筒井康隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【本の内容】
増大した老齢人口調節のため、ついに政府は70歳以上の国民に殺し合いさせる「老人相互処刑制度」を開始した!
和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町には、もと自衛官、プロレスラー、好色な神父など「強敵」が犇めいている。
刃物と弾丸が飛び交い、命乞いと殺し合いの饗宴が続く。
長生きは悪なのか?
恐怖と哄笑のうちに現代の「禁断の問い」を投げかける、老人文学の金字塔。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後 -
Posted by ブクログ
ただただ辛かった。映像化できたら面白いかもしれないなどと妄想。筒井康隆の恨み辛みとともに、創作者の自省のバイブルとなるべき一作だろう。などと理論武装して、自己防衛を図る僕もまた矮小な創作者崩れの一人でしかないのだろう。またこのように客観的な文章を装うことで、自分はこいつらとは違うのだ、などと逃げていることにもなる。そして、こんな文章を付け足すことで自分はまたこのような文章を書く人間とは違うという(以下略)
このように読んだ人間を泥沼に叩き込む問題作である。
これは僕の想像なのだが、この作品はプロットを考えずに書き出したのではないだろうか。
唯一嫌悪感を持たなかった登場人物は時岡。 -
Posted by ブクログ
【本の内容】
ささやかな社会批判をした妻が密告により逮捕され、土に植えられてしまった。
次第に植物化し、感情を失っていく妻との切ない別れは…。
宇宙の伝説と化した男が、二十年ぶりに帰ってきた。
かつて賑やかだった鉱山町の酒場、冒険をともにしたロボット、人妻となった愛しの彼女。
郷愁にみちた束の間の再会は…。
奇想あふれる設定と豊かな情感が融け合う不思議な作品群。
[ 目次 ]
[ POP ]
筒井康隆さんの短篇集『佇むひと』は、その独特の世界観にただただ圧倒された一冊です。
なかでも表題作の、生きたまま道路に植えられ、人々の目に晒されながら段々と植物化していく妻とその夫の小説 -
購入済み
筒井さんは予定通り?
「家族百景」から始まった「テレパス 七瀬シリーズ」の3作目で(恐らく)最終章。1章の時に筒井さんはこの結末をすでに組み立てていたのかが気になります。だとしたら、やっぱり恐るべし筒井康隆。単なる超能力ものではない、「精神小説」とも呼ぶべき新分野だと思いました。
ただ、近年の筒井さんは精神分析の記述とストーリーテラーとしての巧みさのバランスがやや崩れて、難解な記述が多く、正直ついていけない作品もチラホラ。本作品はギリOKと言う感じです。
しかしシリーズ全体として見ると、少女に近かった七瀬が「大人の女」になり、同時にそのテレパスとしての精神世界も成長して行く過程での「気付き」を描いた本作 -
Posted by ブクログ
先に「敵」の話を書いた。
いわゆる老人小説への興味を覚えていた時に手に取った2冊目の筒井作品である。
こちらは筒井康隆的ドタバタが存分に楽しめる、老人同士が殺害し合う、いわゆる「バトル・ロワイヤル」のパロディだ。
しかし、本家の設定が絵的(”想定読者層”)な問題もあるのか当然ながらフィクションの枠から出得ないのに対し、こちらは行き過ぎた老人保護政策、年金問題、積み重なる財政負担を解消する手立てとして相互自殺補助”政策”という、あながち・・・?な設定であるのが面白い。
「敵」に現れていたような主人公の深い思索、老人時間とも呼べるような緩慢な死へむかって流れるゆったりしたものとはまったく逆ベ -
購入済み
読了。
これはまた凄いテーマを当てはめて来たなという感じ。前2作も裏側にあったのかな?この反則技は好きです。七瀬シリーズ満足な完結の仕方。電子化は無理かと思ったらその手があったか。