あらすじ
生まれながらに人の心を読むことができる超能力者、美しきテレパス火田七瀬は、人に超能力者だと悟られるのを恐れて、お手伝いの仕事をやめ、旅に出る。その夜汽車の中で、生まれてはじめて同じテレパシーの能力を持った子供ノリオと出会う。その後、次々と異なる超能力の持ち主とめぐり会った七瀬は、彼らと共に、超能力者を抹殺しようとたくらむ暗黒組織と壮絶なバトルを繰り広げる!
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家族八景後の七瀬シリーズ2作目。
前回の話とは違い、心の汚い人間達の話ではなく、打って変わった雰囲気。
まず夜汽車に乗っているシーンからよかった。
はじめて自分と同じ心が読める子供のノリオと、初めて自分の能力とはちがう予知能力をもった恒夫に出会う。
これから起こる大事故を予知し、この3人で汽車を降りる。これから始まる物語にドキドキした。
次に七瀬がノリオを引き取り、一緒に暮らすため平穏な生活を脅かす、また違う能力を持った強欲の西尾。西尾との心理戦はワクワクした。
続々と異能力者と出会い、ピンチを乗り越え仲間ができた七瀬。ヘニーデ姫のところは見えない敵に恐怖した。
そして待ち受けていた最後の敵、特殊暗殺部隊。
彼らとの戦いがはじまり、友達や仲間が次々と殺されていく。藤子の健気さが好きだった。
読み終えて、もっとこの特殊部隊がどういうものか教えてほしいしかった。戦うならもっと仲間も足りなかったし、七瀬と敵との心理戦があったらよかったのにと思う。
それでもこんなスケールのでかい話を描く筒井康隆先生はさすがだな。
あーもっと七瀬を見ていたかった。
物語にこんなに引き込まれたの久しぶり。
またこんな作品に出会いたい。
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七瀬シリーズの第二弾
前作の家政婦の視点での家族ドラマの短編集とは打って変わり今作はサスペンスタッチのエンターテイメント小説へと変化している
作中で登場する超能力による駆け引きはジョジョ4部や岸部露伴などの異能力ものを彷彿させるが、テレパシーという意識感応能力がゆえに視覚演出としてはかなり地味ではある
だがそれが小説という媒体だからこそ伝わるスリリングかつエキサイティングな演出に我々読者の心を魅了させる事に成功が出来てると言える
しかもただハラハラドキドキする娯楽小説ではなく闇の組織や超能力者の苦悩や差別などを実社会の人間の暗部をオブラートに伝えているところは作者の力の入りようも凄まじく最終的には哲学的な語りにも繋がる事からもありとあらゆる情報の渦が作中の感応される意識の様に怒涛に広がってくる様に感じ取れる
作者が最も脂が載っていた時期に書かれた本書は娯楽小説として最高の一作である為時かけしか知らない人にこそ知っておくべき名作である
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ノリオ、ヘンリー、ヘニーデ姫など登場人物の色が強く出ていて素敵。
七瀬が彼らをどんどん味方につけていく展開もワクワクする!
彼女の相手に超能力を知られてはいけないが、自分は断片的に相手の情報を読み取れる前提(ルール?)があるから、その中で道を切り開いていくのが面白い。
面白かった
面白かった。
前作では、人間の心理を描写するための表現上のツールとして
テレパスが使われている印象だったが
今作では、打って変わって、
能力者バトルのような活劇
超能力者の葛藤、超能力者同士の協力と対立などがあり
とても面白かったです。
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20年以上ぶりで再読。『家族八景』とはまた違ったアクティブな作品。『家族八景』でも思ったけれど、文学的エロ表現が筒井康隆ならではという感じ。ラストは七瀬も思えば遠くまで来ちゃったなあと思ったかもしれない。このあとどう続ける?
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テレパス七瀬シリーズ第二弾。
超能力者は七瀬だけではなかった。短編を追うごとに次々と増えていく、超能力者たち。彼らは敵?それとも味方なのか?
