筒井康隆のレビュー一覧

  • 陰悩録 リビドー短篇集

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    "奇ッ怪陋劣潜望鏡"、これ昔読んでずっと記憶に残ってた短編。あらゆる水面から潜望鏡が伸びてきて覗かれる妄想譚。自分の中でキングの短編になってたけど筒井先生だったかと記憶を整理。

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    2021年02月15日
  • 農協月へ行く

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    "村井長庵"がハードなピカレスクもので、他の収録作と雰囲気異なる際立った傑作。孤島の無医村で藪医者がやりたい放題する内容だけど、悪辣ぶりが悪鬼そのもの。ラスト込みでけっこうお気に入り。

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    2021年02月15日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    日本沈没を真正面からパロディーにしてあり、とてもユーモラス。もっと内容を深く掘り下げてあるのかと思ったけど、短編という事であっさり終わり、続きは各自の妄想で、というところですかね。

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    2021年01月31日
  • 富豪刑事

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    富豪な刑事が、金を湯水のように使い事件を解決するという推理物で全4話。解説でもあるけど、4話それぞれ事件のタイプが異なり金の使い方も変わってきて飽きが来ない。

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    2021年01月31日
  • 時をかける少女

    ネタバレ 購入済み

    忘

    なんだか面白くなってきたところで,いきなり包丁で切り落とされてしまったような終わり方。
    もっとロマンスがあったり,すべてが繋がっていくのかと思った。
    淋しいのは,会えなくなることより,忘れられてしまうことより,忘れてしまうことかもしれない。

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    2021年01月13日
  • 文学部唯野教授

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    唯野教授個人は饒舌な小男、モラルも低くて女子生徒に手を出したりする俗っぽさ。周りのキャラクターも小便を漏らしたり、小狡い性格だったり、全然立派な人物はいない。
    大学教授たちの世界は政治根回し、足の引っ張り合いばかりで期待ほど勉強していない。
    でも講義はとても面白い。欄外に及ぶ知識の深さ、紹介される本は膨大で、文学理論は全てはわからないけど、読みやすく砕けた表現になっている。難しいから参考文献をもっと読んでもう少し知識が増えてから読んだらまた面白いかもな。
    毎章唯野をめぐるドタバタしたエピソードで始まり、講義で終わる話の型も決まっている。
    斉木が蟇目と衣服を調えながら研究室から出てきたあたりから特に面白かった。

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    2021年01月04日
  • 定本 バブリング創世記

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    タイトル作品を含めた筒井康隆作品集。なんというか、この人はまさに「天才」というよりは「奇才」と呼ぶべき人なのかもしれないと改めて思う。ストーリーとしての面白さを持ったまま、文学を、日本語を、常識をことごとく(いい意味で)おちょくってくる。評判高い「鍵」もさることながら、個人的には「死にかた」「三人娘」あたりもとても良かった。一見荒唐無稽なストーリーの中に、何か人間の本質をえぐるような、そんなエッセンスが散りばめられている。
    今では問題視されるような表記もたくさんあるけど、ある意味これも筒井康隆節といえばそうなわけで。本好きは、一度読んでおいて損はないと思う。

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    2020年12月12日
  • 定本 バブリング創世記

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    1ページ目を見た瞬間に、え!?え!?となった笑

    全編通して、一周回ってナンセンス、みたいなものが根底にあって、筒井さんらしさ炸裂だった。

    「鍵」については、青春という切り口からどんどんホラーな方向に流れていって、「世にも奇妙な物語」でドラマ化されたというのも納得できる。

    「三人娘」は当初未完だったそうだが、完結版が掲載。サラリーマンというものを徹底的にバカにしている感じがおもしろい。

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    2020年11月28日
  • 時をかける少女 (角川つばさ文庫)

