筒井康隆のレビュー一覧

  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    一見、よくあるセッティング。でもこういうことなのかというトリック。コンプレックスを柔らかく隠してあげるんじゃなくて曝け出す。守られる対象のものの自己主張。捻くれた運命。

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    2025年12月10日
  • 筒井康隆自伝

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    日本のいい時代を才能と共に謳歌した稀代の小説家の自伝。小説家になって以降はダイジェストながらようこんな覚えてるなと思って最後の方に90歳と書いてあって驚く。生き物として強い。

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    2025年12月01日
  • 夢の木坂分岐点(新潮文庫)

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    読んでいて、どこまでが小説内の現実でどこまでが小説内の夢なのか分からなくなる。
    分かる必要もないのだろう。

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    2025年11月29日
  • 残像に口紅を

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    『残像に口紅を』は高校生の時に読んで1回挫折した本だ。音が消えていくのが大まかな説明だが、読みづらくはない。しかし難しい言葉が多く当時の自分は苦戦したが良い機会なので大学生になって再び読み始めた。読破はしたものの今回も完読するのに時間がかかってしまった。
    音が消えていっても読みづらくならないことに驚いた。普段から「ら抜き言葉」を使う若者としては音が消えていっても読み易さに変わりは無いのだろう。一方で遠回りをしている本だと感じた。消えた音の穴を補充するために文章を増やしているようだ。筆者の文章力の高さ、語彙力の多さが遠回りの原因だろう。もちろん音が消えたら文章が減るのだろうと予想していた自分

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    2025年11月28日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    筒井康隆のミステリもの。「あれ?これってこういうこと?」って思ってた疑問がまさにトリックの根幹でした。途中で言及される絵画作品がちゃんとカラーで載ってるところ(特にトリックと関わってるわけでないのに)と最後に犯人視点で詳細にネタばらしがされているところが親切で良い。

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    2025年11月28日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    最近、星新一を読んだあとだと筒井康隆はやっぱり、毒あるなぁ。でも、そのサディスティックな話ほど頭に残ってしまう。

    数ある短編の中から、気になったものを抜粋すると、

    「傷ついたのは誰の心」
    えぇ。。。駅員に暴行されまくる短編並みにエグい。
    不倫されるわ。傷つけられるわ。もう、キツイ。

    「悪魔を呼ぶ連中」
    わかるー。何度同じことをしていたら成功しても、
    失敗と思っちゃうよねー。

    「最初の混線」
    たまにあるタイムスリップもの?
    オチがよいね!

    「流行り」
    やはり、藤子不二雄短編集にありそう。
    普通にスルーしてたけど亭主関白の日ってなんだろう?

    「廃墟」
    最後に意味がわかった。
    男しかいな

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    2025年11月27日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    過去に高度な文明を失ってしまった
    不思議な能力の存在する世界
    その世界を人生をかけて旅するラゴスのお話

    そこまでのいい人、魅力的な人には思えなかったが
    旅の行程で出会う人に好かれ頼られ行かないでくれと
    しょっちゅう言われるラゴス
    でもラゴスは自分のやりたい事以外には
    さほど情や思い入れが湧かないタイプの男子のようで
    旅情に誘われ旅をする

    物語は淡々と紡がれリフレイン的な盛りあがりや
    一転二転するような展開は少ないが
    飽きずにページが進みます

    結局ラゴスさんは一箇所にはとどまれない
    旅の刺激や冒険に取り憑かれてしまった
    ロマン大好き男子なんでしょうね

    彼が羨ましい人は現代にだって
    多いの

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    2025年11月27日
  • 筒井康隆自伝

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    知っているようで知らなかった著者が垣間見れた。

    ドラマには出ているのは何度か拝見したが、俳優志望だったこと、舞台にも出ていたことを初めて知った。
    絵や歌など、多才ぶりを知る。

    幼少期のこと、ことに学友の名前をよく覚えているものだと、特に女性の(笑)

    最後に語る今現在、あさっりと書かれ唐突に終わるところが著者らしい。

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    2025年11月25日
  • 残像に口紅を

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    物語が進むにつれて音が消えていき、終わりの方は、日常生活ではまず使わないであろう単語で埋め尽くされ、日本語の奥深さを感じた。また最後には、音分布についての真面目な考察論文が掲載されており、日本語学を学んでいるような感覚になりました。

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    2025年11月24日
  • 富豪刑事

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    アニメの富豪刑事とは、全然違います。アニメは、別物。

    深田恭子主演のドラマのほうが、小説の世界観を醸し出している感じがします。男女逆転してますが…

    小説の語り口は、軽妙なので好きだ。小説には、小説の面白さあり。

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    2025年11月17日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    少し難しかった 私にはね
    しかし文明の原始化とか時代や場所を想像しながら読めたけど 別れが意外にエグい

