筒井康隆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「時をかける少女」を超えたジュブナイルというと似たような惹句だった「わたしのグランパ」はあまり印象に残る小説ではなかったんですが、これは傑作の言葉に偽りなしです。主人公の愛は12歳で母を失う。行方不明になった父を探す愛の旅が始まる。舞台は近未来と思われる日本。社会は治安が悪く、強盗・殺人が跋扈し、少女が一人で旅するには危険すぎる旅だった。そして、左手の不自由な少女のひだりがわには常に守ってくれるものがいた。特殊な能力を持った少女のロードノベルは、「時をかける少女」よりも「火田七瀬」シリーズを彷彿とさせたなぁ。テーマ的には別に珍しいことを書いている訳ではないんだけれど、「善意」と「悪意」について丁寧に書かれた秀作。最後の一行は予想の範囲内ではあるのだけれど、やっぱり「やられた!!!」って感じです。
-
Posted by ブクログ
富豪が刑事という、あの作品を想い浮かべちゃう短編集。
時は、日本がバブルになる少し前、1970年代のオイルショックにより、
かなり景気が落ち込んでいた不景気の時代に、富豪の息子として、
育った、神戸大助は、大人になり刑事として働いていた。
そんな中で、富豪を活かしつつ、事件を解決していく。
あの作品ってのは、同時期に発表されているので、どちらが真似たって
ことはないのですが、富豪刑事がヒットしていたことで真似たエピソードを
描いていたりもします。 って、あの作品と濁す意味はないのですが、
週刊少年漫画で長年連載してた、派出所勤務の富豪・中川のことです。
これでもタイトルを隠すところは、いじらしいですかね(笑)。
4つのエピソードがあり、4つともだいぶ違ったトリックがあり、
作者の筒井康隆は、ミステリーは得意じゃないと発言されているようですが、
ミステリー好きも十分楽しめる作品じゃないかと思われます。
ドラマ・アニメ化もされていますが、そちらを見た人でも別物?
ってくらいに感じるかもしれません。 -
Posted by ブクログ
映画では「夢と現実の交差」を重きに描かれていたが、文章では「心理学の発展」という主軸で書かれているように感じ、より密度が高く面白かった。
敦子とパプリカの関係性もさらに近く思え、心理学に精通する1人の学者としてとても魅力的な女性として存在していたことが映画と比べよかったと思う。
また能勢と粉川も、小説を読むとどちらも必要な存在と思えた。
SF小説として、夢と現実が交差する混乱がしっかり読者に伝わり、かつラジオクラブの2人のようなまた違った視点のキャラクターが出てくることによりSF感が強まり、飽きる間もなく読み進められる大変面白い作品だった。