筒井康隆のレビュー一覧

  • 老人の美学(新潮新書)

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    筒井康隆の老人についての本。どう美しく老いを過ごすかについての基本的な考え方が記されている。
    一番印象に残ったのは、夫婦の関係を「美しく」維持することを論じた章。奥様とは相当仲がよさそうだが、一番の理由は互いに相補性が高いということのようだ。

    また、いろいろと自分の小説に描いた老人の例を引いて論じているが、総じて言えば、いかに老いを強さに転じるかといったところがポイントのようだ。

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    2021年08月07日
  • 世界はゴ冗談(新潮文庫)

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    ナンセンス/シュールな作品を集めた短編集。刊行時筒井は80歳とのこと。
    表題作はコンピューターの反乱の一形態と言えるドタバタSFで、往年の筒井康隆で面白かった。他の作品のうちナンセンス/シュールなもので、作者が出てきたり、読者を巻き込もうとしたりはなかなか難しかった。

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    2021年08月04日
  • 定本 バブリング創世記

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    Kindlで。まぁー、ぶっ飛んでます(笑)
    文庫化は1982年、そこから37年経った2019年に復刊した本帯には『奇書 復刊』とあるようです。

    さすが天才奇才、筒井康隆氏!
    SF、ミステリーホラーに加え、百人一首のパロディや言葉遊び、シナリオ、小説の枠を超えた作品と、バラエティに富んだ10話。そんな中に社会風刺も忍ばせてあり、とにかく驚きの連続作品でした!

    中学生時代『家族百景』『七瀬ふたたび』をドラマと本でハマってたことを懐かしく…美しく初々しい多岐川裕美版です。

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    2021年07月30日
  • 世界はゴ冗談(新潮文庫)

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    表題作の「世界はゴ冗談」は面白かった。
    男と音声案内の女の声とのやりとり?が笑えた。
    他に気になったのは、「三字熟語の奇」と「メタパラの七・五人」だな。

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    2021年07月12日
  • 富豪刑事

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    最近アニメ化していたので、そういえば昔にドラマもあったけど原作は読んだことがないと気付いて手に取った。

    が、もう40年以上前の本なので読みにくくて仕方がない。
    どこで場面転換しているのか、今なら間に一行入れるところを詰めてあるので、同じシーンだとしばらく勘違いしてしまうこともあった。
    夏目漱石などの文豪の時代ほど昔ではなくても、ほんの40年なのに、時間が経てばものの書き方や表現など色々変わってしまうものなのだなと驚いた。

    でもそれなのに、40年前の刑事である神戸くんの年収が500数十万で、令和の現在でも大して変わっていないことにちょっとがっかりしてしまう。
    今の時代では景気が悪すぎて、一昔

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    2021年06月14日
  • ビアンカ・オーバースタディ

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    「時をかける少女」の自己パロディ。芳山は平凡少女だったがビアンカは超科学者。オーバースタディは“超科学”だが、放課後の意味も含むかもしれない。
     「時かけ」で読者の不満だったかもしれない未来社会の様相について、本作では“階級分化を放置。長期的改革策に抗議する非受益者の「人権」を配慮して、実行を先延ばし(高齢化による予算硬直化もあって)”で、臨海住域すべてが水没(研修生労働力を失いオランダのように堤防築くこともなく)、津波と超大潮で下層民のほとんどが溺死。高緯度国は先に全滅…。残る山地ばかりの日本は耕地の大半を失って食糧問題が深刻…男子のスペルマ衰弱傾向も未来を暗く見せるとストーリーに採り入れら

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    2021年06月10日
  • 繁栄の昭和

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    まず80歳を超えてなお進化を続け、創作意欲盛んな筒井御大に感服。乱歩へのオマージュやら、実在俳優陣が登場するメタフィクションやら、おバカなSFミステリーやら…“らしさ”全開の短編集。ジャンル分け不能でギャグ満載の作風はそのまま、斬新なアイデアは未だ枯れることがない。今更言うまでもなく、唯一無二の世界観を持った、本当に稀有な作家だと思う。

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    2021年05月30日
  • わたしのグランパ

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    単純に面白いが、話としてはよくある娯楽小説である。石原さとみのデビュー映画でグランパは菅原文太が演じていた。映画はあまり楽しめなかったのだが筒井康隆だけに小説は楽しむツボを押さえている。中学生の珠子のおじいちゃんはヤクザでその侠気の良さでみんなに慕われ、珠子の家族の問題を解決していく。しかし珠子に大事件が襲いかかり…。グランパが主役なので格好良く描かれるが珠子も一途でかわいい。

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    2021年05月23日
  • ジャックポット

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    ネタバレ

     久々に著者の単行本を購入。
     既発表作の14編が収められてる。フリーな調性なしの音符(言葉)がすごい勢いで畳み掛けられ、あっという間に振り落とされる。とは言え、無調性のなかにチラッと出てくるウィットを見逃したくないし、と言ってもたくさん見逃しているだろうが、そうかと思えばしっかりと「現実」が語られ、聴く(読む)のに大変な労力を要する。ほんと、よくこんな書けるな。
    1934年(昭和9年)生まれ、著者は老獪にして、読者は…。

