筒井康隆のレビュー一覧

  • 時をかける少女

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    ネタバレ

    筒井康隆の小説を、実は初めて読んだ。
    時をかける少女については映画すら観たことがない。そんな私のレビューです。

    時をかける少女はもっと長編小説だと思っていた。意外と30分くらいで読めてしまった。そして文庫本に他の短編小説も2篇収録されているとは知らなかった。

    「時をかける少女」については、もっともっと最近の作品だと思っていたので登場人物の名前の古さや言い回しの古さに最初は戸惑った。でも、文体は読みやすいし、心理描写には親しみがもてた。これくらいの長さの小説にしては話の構成起承転結がしっかりされていて、読みやすいとも思う。続編ないのかな?と一瞬思ったが、あの終わり方なら、続編がない方が良さそうだとも感じた。読者の想像におまかせしますというやつだ。そして、想像を膨らませるようなラストだったので、続編を作ってしまうと型にはまってしまい、せっかくの想像が台無しになることも考えられるだろう。個人的にはあの終わり方なら、またいつか背の高い細身の男が会いに来てくれる終わり方だなと思うのだが、人それぞれ、読後の想像は違うのだろう。それでもやはり、続編があるなら読んでみたいなあ。筒井康隆なりのアンサーというか、別視点でこの物語を書くとか、また次の世代で同じような事件が起こったらどうなるか?とかが気になる。

    「悪夢の真相」は、正直私には薄く感じた。姉弟の見た悪夢は何が原因だったのか?突き詰められ、それに加え弟の成長も少し綴られるという構成だが、話の捻りが少ない。文学というのはこんな感じなのだろうか?それとも筒井康隆って心理学者なのか?なにを読ませられているのか?短編小説だからこれくらいのボリュームなのだろうが…私はなにか大事な細工を読み飛ばしてしまったのだろうか?

    「果てしなき多元宇宙」は、かなり面白かった。もっとも、この物語のような考え方に私自身が抵抗ないからかもしれない。時をかける少女の後にすぐ読んだなら、筒井康隆はこういうスタイルの作家なのだなと思っていただろう。でも途中で読者に語り部が話しかけてくるあたり、もしかしてこれは児童文学なのか?と思えるほどの雰囲気を感じた。

    『時をかける少女』、もっと前、中学生くらいの時に読んでおきたかったと思う。話の区切りごとにサブタイトルが付けられているからわかりやすく、もっと純粋に楽しめたのではないだろうか。もっとも、「悪夢の真相」の内容は忘れてしまっていたかもしれないが…

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    2024年10月05日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    バラバラ殺人事件をきっかけにして、美大教授の肉体を借りた神様に近い存在、自称 GOD が現れる(大文字3字だが、ジー・オー・ディーでなく、ゴッドと読んでいいのか不明)。

    GOD は、未来に関することを除き、人々のあらゆる質問に答えを与える。
    これによって GOD はあらゆる物事を時間を超えて理解し人智を超越した存在、創造主であることが明るみになってゆき、人々は GOD が神に近い存在、創造主であることを信じざるを得なくなる。
    こうして、ごく一般の人々に加え、警察、弁護士、裁判官、マスコミをどんどん巻き込んでゆく。

    GOD は人間の生み出した「哲学」を媒介とすることで、人々の質問に答え、また自分の存在について語る。
    ここでは哲学用語が恐ろしいくらいに頻出する。
    専門用語は親切にも、ほぼ逐一、誰の打ち立てた論理なのかを明示し、また短い日本語に置き換えて説明しくれてはいるのだが、論理としても理解が難しく、(凡人には)読み進むにはかなり時間がかかる。
    おそらく論理は正しいのだが、誤解している可能性もあり、あるいは、GOD の能弁に煙に巻かれた気分になった、とも言える。
    著者の博学にひれ伏すしかない。

    最終部分では、GOD の出現の壮大な理由が明らかになっていくが、ここではパラレルワールド、メタフィクションといった SF 手法と論理数学の数式(どこまで本物なのか?)が取り入れられる。

    ストーリー自体は実際には複雑ではなく、ミステリーと思って読むと肩透かしを食らうかもしれない。
    GOD の語る宇宙を語る哲学の講義は壮大で、それが最大の魅力だと思う。

    エンディングの数ページは一般人の平凡な日常風景がとても丁寧に描かれるのだが、この部分は映画のクライマックスの後のラスト部分を見ているような、情景が目に浮かぶ優れた文章だと思った。

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    2024年08月14日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    筒井先生のノリノリ時代の作品を集めた一冊。「パニック短編集」というより、「スラップスティック短編集」?
    「アフリカの爆弾」を半世紀ぶりに読みました。いわゆる「差別用語」も頻出なので、今とのなっては新作として発表できないかもしれません。面倒なところもある世の中となりました。
    「ヒノマル酒場」を筆頭に、「新宿祭」「農協月へ行く」あたりが好み。

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    2024年08月06日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    めちゃくちゃ面白かった!!20年以上前に見た、木曜の怪談のドラマの展開が細かく思い出せる!あれは、だいぶ原作に準拠した作りだったのか。

    主人公の火田七瀬が、テレパス(心を読む)能力を持つことで、社会に折り合いをつけるべく旅を続ける話。50年前の作品とは思えないぐらい瑞々しい作品だった。これは、もう一つのSFの完成系なのでは?と思うぐらい。

    早く次の筒井康隆作品を読みたい!!

