筒井康隆のレビュー一覧

  • 筒井康隆自伝

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    「原宿駅前の新居には毎夜のようにSF作家たちが押しかけて馬鹿話に夢中になった」「今から考えたら夢のような日日だったなあ。」(p107)
    この人の生きざま自体が文学だし歴史。濃密すぎる少年~青年・成年時代。ところどころで言及される作品も実に興味深い。

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    2026年02月27日
  • パプリカ

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    リマスター版の映画を観て、原作が気になり読んでみた。

    前半は映画と対比しながら研究所内の社内政治や粉川など様々な人物像が描かれており面白かった。

    後半のDCミニをめぐる戦いは正直読んでいて疲れてしまい、流し読みという感じだった。「夢を見ている感覚」としては面白かったのだが…

    最後の陣内と玖珂の会話も意味深で面白かった。一体どこまでが夢なんだ??

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    2026年02月21日
  • パプリカ

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    ネタバレ

    SF作品に触れるのがほぼ初めてだったので新鮮な楽しみがあった。夢の解像度が高くて、「人の顔が急に変わったり場所が急に変わったりすることあるよなぁ笑」と思いながら読んだ。
    パプリカは登場する男性ほぼ全員(女性の柿本さんもか)から寵愛を受けることになるが不思議とご都合主義のハーレムもの感はなく、皆から愛されて然るべきヒロインとして説得力を持っていた。各所で挟まれる性的描写も嫌な感じはせずむしろ美しく愛おしい場面として自然と受け止めることができた。
    最後の二人の会話も意味深で好きだった。顔が仏像を彷彿とさせるということは、またもや夢の侵食が始まっているということなのだろうか?それともこの場面が夢?一

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    2026年02月17日
  • 夢の木坂分岐点(新潮文庫)

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    久しぶりの筒井作品で、なかなか読む速度が上がらなかった。夢の木坂駅という分岐駅が象徴する夢と現実と虚構が入り交ざる作品だ。主人公も含め、登場人物の名前、会社での役職、境遇などがいつの間にか入れ替わっている。通底するのがサイコドラマという心理療法で、これは著者の得意分野だ。当を得た解説も良かった。しかし、この手の筒井作品は読み疲れるなあ……。

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    2026年02月16日
  • 残像に口紅を

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    私には、難しすぎた。
    が、状況を想像しながら、理解していく感じで、何か今までの小説とは違う気持ちになった。
    また、10年後くらいに読むとちゃんと読めそう。

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    2026年02月14日
  • カーテンコール

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    筒井康隆の最後のあいさつ、な本
    とても、とても難しい本と感じた。普通に読む分にはテンポ良く進む短編群、過去作を下回る出来
    しかし筒井康隆という作家、今までの作品、一緒に生きてきた作家を思うと…感慨深い本に変わる
    小川哲のStreet Fictionという番組でも語られていたが本人なりに思う所の蓄積で描かれた作品達なのだと思う
    優しい読者ほど刺さる本であるし、1作品としてただ読む読者にはこれで幕引いちゃうんですかと感じるだろうし。でもファン本だと言うには偉大すぎる作家の作品とも思うのです
    彼にしか書けない経験値から滲み出た本として、日本では評価されて欲しい

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    2026年02月12日
  • 筒井康隆自伝

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    卒寿も超えての自伝だが、かなり薄い。200頁もない。筒井康隆の人生がこの程度の紙幅で語り尽くせるわけもないのだが、もはや体力もないのだろうと思う。本書は「今後は自伝に書くような大きな変化はない」と結ばれる。まぁそうなんだろう。しかたがない。

    大江健三郎との近さは蓮實重彦との書簡でも多く語られていた。本書では、遅刻してきた大江が一切謝らなかったエピソードなども語られている。

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    2026年02月11日
  • 時をかける少女

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    映画が好きだから原作はどのようなものかと読んだけど、全然違った。みんな仲良いはずなのに他人行儀すぎん?100ページくらいしかないからけっこうあっさりだし、最後のお別れシーンも感慨深くない。よく映画をあんなに面白くできたと思う。

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    2026年02月06日
  • 虚航船団(新潮文庫)

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    何を書いてもネタバレになりそうなのだが、とりあえず人間っぽいが人間らしきものが(あまり)出てこない、宇宙からの惑星侵略系SF。3章だてになっていて、それぞれ視点が大幅に異なる。1章目は文房具たちの乗った宇宙船の様子、2章目は惑星クオールの歴史、3章目は、これらが相混じり合った戦争の話である。

    1章目はつらつらと乗船している文房具の説明がしてあるが、みんな気が狂っている(そう紹介されている)。
    2章目は地球史みたいなクオール史。この惑星の住人はイタチだが、起きていることは人間のそれをなぞっているよう。地球史にしてはエログロを丁寧に記載しているのは著者の好みと思われる。ではこのクオール史を書いた

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    2026年02月03日
  • 筒井康隆自伝

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    91歳の文豪にして俳優が自ら書いた自伝。好き嫌いを含めて闊達な筆使い。SFでヒットしたころの小松左京や星新一との交流が楽しめる。その後、井上ひさしや大江健三郎等との交流や、俳優としての出演も話題に上っている。
    その時代の作品に触れている方には、楽しい記述である。

