筒井康隆のレビュー一覧

  • 佇むひと リリカル短篇集

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    リリカル…今さっきその意味を調べてみたんですけれども、なんでも「叙情的」だとかそんな意味らしいのですけれども、果たしてその意味するところが本書の個々の短編に当てはまっているかと言えば…どうでしょう!?

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、切ない…みたいな読後感に浸る短編もありましたけれども、基本的には筒井氏の想像力と言いますか、よくこんなお話思いつくな…とまあ、解説の小池真理子さん?と似たような感想になりましたねぇ…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    僕も小池さん同様、ラストの「母子像」とかいう短編に恐怖と凄い…といった感嘆の思いを抱きましたね! 設定もさることながら主人公の男の感じている

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    2017年01月07日
  • 文学部唯野教授

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    主人公の唯野仁は、早治大学英米文学科教授であり、「野田耽二」というペンネームで小説を執筆しています。本作は、彼を中心にアカデミズムに生息する者たちの生態をアイロニカルにえがき出している小説ですが、同時に現代文学理論について学ぶことができる内容になっています。

    ユーモア・センスは著者の従前の作品と同様で、とくに現代の若い読者に響くのかという点では、やや疑問もあります。井上ひさしの作品についての同様のことがいえるように思うのですが、この方面の感性はもっとも賞味期限が短いので、しかたがないのかもしれません。それ以外にも、アカデミズムの置かれている状況はますます厳しさを増しており、ここにえがかれてい

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    2023年11月09日
  • 虚航船団(新潮文庫)

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    筒井康隆の才気が爆発し、「全体小説」の如く、日本を含む現実世界をカリカチュアライズした傑作。

    「私とは何か?」という問いを各人が持ち、不可思議な行動を取り続ける擬人化させた文房具の世界は、あたかも吉本隆明の詩作に出てくる以下の言葉を想起させる。

    「ぼくが真実を口にすると ほとんど全世界を凍らせるだらうといふ妄想によつて ぼくは廃人であるさうだ」
    (吉本隆明「廃人の歌」 「転位のための十篇」より)

    何から何までが狂っていて、にも関わらずこれが架空の世界とも思えない現実性があるところが恐ろしい。

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    2016年11月20日
  • 夢の木坂分岐点(新潮文庫)

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    世界に存在していると確認できるのは「私」という存在の精神だけである。これは独我論の基本認識であるが、しかしその「私」が唯一の存在であるということまでを独我論は示すものではない。もし仮に「私」という精神を表象する人間が複数人存在し、それぞれ固有の世界で生きているとしたら?

    本書はそうした一種の思考実験を、虚構の小説世界における「虚構内存在」である主人公の意識を複数に分散させることで示そうとする。読んでいるうちに、「なぜ私という存在が唯一しか居ないと言い切れるのか」という不安を感じながら、作品世界を楽しむことができる。

    小説の主要なテクニカルタームである心理学的ロールプレイについては、初期作品

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    2016年11月12日
  • 佇むひと リリカル短篇集

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    筒井康隆氏らしいシニカルさを備えつつも哀愁漂う短編集である。技法はいわゆる擬人化や象徴化といった凡庸なものだが、小説の表現手段を知り尽くしており、例えば表題作『佇むひと』のように退廃したやや悲観的な未来像と相まって、読者に不思議な感情を起こさせる(この感情がリリカルというものか)。

    個人的に好きな作品は『わが良き狼』『白き異邦人」で、『旅のラゴス』を思い起こさせる作品であった。

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    2016年11月01日
  • にぎやかな未来

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    皮肉っぽいラストとショートの読みやすさがよかった
    ものすごいショートでシンプルな到着とかはそれこそあーと思ったら終わってた

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    2016年10月04日
  • 文学部唯野教授

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    本気の実験的な小説って好きなんです。
    作家の教養がビンビンに伝わってきて、それでいて知識のひけらかしになってないから、作品に緊張感が保たれています。

    「もっと勉強しましょうね」

    唯野教授の学生に向けたこの言葉は、作家、批評家、ひいては我々のような読者にも向けられた言葉なのだと思います。

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    2016年08月14日
  • 虚航船団(新潮文庫)

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    十数年ぶりに再読。今回はまだおぼろげな当時の記憶が残っていたので第三部のメタをまだなんとか読めなくもなかったけど、あと10年後くらいたったら、ダンテの神曲についてるような注釈がないと読めなくなりそう。

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    2016年06月07日
  • 聖痕

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    グルメ旅団が遠征グルメ旅行に行く件、まず和歌山は有田川ではじまり、新潟ではいごねり、のっぺ、おけさ柿など名物がずらずらーっとでてきて妙にウケました。センセーショナルな出だしで結構旅情もあり、読みやすい。

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    2016年01月29日
  • 俗物図鑑(新潮文庫)

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     ドタバタでグロテスクで、読んでいる最中何度か吐き気がした…けど面白かった!エリート意識や選民意識が強くいっぱしの批判を口にする評論家、体面ばかり気にする警察、センセーショナルであればそれでいいメディアと、それを何の考えもなしに面白がるだけの大衆など、あらゆる方面に向けて皮肉がききまくっていて痛快。ブラックユーモアに顔をしかめたり笑ったりしながらも、自分が作中に描かれている大衆とどこが違うのか、もしかすると一緒じゃないだろうかと考えてしまう。