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    2024年07月17日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    ハイデガーの入門編として、100分de名著や新書と合わせて読みたい本。入門書を読むたびにハイデガー特有の言葉に辟易するが、具体的なストーリーと合わせて説明されると、なるほどそうだったのか、とわかったような気になる。ここでいうわかったということとか、ハイデガーを入門するということとか、どうも死を隠す空談のように思えるが(死は入門してはくれない!)、自分勝手に理解するというのもまた違う話なので、死を眼の前にしながら恐る恐る入門するというなんとも不思議な感じだ。まぁ解説にもあるが、時にはユーモアも必要だろう。

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    2024年06月26日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    23歳の七瀬が生きているのを見て、理由は分からないが助かったんだ!と半信半疑で見守っていたら、まさかこんな展開になるなんて。シリーズを超能力者の話として読み始めたため、三作目の視点の壮大さは意外だった。面白かった。
    でも超能力を持って生まれた者の行く末として、最後までとても悲しい道が用意されていて、読み終わった後どんよりしてしまった。結局七瀬は幸せになっていない。やはり私は彼女に幸せになってほしかったのだと思った。
    愛し合う二人の間に割って入る母親という存在が正気じゃなくて、読んでいて気が狂いそうだった。七瀬はもっと怒っていいのだけど、観察者であり理性的で賢い七瀬は自身の感情をぶつけることがあまりない。これがまた悲しいなと思う点だ。
    人間ひとりひとりに意志などなく、全知全能の存在が人間を操っているだけだとしたら、やはり人間はショックを受けるのだろうか。

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    2024年05月29日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    ネタバレ

    七瀬がお手伝いさんをやめたことで行動範囲に変化が出たため、一作目とは作品のタイプがガラッと変わった。
    七瀬がトラブルに遭いながら危機を乗り越えていくのが、スリリングでとても引きつけられた。無理なく頭の中に映像が浮かんでくるのがすごい。
    ほかの超能力者にどんどん出会っていくのが面白かった。自分だけではないと分かったことでこの能力の意味合いも、心持ちも大きく変わってくると思う。
    仲間が一気に増えて、みんなで連絡をとりながら仲良くやっていけると思いたかった。こんなに手強い敵が組織的に命を狙ってくるなんて。
    私は七瀬の責任感の強さが好きだなと思う。

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    2024年05月28日
  • 家族八景(新潮文庫)

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    家族ってなんだろう。主人公が心の内を読めるという能力故、人の狂気的な面が強烈に描かれていて胸焼けがしそうなくらい。
    意外と家族ってこんなもんなんかなって感じ。

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    2024年05月15日
  • 時をかける少女

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    映画かもされた著名な作品なので、この一冊が「時をかける少女」かと思いきや短編のうちの一つだったなんて…

    三作ともSFと心理が掛け合わさった面白い作品だった。作者は少し強気な女の子と、少し気弱な男の子の組み合わせが好きなのかな。

    アニメ映画版、もう一度観てみよう

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    2024年05月06日
  • カーテンコール

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    各作品の内容やそこで使われている文体など、これまでの筒井作品の棚卸しのような短編集!
    筒井さんの遺言状の第一弾です!

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    2024年04月20日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    (threads共有)

    特殊な能力を持った者が普通の人達と相容れなく駆逐されていくという、ある意味ステレオタイプなファンタジーなのだけど、筒井康隆の世界線は整ってる。

    筒井康隆を読んでいると、この作家の脳みそはデジタルなんだなと感じる事がよくある。知識がとても綺麗に整理されてる。
    ひょっとしたら脳に生成AIのチップでも埋め込まれてるんじゃないか?それで時空を遡って来たんじゃないか?なんてね。

    ラベンダー香る? それは違うか

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    2024年04月14日
  • 時をかける少女

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    ネタバレ

    『時をかける少女』
    映画の原作を読んでみよう第二弾
    理科実験室にいるときにひょんなことからタイムワープとテレポーテーションできるようになった少女が、なぜ自分が超能力を手に入れることになったか調べるために再び理科実験室にいくとそこには…
    映画は一個下の世代の子が主人公らしいとは聞いていたんだけど、主人公たち3人組のうちのひょろっとした方が未来人で年下でみたいな設定は一緒だった
    sf!ってかんじで楽しく読めた

