あらすじ
「プロの小説家」というものがどのように成り立っているかを豊穣の中に描いている。――茂木健一郎氏(解説より)作家の書くものに必ず生じる「凄味」とは? 「色気」の漂う作品、人物、文章とは? 作家が恐れてはならない「揺蕩」とは? 文章表現に必須の31項目を徹底解説。「小説」という形式の中で、読者の想像力を遥かに超える数々の手法と技術を試してきた著者が、満を持して執筆した21世紀の全く新しい"小説作法"。<解説入り>
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Posted by ブクログ
創作に関する技法や覚え書きを書いたもの。エッセイ。
実験作と言われる文学が読みたくなった。
「反復」の章は自作『ダンシング・ヴァニティ』の解説。映画・演劇では当たり前の技法である反復を小説に持ち込んだ実験作ということ。その反復の種類を解説している。
「人物」小説の人物リストを作るのは小説の楽しみ方のひとつ。500人が登場するトルストイ『戦争と平和』、リアリズム小説のゾラ『ナナ』など。
実験小説として書いた作品。『虚人たち』は「省略」というごくごく当たり前の技法を使わず、原稿用紙1ページを1分として正確に置き換えた実験作。
『残像に口紅を』は使用できる文字を制限する実験作。これが遊戯なのか意義があるのかは批評家にまかせるが、作者は書いていて楽しかったとのことの。
『文学部唯野教授』は文芸評論をネタにした小説。
Posted by ブクログ
本当は単行本を再読したのだけど、感想を書きたくて文庫版で再登録。
著者も言う通り、これは創作の指南書ではなく、作家・筒井康隆の創作秘話エッセイとでも言える本である。
とはいえ、プロの作家が創作にどう向き合っているのかを知ることは、巡り巡って創作の在り方の道標になるのだと感じた。
書くには読むべし、という当たり前に改めて気付かされる本でもある。
Posted by ブクログ
筒井康隆さんが32種類のテーマを軸に、創作の秘密を書いた本。これを読むと、作家の人が何を考えて創作をしているのか、がわかって非常に面白いし、筒井さんの作家としての天才性が浮き彫りになって面白い。なるほど、こういう頭の構造の人が、ああいう芳醇な物語を紡ぎ出すのか、と納得しきりでした。創作を意識している人は読んで損なしな気がします。