筒井康隆のレビュー一覧

  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    書かれたのが、六十年代という半世紀前の作品群とは。現代にも通じるテーマ。政治と宗教の関係からVR,国営放送等、最近も社会を騒がせたモノが多く、いかに筒井康隆が社会を鋭く見ていたか分かる。

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    2020年07月29日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    面白いしそんなにボリュームがあるわけでもないけど、読むのに時間がかかった。
    ショートショートオンリーというよりは短編読み切りぐらいのサイズ感な話も結構あり、バリエーションも多く楽しめた。

    ブラックジョークの度合いもちょうどいい。

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    2020年07月12日
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿

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    おもしろかった。
    AIという言葉こそ使われないものの、発達しきった人工知能が人間の欺瞞をあばく話がいくつかあって(いじめないで、やぶれかぶれのオロ氏など)すなおに笑える。「時越半四郎」は、AIではないけど、やはり日本人の不可解な思考回路を笑いとばす話で最後にちょっとしんみり。しかし、これ、1966年初出だから50年以上前だけど、今も変わってないどころかいっそうひどくなってるんじゃない?

    「しゃっくり」はタイムループの話。このアイディアだけで長編も書けるのにね(北村薫の『ターン』とか)。最後に憑き物が落ちたようになる人々がおかしい。

    「慶安大変記」は、初出が高3コースだったという大胆さが笑え

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    2020年06月28日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    面白い。2ページで終わる話もたくさんがあるが、どれも面白い。
    「ベムたちの消えた夜」素敵な話だった。

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    2020年06月26日
  • 文学部唯野教授

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    ネタバレ

    大橋洋一著『新文学入門』に登場していたから読んでみた。文学理論の本でもあり、物語でもある。難解な文学理論を唯野教授が軽妙な語り口でもって説明してくれるので、雰囲気はつかめた。けれど、自分の言葉で説明できるくらいの理解は私の力不足でできなかった。大学での文学の講義と、『新文学入門』を照らし合わせて、補完的に読むのが一番いいんだろうなあ。時間をおいて、もう一回読みたい。

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    2020年06月24日
  • 筒井康隆、自作を語る

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    けっこう今までの日記などでの言及と異なるコメントがある(たとえば『フェミニズム殺人事件』に成立についてのコメントは『幾たびもDIARY』でのコメントとニュアンスどころではない差があると思う)のが気になった。基本はトークショーの文字起こしだし、普通にいろんなこと忘れていて当然だと思うので、そのこと自体は問題ないとは思うが、この本のコメントだけを典拠になんか判断されちゃうとよくなさそうね。著作リストは単行本からちゃんとこの文庫時にまで更新されてます。リストによると『現代語裏辞典』は文庫の方が項目が多いらしい。

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    2020年06月18日
  • 文学部唯野教授

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    時代的に病気や性に対する考え方、捉え方が偏見と差別的。ブラックユーモア。

    大学内構造を垣間見。狂人めいた登場人物がユーモラス。
    教授になるって、大変なのである。

    表現の妙、レトリック。言い回しはキレッキレですね。
    それでいて押し付けがましくない。

    活字を読んでいて、声を出して笑うことってないんですが、『文学部唯野教授』はところどころ鼻息が、フフン!っなりました。
    筒井康隆に対する読まず嫌いが払拭されてしまった。

    唯野教授の講義内容は文学的理論、哲学に浅い私でも楽しめました。
    ここまで幅広く展開できて、面白い。脱帽です。

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    2020年05月27日
  • 読書の極意と掟

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    読書の極意と掟 筒井康隆著
    48億の妄想が筒井康隆さんとの出会いでした。
    筒井康隆さんのバックボーンを勉強せずに購読しました。
    当時の執筆内容が、現代の日本とアジアの緊迫した状況と重なっていることに先見の明を感じたことはいうまでもありません。

    そこで、手にしたのがこの小説です。
    筒井康隆さんが何を購読し、何を見出したのか?
    一冊ずつ約2ページで紹介しています。

    筒井康隆さんが好きならば、ぜひ手にとって欲しいです。

    三島由紀夫著「禁色」。
    筒井康隆さんが打ちのめされたとありました。
    「作家になるにはそれなりの修行が必要である。」

    プロの世界で長きにわたり価値を提供するひとは、デビュー前か

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    2020年04月04日
  • 老人の美学(新潮新書)

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    ネタバレ

    年寄嗤うな、明日の自分。
    孤独に耐えることは老人の美学か
    ちょいワル老人はなぜか魅力的だ
    「老人は汚い」と言われないために
    老人が死を美的に迎え入れる方法

    メメント・モリ 悟りきった老人のことば

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    2020年02月26日
  • 文学部唯野教授

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    唯野教授の大学内に渦巻く人間関係や忖度や僻み妬みなどが筒井御大独特の文体で可笑しく描かれている。蟇目が狂った時のカオスは最高だった。各章の終盤に必ず唯野教授の文学論が展開される。私には内容はよく分からなかったが、文学論をこんなに展開できるのも筒井さんの凄いところだと思う。

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    2020年02月24日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    筒井康隆が読みたくて著者名からなんとなく見つけた一冊。SFでショートショートなだけあって星新一と似てるなと思う作品もあったけど、こちらの方がブラックユーモアが鋭く、「傷ついたのは誰の心」「セクション」が衝撃的だった。