    『悪夢の真相』
    般若のお面とか高いところとか橋の欄干がこわい主人公。なぜ怖くなるのか調べていくと…みたいな話
    話の展開が読めなくて怖かったけど、すっきりした結末

    『果てしなき多元宇宙』
    同時並行でいろんな世界線があるときに、事故で主人公だけいろんな世界線の主人公と入れ替わってっちゃう話
    意味論の授業の可能世界の話思い出した笑
    ときかけと似てるけど不思議と主人公が願った通りの人生の世界にいくけどどの世界でもうまくいかないし、なんならラスト戻らないし主人公には悪いけど面白かった

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    2024年04月08日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    笑うな、というキャッチーな題名に惹かれて手に取った作品。

    笑うななんて言われましてもひとつひとつがコントの台本かと見間違うほど面白い、滑稽で惨めに見えるキャラクターが沢山出てくるものばかりで思わず笑ってしまいそうになる話ばかりだった。
    けれど少し冷静になってみると、その滑稽で惨めなキャラクター達は自分と重なる部分が多いと気づいた。
    そして改めて読んでみると肝が冷えたというか、全く笑うことなんて出来なかった。
    誰の心にもあるであろう欲目や驕りなどの要素を恐ろしいほどに面白可笑しく書かれていた。

    無意識のうちに自分が沢山の偏見を抱えてがんじがらめになっていること、自分が誰かを反面教師にしようと決めた時誰かもきっと自分を反面教師にしようと決めているであろうこと、慢心が傍目に映る醜さなどに気づけた。
    欲に足元を絡め取られることのないように、本質を見極めようと慎重に過ごしたいと思わせてくれた本。

    会いたい、と座敷ぼっこの2つが個人的に好き。

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    2024年03月20日
  • カーテンコール

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    全部で25編の短編集。
    怒涛のように筒井康隆劇場爆発!の後半7編がめちゃくちゃ面白い。
    コロナ追分で言いたい放題笑 このお話大好きやわ。お話っていうより独白やんもう。すごい共感できたわ。
    冒頭から前半にかけては、さすがに筒井康隆も気持ちまで歳とったんちゃうん?おっさん臭だけがプンプンなんちゃうん?と思ったけど、いらん心配でしたわ。
    ある意味、初期に戻った?ていう作風。あ、おっさん臭は増してたわ
    あの筒井康隆の、誰がこんなこと思いつくんや!ていうとんでもない設定ではないけど、なんかオモロイなぁ〜ってゆうアレ。
    これで最後とが言わんと、まだまだ書いてほしい!

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    2024年03月16日
  • 富豪刑事

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    何回読んでも面白い。
    大好き。
    最近の人には良さがよくわからないみたいだが。
    アニメから入ってつまらないって、
    あのさぁ…

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    2024年02月28日
  • カーテンコール

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    何だか、星新一のショートショートを読んでいる気分で、サクサク進む。筒井康隆を読むのは、何十年ぶりか?よくもまぁこんな作品が書けるものだ。この年齢でこの頭の柔らかさと、創作力は、脅威的。

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    2024年02月16日
  • 富豪刑事

    匿名

    購入済み

    アニメから

    アニメの富豪刑事Balance: Unlimitedが個人的に大変面白かったので原作も気になっていました。他のレビューを拝見してアニメと原作はだいぶ違うと知りましたが、また違った富豪刑事を味わってみたく購入に至りました。
    アニメと原作で登場人物やキャラの違いに多少困惑はしましたがストーリー自体は個人的に楽しめたので良かったです。

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    2024年01月25日
  • カーテンコール

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    なんか凄い展開になってしまう掌編集
    この何処へ行ってしまう終わり方は余韻を残すものもあり、呆気に取られるものもある
    筒井康隆にしかできない芸当だ
    最後は現実にまではみ出してくる
    付録までつけて、これで引っ込んでしまうの?

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    2024年01月13日
  • 夜を走る トラブル短篇集

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    町田康氏の講演録で取り上げられていたので購入。自分はあまり熱心な読書家ではなく、筒井氏の書籍はこれが初めて。作者を隠して読んでいたら町田氏の作品と勘違いしていたかもしれない。
    各ストーリーのラストでドリフの盆回しを流したくなる短編集だった。移動中に読んでいたので、周りには気持ち悪い顔をしていると思われただろう。こっちだって笑い堪えるのに必死だったんだよ。

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    2024年01月07日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    『家族八景』『七瀬ふたたび』に続く、俗に言う七瀬シリーズの完結編。
    異能SFの雰囲気は影を潜める、というよりかは作者の中で“異能”というものをより深く推し進めたであろう本作は、形而上的な色合いを帯びる。
    生物の上位存在の様なもの..宇宙意思..定まった呼び方の無いこういったものに対し、本作はかなり突っ込んだ、かつ文字化に成功している作品かもしれない。七瀬シリーズの幕引きに寂しさもありつつ、個人的には支持したい締め方。

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    2024年01月04日