あらすじ
あのときは、倒れ伏している私の周囲を、廃墟の幽鬼がとり巻いて歌い踊っていた――。放射能と炭素熱で破壊された大都会。極限状況で出逢った二人は、子をもうけたが。進化しきった人間の未来、生きていくために必要な要素は何か。「だけど俺たちは本能を持ってうまれてきてるんだ。生きて行こうとする本能だ。どんな環境に生まれてきたにしろ、本能を持っている限り種族の繁栄のために尽くすべきじゃないか。本能にしたがって行動をしていさえすれば、われわれは、知らない間にこの世界を改造していることになるんだ」(表題作)ほか、ふたりの印度人、アフリカの血、姉弟、ラッパを吹く弟、衛星一号、ミスター・サンドマン、時の女神、模倣空間、白き異邦人の一〇編を収録。解説:山下洋輔。
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Posted by ブクログ
昭和46年(1971年)発売の作品集。
いや〜色褪せない。
ドタバタやグロ、シュールとかが得意な筒井さんだけど、こんなめちゃくちゃリリカルで感傷的な作品も書けるの凄すぎる。
表題作『幻想の未来』はあまりにも壮大なスケールで美しい。
当時、冷戦下だったから地球の未来がわからない中で常に想像力を働かせていたんだなと想像する。
放射能と炭素熱で破壊された核戦争後の大都会。極限状況で出逢った二人は子をもうけた。
時がたち、過酷な環境に淘汰されながら、適応するために変異を続ける生命体。地球上の意思ある生命体は朽ち果て、意識の集合体だけが残る世界で生きていくことができるのか。
やがて他の惑星から調査にやってきた生命体と出会い……。
ほか『衛星一号』『ミスター・サンドマン』も面白かった。
Posted by ブクログ
手持ちの筒井康隆短編で一番好きかも。
暗く苦しいような重めの表現と、アホらしくて笑えるような軽めの表現のバランスが良かった。
登場する生き物の醜さが愛おしかった。
Posted by ブクログ
怖めの輪廻の話が来ると分かっていながらも時の女神は妙にロマンチストと詩情が感じられて好きだった。
白き異邦人もこれからくる未来を感じるけど昭和46年に書かれたのかと思うとはっとさせられた。