家政婦として働き、孤独な超能力者として描かれた七瀬だったが、今作ではすでに別の仕事を転々としながら、身をやつしながら生活する。相変わらず、人の心が読めてしまうがために、のらりくらりと危機をかわしながら過ごす。
しかし残念なことに、世の中には、超能力をよく思っていない人達もいて、中盤から、能力者と、非能力者の戦いが始まる。
前作の日常風景から少し離れて、物語の規模が大きくなった気がします。パプリカとはまた違うテイストの世界観に、筒井康隆さんの才能、特に心理描写が色鮮やかで、書く上で非常に参考になりました。
三部作と言われておりますが、いったいこの話、どう続くのでしょうか。そんな不思議な読後感でした。
Posted by ブクログ
人の心を読むことができる七瀬さんを主人公にした小説。『家族八景』に続く二作目にあたる。前作では孤独な超能力者だった七瀬さんは、同じような能力を持った人たちに出会う。
仲間はできたが、敵がいることもわかる。超能力者の根絶を目指す組織があるようだ。仲間との安住の地は、戦場へと変わっていく。
ひやぁー こんな終わり方をしてしまうのか。
さっそく、三作目である『エディプスの恋人』を読み始めることとする。
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『家族八景』で描かれた、家族の裏の顔を覗き、時に干渉してしまう物語とは大きく趣を異にし、本作では超能力者同士のバトルや組織から命を狙われる展開が描かれ、冒険的かつハードボイルドな作品となっている。七瀬もまた、かわいらしいお手伝いさんから、美しく聡明なお姉さんへと成長していた。
超能力者たちが互いに能力を駆使し、助け合いながらも次第に追い詰められ、敗北していく姿には切迫感があり、前作以上に七瀬を応援したくなった。アベンジャーズみたいな高揚がある。
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主人公は読心術の能力を持つ女の子。そう、それだけ。か弱くて心もとない。敵は強い男。でも仲間の力と知恵と勇気で乗り越える。
能力者バトル。といえば、流行りなのだが、これを50年以上前に書いたのだからすごい発想力。
小説ってこんなにハラハラドキドキするのか〜っと思い知らされた作品で、小説を読み続けようと思わせてくれた作品。感謝しています。
Posted by ブクログ
ついに、あの七瀬が帰ってきた!
美しきテレパス火田七瀬が。
本書ではどんな七瀬が見られるか読む前から期待で胸がいっぱいだ!
地ひびき。震動。
横なぐりの衝撃。
傾く車体。悲鳴。 ガラスの割れる音。
冒頭から何やら物騒で波乱の予感、物語は汽車のなかから出発し凄絶な旅に出る。
今回の話は凄い展開で別の物語のようだった。
まさかお手伝いさんの話からここまでスケールの大きい物語になるとは思いもよらなかった。
何が凄いかというと、前回と打って変わっていろいろな超能力者が登場するところ。
まるで映画のX-メンのよう。
それぞれの超能力者がどんな役割りを果たすのか、敵なのか?味方なのか?。
なんか童心にかえってワクワクしっぱなし。
そこに七瀬のテレパスの心理戦が入って余計にサスペンスに感じさせられる。
見所は何といっても謎の男達との戦い!
テレパスならではの情報戦、駆け引きは緊張感溢れ手に汗握る。
七瀬は女性としての魅力も増して、相変わらず男どもからはイヤらしい目で見られてしまう。心が読めるだけに辛いね!
あと男って本当にバカでしょうがない。
でも、これを読んだ女性は男が四六時中こんなこと考えているのかと呆れてしまうんじゃないかな。
七瀬達の運命は?
そして組織の全貌は?
次作『エディプスの恋人』が楽しみ!!
ヘンリー、「私も七瀬さんの賛美者になりました」
Posted by ブクログ
七瀬3部作の2冊目
読心力を持ち20歳になって美しく成長した
火田七瀬
ここではお手伝いさんを辞めている
母の住む家へ向かう途中の列車の中から始まる
その列車の中で3歳の男の子ノリオと遭遇
ノリオもテレパスで、心を読む事が出来るため、
継母に疎まれ虐められていた
同じ列車内で、強力な予知能力を持つ岩淵恒夫
とも知り合い、事故で転覆する列車から3人だけは恒夫の予知力で助かる
七瀬は3歳ノリオを保護して二人で生活している
その後知り合う透視能力を持ち悪用して邪悪な心を持つ西尾と戦い勝つ
念動力を持つヘンリーは、七瀬の味方
漁(すなどり)藤子17歳はタイムトラベラーで七瀬の親友となる
いろいろなタイプの超能力者との出会い
そして超能力者抹殺集団との戦いがはじまる
血みどろの戦いの末、仲間たちを皆殺されて
七瀬も瀕死の状態、というところで終わる
