筒井康隆のレビュー一覧

  • 笑いの力

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    本書は2005年に岩波書店から刊行された単行本を文庫化したもの。「笑い」というものの本質について小樽での講演会とシンポジウムにて真剣に論じたものを書籍に纏めた。講演は、臨床心理学者の故・河合隼雄、解剖学者の養老孟司、そして作家の筒井康隆。シンポジウムの方は、この3名に女優の三林京子と特定非営利活動法人絵本・児童文学研究センター理事長の工藤左千夫が司会として加わる。

    「笑い」と「健康」との関係から始まり、様々な事象と笑いとの関連性について次々と話が展開していく。笑いだからと言って決して楽しい内容ではなく、各人が自分の専門または広い知識を基に、極めて真面目に持論を披露していく。シンポジウムでは各所で観客が笑う(笑)を入れているが、これは発言者の言い回しの面白さに反応しているだけ。

    お目当ての筒井康隆の講演内容については、最近自伝関係の本が数冊発売され熟読したこともあり、既知内容が多かった。笑いに否定的な評論家に対する批判も含まれており、かなり根深い面も露呈し、棺桶に入る寸前まで呪い続けることだろう。この言い回しはきっと気に入ってくれることだろう。

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    2026年08月25日
  • パプリカ

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    ネタバレ

    筒井康隆さんの話を読んだのはこのパプリカが始めてです。最初はとらえどころのない話だと思いながら読んでいましたが、次第に話の展開や夢と現実という世界の構造に引き込まれて行きました。第一部でははっきりしていた現実と夢の境界線が第二部では曖昧になっていき、ついには混じりあってしまいます。読者の意識では現実と夢との区別がつかなくなってしまい、まさしく混沌とした夢を見ているような心地になることでしょう。一方この作品ではメインとなる夢と現実の他にも様々なモチーフが存在していると思います。いかに常日頃の思考によって抑制されていたとしても拭い去ることのできない情欲の存在であったり、潜在的に存在する恐怖が顕現した時の人の言動だったりです。
    このように、筒井康隆流の、理性と対する本能的な情欲の描き方という点もこのお話のモチーフの一つとして読者に強く印象付けられるのではないでしょうか。

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    2026年08月22日
  • 残像に口紅を

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    難解だったが、どんどん文字が失われていく世界の中で無くなった言葉を別の言葉で表現しているのは面白かった。著者と読者の語彙力が試される一冊。

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    2026年08月20日
  • パプリカ

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    心の病気になってしまった患者の夢の中へ入り心の治療を行うパプリカかこと千葉さんがとても魅力的だった。物語は徐々に身内内の権力争いに発展し、後半は現実の世界が夢に侵略されてしまう・・・
    読んでいる途中で何度も今は夢の世界なの?それとも現実??
    わからないよーーーお母さん(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
    と混乱しました。だけど、めくるページあるとまらなくて、途中で息切れしちゃいました。本当に呼吸することを忘れるくらい、物語の世界に入っている自分に驚きました(*^ω^*)

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    2026年08月18日
  • 筒井康隆、九十歳のあとさき―老耄美食日記―

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    90歳を迎えた筒井康隆氏の日々を綴った日記。奥様と一緒においしいものを食べ、酒やタバコも楽しみながら、老いをあまり気にすることなく自分らしく暮らしている姿が印象的だった。決して健康的な生活とはいえないかもしれないが、「長生きのために我慢する」のではなく、今を楽しむことを大切にしている姿には感心した。途中で転倒して車椅子生活になってからも、作家として書くことをやめず、老いさえも題材にしてしまうところに筒井氏らしさを感じる。90歳になっても好奇心とユーモアを失わず生きる姿に、人生の楽しみ方を教えてもらった一冊である。

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    2026年08月12日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    旅の日記の途中から途中までといった感じの物語。序盤は退屈な話であったが、中ほどの銀鉱での奴隷生活あたりは少し読み応えがあった気もする。ただ、文体も総じて外国語を日本語に翻訳したかのようなもので読みにくかった。私には合わなかったということだろうか。

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    2026年08月08日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    ストーリーは面白い
    ただ昔の男性作家の人気作あるある、よくわからんけど主人公にひっきりなしに女が寄ってくるのが気になったな〜

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    2026年08月03日
  • 残像に口紅を

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    かなり前に購入してから長らく読むことがなかった本。5年越しくらいで読むことができた。

    言葉の制約があるなか、途中までは他の本と変わらず普通に文章が書き綴られていて驚いた。あ、そういえば初めから「あ」はなくなっていたんだったと読んでいる最中で気づくくらいであった。
    正直普段読んでいる小説に比べて文体なのか作者の癖なのかは分からないが、テンポよく読めないなぁという気持ちはあった。ただ、よくもここまで違う言葉で置き換えられるものだと感心しながら読んでいたのは事実である。

    最後に、安っぽい感想にはなりますが、言葉は大切だと思いました。

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    2026年07月31日
  • あるいは酒でいっぱいの海

