筒井康隆のレビュー一覧
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☆2.5 涼宮ハルヒの影響
ライトノベル読者の度肝をぬく始まりかたで、もはやエロなのだが、文章がうまいのですらすら読める。ラノベの文章はもっと粗雑だ。
ヒロインのビアンカ北町の造形は一見奇妙だけど、涼宮ハルヒからの影響だと考へればいい。
たとへば、第三章「怒りのスペルマ」のセリフだ。《わたしはずっと前、ちっちゃな頃から、宇宙人だの未来人だのが、わたしの前にあらわれてくれることを待ち望んでいたような気がするの》
しかし内容は、SFの大家がものにしたといふこと以外、価値はない。最終的にカマキリvs人造カエル人間の戦ひになり、荒唐無稽なはなしになるだけだ。
ラノベ好きがよんだら、卒倒するのではないか。
ラノベの集合知をあぶり出したやうな存在かもしれず、しかし、私にとってはぬるい毒のやうな印象で、しかしそれでも島田雅彦のラノベとくらべると圧倒的に成功してゐるのだが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSF作品に触れるのがほぼ初めてだったので新鮮な楽しみがあった。夢の解像度が高くて、「人の顔が急に変わったり場所が急に変わったりすることあるよなぁ笑」と思いながら読んだ。
パプリカは登場する男性ほぼ全員(女性の柿本さんもか)から寵愛を受けることになるが不思議とご都合主義のハーレムもの感はなく、皆から愛されて然るべきヒロインとして説得力を持っていた。各所で挟まれる性的描写も嫌な感じはせずむしろ美しく愛おしい場面として自然と受け止めることができた。
最後の二人の会話も意味深で好きだった。顔が仏像を彷彿とさせるということは、またもや夢の侵食が始まっているということなのだろうか?それともこの場面が夢?一体この小説のどこまでが現実だったのだろうか?と考えさせられる。 -
Posted by ブクログ
筒井康隆の最後のあいさつ、な本
とても、とても難しい本と感じた。普通に読む分にはテンポ良く進む短編群、過去作を下回る出来
しかし筒井康隆という作家、今までの作品、一緒に生きてきた作家を思うと…感慨深い本に変わる
小川哲のStreet Fictionという番組でも語られていたが本人なりに思う所の蓄積で描かれた作品達なのだと思う
優しい読者ほど刺さる本であるし、1作品としてただ読む読者にはこれで幕引いちゃうんですかと感じるだろうし。でもファン本だと言うには偉大すぎる作家の作品とも思うのです
彼にしか書けない経験値から滲み出た本として、日本では評価されて欲しい
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Posted by ブクログ
何を書いてもネタバレになりそうなのだが、とりあえず人間っぽいが人間らしきものが(あまり)出てこない、宇宙からの惑星侵略系SF。3章だてになっていて、それぞれ視点が大幅に異なる。1章目は文房具たちの乗った宇宙船の様子、2章目は惑星クオールの歴史、3章目は、これらが相混じり合った戦争の話である。
1章目はつらつらと乗船している文房具の説明がしてあるが、みんな気が狂っている(そう紹介されている)。
2章目は地球史みたいなクオール史。この惑星の住人はイタチだが、起きていることは人間のそれをなぞっているよう。地球史にしてはエログロを丁寧に記載しているのは著者の好みと思われる。ではこのクオール史を書いたのは誰だ?
3章目は視点が入れ替わり立ち代わりで争いとパニックと祭りと残酷描写が押し寄せる。そのうち作者の現実が混じり合うので、真剣に読むと気が狂う。
しかし結局、夫を深く愛して戦場に行かないでと色仕掛けで引き留め、帰らぬ夫をいつまでも想い待ち、どんな子どもでも自分の産んだ子には愛情を注ぎまくるという、男性の理想の母兼妻像を投影した登場人物を最後の軸に据えたことで、ああなんだ人間讃歌のSFか、と納得したのであった。
なお、文房具の特性上、電子ではなく紙の本で読むことをお勧めします。