出会いやアクシデントに遭遇しながら、目的地を目指す。
    子供の頃にトムソーヤを読んだときのようなワクワク感を大人になってから再び味わう事ができた。
    主人公の聡明さ、人と向き合う姿勢には学ぶべきものがある。

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    2025年10月18日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    『七瀬ふたたび』からの繋がりが全くなく、唐突に学校篇が始まった。冒険的でハードボイルドな前作とは異なり、いきなりミステリー小説のような調査が始まり、あの緊迫感はどこに消えたのかと戸惑い、置いていかれる思いがした。

    これまで物語の舞台は家族から国へと広がってきたが、本作では宇宙や神にまで拡大した。さらに置き去りにされた感覚を覚える。

    しかし、前2作との繋がりを探しつつ「これは一体何の話なのか」と思いながら読み進めると、最後の最後で一気に収束していった。

    自分の感情や記憶までもが宇宙意志に関与されていることに気づく不幸。恋に落ちることを「心を奪われる」と表現することはあるが、そこに第三者の意

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    2025年10月15日
  • 残像に口紅を

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    この世界から文字(音)が減っていくという物語。音が減っていくと会話にならなくなったり、登場人物や物が消えていったりする。コンセプトは面白いが、突然情欲シーンになったり、自伝を語り出したりするせいか、退屈に話が進んでいく場面もある。音が消えていく恐怖感は、最後の方は伝わってくる。ちゃんと残っている言葉だけで文章を紡いでいっているのがすごい。執筆に莫大な時間がかかったのではないかと思う。

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    2025年10月14日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    ユーモラスなもの、ブラックなもの、ロマンチックなものまで多種多様なショートショート34編が詰め込まれている。

    多様であるがゆえに、普通にショートショートらしい意外な結末を楽しめるものもあれば、眉をひそめるようなもの、何を書いてあるのか理解できないものもある。50年も前の本なので、当時としては実験的だったり過激だったりするのかもしれないな、と思うこともあったが、実際のところはよくわからない。

    要するにレビューに困る。

    万人にお薦めというわけにはいかないかもしれないが、とりあえず筒井康隆という作家の攻撃範囲の広さを感じるにはよい本だろう。

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    2025年10月13日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    ラゴスの旅日記というか手記みたいな感じで読んでると面白い。超能力のある世界ながらあまり目立ちすぎることもなく、世界観によく馴染んでいる感じがする。
    ストーリー性はあまり求めない方がいいかも。あと最後はここまで来て書かないんかい!ってなった。

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    2025年10月09日
  • 富豪刑事

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    ネタバレ

    昔、深田恭子でドラマをやっていた気がしたので主人公が男性だったのが驚いた。大助があんまりボンボンではなかった気がする。周囲のキャラクターが面白くて楽しめた。ミステリとしてもしっかりしていたし良かった。もっとシリーズ書いてくれたら楽しかったな~。

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    2025年10月04日
  • 時をかける少女

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    ネタバレ

    表題作「時をかける少女」は学習研究社「中学三年コース」1965年11月号から「高校一年コース」1966年5月号に連載された。このほかに「悪夢の真相」「果てしなき多元宇宙」の2作を収録。
    大林宣彦監督、原田知世主演で映画化され1983年に公開。尾道を舞台とした「尾道三部作」の1つ。

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    2025年10月03日
  • にぎやかな未来

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    ネタバレ

    「超能力」「帰郷」「星は生きている」
    「怪物たちの夜」「逃げろ」「事業」「悪魔の契約」「わかれ」「最終兵器の漂流」「腸はどこへいった」「亭主調理法」「我輩の執念」「幸福ですか?」
    「007入社す」「踊る星」「地下鉄の笑い」
    「ながい話」「スペードの女王」「欲望」
    「パチンコ必勝原理」「マリコちゃん」
    「ユリコちゃん」「サチコちゃん」「ユミコちゃん」「きつね」…。

    年始に見た『100分de筒井康隆』で「到着」の話が出ていて、気になって読んでみた。たった5行でちゃんと結末をつけてるの凄いな。

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    2025年09月26日
  • 虚航船団(新潮文庫)

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    よく文房具にここまで個性を持たせられるよなぁ。頭の中どうなってんの?!?
    第一章では狂気の文房具軍団のメンバーが次々に現れオモローと読み進めるものの、第二章に入ったところで鼬族の歴史が全然頭に入ってこなくて、第二章はほぼ読んでない。
    鼬族の数が多すぎてうんざりしてね、誰が誰かもわからんくなるし、ここを読みきった人ほんとに尊敬する。でも正直、第二章を飛ばして第三章を読んでも全然大丈夫だった。(読んでないくせに言う〜)
    第三章からはまた狂気の文房具軍団も登場するし、結末が気になるから読んだけど、まあ筒井康隆の小説なら他にもいっぱい面白いのあるし、あえてこれを勧めることはないかな。

    でもね、狂気の

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    2025年09月21日
  • あるいは酒でいっぱいの海

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    筒井康隆初期のショートショート
    いつも読み終えたらバーコードからここに登録するのだけれど、バーコードがない
    180円。POSシステムのない昭和54年の本

    昔はよくあったタイトルオマージュの洒落た表題作や、理屈はあれど完全におちゃらけであろう「ケンタウロスの殺人」、もはや落語のような「体臭」
    全30編(+ケンタウロスの殺人解明1編)