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    2020年02月19日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    スラップスティックな11の短篇を収録。ドタバタながらも風刺の効いた作品ばかりで、クスッと、ときにワハハと笑いながら読み進めることができましたが、特に以下の作品がおもしろかったです。

    ・ヒノマル酒場:マスコミを信用しない酔客たち。マスコミ不信はそんな昔からあったとは。カオスな展開がとっても好き。
    ・農協月へ行く:「農協ツアー」なるものを初めて知りました。成金たちが騒ぎ立てる姿はヒノマル酒場と同様、カオスです。
    ・人類の大不調和:大阪万博(1970年)に突如出現する殺戮されるベトナム人や飢餓のアフリカ人たち。世界中の負の側面に翻弄される展開に、万博に対する皮肉を感じざるを得ません。

    読み終えて

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    2020年01月06日
  • 短篇小説講義  増補版

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    本来小説は何を書いても良い最も自由な形式の文学であったが、近年(これが出版されたのは1990年)短篇小説が「お稽古事」とかし、決まりやルールを守ることが重要視されいる。では決まり事も何もなかったはずの短篇小説が生まれた当時の短編はどうやって生み出されたのか。それを探るため、岩波文庫の短編集を虚心に読み返し、自分の鑑賞眼のみで小説を批評し、その作品が何もルールのないところから生み出されたのか、それとも既存の詩や戯曲の影響を受けていたのかを探る本である。

    それぞれ短編を上げて、テーマや技法について論じるが、テーマはそれを語る作家の数だけあるわけで自然と話は技法に向く。
    紹介された短編で既読なのは

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    2019年12月04日
  • 大いなる助走

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    ネタバレ

    大衆文芸の最高峰・直木賞。それを受賞できなかったのはブンガクではなくSFだったからなのか? 文壇の内部では、このように恐ろしく湿った世界なのだろうか? 地方の同人主催者・保叉(ルビなし。なんと読むのだろう?)のアドバイスを受けて書いた小説が思わぬ反響を呼ぶことになった市谷くん。直廾賞候補になり、職も全財産も投げうって工作をした挙句の落選。彼は破綻の人生を選択してしまう。演劇・ドラマの脚本仕立てで進行する物語に、ついつい市谷くんの気持ちに入れ込んでしまった。

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    2019年09月22日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    筒井康隆の作品は、鹿爪らしく批評したりランク付けしたりするにはそぐわないでしょう。その視点、着想、想像力、エグさを堪能すればOK。

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    2019年07月27日
  • 不良老人の文学論

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    筒井康隆氏の書評のまとめ。
    文学賞の書評など、かなり辛口。
    辛口な感想を書かれた作家たちにたいしてたまに気の毒になりました。

    氏の昔観た映画や、どんなものから影響を受けてきたかの話が随所に散りばめられ筒井康隆がどのように出来上がったかの要素が少しわかりました。

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    2019年06月19日
  • にぎやかな未来

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    筒井康隆のショート・ショート集。筒井康隆を読むならこの掌篇集から、の言葉通り非常に読みやすい。筒井康隆はアクが強いが、このショートショート集はそのアクの強さをアイディアの内に留めつつ、奇想天外なオチを置くことでよりショートしょーとらしさを際立たせている。ある種の様式美となった投げっぱなしオチも少ないため、とっつきやすい作品集だろう。SF色も強く、特にお気に入りなのは「ベルト・ウェーの女」で、ベルト・ウェーで見かける女性に恋した青年があの手この手で女性の正体を調べようとする話だが、徐々に明かされていく設定の一つが意外な角度でオチに繋がるという名作である。また断筆になった問題作「無人警察」も往年の

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    2019年05月28日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    筒井康隆お得意のスラップスティックなSF短篇集。「ヒノマル酒場」は土方のおっさんたちの下品さや関西系のマスコミに対する不信感などがとてもリアルで、そんな人間たちと異星人のファーストコンタクトという題材が非常に面白い。まさに狂騒的でこのドタバタ加減はこの作家にしか出せない味だろう。店じまいで話まで強引に畳んでしまうのも良い。個人的なお気に入りは「あるいは酒でいっぱいの海」で、海が酒になるという荒唐無稽なネタをストレートに描く度胸もさることながら、最後は酒そのものになってしまうという星新一のショートショートのような奇妙なオチも素晴らしい。あと「パチンコ必勝原理」のくだらなさも大好き。傑作は「農協月

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    2019年05月28日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    出張先で買って空き時間に読んでいました。とてもちょうどよく面白かったです。
    クスッとなるのとヒエっとなるのとしんみりするのとふと考え込んでしまうのとが心地よいバランスでした。
    ショート・ショートってやっぱり好きだなぁ。

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    2019年03月25日
  • 佇むひと リリカル短篇集

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    はじめて筒井康隆を読んだ。星新一みたいなショートショート。とくに説明のない日常風味に(当然でしょ?という雰囲気で)異世界という世界観を理解させるのがうまい。それは星新一といっしょだが、星新一は現代からみた落語的なオチがつくのに対して、筒井康隆は異世界が異世界に閉じているままおわるのが新鮮だった。

    ショートショートはお話によって違う世界観を理解するので疲れる・・・

    印象に残った話

    ・わが良き狼
    物語になるような宇宙海賊が年をとって故郷に帰ってくる話。雰囲気的に宮崎駿のシャーロック・ホームズ思い出した。狼。。。

    ・母子像
    買ってきたさるのおもちゃが異次元空間に母子をひきずりこんでしまう話

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    2018年12月01日