筒井康隆のレビュー一覧
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ネタバレ『バトル・ロワイアル』のパロディやないかい! 生き残りは他のバトルに参加できるとか笑うしかない。最後は主催者にお礼参りするし。
いや、バトル・ロワイアルは未来ある中学生が1つのクラスの中で殺し合うから異様で緊張感があり面白かったのだけど、老人がそれやって面白いかというとあんまり……。
加齢臭のするエログロナンセンスなんだけど、文章としてはめちゃくちゃ読みやすいのが何とも言えない。悪趣味でギブアップしようかと思ったけど結局最後まで読めちゃったし。巻末の解説が変に真面目なのもおかしい。書いてることは分かるよ。
そして、「変なの読んだなぁ」と思いながら、一気に感想を書いてしまえるほどのエネルギ -
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短編など十四作品を収録しています。
「九死虫」は、八回死んでは再生し、九回目の死でこの世界から完全に存在を消失する虫の物語。古来多くの哲人たちが思索をつづけてきた「死」が、たった一度きりの人生という条件をすこし変更するだけで、異なる相貌を見せることに興味をおぼえました。
「公衆排尿協会」は、トイレがつかえなくなったために、せまりくる尿意に耐えながら右往左往する男の物語。バカバカしいですが、読んでいてなんとなくこちらも切羽詰まった気持ちにさせられてしまいます。
表題作の「最後の伝令」は、不摂生がたたって死がせまっている人間の身体のなかで起こっているできごとを、さまざまな器官の擬人化によって -
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浜口重樹は少年時代、不幸な事故により下半身の成長が止まってしまいました。時は流れ、彼らが少年時代に親しんでいた別荘は木内文麿という男の手にわたります。そこには、木内が蒐集したロートレックの絵画が多く保管されていることから、「ロートレック荘」という異名をとるようになります。
木内は重樹たちをロートレック荘に招待し、木内の娘である典子と、その同窓生である牧野寛子、立花絵里の三人の若い女性たちとのヴァカンスをすごしますが、彼女たちは何者かによって次々に殺害されていきます。
典型的な叙述トリックが用いられている作品ですが、物語の最後でくどいほどにトリックの解説がなされているのは、ミステリ小説として -
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SF界の神様 筒井康隆さんの七瀬シリーズ最終巻。
最終巻から読んじゃったけど普通に楽しめる良作!
他者の考えが読めるテレパス(超能力)をもつ
主人公『火田七瀬』は、自分が務めている学校で
別の超能力が発生するのを目撃。
その出処を探していると1人の異端な高校生の
存在が浮かび上がる。しかしここから急展開。
教諭の七瀬と高校生である「彼」が恋仲になる。
しかしその愛情にはある理由が……。
というタイトル回収をしっかりしてくれる作品。
SFとエディプス・コンプレックスを掛け合わせる
あたりやっぱり筒井さんは天才だなと。
SF好きな人にこそ読んで欲しい、SF味変できる良作。
ぜひ読んでみて! -
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彼は何も説明をしてくれない。ただそれは、長々語らなくても判って当然だろうという傲慢さではない。この感覚にピッタリ合うふさわしい形容の仕方を考えていたら、心地良い不親切さ、なんていう頓珍漢なことばに落ち着いてしまった。
いわゆるショートショートの短編集であるが、星新一の描く突拍子もないSF世界ほど他人事として切り離せないような、ある種の生温かさが筒井康隆らしさだといえよう。
ん〜、でも一つ一つの作品の出来はというと、いまひとつという他ない。星新一作品にイメージされる、記憶に残るような後味の悪いラストや鮮やかな叙述トリックなどは見られない。筒井康隆独自の世界観と皮肉めいた視点を愉しむものと高を括る -
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3.8
あの「七瀬ふたたび」の第一作目。
テレパスである七瀬は、深い人間関係などに警戒して、社会を生きていくために家政婦(女中)の仕事を始めていく。そして、本作は七瀬の職場となる8つの家族の闇の話である。
以下、各章の感想。
無風地帯
家族同士、心では馬鹿ににしながら表面は穏やかに装う無風地帯。こんな家族はきっと、ざらにあるだろう。
澱の呪縛
ザ・ゴミ屋敷。そして、その家族も環境に汚染されているのか、精神も不安定。しかし、この状況を恥と感じているだけまだ救いがある。現実世界のゴミ屋敷の住人はまったく気にしない人が多く感じる。
青春讃歌
青春を。若さを。取り戻せないその輝かしさに執着した妻 -
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哲学の専門家ではない有名な作家が、1990年池袋でハイデガーについて解説した講演?を文字にしたもの。全体の3分の1は、『ふしぎなキリスト教』とかの大澤真幸先生の解説がついていて、「よくわかる上に、『存在と時間』のエッセンスをまことに的確に抽出している。(略)専門家ではない、『唯野教授』こと筒井康隆さんが、かくも正確に紹介できるとは。驚きである。」(p.106)と書いているから、専門家お墨付きのハイデガー紹介、ということになる。
『誰にもわかるハイデガー』というタイトルだし、『試験に出る哲学』のブックガイドでも紹介されていたので、読んでみた。何となく分かるけど、正直通勤電車の中でサラッと読ん