    初読時はスラーっと読んで「ふむ」程度だったのだけれど、ショートショートが最近ないせいかこのテンポ感で読める筒井節は一周し、ようこんなん真面目に書くなあと楽しめた

    にしても1番驚いたのは本編でなく解説山野さん
    この人一体いつからここにいるの、これ一応初版やぞ……

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    2025年09月21日
  • 残像に口紅を

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    主人公がどの世界線にいるか分からず、ストーリーも好みではなかったので、読むことを諦めそうになった。
    ただ、「世界から文字が消え、同時にその文字で表現していた物も消える」というテーマの明晰夢を描いている、と自分の中で落とし込んでからは難しいことを考えず読むことができた。

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    2025年09月21日
  • 残像に口紅を

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    結構難解。ルールを理解した上でどう楽しむかは読む人次第。

    次々と文字が失われていく中でも物語が失われず最後まで続くのは凄いの一言。
    ただストーリー自体はさほど引き込まれるものではないので内容というよりは縛りの中で展開していく作者(主人公)の苦しみを楽しんでいる感じ。
    万人におすすめできるものではないけど本好きには読んでもらいたい。

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    2025年09月17日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    事前情報は叙述トリックのみ。それ以外はノーガードで挑んであっさりKO。騙されたいのに騙されない様にきちんと読んだんだけど…ちゃんと騙されてスッキリ。内容が明瞭で読みやすい。

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    2025年09月17日
  • 残像に口紅を

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    文字が消えていくのは、どういう風になるのだろうと思い読んでみた。
    感想としては、うーんという感じだった。
    最初の方は、文字が消えていくことで、物や人が存在しなくなり展開が変わったりして面白かったが、後半になるにつれ文字がないことで別の言い回しが使われ、その意味を知らないことで読み進めるのが少し億劫になってしまった。
    また少し昔の本ということをもあり、知識として知らないものや言い回しが独特だなと感じる事が多々ありそれも億劫に繋がった。
    ただ、最後の文字が消えるまで、文章として成り立っていて作者のすごさを感じた。

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    2025年09月16日
  • 時をかける少女

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    ★2.5かな。
    大学の時に読んだはずだけどまったく覚えておらず、イメージは原田知世と最近のアニメ、情けなし。
    しかし改めて読んでみるに、筒井康隆感があんまりなく、かつ、古さを感じる。この作家には時代性を感じない印象を持っていたのだけれども、そうでもないのかなと思った次第。
    やっぱり時代を超越した作家・作品というのは限りありということかと。

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    2025年09月08日
  • 残像に口紅を

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    音を一つずつ消したらどうなるか。
    簡単な話かと思ったが、予想外に難しい内容の本だった。

    まず音を消す意義とは。
    虚構と現実の実験であり検証である、と認識したが合っているのだろうか?
    途中はわかりやすい言葉が消失してしまい、難しい単語が羅列する。
    「花壇の開花」は5音しか使っておらず、限られた音で小説を構成する作者の知識や能力はすごいと思った。

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    2025年08月31日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    七瀬3部作の3冊目

    果たして七瀬の命は助かったのか?
    前作の続きが気になる……と思ったら!

    今作、舞台は私立高校の教務課事務員の七瀬
    ⁇あれれ…

    特異な精神構造を持つ学生香川智広に興味を持ち調べてゆく
    彼は本人の力ではなく、絶対絶命のピンチに遭遇すると、何者かの「意志」で助けられ危害を加えようとする相手はてひどい反撃に遭う!

    (これって既視感!十二国記 魔性の子の高里のようではないか!)

    2作目最後、七瀬は命を落としたか?
    と思われたのに、何と3冊目では、女神?宇宙の意思?が七瀬を再び生かして、女神が人間であった時の息子智広と七瀬を操ってゆく‥‥絶句

    七瀬の人生は、超能力を持って生

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    2025年08月30日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ★★★☆☆期待が膨らみすぎたのか。絶賛される理由がわからなかった。ラゴスの旅の目的は何なのか。壮大な旅が淡々とあっさり語られドップリ世界観に浸るまでもなかった。 奴隷から王様まで幅広い。何年もそこで過ごしちゃうの!と心配になった。何年も快適な部屋で閉じこもって本ばっかり読みたいなー

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    2025年08月30日
  • 残像に口紅を

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    うーん、なんとも言えない感覚。どんどん言葉が消えていく後半になるにつれて知らない言葉が増えて、苦痛を感じた。性描写は面白いと思えたが、その他は自分にはハマらず、なんともいえない読後感。

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    2025年08月25日
  • 残像に口紅を

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    ネタバレ

    言葉が一つずつ、ランダムに消えていくという他に類を見ない設定に、最初は戸惑いを覚えるかもしれません。しかし、物語を読み進めるにつれ、言葉が減っても意外と会話が成り立つことに驚かされるでしょう。

    登場人物たちは、失われゆく言葉の穴を創意工夫で埋めながらユーモラスで、時に切ないコミュニケーションを続けます。
    その様子は、言葉の真の価値と人間が持つ表現の力を改めて感じさせてくれます。
    しかし、言葉が完全に消え去った先に待つのはもはや会話が成立しない世界。

    この作品は、言葉が当たり前にある日常がいかに尊いかを痛感させてくれます。読む人それぞれに深い感動と、不思議な余韻を残す一冊。

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    2025年08月22日