3作目へ続く
Posted by ブクログ
すごい!前作とは違う大迫力の展開
七瀬のテレパスに加えて
透視、予知、念動力、タイムトラベラー
次々と出てくるは出てくるは‥
もうやりたい放題といった感じ
頼むからもうやめて〜
何度も叫びたくなった
これでまだ続きがあるなんて‥
Posted by ブクログ
目まぐるしい展開。前作の家族八景とは少し趣が違っていて、ハラハラしながら読んだ。
最後、あれはどうなんだろう。
次作のエディプスの恋人も早く読みたいと思っている。
Posted by ブクログ
SFの神様 『筒井康隆さん』による超能力を
題材としたSF小説。シリーズ物の第2弾で
前作は『エディプスの恋人』どちらも傑作です。
あいての思考を読み取る能力をもった主人公
「七瀬」はその能力ゆえに命を狙われます。
ある列車の中、似た能力をもつ3歳の少年との
出会いで物語は大きく動きだす…というお話。
人智を超えた能力ではなく、日常から大きく
はみ出さない程度の能力を用いて物語を展開
させていくプロセスにとても魅力を感じる本作。
異能力×筒井康隆 が、かけあわされれば
些細な日常すら壮大なSFになり得るんだと
感じさせてもらえる作品です。ぜひ読んでみてね。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった!!20年以上前に見た、木曜の怪談のドラマの展開が細かく思い出せる!あれは、だいぶ原作に準拠した作りだったのか。
主人公の火田七瀬が、テレパス(心を読む)能力を持つことで、社会に折り合いをつけるべく旅を続ける話。50年前の作品とは思えないぐらい瑞々しい作品だった。これは、もう一つのSFの完成系なのでは?と思うぐらい。
早く次の筒井康隆作品を読みたい!!
Posted by ブクログ
七瀬がお手伝いさんをやめたことで行動範囲に変化が出たため、一作目とは作品のタイプがガラッと変わった。
七瀬がトラブルに遭いながら危機を乗り越えていくのが、スリリングでとても引きつけられた。無理なく頭の中に映像が浮かんでくるのがすごい。
ほかの超能力者にどんどん出会っていくのが面白かった。自分だけではないと分かったことでこの能力の意味合いも、心持ちも大きく変わってくると思う。
仲間が一気に増えて、みんなで連絡をとりながら仲良くやっていけると思いたかった。こんなに手強い敵が組織的に命を狙ってくるなんて。
私は七瀬の責任感の強さが好きだなと思う。
Posted by ブクログ
(threads共有)
特殊な能力を持った者が普通の人達と相容れなく駆逐されていくという、ある意味ステレオタイプなファンタジーなのだけど、筒井康隆の世界線は整ってる。
筒井康隆を読んでいると、この作家の脳みそはデジタルなんだなと感じる事がよくある。知識がとても綺麗に整理されてる。
ひょっとしたら脳に生成AIのチップでも埋め込まれてるんじゃないか?それで時空を遡って来たんじゃないか?なんてね。
ラベンダー香る? それは違うか
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超能力者は普通人から迫害される。国家的組織からの迫害追求の中で、道南大沼付近の山荘にテレパス・テレシネす・タイムトリップ・未来予知などの能力を持ったものが集まるが、抹殺されていく。
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自分たちと違う、異端者は、排除していく
迷惑かけないように、ただひっそり生きているだけなのに
七瀬には、少ないけど、仲間ができました
自分と同じ、苦しみを抱える、能力者たち
ぼくは、となりに、七瀬が住んでいたら、やっぱり受け入れることができないのだろうか
受け入れることはできなくても、お互い、干渉せす、暮らせたらいいのに、と思いました
自分と違う人の苦しみを想像して、暮らせたらいいのに、と思うことも偽善なのかな
でも、それが偽善なのだとしたら、偽善は本当に駄目なのかな、とそんなことを思いました
七瀬3部作の中で、1番共鳴した、作品です
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七瀬ふたたび
テレパス(読心力)、未来予知、透視、サイコキネシス(念力)、時間遡行•••。
超能力。
高校時代はわくわくしたのだが、ストーリーはハードだな。
【あらすじ】(最初のみ)
①邂逅
お手伝いを辞めた七瀬は実家に戻る列車の中で、同じ能力を持つ人間に初めて出会う。
②邪悪の視線
高級バーで働き、幼いノリオとアパート暮らしをする七瀬。しかし、バーの同僚が紛失した指輪泥棒の濡衣を着せられる。
