筒井康隆のレビュー一覧
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「残像に口紅を」で筒井先生熱が呼び戻されたのだけど、一気に読んでしまってすぐに冷めてしまうのももったいないので、ちょっと時間をあけてこの本を本棚から引っ張り出してきた。
どの小説もアイロニカルで痛快。1960~70年代の日本をシニカルにとらえているのだけど、当時から50年以上経ってもその皮肉が色褪せてないのがすごい。50年経った今なら、当時をふり返ってシニカルに書くことはたやすいだろうけど、筒井先生は当時同時進行でそれをやってのけてるのがすごい。
そして、50年経った今の日本に対しても、これらの小説にこめられた皮肉がそのまま適用できてしまうかもと感じられ、とっても反省させられたりもした。 -
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2014年から2017年くらいにかけて行われた筒井康隆が自作について語るトークショーや対談集をまとめた一冊。筒井康隆の素晴らしい記憶力と、インタビュアーである編集者の博覧強記ぶりによって、どのように名作の数々が生まれたのかを知ることができるし、当然その誕生の背景も様々な面白おかしいエピソードに彩られている。
個人的に一番面白かったのは2008年に発表された「ダンシング・ヴァニティ」の誕生秘話であった。本作は”差異と反復”という言葉そのものであるように、ストーリーが微妙に差異を孕みつつ繰り返す反復されて生きながら進んでいく。
その背景には、新潮社に対して試しに原稿料を半額で良いと言ったら、先方 -
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おもしろかった。
AIという言葉こそ使われないものの、発達しきった人工知能が人間の欺瞞をあばく話がいくつかあって(いじめないで、やぶれかぶれのオロ氏など)すなおに笑える。「時越半四郎」は、AIではないけど、やはり日本人の不可解な思考回路を笑いとばす話で最後にちょっとしんみり。しかし、これ、1966年初出だから50年以上前だけど、今も変わってないどころかいっそうひどくなってるんじゃない?
「しゃっくり」はタイムループの話。このアイディアだけで長編も書けるのにね(北村薫の『ターン』とか)。最後に憑き物が落ちたようになる人々がおかしい。
「慶安大変記」は、初出が高3コースだったという大胆さが笑え -
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読書の極意と掟 筒井康隆著
48億の妄想が筒井康隆さんとの出会いでした。
筒井康隆さんのバックボーンを勉強せずに購読しました。
当時の執筆内容が、現代の日本とアジアの緊迫した状況と重なっていることに先見の明を感じたことはいうまでもありません。
そこで、手にしたのがこの小説です。
筒井康隆さんが何を購読し、何を見出したのか?
一冊ずつ約2ページで紹介しています。
筒井康隆さんが好きならば、ぜひ手にとって欲しいです。
三島由紀夫著「禁色」。
筒井康隆さんが打ちのめされたとありました。
「作家になるにはそれなりの修行が必要である。」
プロの世界で長きにわたり価値を提供するひとは、デビュー前か -
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スラップスティックな11の短篇を収録。ドタバタながらも風刺の効いた作品ばかりで、クスッと、ときにワハハと笑いながら読み進めることができましたが、特に以下の作品がおもしろかったです。
・ヒノマル酒場:マスコミを信用しない酔客たち。マスコミ不信はそんな昔からあったとは。カオスな展開がとっても好き。
・農協月へ行く:「農協ツアー」なるものを初めて知りました。成金たちが騒ぎ立てる姿はヒノマル酒場と同様、カオスです。
・人類の大不調和:大阪万博(1970年)に突如出現する殺戮されるベトナム人や飢餓のアフリカ人たち。世界中の負の側面に翻弄される展開に、万博に対する皮肉を感じざるを得ません。
読み終えて -
Posted by ブクログ
本来小説は何を書いても良い最も自由な形式の文学であったが、近年(これが出版されたのは1990年)短篇小説が「お稽古事」とかし、決まりやルールを守ることが重要視されいる。では決まり事も何もなかったはずの短篇小説が生まれた当時の短編はどうやって生み出されたのか。それを探るため、岩波文庫の短編集を虚心に読み返し、自分の鑑賞眼のみで小説を批評し、その作品が何もルールのないところから生み出されたのか、それとも既存の詩や戯曲の影響を受けていたのかを探る本である。
それぞれ短編を上げて、テーマや技法について論じるが、テーマはそれを語る作家の数だけあるわけで自然と話は技法に向く。
紹介された短編で既読なのは