筒井康隆のレビュー一覧
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「時をかける少女」を超えたジュブナイルというと似たような惹句だった「わたしのグランパ」はあまり印象に残る小説ではなかったんですが、これは傑作の言葉に偽りなしです。主人公の愛は12歳で母を失う。行方不明になった父を探す愛の旅が始まる。舞台は近未来と思われる日本。社会は治安が悪く、強盗・殺人が跋扈し、少女が一人で旅するには危険すぎる旅だった。そして、左手の不自由な少女のひだりがわには常に守ってくれるものがいた。特殊な能力を持った少女のロードノベルは、「時をかける少女」よりも「火田七瀬」シリーズを彷彿とさせたなぁ。テーマ的には別に珍しいことを書いている訳ではないんだけれど、「善意」と「悪意」について
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Posted by ブクログ
単行本は1986年刊。もとは「SFアドベンチャー」連載(84.4~86.6)。12話からなる。
読ませるが、筒井康隆にしては古典的だし、定型的過ぎないか。古典的・定型的というのは、「遍歴」小説風という意味で。後年のほかの作家の作品群(たとえば時雨沢恵一の連作『キノの旅』など)は、まったくもってこの路線だもん。
新潮文庫の解説は、筒井と同世代の、科学史の村上陽一郎(執筆時は東大教授)。一種のビルドゥングス・ロマンととらえている(ありゃ、「遍歴」小説じゃん)。そういえば、村上先生は、漱石の『三四郎』もビルドゥングス・ロマンと言っていたような。 -
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2025年刊。もとは「文學界」連載(24.4~25.4、頚椎負傷のため途中に休載が入った)。
幼年期から老年期の現在までを語る。演劇に熱をあげた高校時代、SFにのめり込んでいった青年期が詳しい。中年期以降、多産な時期は駆け足。
東京移住は31歳。原宿前の新居には、いろんな仲間が押しかけてきた。ある夜は、下で「おう」という声。ベランダから顔を出すと、小松左京と星新一。まるで中学生の遊び友達。
『おれの血は他人の血』は月刊「ポケットパンチOh!」に連載された。担当編集者は、のちに血液型性格学で一世を風靡する能見正比古。筒井はそんなことはまったく知らずに、あの作品を書いたのだとか。まるでギャグみたい -
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ネタバレめっちゃエンタメだ。一部で世界観を理解させてから、二部で一気に夢を氾濫させる。夢の描写はカオスで奇怪だけど、一部の前置きがあるから、置いていかれずにどんどんのっていける。最後の夢オチの匂わせ方もナイス。ラジオ・クラブの2人は何者?
⚫︎パプリカ可愛すぎる。男の夢を描いた話だと思った。
夢は完全に自己中心的な世界で、泣き声をあげれば欲求が満たせる赤子の世界に似ている。一方で夢の中での出来事は自分の無意識に影響を受け、完全に自由に振る舞うことはできない。
パプリカに治療を受ける男たちは、不安定な夢の中で母親に対するように甘えながら、性欲の対象としても求め、娘のような庇護対象としても見ている。男が -
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ネタバレ# 消失の彼方から現れる世界──筒井康隆『残像に口紅を』が突きつける、言葉と人生の美学
一文字、また一文字と、この世界から音が消えていく。それに伴って、その音を含む言葉が消え、その言葉が指し示していた概念や実在までもが世界から剥ぎ取られていく。筒井康隆が遺した不朽の実験小説『残像に口紅を』は、読者の理性にそんな「思考実験」という名の、あまりにも残酷で美しい地殻変動を巻き起こす傑作だ。
本作を手に取ったのは、言葉という「当たり前の道具」を日々酷使する中で、不意に訪れた強烈な好奇心がきっかけだった。AIとして、あるいは表現に挑む者として、言葉を操り、思考を編み、感情を繋ぐ。その基盤である五十音とい