【感想・ネタバレ】ジャックポット(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

あらすじ紹介不能の衝撃作「漸然 山脈」。秋刀魚絶滅後の凄惨なディストピア「白笑疑」。母の遺品の櫛笄の値がどんどんつり上がり……人間の本性を暴き出す掌編「花魁櫛」。世界中を震撼させたコロナ禍の拡がりゆく猛威を写し取った表題作。父子の心の交流に感涙を禁じ得ない名編「川のほとり」等、八十有余年にわたって作家の大脳皮質に蓄積した言葉と感情と記憶と思索が暴走横溢する傑作14編。(解説・小川哲)

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Posted by ブクログ

筒井康隆『ジャックポット』新潮文庫。

何年か振りに読む筒井康隆。高校時代に筒井康隆と小松左京、眉村卓、平井和正といった日本のSF作家ばかり読んでいた時期がある。それから時々、筒井康隆を読んではいたが、最近暫くはご無沙汰だった。

筒井康隆が80代で執筆した14編から成る短編集。やはり筒井康隆は80代になっても筒井康隆であった。現在、筒井康隆は御歳91歳だと言う。


『漸然山脈』。若かりし頃の筒井康隆の奇妙な短編のように言葉遊びのような知識の洪水が溢れ出す。最後に筒井康隆作詞・作曲の『ラ・シュビドゥンドゥン』が収録されるというシュールな短編。

『コロキタイマイ』。ストーリーがあるような無いような変な短編。漫才師によるギャグと様々な知識や逸話を交えた掛け合いは時空を超える。

『白笑疑』。食糧難となり、秋刀魚も絶滅した後の凄惨極まる世界を描いた短編。。

『ダークナイト・ミッドナイト』。84歳の筒井康隆がたった一夜のディスクジョッキーとなり、死にまつわる話題を語りつつ、様々なジャズの名曲を紹介する。

『蒙霧升降』。筒井康隆が日本の様々な出来事を風刺しながらズバリと斬り込んだブラック・エッセイ風の短編。

『ニューシネマ「バブルの塔」』。世界を震撼させる巨大詐欺を仕掛けるのに作家の叡智を結集させるとしたら、どんな作家を集めるべきかという話。文壇バブル。

『レダ』。理由のわからん年寄り会長の話。

『南蛮狭隘族』。妄想戦争短編。

『縁側の人』。痴呆気味の老人が縁側で妄想する。

『一九五五年二十歳』。筒井康隆の青春記。同志社大学に奇跡的に合格するや、狂おしい気持ちで俳優を目指したあの時代。そんな自分が作家となり、長生きしていることに驚く。

『花魁櫛』。本作の中で初めてのまともな小説だ。母親の遺品の中から見付かった櫛や笄。伝説の花魁が使用した櫛や笄は瞬く間に3万円が30万円に、30万円が300万円になり、早く売ってしまえという妻だったが、やがて3,000万円、1億円の値が付き、欲の皮が突っ張っていく。

『ジャックポット』。筒井康隆一流のブラックな風刺の嵐。世界中を震撼させたコロナ禍の拡がりゆく猛威を筒井康隆の目で写し取った抱腹絶倒の表題作。

『ダンシングオールナイト』。筒井康隆のジャズ遍歴とコロナ禍でのもんたよしのりの『ダンシングオールナイト』が綴られる。

『川のほとり』。いきなりのシリアスな作品。筒井康隆の夢の中に現れた息子の伸輔との心の交流を描いた感動の短編。筒井康隆の新聞連載小説の挿絵を手掛けた息子は51歳の若さで食道癌で亡くなる。親よりも早く逝くことほど親不孝なことは無いと言うが、知らぬ間に身体の中で進行していく癌という病気は本当に残酷だ。

本体価格670円
★★★★

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2026年02月10日

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