筒井康隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
よくある登場人物紹介がなかったことに、最初から少し違和感を覚えた。さらに読み進めると、登場人物たちの会話にもどこか引っかかるものがある。
「何かがおかしい」と感じながら、誰が犯人なのかを考えて読む。警察関係者がいる中でも事件が続くことで、フーダニットだけでなく「なぜ?」というホワイダニットにも興味を引かれた。
そして読み終えてみると、最初に感じていた違和感が、実は意味のあるものだったことに気づかされる。詳しく書くとネタバレになってしまうが、「そういうことだったのか」と思わず唸る仕掛け。
読みながら感じた違和感を大切にしながら読むと、より楽しめそうな一冊だった。 -
Posted by ブクログ
SF作品が初めてと言うこともあり、読み始めた当初は説明無しの世界観や登場人物の多さに苦戦し読み進めづらかった。
しかし、物語が進むにつれラゴスと旅をしているかのような疑似体験が感じられ、次第にこの世界観や旅の刺激的要素が掴めるようになり面白かった。また、各回の物語に奇想天外なアイデアも垣間見えるし、短絡的な物語が多いため読者にとっては読みやすい上に、目標としている到達点に行くまでの寄り道こそが旅の醍醐味であるかのように感じられる節がある。
加えて、題名を「ラゴスの旅」にするのではなく、「旅のラゴス」と表記することによって主人公ラゴスが旅と自分を一体化し、人生において旅の重要性を説いていたように感じた。
本書を通じて、旅の目的とは人生というもうひとつの旅の道筋を明確にするものであると考えた。常識化された世界から異空間に足を踏み出し、旅をすることでやがて常識化された世界に帰化した際に新たなる本筋がきっと見えるのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
興味深いテーマで最初は物語として面白く読めていたけれど徐々に言葉が制限され抽象的で回りくどい文章や読めない単語が増え読み進めるのに苦労した。
主人公の佐治は物書きゆえ豊富な語彙で最後まで物語を成立することができたが、私だったらきっと数ページももたないんだろうな…
私たちは見た目以上に話し方や言葉選びで輪郭をつくっていたのだと気付きワンパターンな語彙力をもっと豊かにしたいと心から思った。
この物語を私は"人生"と似ているなと思う。
世界から少しずつ言葉が失われていく過程が老いていくにつれて「知っていたもの」「できていたこと」「思い出せること」が一つずつ自分の世界から脱落していく感じと重なる。最初はまだ失ったものを意識できるけど失うものが増えるほど世界そのものが狭くなり最後には自分を表現する言葉すらほとんど残らない。
最期の言葉が「痛い」だったのが悲しかったな。どれだけ豊かな言葉や記憶を持って生きても人間ってこうやって自分の世界を失いながら消えていくんだと思うと胸が苦しくなった。
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Posted by ブクログ
文字が消えると同時に、その文字が使われていた物の存在も消えるが、別の言葉に言い換えれるものは残る。ということは、「名前」のあるものから消えていく。人間、男、女、妻、娘という概念はまだ存在するが、「ぬ」が無くなると娘の絹子は消えてしまう。この世界に最後まで残るのは、自身にとって名前の必要のないモブたちだけになる。
その構造に気づいた時、なるほどな〜となった。
虚構と現実が混ざり合っていて、なかなかに難しい内容だった。これ絶対、現代文として受験で使われるやつじゃん。虚構に線引いてあるやつじゃん。
私の語彙力と国語力が低く、流し読みした部分も多かったので、またいつかチャレンジしたい。
あと、地元の御影、深田池、鴨子ヶ原が出てきてテンション上がった笑 -
Posted by ブクログ
「筒井康隆自伝」で収録作品「タック健在なりや?」のタックは眉村卓からつけていることを知り、再読するために購入。ヤッシャ・ツッチーニは筒井康隆なんでしょうね。ライバル意識は強かったのか。「傷ついたのは誰の心」「駝鳥」は相変わらず痛い。
目次
笑うな
傷ついたのは誰の心
悪魔を呼ぶ連中
最初の混戦
遠泳
客
自動ピアノ
正義
夫婦
帰宅
見学
特効薬
墜落
涙の対面
流行
セクション
廃墟
ある罪悪感
赤いライオン
猫と真珠湾
会いたい
接着剤
駝鳥
チョウ
血みどろウサギ
マイ・ホーム
ブルドッグ
トーチカ
座敷ぼっこ
タック健在なりや
産気
ハリウッド・ハリウッド
末世法華経
ベムたちの消えた夜
解説:横田順彌