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    2021年05月16日
  • 文学部唯野教授

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    筒井康隆の本は、学生の頃によく読んだ。友人達とドタバタの短編を読んで話のネタにしたものだ。この本も、ベースは大学教授の裏事情やドタバタのストーリー。但し作者が考える文学論・思想を主人公に真面目に語らせており、創作部分とアカデミックな部分のギャップが凄い。面白い小説を読みながら、勉強にもなるという大変凝った本になっている。こういうアイデア、それも筒井康隆らしいと思った。

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    2021年04月30日
  • ジャックポット

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    ネタバレ

    最後の章、「川のほとり」がせつなく哀しい。
    51歳で一人息子(画家の筒井伸輔氏)を食道がんで亡くした心情を夢に出てきて川のほとりに立つ息子と会話する康隆氏。

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    2021年03月28日
  • ジャックポット

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    なんといっても51歳になる一人息子の死と再開を描いた「川のほとり」がしみじみとして良い。86歳の筒井康隆の一人息子で画家として筒井作品の装丁などでも知られる筒井伸輔の死。86歳という年齢にして子供を喪うということがどういうことなのか、想像するのは非常に難しい。しかし、本書を読んで感じたのは、自身の年齢が幾つであろうとも、子供を喪うということの悲しみは変わらないという普遍的な感覚であった。

    掌編「川のほとり」は良いとして、一方で他の短編作品に関しては、作品としてのクオリティの部分では不満が残る。ひたすら言葉遊びが続き、内容としては小説の丁をなしておらず、筒井康隆によるこれは日本語ラップである、

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    2021年03月14日
  • 時をかける少女

    購入済み

    うーん

    有名な作品で読んだことが無かったので購入しました。昔の言葉遣いで私には少し難しく、短編小説が3つ収録されているので、そこで終わるのか‼︎と思い少し物足りなかったです。

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    2021年02月28日
  • 夜を走る トラブル短篇集

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    モジカで購入
    中学高校の頃に読んだ抱腹絶倒のドタバタものを期待したけど、含まれる短編は割とシリアスなトラブルものばかりだった
    解説が小林泰三氏

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    2021年01月14日
  • 筒井康隆、自作を語る

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    ネタバレ

    日下三蔵氏との対談・インタビューで構成される。日下氏の知識がすごい。本人でさえ思い出せない短編のタイトルがぱっと出てくる。

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    2021年01月11日
  • 富豪刑事

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    何故今頃?と思ったら、アニメ化されてたのね・・・

    令和では若干読みにくい文章かもしれない。
    行間をあけずに場面が変わる部分など、ちょっと意識しないと混乱する場面もちらほら。
    メタ的な部分も嫌いな人は嫌いかもしれない。

    謎解きミステリーと見せかけてそうではない。
    主人公達が繰り広げるコメディ。

    「富豪刑事のスティング」が1番好き。

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    2020年12月16日
  • 定本 バブリング創世記

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    2020年に読んだ本で最も「きちがい」という言葉に触れた。この他にも昔は見聞きしたような表現がチラホラ。時代は変わっているんだなぁと思わされた。そういう意味では解説まで含めて定本と言えるのではないでしょうか。

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    2020年11月10日
  • 富豪刑事

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    アニメが面白かったので読んでみました。

    神戸くんと鈴江さんの名前と富豪である設定が同じだけの別物として読むべき。2人の性格関係性も結構異なるしその他のキャラは出てこない、そしてミステリ感がより強い。
    個人的には初めの数ページで切り替えて読むことができたので全然気にならなかった。

    アニメでは金をかけたガジェットに頼る傾向があったけれど、小説は捜査過程に金をかけている。金の使い方と推理どちらも楽しむことができた。

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    2020年10月31日
  • ビアンカ・オーバースタディ

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    筒井康隆によるライトノベル
    涼宮ハルヒのオマージュ作品と言って良いだろうか
    氏の眼を通してライトノベルの文法を提示された
    勿論、一部のだが
    話のネタ自体は氏の短編で書かれるような内容
    それを中編程度の一冊にしているので、文の密度は薄くなっているのだが、ライトノベルとして作られているので気にならない
    様式は印象に影響するのだと改めて感じた

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    2020年10月28日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

    ネタバレ 購入済み

    ロートレック荘事件

    叙述トリックのお勧め本としてサイトで紹介されていたので購入して読みました。
    叙述トリックの内容としては意外性があり楽しめましたが、ミステリとしては微妙でした。
    謎解き要素が薄く感じてしまったので叙述の意外性だけでなくミステリとしてのトリックの部分もしっかり用意されてるともっと楽しめたと思います。

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    2020年10月05日