筒井康隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【全体の感想】
たったの1ページから数ページまで、サクッと読めるお話が詰め込まれており内容もヘビーなものは無いので手軽に楽しめる。寝る前に布団の中で一つだけ読んだり、洗濯ものの脱水待ちの時間に読んだりして楽しく読み終えた。最後に「にぎやかな未来」で締めるところがまた良い。読み終えた後、これまで気軽に楽しんでいた心地よい雰囲気の温度が急に下がり、コンクリート打ちっぱなしの荒涼とした部屋にいながら「これまでのお話を楽しんでいる自分」が映っているテレビを眺めているかのような気分になっている。
同封されていた らでんちゃんのチェキ は本棚に飾っておきました。良い本に出合わせてくれてありがとう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[富豪刑事の囮]
大金持ちの刑事が金にものをいわせて事件を解決するっていうと、昔読んだ「ドーベルマン刑事」に出てきた話を思い出しちゃうけど、時期的にいってこっちが本家なのかも。その部分を除くと、推理小説としては残念ながら平凡。ただ、4人の容疑者の状況を連続的に次々と転換していくという手法は、後の「ロートレック荘事件」で使われた叙述トリックの原形なのかもしれない。こういうエンタテインメンでも実験的な手法を使わないではいられない筒井康隆のひねくれ方は好きだけどね。
[密室の富豪刑事]
トリックは簡単なものだったけど、真空鋳造っていう反対のイメージの設定を持ってくるところが推理小説っぽいかな。
事件解決のために作ったはずの会社が儲かってしまうってのはお約束。
[富豪刑事のスティング]
「世の中ややこしいんだ。わかったか」この話はやっぱりこれでしょう。本編の偽装誘拐の方は、時間経過をシャッフルするという特殊な記述をしているわりにそれほど驚くところはなかった。
[ホテルの富豪刑事]
ジョーダンなんて今でこそ有名な名前だけど、たぶんこれが書かれたころはマイナーだっただろうに、なぜこんな名前をつけたんだろうと思ってたら、
「冗談じゃない」
「いいえ。冗談じゃありません」
「どっちが本当だ」
これがやりたかったのね。
ヤクザばっかり泊まったホテルで女性が射殺されたら、当然ヤクザが犯人だと思うってところを逆手にとった話だけど、やっぱりイマイチ甘い。この短編集全体を通してだけど、推理小説として驚くってところはなかったな。それでも全部書くのに2年半かかったって言ってるから、筒井康隆をしても「ロートレック~」までは長い道のりがあったんだな。綾辻行人とか本職の推理小説作家は凄いんだと再確認。 -
Posted by ブクログ
最近、星新一を読んだあとだと筒井康隆はやっぱり、毒あるなぁ。でも、そのサディスティックな話ほど頭に残ってしまう。
数ある短編の中から、気になったものを抜粋すると、
「傷ついたのは誰の心」
えぇ。。。駅員に暴行されまくる短編並みにエグい。
不倫されるわ。傷つけられるわ。もう、キツイ。
「悪魔を呼ぶ連中」
わかるー。何度同じことをしていたら成功しても、
失敗と思っちゃうよねー。
「最初の混線」
たまにあるタイムスリップもの?
オチがよいね!
「流行り」
やはり、藤子不二雄短編集にありそう。
普通にスルーしてたけど亭主関白の日ってなんだろう?
「廃墟」
最後に意味がわかった。
男しかいない種族の話。
知らないって辛い!
「接着剤」
万能すぎる!!
「チョウ」
スケールがデケェ!!オチがちょっとよくわからなかった。
「産気」
お後がよろしい様で。
珍しく、オチがわからないのが多かった。
うーむ。
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Posted by ブクログ
『七瀬ふたたび』からの繋がりが全くなく、唐突に学校篇が始まった。冒険的でハードボイルドな前作とは異なり、いきなりミステリー小説のような調査が始まり、あの緊迫感はどこに消えたのかと戸惑い、置いていかれる思いがした。
これまで物語の舞台は家族から国へと広がってきたが、本作では宇宙や神にまで拡大した。さらに置き去りにされた感覚を覚える。
しかし、前2作との繋がりを探しつつ「これは一体何の話なのか」と思いながら読み進めると、最後の最後で一気に収束していった。
自分の感情や記憶までもが宇宙意志に関与されていることに気づく不幸。恋に落ちることを「心を奪われる」と表現することはあるが、そこに第三者の意志が介在し、しかも未熟なその第三者の自己都合であると悟った場合、人生に前向きでいられるだろうか。これは「知らなければよかった」の最上級であると思う。
神の存在を信じる人は多いのに、以後ずっと神の関与を疑いながら生きていかなければならないのは、最後に仲間との再会を受け入れられなかった七瀬にとってしんどいはずである。納得感のある結末ではあったが、これまで応援してきた七瀬にとってはバッドエンドになってしまった。