筒井康隆のレビュー一覧

  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    2作目の「七瀬ふたたび」を飛ばしての作品だったけど楽しく読めました。生まれて初めて恋心を抱いた相手が高校生。超常現象の行方を追った結果それが全知全能による亡き母親によってであって
    それに従い認めざる負えない中、自己の存在自体にも悩む。しかし、最終的にはこのタイトルを超えて七瀬が幸せな方向へと向かったので良かったかな。

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    2023年04月01日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    老人増加対策のために政府が定めた「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」70歳以上が対象となるこのバトルは地域と期間を定めて行われる。舞台は東京の下町宮脇町5丁目、対象者は59名。最後に残った1人だけがその後に生きる権利を得るこの戦い……ってすごいなオイ!!

    Twitterで見かけて、軽い気持ちで読み始めたらガチやったわ……。58人プラスαがバタバタ死んでいくし、他の地域の中継もあるから、ほんま恐ろしい速度で70歳以上がバタバタいく。最期の瞬間もそれぞれで、フィクションらしさがあり重くはないんだけど、合間にチラリと見えるリアルさが怖い。

    一番怖いのは、そろそろこういうことがリアルで起こりそ

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    2023年03月22日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    筒井康隆、最後の長編と帯にあるモナドの領域。モナドという言葉がタイトルに含まれていることからも伺えるように、ライプニッツのモナド論を敷衍して我々はモナドから外には出られないという前提で話が進む。そしてモナドの外に在るのは神だけである。
    トマス・アクィナス、ライプニッツ、カント、ハイデガー、カントール等の哲学者や数学者が言及されるのは筒井康隆ならではといったところか。読んでいて思い出したのは、同じく神に言及していたチェスタトン。
    小説の中で神を扱う場合、神を超越する存在として作者や読者が存在してしまうわけで、当然そのことにも作者は自覚的ではある。
    エピローグの文章は神は登場しないのだけれど、まる

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    2023年03月05日
  • 笑犬楼vs.偽伯爵

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    お互い尊敬し合う表現者。
    過去の芸術作品に関する広範な記憶と繋ぎ合わせられる連想力。
    喫煙と一人息子の逝去。
    違うと思ったら意見をぶつける自分への率直さ。

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    2023年02月28日
  • 佇むひと リリカル短篇集

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    荒唐無稽な設定ばかりなのに、どの物語も人間が生き生きと描かれていて、荒唐無稽だと思わせない。感傷的でありながら、じめっとしすぎない。それでいて共感できて入り込める。特に表題作「佇む人」は今まさに読むべき。

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    2023年02月25日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    これを読んでハイデガーが分かるかどうかは別にしてこう言う考えなんだねーって思う。

    易しく説明なんて本当は出来ないんだろうけれど書く人の咀嚼した内容で話して貰える本書籍のようなものは大変助かる。
    読んで次の段階に頑張ってみようという気にさせてくれる。
    頑張って存在と時間が読めるかというと難しいかも知れないけれど、次のステップにいつか繋がる気がする。
    繋がらなかったらもう一度読もうと思う。

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    2023年02月24日
  • わたしのグランパ

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    筒井康隆さんの小説、久々に読んだ。しかもSFじゃない。

    物語は、中学生の珠子の前に、ある日、突然現れたグランパ(祖父)はなんと刑務所帰りだった。だが、侠気あふれるグランパは、町の人からは慕われ、珠子や家族をめぐる問題を次々と解決していく。
    そしてグランパの秘密を知った珠子に大事件が襲いかかる。「時をかける少女」以来のジュブナイル。
    読売文学賞受賞作。

    短い簡潔な読みやすい文章、だれでも楽しめる内容だった。とにかく、グランパがかっこいい感じ。

    2003年に映画化されており、石原さとみのデビュー作で、グランパは菅原文太が演じていたとのこと。また観てみたい。

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    2023年02月01日
  • 老人の美学(新潮新書)

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    ネタバレ

    旅のお共として。でも途中までしか読めなかったから、読み上げるのが遅くなってしまった。同世代の老人向けに書いているからなのか、字が大きめで読みやすかった。美学を持ったかっこいい老人になりたいけどね。紹介されてる「敵」「愛のひだりがわ」「銀齢の果て」をまた読もうかな。

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    2023年02月01日
  • わたしのグランパ

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    SF御三家の1人筒井康隆のSFではない作品の一つ。
    主人公・珠子と祖父の謙三との不思議な関りと感動の
    ジュブナイル小説(大人が読んでも楽しめる)。

    物語の冒頭に書かれた「囹圄」が物語の始まりとして、
    重要だったりしますが、これの意味を小学生の時に知り、
    このことで、祖父の存在を両親や祖母から聴かされていたのと
    違うことを知ります。
    そして、時を経て中学生となり、物語のメインへと突入。
    祖父・謙三が帰ってきて、珠子と関わりを深めていきます。
    珠子の人生の変化と祖父とのかかわり方そしてその行く末が、
    不思議で心温まるって感じ。

