筒井康隆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
≪内容≫
時代の叡智、筒井康隆による痛快な社会時評。
断筆宣言に至るまでの10年間の真摯な闘いの記録。
≪感想≫
初めて読んだ筒井康隆のエッセイ。今から10数年前のものだが、本書の中で度々取り上げられているマスコミへの痛烈な糾弾は今でも十分に通用するし、喫煙者を取り巻く環境などについては、まさに描かれている通りの未来が訪れている。特に断筆までの経緯や表現規制についての彼の姿勢には、なんというか、とにかくシビレる。処々のユーモアは少しも色褪せず、今日の問題においても十分に通用する意見ばかりで、稀代のSF作家としての彼の知性と先見性はさすがだと感じると共に、今更だけども、断筆を解いてくれて本当によかった、よかった。 -
Posted by ブクログ
実は、筒井康隆さんの本はこれまで読んだことがなくて、これが初めてだった。
はじめ読み始めて、
なんだこれは?
って?マークばっかり浮かんでたけど、
特に素晴らしい物語があるわけでもないのに、
繰り返しのリズムの中で少しずつ変化していく話がその先どんな風に進むのかが気になってしまって、夢中で読んだ。
突き刺さるような言葉とか、いろいろな人間模様とか、深い感情の洞察とか、
そういうのがあるわけでもないのに、リズム感が楽しい。
こんな小説もあるんだなと感心する。
ただ、同じような作品は二番煎じ的な感じになってしまって、書けないのかなとも思う。
解説に、同じような繰り返しに見えて、少しずつ変化していくのは、
音楽ではよくある手法と書いてあったけど、
なるほどだから楽しいのかと妙に納得させられた。 -
Posted by ブクログ
「日本以外全部沈没」筒井康隆
”パニック短編集”。特になし。
表題作は小松左京の「日本沈没」への公認パロディ。
筒井さんの皮肉と騒乱に満ちた短編集が11編収録されています。
昭和四十年代前後の香りに満ちた痛快な作品ばかり。高度成長期日本の明暗を垣間見ることができると思います。
個人的に印象に残った作品は「ヒノマル酒場」「農協月へ行く」かな。
どちらも異星人とのバカバカしいファースト・コンタクトの話です。ドタバタなコントという感じ。
もちろんこの本を購入するきっかけになった、表題作も必見です。
例によって自分の中では「ニッポン~昭和の名作集~」の一冊でした。(4) -
Posted by ブクログ
筒井康隆のアホの壁を読みました。筒井康隆流のアホ論でした。堂々と養老孟司の「バカの壁」のパロディだと書かれていましたが、それなりに面白く読みました。なぜ人はアホなことを言うのか、というテーマではアホなことを言ってしまうシチュエーションが面白おかしく書かれていました。また、なぜ人はアホな計画を立てるのか、というテーマではいろいろな要因で失敗してしまったプロジェクトが紹介されていました。なぜ人はアホなことをするのか、というテーマではフロイトが引用されていてちょっと強引な行動心理学が解説されていました。筒井康隆らしいテイストで、単なるパロディよりは面白く読めたと思います。
-
Posted by ブクログ
この題材にこの作家、というのが正に当てはまる本である。
無意識にアホな場合は無価値であるが、
意識的にアホになれれば価値が生まれるということがわかる。
価値のあるアホには需要がある。
筒井康隆はSF小説で数多くのヒットを出しているが、
SFは常識では考えられない世界をあたかも存在するかのように描かるものだ。
小説だから受け入れられるが、普通に語り回ったところでアホにしか思われない。
また心理的にアホになってしまう可能性があるのが、
他人の思想に犯されてしまっている状態である。
あたかも良いことだと思わされ、思い込み、アホなことをやらされてしまう。
これも壁を越えてしまった一例だ。
普段仕事をしていて思うこととしては、
会社の仕事なのに、他人の状況を考えずに個人の意見を口に出す人間が多いということだ。
言い方は悪いがテーマなので書くとアホだと思う。
そういったとき僕は、人の振り見て我が振り直せと思い、身を引き締めるのだ。
「アホの壁」では戦争にも言及している。
これはほぼ引用になるが、
戦争をなくすためには、全人類を文化人にすれば良い。とフロイトはいう。
でもそれはユートピアだとも、フロイトは言っている。
なぜなら、戦争の原因は貧困や差別感情によるものであるから。
しかし筒井康隆はこういう。
世界中の貧困をなくすことは難しいかもしれないが、
世界中の人々に教養を与えることは難しいことではないだろう。
僕も同じような意見を持った。
自然保護やらCO2削減とかと政治的に議論して金や時間を使っていないで、
今生きている世界の人々に、同等の教養を与える努力をしていくべきだと思う。
世界の中でも高い教養を受けられた人々が考えるべきは、そういうことであるべきだ。
世界の文化レベルが同等になれば、
未来に生きている人々が自分たちで、世界を良くするように動き出すのではないだろうか。