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    筒井康隆の初期短編集

    あとがき解説で自認している通り、出来はイマイチな作品が多い

    ある程度の作品を読み終えたファンが読む一冊

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    2026年07月20日
  • 誰にもわかるハイデガー 文学部唯野教授・最終講義

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    ハイデッガーの思想をわかりやすく説明されていて、一読わかったような気になるが、わかりやすさが災いして、残念ながら記憶にも残らなかった。

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    2026年07月15日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    物語は短くさらっと読み終えられる。トリックは現代であれば割とよくあるものであるが、見事に騙された(笑)
     本の途中にロートレックの作品がカラーで紹介されている。もう少し色々な作品を見たくなった。

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    2026年07月10日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    序盤は知らない地名や設定が多く、少し掴みにくさもあったが、読み進めるうちに作品の見え方が変わっていく面白さがあった。旅の途中で出会う出来事は、あっさり通り過ぎるものもあれば、人生を大きく変えるほど長く重く残るものもあり、その時間の扱いが独特だった。ファンタジーともSFとも言い切れない曖昧な世界観も魅力的で、淡々とした語りの中に、不思議な余韻が積み重なっていく。細かい挿話には少し物足りなさもあるが、その寄り道も含めて旅の広がりを感じさせる。読後には、長い旅そのものの手触りがじわじわ残った。

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    2026年07月08日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    旅こそが人生、学問を学ぶことでいろんな視点から物事を考えられる。
    カタカナの登場人物、地名が多くて全然頭に入らないことがわかった、あまり自分には合わないのかもしれない

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    2026年07月05日
  • 筒井康隆自伝

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    少年期や作家になる前の時代の記載が多い気がする。作家になってからの記載は割と淡白。今はグッドタイムリビングにいるんですね。

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    2026年06月29日
  • 文学部唯野教授

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    かつて人文学徒だった者の一人として、一度は読んでおかねばならないと思っていた作品をようやく。いや面白かった。さほど学業に熱心な学生というわけでもなかったけれど、それでも学生時代にかじったあれこれの断片を少々思い出した。
    全編を通して繰り返されるHIV患者への差別、女性差別、同性愛差別の描写にはずいぶん辟易したものの、ここまでくるともはや潔い。良くも悪くも(良くはないか)そういう時代だったのだろうと感じた。
    筒井康隆氏の作品は『家族八景』を遠い昔に読んだ気がする……程度にしか触れてこなかったけれど、とんでもなく軽妙な語り口でぐいぐいストーリーを牽引していって、倫理的にどうだとか登場人物に共感できるとかできないとかそういったことが些事に思えてくるほど読者を作品のペースに巻き込む手腕を持った恐ろしい作家なのだなあと感じた。

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    2026年06月28日
  • 時をかける少女

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    3作あるが、時をかける少女がやはり一番面白かった。当時これはなかなかインパクトあったのだろうと思える。夢があるし想像が膨らむ。文章の読みづらさは多少あるが、やはり王子様を連想させる感じが青春ぽくて良かった。

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    2026年06月25日
  • パプリカ

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    再読。以前読んだ時の興奮度に比べるとやや落ちる。映画を観た印象が強いのか?雑多さについていけなくなったのか?

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    2026年06月21日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    癖がなく読みやすいSF作品だった。悪く言えば大きな盛り上がりには欠けるが、旅する主人公ラゴスの冒険を最後まで楽しむことができる。
    個人的に、この手の物語は主人公に好感を持てるかどうかが重要だと思う。ラゴスは現代人と変わらない感性を持つ善良な人物で、時には失敗もする等身大の人間として描かれている。
    親しみやすさが魅力である一方、強い刺激や意外性は少なく、面白さを感じながらもどこか単調な印象を受けた。

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    2026年06月21日
  • 筒井康隆、九十歳のあとさき―老耄美食日記―

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    副題でもある「老耄美食日記」
    長生きの秘訣はやっぱり美食=高級食?
    外食の価格も明記されていて、庶民には一桁違うたまげた値段で鼻白む。
    しかし、だんだん慣れてくると違う世界を覗くのもまた愉快。

    日記の中に、掌編がいくつかありこれはなんだか得した気分!

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    2026年06月19日
  • 残像に口紅を

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    ネタバレ

    作中で言及している通り、英語などではこうはいかないでしょう。自分自身を形容するだけで何十通りの言い換えができるのは、改めて特異かもしれません!

    有名すぎる実験小説ですが、やっと読めました!
    半分くらい減っても、文章を読めるレベルで紡いでいける凄まじい筆力。
    特に情事を、限られた文字数であんなに艶やかに描写できるのが驚嘆しました。普通にえっちでした

    最後の数十ページ、読みにくさが優ってくると、読み進めるのが辛くなってきて、なかなか骨が折れたのですが……ここをおざなりにすると、それはそれで実験としては失望されると思うので難しいところですね。

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    2026年06月08日