③七瀬 時をのぼる
北海道に向かうフェリーの中、ノリオは今にも目の前で起きそうな殺人を感知し、七瀬にテレパシーを送る。
④ヘニーデ姫
マカオのカジノで生活費を稼いだ七瀬は、道中仲良くなった瑠璃(ヘニーデ姫)と飛行機の中で、何者かの”殺意”を感じ取る。
⑤七瀬 森を走る
明確な意思もなく、北海道の林をうろうろする予知能力者の恒夫。自分の行動が七瀬を救うことになる予感はあるのだが。
約40年前、前作の読後感を期待していた僕はショックを受けたと思う。(うる覚えだが)
話を膨らませることができそうなキャラクターを惜しげもなく使い切っている感じ。
ただ、当時最高と感じた本作は、初読から40年を経てこのくらいの評価に。
現代の作家たちが世に送り出す小説のレベル(=面白さ)が、それだけ上がっているということなのだろうと思う。
Posted by ブクログ
面白かった。七瀬2作品目。一作目と比べて、よりSFに寄ったのいうか、七瀬の精神感応を人間模様の核に使うのではなく、精神感応自体を一つの能力と見なして他の能力者と接触していく、言わば冒険物というか。エンタメというか。設定こそ現実離れしたものだったが、氏の文章のおかげで難なく創作世界の中へのめり込んでいける。緊迫感のある場面の情報の密度がとても丁度いい。三人称小説の利点を最大限活かしきってるように感じる。ストーリー。この後どうなるんだ? というのが終始絶えず、ハラハラドキリとさせられる。読んでいて楽しかった。
読了
「家族八景」が面白かったので続編を読んでみました。
テーマが全く違ってて、前作とは違う楽しみ方ができました。
「 エディプスの恋人」も読みたいのですが、入荷(?)の予定はないのでしょうか?
Posted by ブクログ
父のおすすめで読んでみました。
1作目とは違い、エンタメ小説的な面が強いように感じます。
楽しかったけれど、心打たれるような読書体験は得られませんでした。
ただ、ゆっくりとこの小説が生まれた意味を探ろうと思います。
Posted by ブクログ
テレパシーで正体を暴き、人間が怖い事をヒタヒタ伝える前作『家族八景』とは根本的に属性が異なり、こちらは異能者を前面に押し出したいわゆる完全なSF作品。
映像化出来そうなドラスティックな展開だが、テレパシーを舞台装置として文学的に消化した前作が好みの自分としては、今作はどうしてもノリ切れなかった。
Posted by ブクログ
「七瀬シリーズ」の第2弾。
汽車のなかで七瀬は、自分とおなじテレパシーの能力をもつ3歳の少年・ノリオと出会います。さらにおなじ汽車に、予知能力の持ち主である岩淵恒夫が乗りあわせており、彼の心を通じて七瀬は、この先起きる事故によって、自分たち三人をのぞく乗客たちが死んでしまうことを知ります。
その後も、念動力の持ち主で七瀬を崇拝するヘンリー、タイム・トラベルの能力をもつ漁藤子などの異能使いたちが現われ、七瀬は彼らと協力し、能力を悪用する者たちとの戦いをくりひろげるなどの活躍を見せます。しかしやがて、七瀬のような異能使いを抹殺する組織が彼女たちにせまり、七瀬と仲間たちはしだいに追いつめられていくことになります。
前作では、お手伝いとして家庭に入り、善良な市民の仮面をかぶって生きている人びとの心の奥底を暴露してきた七瀬でしたが、今作ではその美貌が強調されるなど、ヒロイン的な位置づけがあたえられています。またストーリーの面でも、「解説」の平岡正明が「逆ホームドラマ」と形容した前作とは異なり、今回はSF的な異能を駆使した駆け引きとアクションが中心の作風になっています。
Posted by ブクログ
1作目は一般人の中で生活するテレパシストの日常を描いていたけど、今回は七瀬以外の超能力者がどんどん出てきたり、謎の反超能力者集団が出てきたり、人も結構死ぬし完全にX-MEN、面白かった。
Posted by ブクログ
七瀬は、美しきテレパスを持つ超能力者。超能力者であることを隠して生きる為、母の実家へと向かう。その途中、初めて自分以外の超能力者と知り合う。
「七瀬ふたたび」NHK少年ドラマシリーズがネットにでていたので、全編視聴してみた。知っていたつもりが、記憶にないので見ていなかったのかなあ?原作より登場人物増やして、話のつなぎが詳細にしてあり面白いけど、児童用としては、かなり攻めている。七瀬のアルバイトは、ホステスだし、そこのママさんの着物の着付けが水商売風。資金調達にマカオのカジノに行ったりする。(原作のまま)
七瀬は、他の超能力者達と安住の地を北海道に求める。しかし、超能力者を認めない組織が、七瀬達を抹殺しようと追い詰めていく。なかなか、ショッキングなラストを迎える。