筒井康隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
素人がテレビでもてはやされ、素人に毛が生えたくらいの人がタレントと呼ばれ、ニュースには不安を掻き立てるようなBGMが当てられ、ニュースショーの司会者は国民の代弁者のような顔をして語り、殺人や汚職や事故がドラマのように演出され流される……37年前に書かれたこの本はある意味で「予言の書」だ。
この本を読み終えたあと、出先で藤圭子さんの遺体を乗せた霊柩車の助手席に座る宇多田ヒカルさんの映像を観た。必死にカメラを向け表情を捉えようとするマスコミに嫌悪感を覚えながらも、その映像に見入ってしまった自分をそれ以上に嫌悪した。
「48億の妄想」は既に妄想ではなくなってしまっている。妄想が現実となり、妄想力をフ -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに似げない全く真面目な内容。相手が傷つくようなことを男性に対して平気で言う女性がよくいて、若い時分であれば小悪魔的で可愛いなどと言われもするが、歳をとってもまだ若いときにもてはやされた記憶が残っていて言い続けるアホな女性がいる。他人の仕事に口を出し、滅茶苦茶にしてしまう女。いくら言っても理解せず、そもそも学習しようという気がない女。つまらないことばかり口にして、怒ると泣く女。人間の右脳と左脳は脳梁によって連結されているが、女性は男性に対してこれが太く理性と情緒が判然と分けられることなく発語するとこが多いとのこと。ふむふむ、なるほど、と唸らされることしきりである。このほか、多くのアホ事例
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Posted by ブクログ
まさに吃りの小説。何度も何度も同じ文章が繰り返されるが、繰り返される度に少しずつ主人公の心情やら他人に対する印象やらで新しい情報が盛り込まれ、徐々に描かれている状況が理解できるようになるような気がする。
繰り返されて来たエピソードたちが一堂に会す瞬間は、不思議なカタルシスがある。
白いフクロウや兵隊、匍匐前進や鳥の羽ばたく姿など、多分に示唆的なキーワードが多く出てくる。「夢」というキーワードも重要。それらを丁寧に紐解くことはとても興味深いのだと思う。読み進めながらだと、同じ言葉の繰り返しでだんだん頭がボーッとしてくるので、あまり考えられなかった。
同じ文章をひたすら読むという行為に途中か -
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