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    2026年02月02日
  • 残像に口紅を

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    ネタバレ

    何十年ぶりかで筒井康隆の本を手に取った。
    本の帯に「TikTokで話題!」などと書いてあり、そう言えば読んだことなかったな。と思って読んでみた。

    世界からどんどん文字が消えていき、その文字で表されていたものは表現できなくなり、表現できなくなると消滅する。
    例えば、「ぱ」という字が消えると、「パン」の存在が消えるので、こうなる。

    「おれたちは中年だからね。起きてすぐのお茶漬ってのはうまいものさ。でも若いひとなどは違うだろうね。柔らかく、口と胃に軽い、すばらしい食べものを食べるだろう。君も好きで、よく食べていた筈じゃないか。でもその食べものは、この物語からはもう失われたんだ。君は二度と、今君が

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    2026年01月26日
  • 笑うな(新潮文庫)

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    これだけ短い文章の中にユーモアを込められる筒井康隆は天才だと思う。しかし私にはちょっとわからない作品もいくつかあった。横田順彌さんの解説通り、それは私が悪いのだと思う!

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    2026年01月16日
  • 残像に口紅を

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    ストーリーの中で言葉がだんだん消えていく話かと思っていましたが、主人公がメタ発言を連発するので驚きました。最初から「あ」が消失している世界で伝えたい言葉を言い換えながら、想像力に訴えかけながら進んで行く物語がとても面白かったです。

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    2026年01月16日
  • にぎやかな未来

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    【全体の感想】
    たったの1ページから数ページまで、サクッと読めるお話が詰め込まれており内容もヘビーなものは無いので手軽に楽しめる。寝る前に布団の中で一つだけ読んだり、洗濯ものの脱水待ちの時間に読んだりして楽しく読み終えた。最後に「にぎやかな未来」で締めるところがまた良い。読み終えた後、これまで気軽に楽しんでいた心地よい雰囲気の温度が急に下がり、コンクリート打ちっぱなしの荒涼とした部屋にいながら「これまでのお話を楽しんでいる自分」が映っているテレビを眺めているかのような気分になっている。
    同封されていた らでんちゃんのチェキ は本棚に飾っておきました。良い本に出合わせてくれてありがとう。

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    2026年01月05日
  • 残像に口紅を

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    読み進めるうちに使えるひらがなが1文字ずつ消えていくという実験小説。読んでるうちにどんどん語り手の語り口が変わっていって、それこそが肝!!な感じは、アルジャーノンに花束をみたいだなぁと思った。
    最初の方はおお〜今回は何の言葉が消えたんだ!?と毎回ワクワクしていたけど、当たり前にだんだんめちゃくちゃ読みづらくなって途中から読むのが疲れてしまって、そんなに長くないのにカラマーゾフより全然読むのに時間がかかった。
    でもこれを1冊書き通したのは常人ではないまじですごいことだと思ったし、それを読み届けることこそがこの本を読む意義だと思うので、最後まで読めて良かった。あとは言葉(ひらがな)ひとつひとつの大

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    2026年01月06日
  • エディプスの恋人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    前作のつながりが全然ない。読み進めて行くと、最後に記憶がなかっただけだということに。そして全て大いなる神の意志によって生かされ、出会い、次につながっていくというまとまりになった。精神世界が壮大すぎて、なんかもういろいろ考えずにそのまま読んで飲み込んだ。3部作それぞれ違い、こんな感じで終わるとは。

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    2025年12月31日
  • 富豪刑事

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    ネタバレ

    [富豪刑事の囮]
     大金持ちの刑事が金にものをいわせて事件を解決するっていうと、昔読んだ「ドーベルマン刑事」に出てきた話を思い出しちゃうけど、時期的にいってこっちが本家なのかも。その部分を除くと、推理小説としては残念ながら平凡。ただ、4人の容疑者の状況を連続的に次々と転換していくという手法は、後の「ロートレック荘事件」で使われた叙述トリックの原形なのかもしれない。こういうエンタテインメンでも実験的な手法を使わないではいられない筒井康隆のひねくれ方は好きだけどね。

    [密室の富豪刑事]
     トリックは簡単なものだったけど、真空鋳造っていう反対のイメージの設定を持ってくるところが推理小説っぽいかな。

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    2025年12月22日
  • モナドの領域(新潮文庫)

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    中盤までが面白すぎた分、ラストで一気に醒めた。筒井康隆好きを名乗るには痛手かもしれないが、実験小説めいたこの感じはどうも好みじゃない。
    あとは、タイトルにもあるようにライプニッツのモナド論について予備知識があるとかなり読みやすいはず。僕はライプニッツについては何も知らないが、スピノザの新書を読んだことがあったので何とかなった。

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    2025年12月25日
  • 旅のラゴス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    文明が発達しすぎた故に崩壊し、その代わりに超能力を得た人類...というポストアポカリプス的な設定に惹かれて読んだのだけれども、
    とにかく主人公が万能すぎ。奴隷に一度堕とされるけど、そこでもあっという間に出世し、ずっと神やら王やら持て囃され、女性にもモテモテ。
    痛快で楽しく読めますが、重厚なSFというよりかはなろう系主人公風味。

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    2026年05月19日
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)

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    一見、よくあるセッティング。でもこういうことなのかというトリック。コンプレックスを柔らかく隠してあげるんじゃなくて曝け出す。守られる対象のものの自己主張。捻くれた運命。

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    2025年12月10日