筒井康隆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
おもしろかった。
AIという言葉こそ使われないものの、発達しきった人工知能が人間の欺瞞をあばく話がいくつかあって(いじめないで、やぶれかぶれのオロ氏など)すなおに笑える。「時越半四郎」は、AIではないけど、やはり日本人の不可解な思考回路を笑いとばす話で最後にちょっとしんみり。しかし、これ、1966年初出だから50年以上前だけど、今も変わってないどころかいっそうひどくなってるんじゃない?
「しゃっくり」はタイムループの話。このアイディアだけで長編も書けるのにね(北村薫の『ターン』とか)。最後に憑き物が落ちたようになる人々がおかしい。
「慶安大変記」は、初出が高3コースだったという大胆さが笑え -
Posted by ブクログ
読書の極意と掟 筒井康隆著
48億の妄想が筒井康隆さんとの出会いでした。
筒井康隆さんのバックボーンを勉強せずに購読しました。
当時の執筆内容が、現代の日本とアジアの緊迫した状況と重なっていることに先見の明を感じたことはいうまでもありません。
そこで、手にしたのがこの小説です。
筒井康隆さんが何を購読し、何を見出したのか?
一冊ずつ約2ページで紹介しています。
筒井康隆さんが好きならば、ぜひ手にとって欲しいです。
三島由紀夫著「禁色」。
筒井康隆さんが打ちのめされたとありました。
「作家になるにはそれなりの修行が必要である。」
プロの世界で長きにわたり価値を提供するひとは、デビュー前か -
Posted by ブクログ
スラップスティックな11の短篇を収録。ドタバタながらも風刺の効いた作品ばかりで、クスッと、ときにワハハと笑いながら読み進めることができましたが、特に以下の作品がおもしろかったです。
・ヒノマル酒場:マスコミを信用しない酔客たち。マスコミ不信はそんな昔からあったとは。カオスな展開がとっても好き。
・農協月へ行く:「農協ツアー」なるものを初めて知りました。成金たちが騒ぎ立てる姿はヒノマル酒場と同様、カオスです。
・人類の大不調和:大阪万博(1970年)に突如出現する殺戮されるベトナム人や飢餓のアフリカ人たち。世界中の負の側面に翻弄される展開に、万博に対する皮肉を感じざるを得ません。
読み終えて -
Posted by ブクログ
本来小説は何を書いても良い最も自由な形式の文学であったが、近年(これが出版されたのは1990年)短篇小説が「お稽古事」とかし、決まりやルールを守ることが重要視されいる。では決まり事も何もなかったはずの短篇小説が生まれた当時の短編はどうやって生み出されたのか。それを探るため、岩波文庫の短編集を虚心に読み返し、自分の鑑賞眼のみで小説を批評し、その作品が何もルールのないところから生み出されたのか、それとも既存の詩や戯曲の影響を受けていたのかを探る本である。
それぞれ短編を上げて、テーマや技法について論じるが、テーマはそれを語る作家の数だけあるわけで自然と話は技法に向く。
紹介された短編で既読なのは -
Posted by ブクログ
筒井康隆のショート・ショート集。筒井康隆を読むならこの掌篇集から、の言葉通り非常に読みやすい。筒井康隆はアクが強いが、このショートショート集はそのアクの強さをアイディアの内に留めつつ、奇想天外なオチを置くことでよりショートしょーとらしさを際立たせている。ある種の様式美となった投げっぱなしオチも少ないため、とっつきやすい作品集だろう。SF色も強く、特にお気に入りなのは「ベルト・ウェーの女」で、ベルト・ウェーで見かける女性に恋した青年があの手この手で女性の正体を調べようとする話だが、徐々に明かされていく設定の一つが意外な角度でオチに繋がるという名作である。また断筆になった問題作「無人警察」も往年の
-
Posted by ブクログ
筒井康隆お得意のスラップスティックなSF短篇集。「ヒノマル酒場」は土方のおっさんたちの下品さや関西系のマスコミに対する不信感などがとてもリアルで、そんな人間たちと異星人のファーストコンタクトという題材が非常に面白い。まさに狂騒的でこのドタバタ加減はこの作家にしか出せない味だろう。店じまいで話まで強引に畳んでしまうのも良い。個人的なお気に入りは「あるいは酒でいっぱいの海」で、海が酒になるという荒唐無稽なネタをストレートに描く度胸もさることながら、最後は酒そのものになってしまうという星新一のショートショートのような奇妙なオチも素晴らしい。あと「パチンコ必勝原理」のくだらなさも大好き。傑作は「農協月
-
Posted by ブクログ
はじめて筒井康隆を読んだ。星新一みたいなショートショート。とくに説明のない日常風味に(当然でしょ?という雰囲気で)異世界という世界観を理解させるのがうまい。それは星新一といっしょだが、星新一は現代からみた落語的なオチがつくのに対して、筒井康隆は異世界が異世界に閉じているままおわるのが新鮮だった。
ショートショートはお話によって違う世界観を理解するので疲れる・・・
印象に残った話
・わが良き狼
物語になるような宇宙海賊が年をとって故郷に帰ってくる話。雰囲気的に宮崎駿のシャーロック・ホームズ思い出した。狼。。。
・母子像
買ってきたさるのおもちゃが異次元空間に母子をひきずりこんでしまう話