筒井康隆のレビュー一覧

  • ジャックポット
    襖を開けたら雪崩を起こす押し入れの如きボキャブラリー倉庫を閉店特価セールの構えでPC炎上どこ吹く風と大放出する御大得意の言語スラプスティック。あわあわと巻き込まれ滑落に身を任せながら戯れに周囲の言葉たちを手にとれば韜晦の一皮裏に忍ばせきれぬ悲哀憤り諦観郷愁何やかんやでべっかんこ。
  • 短篇小説講義  増補版
    創作者ならでは視点が興味深い。短編小説と長編小説、戯曲との違いなんてあまり考えたことがなかったなぁ。
  • 文学部唯野教授
    その当時のアカデミアの人事というか人間関係はこういうところなのだろうか、、、と考えざるをえなかった。。。本当かウソなのかはこの小説を貸してくれた教授に聞いてみよう。
    授業形式で前半にアカデミア界隈の人間模様、後半に授業が盛り込まれ、知識も増やせた一冊であったように思う。

    以下読書メモ
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  • 笑うな(新潮文庫)
    少しダークな感じのお話やショートショートが好きなので凄くよかった。
    忙しい日でも寝る前に数話読んで少しずつ読み進めていった。
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)
    家族八景に導かれ読。
    前作と違って、なぜか次々と現れる超能力者たち。そしてその存在を知り、その者たちを抹殺しようとする組織。この2つの背景が描かれておらず残念だった。
    が、物語は、その独特の文体と相まって、スリリングでスピーディーなサスペンスが、ページをめくるのももどかしいほどの展開で、あっという間...続きを読む
  • 農協月へ行く
    "村井長庵"がハードなピカレスクもので、他の収録作と雰囲気異なる際立った傑作。孤島の無医村で藪医者がやりたい放題する内容だけど、悪辣ぶりが悪鬼そのもの。ラスト込みでけっこうお気に入り。
  • 陰悩録 リビドー短篇集
    "奇ッ怪陋劣潜望鏡"、これ昔読んでずっと記憶に残ってた短編。あらゆる水面から潜望鏡が伸びてきて覗かれる妄想譚。自分の中でキングの短編になってたけど筒井先生だったかと記憶を整理。
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集
    日本沈没を真正面からパロディーにしてあり、とてもユーモラス。もっと内容を深く掘り下げてあるのかと思ったけど、短編という事であっさり終わり、続きは各自の妄想で、というところですかね。
  • 富豪刑事
    富豪な刑事が、金を湯水のように使い事件を解決するという推理物で全4話。解説でもあるけど、4話それぞれ事件のタイプが異なり金の使い方も変わってきて飽きが来ない。
  • 時をかける少女

    なんだか面白くなってきたところで,いきなり包丁で切り落とされてしまったような終わり方。
    もっとロマンスがあったり,すべてが繋がっていくのかと思った。
    淋しいのは,会えなくなることより,忘れられてしまうことより,忘れてしまうことかもしれない。
  • 文学部唯野教授
    唯野教授個人は饒舌な小男、モラルも低くて女子生徒に手を出したりする俗っぽさ。周りのキャラクターも小便を漏らしたり、小狡い性格だったり、全然立派な人物はいない。
    大学教授たちの世界は政治根回し、足の引っ張り合いばかりで期待ほど勉強していない。
    でも講義はとても面白い。欄外に及ぶ知識の深さ、紹介される本...続きを読む
  • 定本 バブリング創世記
    タイトル作品を含めた筒井康隆作品集。なんというか、この人はまさに「天才」というよりは「奇才」と呼ぶべき人なのかもしれないと改めて思う。ストーリーとしての面白さを持ったまま、文学を、日本語を、常識をことごとく(いい意味で)おちょくってくる。評判高い「鍵」もさることながら、個人的には「死にかた」「三人娘...続きを読む
  • 定本 バブリング創世記
    1ページ目を見た瞬間に、え!?え!?となった笑

    全編通して、一周回ってナンセンス、みたいなものが根底にあって、筒井さんらしさ炸裂だった。

    「鍵」については、青春という切り口からどんどんホラーな方向に流れていって、「世にも奇妙な物語」でドラマ化されたというのも納得できる。

    「三人娘」は当初未完だ...続きを読む
  • 富豪刑事
    読んだのは1978年出版のものですが、内容は同じだと思うのでこちらに感想を。
    アニメを見て原作を手に取りましたが、神戸大助という名の刑事が富豪であること以外は全くの別物で驚きました。
    (一番最初だけ登場人物がどんどん出てきて混乱しましたが)小説も読みやすくて面白かったです。
    コメディ色が強く楽しく読...続きを読む
  • 富豪刑事
    さすが「SF御三家」の一人!
    ミステリー作家ではない事を逆手に取った書き方!面白い!
    別に映像化などは、意識してないかもしれんけど、これが映像化された時、どうなるか思い浮かべてしまう。
    (実際に、テレビでは、深キョン主演で映像化。アニメにもなった)
    富豪刑事…金に物を言わせて解決するとか笑けるけど、...続きを読む
  • 時をかける少女 (角川つばさ文庫)
    学校の図書室で見つけたらしい。
    私も読むのは初めてだったので、二人で和子がどうなるのだろう、理科室で見た影は何なのだろうと結末を迎えるのを楽しめた。

    娘が途中、鋭い推理を言っていたのに忘れてしまった…。
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集
    「残像に口紅を」で筒井先生熱が呼び戻されたのだけど、一気に読んでしまってすぐに冷めてしまうのももったいないので、ちょっと時間をあけてこの本を本棚から引っ張り出してきた。
    どの小説もアイロニカルで痛快。1960~70年代の日本をシニカルにとらえているのだけど、当時から50年以上経ってもその皮肉が色褪せ...続きを読む
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)
    精神感応能力者(テレパス)の火田七瀬とノリオ、透視能力者の西尾、時間旅行者の漁(すなどり)藤子、念動力者のヘンリー、予知能力者の岩淵恒夫が繰り広げる奇想天外な6つの短編の物語集だが、最後の「七瀬 森を走る」がスリリングで非常に楽しめた.人が考えていることを読めることは、一見面白そうだが、常に相手の行...続きを読む
  • 筒井康隆、自作を語る
    2014年から2017年くらいにかけて行われた筒井康隆が自作について語るトークショーや対談集をまとめた一冊。筒井康隆の素晴らしい記憶力と、インタビュアーである編集者の博覧強記ぶりによって、どのように名作の数々が生まれたのかを知ることができるし、当然その誕生の背景も様々な面白おかしいエピソードに彩られ...続きを読む
  • 老人の美学(新潮新書)
    やや枯れた、しかし安定した筒井康隆節のエッセイ。

    本人85歳になって、自分に生じた変化を淡々と書いていく様が感慨深い。