    ちょっと気になるのは、終盤の展開は急だったかなと
    個人的に思うとこ

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    2023年01月31日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    中学高校の頃筒井康隆をすごくたくさん読んでいたけれど、それ以降あまり読まなくなってしまい、すごく久しぶりに新しめの作品を読みました。

    解説で池澤夏樹さんが書かれていたことに尽きるけれど、小説の読者は読後感をいつまでも持ち続けることができる。それは本当に祝福なのだと思う。GODは決して祝福はしないけれども、最後に勝利するのはぼくたち読者である。

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    2023年01月21日
  • パプリカ

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    エンタテインメント!映画みたい。
    夢の中に入れる機械や能力が主題。
    夢の不条理さの描写が素晴らしい。夢の中で官能が増幅されるのはそうだよね。
    キャラクターも魅力的で面白かった。

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    2023年01月01日
  • 富豪刑事

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    大富豪の刑事が金を湯水のように使って事件を解決していく短編集。ドタバタのほうの筒井先生かと思いきや、意外としっかりした推理トリック捜査もの。
    強盗、誘拐、殺人と、事件の幅も広く、おかしなキャラばかりだけどナゾときも楽しめて、筒井先生の守備範囲の広さに唸る。

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    2022年12月22日
  • 幻想の未来

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    表題作超よかったです。SF的な壮大さや向かっていくベクトルに藤本タツキのファイアパンチを彷彿とさせた…。

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    2022年10月31日
  • パプリカ

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    ネタバレ

    面白い。後半の夢と現実の混濁ぶりがものすごく、それもまた面白い。自分も物語の世界に迷い込んでしまったようだ。

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    2022年10月31日
  • 文学部唯野教授

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    文学部とはこういう所なのか!と素直に受け取って良いもの?ストーリーが面白すぎたから講義の部分も同じテンションで読み進めてしまったけれど、これはユーモアを利用した批評論の押し売りか!とても面白かったです。コミカルドタバタでした。

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    2022年10月24日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    難解なことで有名なハイデガーの『存在と時間』についてわかりやすく説明されている。わかりやすい説明になっても正直なところ難解ではあるのだが、外観くらいは理解できるように噛み砕いてくれているので、入門としてちょうど良いと思う。
    存在と時間は「本当に難しすぎて理解しづらいことで有名である」という点を念頭に置いて読むべき。もし理解できなくても落ち込む必要なんてなく、むしろ難しすぎる点を笑い飛ばすくらいの心持ちでいるべきだろう。

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    2022年10月22日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    ネタバレ

    この本じたいはとても分かり易いけど、引用されている原文は恐ろしく難解。筒井さんよくこんなの読んだな…ハイデガーで歯が立つのはこの本までな気がする…。

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    2022年10月15日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    『最終講義』の名の通り、まるで中学生や高校生に戻って面白い先生の講義を受けているような気持ちになれる。
    本書で指摘されている通り、ハイデガーに触れる上で大きな障壁になるのが、数々の概念(というか、言い回し?)なのだが、本書はそれらの話を最小限に抑えて解説を進めてくれている。おかげで、ハイデガーの視座は私たちが直感的に感じ取っているものと近いということが分かりやすく、説得力がある。
    読書慣れ、哲学慣れしていない自分のような人に、読んでもらい、哲学の身近さを感じてほしい。

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    2022年09月27日
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)

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    七瀬ふたたび
    テレパス(読心力)、未来予知、透視、サイコキネシス(念力)、時間遡行•••。

    超能力。

    高校時代はわくわくしたのだが、ストーリーはハードだな。

    【あらすじ】(最初のみ)
    ①邂逅
    お手伝いを辞めた七瀬は実家に戻る列車の中で、同じ能力を持つ人間に初めて出会う。

    ②邪悪の視線
    高級バーで働き、幼いノリオとアパート暮らしをする七瀬。しかし、バーの同僚が紛失した指輪泥棒の濡衣を着せられる。

    ③七瀬 時をのぼる
    北海道に向かうフェリーの中、ノリオは今にも目の前で起きそうな殺人を感知し、七瀬にテレパシーを送る。

    ④ヘニーデ姫
    マカオのカジノで生活費を稼いだ七瀬は、道中仲良くなった瑠

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    2022年09月25日
  • 時をかける少女 (角川つばさ文庫)

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    中学3年生の芳山和子は、同じクラスの深町一夫、堀川吾郎とともに理科室の掃除当番だった。一人片付けをしていた和子は、誰も居ないはずの実験室からの物音を聞く。実験室に入った和子は人影を見るが、試験管からこぼれた薬の匂いで気を失う。懐かしい香り、あれはラベンダー。
    その日の夜から和子は不思議な体験をする。起きたはずのことが起きていない、一緒に居たはずの人が覚えていない、事故に合う瞬間に別の場所に移動している。
    なんど、和子はテレポーテーション(身体移動)とタイム・リープ(時間跳躍)の力を手に入れてしまったらしい。
    以前の自分に戻るには、あの実験室の人影をみたあの場所に戻らなければいけない…。

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    2022年09月22日