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    ネタバレ

    学校の図書室で見つけたらしい。
    私も読むのは初めてだったので、二人で和子がどうなるのだろう、理科室で見た影は何なのだろうと結末を迎えるのを楽しめた。

    娘が途中、鋭い推理を言っていたのに忘れてしまった…。

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    2020年10月25日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    「残像に口紅を」で筒井先生熱が呼び戻されたのだけど、一気に読んでしまってすぐに冷めてしまうのももったいないので、ちょっと時間をあけてこの本を本棚から引っ張り出してきた。
    どの小説もアイロニカルで痛快。1960~70年代の日本をシニカルにとらえているのだけど、当時から50年以上経ってもその皮肉が色褪せてないのがすごい。50年経った今なら、当時をふり返ってシニカルに書くことはたやすいだろうけど、筒井先生は当時同時進行でそれをやってのけてるのがすごい。
    そして、50年経った今の日本に対しても、これらの小説にこめられた皮肉がそのまま適用できてしまうかもと感じられ、とっても反省させられたりもした。

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    2020年09月18日
  • 筒井康隆、自作を語る

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    2014年から2017年くらいにかけて行われた筒井康隆が自作について語るトークショーや対談集をまとめた一冊。筒井康隆の素晴らしい記憶力と、インタビュアーである編集者の博覧強記ぶりによって、どのように名作の数々が生まれたのかを知ることができるし、当然その誕生の背景も様々な面白おかしいエピソードに彩られている。

    個人的に一番面白かったのは2008年に発表された「ダンシング・ヴァニティ」の誕生秘話であった。本作は”差異と反復”という言葉そのものであるように、ストーリーが微妙に差異を孕みつつ繰り返す反復されて生きながら進んでいく。
    その背景には、新潮社に対して試しに原稿料を半額で良いと言ったら、先方が思いのほか喜んで半額が通ってしまったために、「半額なら手抜きでいいか」となったエピソードがあるという。手抜きをするためにコピー&ペーストで作れる小説を書きつつ、それが意外にも良い出来になるという点に、御大の作家としての力量を感じざるを得ない良いエピソードであった。

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    2020年08月15日
  • 老人の美学(新潮新書)

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    やや枯れた、しかし安定した筒井康隆節のエッセイ。

    本人85歳になって、自分に生じた変化を淡々と書いていく様が感慨深い。

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    2020年08月07日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    書かれたのが、六十年代という半世紀前の作品群とは。現代にも通じるテーマ。政治と宗教の関係からVR,国営放送等、最近も社会を騒がせたモノが多く、いかに筒井康隆が社会を鋭く見ていたか分かる。

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    2020年07月29日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    面白いしそんなにボリュームがあるわけでもないけど、読むのに時間がかかった。
    ショートショートオンリーというよりは短編読み切りぐらいのサイズ感な話も結構あり、バリエーションも多く楽しめた。

    ブラックジョークの度合いもちょうどいい。

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    2020年07月12日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    おもしろかった。
    AIという言葉こそ使われないものの、発達しきった人工知能が人間の欺瞞をあばく話がいくつかあって(いじめないで、やぶれかぶれのオロ氏など)すなおに笑える。「時越半四郎」は、AIではないけど、やはり日本人の不可解な思考回路を笑いとばす話で最後にちょっとしんみり。しかし、これ、1966年初出だから50年以上前だけど、今も変わってないどころかいっそうひどくなってるんじゃない?

    「しゃっくり」はタイムループの話。このアイディアだけで長編も書けるのにね(北村薫の『ターン』とか)。最後に憑き物が落ちたようになる人々がおかしい。

    「慶安大変記」は、初出が高3コースだったという大胆さが笑える。よく学年誌にこんなアナーキーな作品を(^_^;; このガンガンエスカレートしていく感じ、なぜか痛快。

    表題作の「公共伏魔殿」なんかは、「ありそう!」「わかる!」と笑いつつも、クライマックスがひたすら気持ち悪くて(笑)ここらへんはもう好みだなと思うわけですが、全体としてすごくおもしろく読めました。じつは筒井康隆、ずっと食わず嫌いしていたので(このエグさが、かつては無理だった)これからもう少し読んでいこうと思います。

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    2020年06月28日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    面白い。2ページで終わる話もたくさんがあるが、どれも面白い。
    「ベムたちの消えた夜」素敵な話だった。

