筒井康隆のレビュー一覧

  • 48億の妄想

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    素人がテレビでもてはやされ、素人に毛が生えたくらいの人がタレントと呼ばれ、ニュースには不安を掻き立てるようなBGMが当てられ、ニュースショーの司会者は国民の代弁者のような顔をして語り、殺人や汚職や事故がドラマのように演出され流される……37年前に書かれたこの本はある意味で「予言の書」だ。
    この本を読み終えたあと、出先で藤圭子さんの遺体を乗せた霊柩車の助手席に座る宇多田ヒカルさんの映像を観た。必死にカメラを向け表情を捉えようとするマスコミに嫌悪感を覚えながらも、その映像に見入ってしまった自分をそれ以上に嫌悪した。
    「48億の妄想」は既に妄想ではなくなってしまっている。妄想が現実となり、妄想力をフ

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    2013年08月28日
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)

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    反復する手法が実験的に面白い。
    話として面白いかというとまたそれは別です。
    反復する方向性は決まっていて、繰り返されると必ず筒井氏らしいナンセンス世界になっていく。その逆はない。コピペを繰り返されるとだんだんオリジナルの精密さが無くなるという表現なのかもしれない。
    ネット世界のコピペはそのままの同一性を保つので、この場合のコピーは複写機的な感じ。そこにちょっと人間味を感じます。

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    2013年05月11日
  • アホの壁(新潮新書)

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    ネタバレ

    タイトルに似げない全く真面目な内容。相手が傷つくようなことを男性に対して平気で言う女性がよくいて、若い時分であれば小悪魔的で可愛いなどと言われもするが、歳をとってもまだ若いときにもてはやされた記憶が残っていて言い続けるアホな女性がいる。他人の仕事に口を出し、滅茶苦茶にしてしまう女。いくら言っても理解せず、そもそも学習しようという気がない女。つまらないことばかり口にして、怒ると泣く女。人間の右脳と左脳は脳梁によって連結されているが、女性は男性に対してこれが太く理性と情緒が判然と分けられることなく発語するとこが多いとのこと。ふむふむ、なるほど、と唸らされることしきりである。このほか、多くのアホ事例

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    2013年04月21日
  • 男たちのかいた絵(新潮文庫)

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    筒井先生の本なら何でも来い!って頃に読んだ本です。
    わあ と思いながらも好奇心いっぱいで読んでしまいました。
    やっぱり先生のお話は怖くても面白いから。

    あんまり覚えてないけど、拷問の時に自らすすんでやってもらう(?)ヤクザの話が印象的でした。
    こういうお話も読めるんだって思って、大藪さんや勝目さんの本をアレコレ読んだりすることになったんだ、たぶん。

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    2013年04月08日
  • 銀齢の果て(新潮文庫)

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    高齢化社会に政策として実施される、凄惨な老人同士の殺し合い、シルバー・バトル。
    その設定は唐突で、細かな世界観の構築などは特になく、読者にそういう世界だからひとつよろしく、というちょっと乱暴な、でもダイナミックなテンポで展開していく。
    社会に邪魔者扱いされる老人も、「生きている」というパワーを感じました。
    差別保護が差別を生んだり、高齢者保護が高齢化社会を拡大するという、風刺がピリッと効いている。

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    2013年03月24日
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)

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    まさに吃りの小説。何度も何度も同じ文章が繰り返されるが、繰り返される度に少しずつ主人公の心情やら他人に対する印象やらで新しい情報が盛り込まれ、徐々に描かれている状況が理解できるようになるような気がする。

    繰り返されて来たエピソードたちが一堂に会す瞬間は、不思議なカタルシスがある。

    白いフクロウや兵隊、匍匐前進や鳥の羽ばたく姿など、多分に示唆的なキーワードが多く出てくる。「夢」というキーワードも重要。それらを丁寧に紐解くことはとても興味深いのだと思う。読み進めながらだと、同じ言葉の繰り返しでだんだん頭がボーッとしてくるので、あまり考えられなかった。

    同じ文章をひたすら読むという行為に途中か

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    2012年12月15日
  • 時をかける少女 TOKIKAKE

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    本当は講談社文庫「霊長類南へ」です。
    筒井さんお決まりのドタバタ小説でした。おわりの部分の、あることを知っていてそれを確信しているなら、それは当人にとって真実である。という命題は、ワタシには確信できます。
    また、ラストの放射能ゴキブリの描写は、地球上の生物のおしまいをうまく描いていると思いました。
    それにしてもこの「BOOK asahi」は探せない本がたくさんありますね、ワタシの探し方が良くないのですかねぇ…。

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    2015年03月18日
  • アホの壁(新潮新書)