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    2017年12月18日
  • 邪眼鳥

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     父精一の死を受けて四人の子が父の面影、父への欲望を追い求めて時空をも超えて彷徨うお話。語り手が非常に分かりにくく変化し、そのうえ登場人物たちの時間にズレが生じたりもするのだから、兄弟たちが翻弄されついには亡霊になってしまうことに、読み手である私も妙に共感できた気がした。最終的に亡霊にならずじまいの春子が不気味で、その美貌すらもどこか恐ろしく感じる。私には難解でしっかりと理解できた気はしないけど、面白い作品だった。

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    2015年12月19日
  • 恐怖

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     文化人を標的にした連続殺人事件がきっかけで恐怖にさらされる文化人・村田が主人公のお話。犯人が誰であれば筋が通るか、あるいは推理小説として面白いかなどを考えるメタミステリの要素と、「恐怖」とは何なのかを考える哲学的要素、どちらも楽しめる。恐怖に怯える人たちが筒井さんらしく誇張して描かれていて笑えるのだけど、ところどころこちらまで不気味な気持ちになった。やっぱり、実体として目に見えないものや、よく分からないものって怖い…。

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    2015年12月13日
  • 文学部唯野教授

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     本当に大学で講義を受けるように、一講ごとに少し間を空けながら読んだ。唯野教授の喋り言葉で説明される文学論は分かりやすく、読んでいる時は納得できたけど今となってはあまり思い出せない…!だけど面白かった。
     本作は大学内部をパロディーにして盛大に皮肉っている面もあってそちらも刺激的だったけど、本当にこんなことあるのかな…と、今自分が通っている大学のことを考えてしまった。唯野教授の後期の授業も聴講したいのですが、それは出ているのかな…?

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    2015年12月13日
  • 最後の伝令

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    随分昔読んだものを再読。やはり良かった。特に巧いなあと感じたのは『九死虫』『あのふたり様子が変』、感覚的に好きなのが『禽獣』『瀕死の舞台』。

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    2015年11月17日
  • 文学部唯野教授

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    稲葉振一郎氏の社会学入門で紹介されていたので。
    文系大学で教授たちがあたふたするパニックコメディ。
    ところどころ下品で奇天烈で、かつちょっと古いかなあという感じはするけれど、うちの大学の先生なんかも裏では苦労してるのかしらと思うとなかなか楽しめる作品でした。
    新たな文学理論の創出を目指した唯野教授でしたが、さてこの後夢破れたのかどうなったのか。
    またそれだけではなくて、各章後半は唯野による文学批評講座になっているのですが、そこも体系づけてそれらを学べるし、著者の皮肉やらメタ的な言及やらがあってニヤニヤできるし、ためにもなりました。

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    2015年10月02日
  • 巨船ベラス・レトラス

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    10年ほど前の小説だが当時広く文芸に関わる状況をよく捉えていて読み応えがあった。2日ほどで一気に読みました。

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    2015年05月04日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    老人版バトルロワイアル。
    老人を殺すのは過去を消すということ、子供を殺すのは未来を奪うということー、みたいなのもよかったね。

    なかなかおもしろかった!挿絵はいらんけど。

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    2015年04月30日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    似たような話はあれど、さすがの
    筒井康隆、狂ってるわ〜\(^o^)/
    バトルロワイヤル老人版はめちゃくちゃすぎて
    笑いながら読んだ。
    うちのおばあちゃんはかわいそうだから参加させたくない‼︎

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    2015年04月14日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    パロディータイトル、山藤章二さんのイラスト、破滅になだれ込むラスト......まさに俗物図鑑の兄弟分( ´ ▽ ` )ノ。
    名声や地位、金銭を得ても、筒井康隆先生の性根は若い頃からちっとも変わらない( ´ ▽ ` )ノ。
    というか、自らの加齢、社会の変化に合わせてアプデを重ねてる( ´ ▽ ` )ノ。本作みたいなものを若手作家が書いたら袋叩きにされるだろうな( ´ ▽ ` )ノ。老人になった筒井康隆先生だからこそ、書けた作品だ( ´ ▽ ` )ノ。
    タイトルは忘れたけど昔の作品なら、同じ「老後処理」テーマでも、老人は自らの肉体を子や孫たちに食肉として提供する、って内容だったね( ´ ▽ ` )

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    2015年04月02日
  • 俗物図鑑(新潮文庫)

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    いやぁスゴイ。始めはそれなりにまともな人から、嫌悪感を伴う人になり、しまいには犯罪者が集まって梁山泊か。度量が広すぎる。ラストは連合赤軍事件のパロディか。多分事件直後だったと思うのでよく書けたと思う。寛容な時代だったのかな。本作品より5年後くらいに刊行された、井上ひさしの某小説に質感が似ていると思った。(こちらもスゴイ)

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    2015年03月17日