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    2020年06月26日
  • 文学部唯野教授

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    ネタバレ

    大橋洋一著『新文学入門』に登場していたから読んでみた。文学理論の本でもあり、物語でもある。難解な文学理論を唯野教授が軽妙な語り口でもって説明してくれるので、雰囲気はつかめた。けれど、自分の言葉で説明できるくらいの理解は私の力不足でできなかった。大学での文学の講義と、『新文学入門』を照らし合わせて、補完的に読むのが一番いいんだろうなあ。時間をおいて、もう一回読みたい。

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    2020年06月24日
  • 筒井康隆、自作を語る

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    けっこう今までの日記などでの言及と異なるコメントがある(たとえば『フェミニズム殺人事件』に成立についてのコメントは『幾たびもDIARY』でのコメントとニュアンスどころではない差があると思う)のが気になった。基本はトークショーの文字起こしだし、普通にいろんなこと忘れていて当然だと思うので、そのこと自体は問題ないとは思うが、この本のコメントだけを典拠になんか判断されちゃうとよくなさそうね。著作リストは単行本からちゃんとこの文庫時にまで更新されてます。リストによると『現代語裏辞典』は文庫の方が項目が多いらしい。

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    2020年06月18日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    知らなくていいこと、ってあるよね

    壮大な物語へ、そして、どうしようもないエンド。

    読み始めて、あれ?前作で七瀬死んだよね?ってなるところを後回しにされ、どんどん話は進んでいく。
    七瀬は「意志」の存在に気づき、その謎を追う。

    七瀬が勤めている学校の生徒(「彼」)がその「意志」に護られていることに気づき、
    その両親について調べ、失踪した母親がその「意志」
    ということを知る。

    1人の女性(「彼女」)が人間ではなくなり、
    「宇宙意志」へと進化?変貌?する。
    肉体を持たず、偏在化する。
    (ここのあたり、めっちゃ好きだった…)

    「彼女」の「意志」で、「彼」と七瀬は惹かれ合うが、
    「彼」の童貞を「彼女」が七瀬の肉体に入り込むことで奪い(奪ってはいないか…)、
    七瀬は「彼女」として偏在化し、全宇宙を感じる。

    このあたりから七瀬は現実が夢のように思われてくる。
    喪失しているときに、「彼女」の使者に会い、
    前作で死んだはずの超能力ーズが近くにいると知る。
    が、彼らは死んだはず。
    彼らは死んで、そのあと「彼女」によって甦らされたと七瀬は疑う。

    そもそも七瀬はなぜここにいるのか?
    七瀬も前作で死んだはずなのに…
    それもこれも「彼女」の「意志」なのではないか…
    すべては「彼女」の「意志」と悟り、
    七瀬は「彼」の恋人としての舞台で生きる(諦観)

    うーん。
    この七瀬シリーズがハッピーエンドではなくてよかった。
    全部暗いけど、それぞれ少しテイストが違くて、
    エンターテイメントとして楽しめた。
    わたしは最後が一番好き。

    七瀬ほどにすべてを知らなければ、
    超能力者でなければ、「彼女」の存在など知らなければ、
    ラストのように人生を諦めることはないんだろうなと思った。
    だから普通に生まれてよかったと思った。

    でも一方で、「彼女」のような神の存在によって
    動かされていることもありえるという恐怖も感じた。
    こんなエコ贔屓な神であったらちょっと困るけど、
    自分の力ではどうにもできないことってきっとあるよね。

    前作との繋がりが、最後の最後にわかるのがとても良かった。
    ちゃんとスッキリさせてくれる。
    七瀬はいつか頼央みたいになってしまうのかなと思わされた。

    知らなくていいこと、ってあるよね。

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    2026年10月04日
  • 文学部唯野教授

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    時代的に病気や性に対する考え方、捉え方が偏見と差別的。ブラックユーモア。

    大学内構造を垣間見。狂人めいた登場人物がユーモラス。
    教授になるって、大変なのである。

    表現の妙、レトリック。言い回しはキレッキレですね。
    それでいて押し付けがましくない。

    活字を読んでいて、声を出して笑うことってないんですが、『文学部唯野教授』はところどころ鼻息が、フフン!っなりました。
    筒井康隆に対する読まず嫌いが払拭されてしまった。

    唯野教授の講義内容は文学的理論、哲学に浅い私でも楽しめました。
    ここまで幅広く展開できて、面白い。脱帽です。

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    2020年05月27日