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    アホな人のアホな行動を見て、「ああ、アホだな〜」と思う自分もアホである。世の中皆アホである。アホを笑いつつも、裏ではアホを礼賛する。エロスとタナトスである。

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    2012年08月18日
  • 時をかける少女 TOKIKAKE

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    ネタバレ

    チャンスは突然来る。
    そのチャンスを活かすにはそのチャンスを活かす知識、知恵が必要で
    何も知らなければチャンスはチャンスでなくなってしまう。

    主人公は馬鹿で真っ直ぐで一見いい奴風だけど
    自分の思い通りに他人を動かそうとして
    独善的で自分勝手で気分悪くなった。

    色々な意味でやっぱ馬鹿嫌いだわ~。
    無駄にある行動力は分けて欲しいくらいだけど

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    2012年08月12日
  • 恐怖

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    ミステリというより筒井先生に「恐怖とはなんぞや」という講義を受けているような内容。おもしろいとかおもしろくないではない。

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    2012年05月21日
  • 時をかける少女 (角川つばさ文庫)

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    アニメの方は、時をかける少女は元気いっぱいな感じ♪( ´▽`)
    だけど、この本の時をかける少女は、おとなしめでどちらかといえば、図書室で本を読んでそう
    ( ´ ▽ ` )ノ
    でも、その違いが面白いです
    ( ´ ▽ ` )ノ

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    2012年05月17日
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集

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    世の中のあれやこれやを皮肉った超ナンセンス短編集。よくこんなの書いたなっていう過激な内容。人によってはかなり不快に感じるんじゃないだろうかって感じ。取り扱ってるテーマも人種差別や核問題、国家間の抗争だったりとわりとデリケートなものばかり。こんなこと書いて大丈夫なんだろうか………って感じでヒヤヒヤした。ほんとナンセンス。

    中では「ヒノマル酒屋」がなかなか面白かった。

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    2012年04月22日
  • 夢の木坂分岐点(新潮文庫)

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    文章の軽快さが著者の魅力だ。しかしついていけなかった。敷居が高いように思える。
    中学生の頃、背伸びして大江健三郎を読んだことを思い出した。
    軽快すぎて置いていかれた本書にいつかリベンジしたい。

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    2012年04月13日
  • 男たちのかいた絵(新潮文庫)

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    高校生のとき、なぜか友人が無理矢理貸してくれた本。
    あまり接していたくなくて(笑)
    大急ぎで読んで早々に返却したことを思い出す。
    様々な性格・性癖を持つヤクザたちの群像で、
    各短編にジャズ・ナンバーのタイトルが付されているが、
    内容はかなりお下劣。
    二重人格で嗜好が異なり、
    コーヒーを飲むか紅茶を飲むかで揉める「二人でお茶を」が
    一番苦痛を覚えずに読めた。

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    2014年04月18日
  • アホの壁(新潮新書)

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    もともと筒井康隆のファンなので、特に感想はない。
    一応書いておくべきこととしては、あれだな、ふりが
    な。

    P111で枢機卿という文字にたいしてなぜか すうききょう とルビがふってある。
    いったいなぜ?

    この本ではP61あたりから読み間違いについて論じている部分があるが、それに関係するのかな?



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    2012年03月04日
  • 恐怖

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    疑心暗鬼で臆病で発狂という筒井康隆らしいミステリ。話が面白い反面、薄く字がでかいので、あっという間に読めてしまって物足りない。「邪眼鳥」の方が好み。

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    2012年02月09日
  • 愛のひだりがわ(新潮文庫)

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    ほのぼの怖い表紙と裏腹に、マッドマックス風近未来における冒険活劇。復活以来、波乱万丈を割と淡々と淡白に表現するようになったなーと。最後の下げは半分読んだ時に皆さん思いつきます。落語的です。

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    2012年02月09日
  • アホの壁(新潮新書)

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    いろんなアホが紹介されていて、おもしろい。やばいほど自分に当てはまる。ただ、私はフロイトに共感できないのに、随所に引用されていて、きつかった。女性を劣っている者ととらえているのも不愉快。

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    2012年01月12日
  • アホの壁(新潮新書)

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    フロイト等の学説も引用して、アホがどれだけ困った存在かを説いている。しかし、アホのいない世界も無味乾燥なものになるだろうだって。

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    2012年01月05日
  • 時をかける少女 TOKIKAKE

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    アニメ版の『時をかける少女』が大好きすぎたので、買ってしまいました。
    少し、ページ数の関係(?)でアニメと少し違っている部分があります。
    私は、アニメを先に観たからか、アニメの方が好きです。
    ただ、アニメでははっきり描かなかった部分が描けているので、『時をかける少女』は、色々な解釈ができる作品ですが、解釈を一つにはっきりしたい人には向いているかもしれません。

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    2011年12月25日