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    2025年11月15日
  • 残像に口紅を

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    世界からだんだんと文字が減っていくという実験的な内容の作品。読み進めていくにつれて使える文字が減っていくが意外と読めるなと。代用できる表現が日本語には多くあるんだなと実感できた。最初の方は無くなった文字と使われてる表現を照らし合わせこの単語を言いたいんだなと考察してたけど後半からはそんなこと考えれなくなった。奥さんの名前が使えなくなるけど妻という言葉は使えるからその人がぼやけて見えるみたいな表現は面白かった。後半は当たり前だけど似たような語を使うからリズムはいいけど読みにくい。
    本の終わりにこの作品の考察をしてる内容があるけど、そこも興味深かった。

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    2025年11月08日
  • 残像に口紅を

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    TikTokでもバズっていた筒井康隆の実験的小説。徐々に言葉が消えていくという設定を小説の中でどのように再現するのか気になっていたが、主人公の小説家が自身のいる世界を虚構だと捉えることで突飛な設定を可能にするメタフィクショナルな世界観だったことに驚いてしまった。物語が進むにつれて言葉が消えていき、その単語がないと成立しない概念も合わせて消えていく様はさながら前衛劇のような感じでありとてもシュールで面白い。

    すでに消えたはずの単語が地の文でうっかり出てしまっていたり、後半にかけてはやや冗長ではあったものの、その試みは誰にも真似できず、まさに筒井康隆にしかできない芸当であろう。

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    2025年11月05日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    知らない土地の風景を見る。知らない土地の風俗を体験する。そして知らない文化で育った未知の人と交流をする。旅は擦り切れた日常をアップデートする有効な手段のひとつだ。ラゴスはそんなつもりで旅に出たわけではないかもしれないけど、もしかしたら何かを変えること、何かが変わることを求めて旅に出たのかもしれない。
    もし退屈さやかわり映えのなさが日常の主導権を握っていたら、ひとは旅の途中で目にするひとつひとつ光景に驚いたり心を動かされることに懐かしさや新鮮さを感じるのかもしれない。振幅が大きいほど、これまでの埃をかぶっていた日常が綺麗に磨かれる気がするものだ。もしラゴスにインタビューする機会があれば、是非その

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    2025年11月02日
  • 残像に口紅を

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    音が次第に消えていく中で、ここまで読める文章を作れるのはすごいなぁと思った。

    導入ですでに「あ」が消えているという魅せ方には感動した。うわっほんとやってなった。
    娘が消えるシーンの口紅を残すというフレーズおしゃれすぎる。

    難解な物語だった。いろんな本を読んで再読したい本。

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    2025年11月02日
  • 残像に口紅を

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    アイディアと実行力がすごいと思いました。
    前半部分の妻と娘を忘れていってしまうところが悲しくて好きです。

    昔の本なので仕方ないですが
    妻がいなくなったんだから昔気のあった教え子とセックスしろよ、は流石に気持ち悪すぎます。
    使える音が少ないのにあそこまで描写できるのは凄すぎますが……。

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    2025年10月29日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    1972年『家族八景』その後シリーズは『七瀬ふたたび』『七瀬 時をのぼる』『七瀬 森を走る』と続き、2010年『七瀬ふたたび』が映画化された。因みに1965年『時をかける少女』は1983年映画化、2006年アニメーション映画化、そして2010年リメークで映画化された。筒井康隆と言えば、七瀬シリーズより圧倒的に『時をかける少女』が有名である。

    精神感応能力者/テレパスという異能力を持って生まれた七瀬は、自身の力を隠すために住居を転々とするお手伝いさんとして働いている。小説では8つの各章ごとにトラブルを抱えた家族のお話が展開される。七瀬の父がESPで高得点を出してはいるが能力者ではない件や、七瀬

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    2025年10月28日
  • 残像に口紅を

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    世界から1章に1つずつ音が消えていく筒井康隆の実験的小説

    音が消えると、小説で使える文字が減っていくだけじゃなくて、その文字を使って表していた存在も消えていくのが面白かった

    主人公が書いている小説の世界だから何やってもOKって感じのふるまいをし出したあたりから全然共感できなくてついてけなかった

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    2025年10月23日
  • 時をかける少女

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    時をかける少女は、若干、時代を感じさせる設定。時をかける少女の未来への淡い希望が、忘れてしまった記憶と共に蘇って、いつか本当に素敵なあの人と出会えますように…思わせてくれる最後でした。

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    2025年10月23日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    パニック短編集とのことで^^;
    筒井康隆先生のお話は、破茶滅茶でもあるのに、結構記憶に残るストーリーも多いんですよね
    本作だと、「農協月に行く」とか忘れられなくなりそうで嫌だなぁ^^;
    でも、嫌いじゃないんですよね(笑)

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    2025年10月21日